愛を知らない死神と戦場を舞う少女たち   作:シッシー@連載中

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第4話です!

百合ケ丘のリリィ達はお淑やかな子が多いと思いますが、まぁ……年頃の女の子ですしこういうこともあるのかなーと考えながら書いてみました

それではごゆるりとお楽しみください


第4話

例の死神が百合ケ丘にやって来て1晩が経った。

 

理事長代行の高松咬月は、百合ケ丘女学院の全生徒に向けて緊急の集会を開き詳細の報告を行った。

 

彼が何者で、どういった過去があって、なぜチャームが使えるか……最初は「男のリリィ」ということで色めきだって話を聞いていた生徒達も、その内容に言葉を失い、講堂は沈黙に包まれる。

 

 

 

咬月「しかしだ」

 

 

 

理事長代行の咬月は哀愁漂うリリィ達の目を見てハッキリ告げる

 

 

 

咬月「彼が敵ではないことは、学院を代表して断言させていただく。もし彼がこの学院やリリィ達に危害を加えようなら、全責任は私にある。どうか……どうか、彼をこの学院の生徒として受け入れて欲しい」

 

 

 

その言葉に、否定の感情を持つ者は一人もいなかった。

 

 

 

咬月「そして、彼は家族も友人もいない。今までもこれからも、沢山の悩みや不安と向き合っていくことだろう。どうか皆で支えてあげてほしい。頼む」

 

 

 

全生徒に向けて頭を下げる咬月。その姿を、全員が肯定の意志を持って見つめるのであった。

 

 

 

史房「忠告しておきますが、彼は今現在も療養中の身です。突然押しかけるなど、迷惑になるような行為は謹んでください」

 

 

 

咬月に続いて史房が発言するが、果たしてその声はお世話好きなリリィ達に届いただろうか……

 

 

 

 

 

そして、そんなことがあったことなど全く知らない当の本人は、ベッドの上で大きな欠伸をしていた。

 

 

 

「くぁ……ふう。いい天気だ」

 

 

 

本日は快晴、由比ヶ浜の空には曇りなき青空が広がっていた。

 

そしてこの青空にそぐわない嫌な予感が背筋を撫でた。彼の「予感」はよく当たるのだ。

 

 

 

?「何か来る……」

 

 

 

そう言って臨戦態勢を取ろうとするよりも早く、部屋の扉が勢いよく開かれる。

 

 

 

お世話好きリリィ一同「ごきげんよう!死神様ぁ!!」

 

?「……ご、ごきげんよう……え?死神様……え?」

 

リリィA「理事長代行より、あなたを支えて欲しいと緊急集会にて伝達がありましたので!」

 

リリィB「何かお困りのことはありませんか?」

 

リリィC「なんなりとお申し付けください!」

 

 

 

目をキラキラさせて順番よく発言するリリィ達。史房の忠告は晴天の下、そよ風と共に流されて消えていった。

 

静かであったはずの療養棟は一瞬にして昨日以上に賑やかになり、中には差し入れを持ち込むリリィもいた。

 

 

 

リリィD「朝食はお取りになりましたか?サンドイッチ作ってきましたの」

 

リリィE「お飲み物は何にいますか?紅茶を嗜むと伺いましたが?」

 

リリィF「是非とも私にチャームをメンテナンスをさせて下さい!隅々までチューニングさせていただきますよ!」

 

?「分かったから!分かったから皆さん落ち着いて……史房さーん!」

 

 

 

療養棟の賑やかさに負けない、助けを求める悲痛な叫びが響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

史房「ぜぇ…ぜぇ……み、皆さん、何やってるんですか……?」

 

 

 

それから十数分後、そんな助けが届いたのかは分からないが、肩で大きく息をしながら史房が療養室のドアを開ける。そんな彼女が目にしたのは───

 

サンドイッチをあーんと食べさせたり、部屋に備え付けのポットを使って紅茶を用意したり、ハービンジャーを磨き上げたり、ベッドの周りを囲む形で談笑したりしている多くのリリィであった。

 

 

 

お世話好きリリィ一同「史房さん(様)!ごきげんよう!」

 

史房「ご、ごきげんよう……って、そうではなくて!皆さん講義はいいんですか!?」

 

 

 

その場の全員が壁の時計に目をやる。時間は、始業の時刻をあと僅かで越えようとしていた。緊急集会は始業時間前に行われたので、今ここでまったりしている時間などないのは道理なのだが。

 

それを完全に忘れていたお世話好きリリィ達の顔がサーっと青ざめていく。

 

 

 

お世話好(ry「お、お邪魔しましたー!!」

 

 

 

講義に遅れると教導官にこっぴどく叱られる事を知ってるため、時計を見た途端に蜘蛛の子を散らすように去っていった。療養室には早朝のように静寂が訪れる。

 

 

 

?「ふふ、皆元気ですね……」

 

史房「朝の緊急集会で迷惑になるから急に押しかけるなと伝えたのですが……本当に申し訳ございません……」

 

 

 

彼の笑顔とは裏腹に、申し訳なさで泣きそうになりながら深く頭を下げる史房。そんな彼女に、優しく言葉をかける。

 

 

 

?「まぁ、彼女達の私生活に支障が出てしまうなら良くはないかもしれませんが、賑やかなのは好きですし、僕はいつ遊びに来てもらっても大丈夫ですよ」

 

史房「ありがとうございます。そういっていただけると、こちらも救われます……」

 

?「苦労されてるんですね……」

 

 

 

僅かな沈黙の後、二人の間にクスッと小さな笑いが起きる。

 

 

 

?「そういや史房さんはどうしてここに?」

 

史房「あ、そうでした。理事長代行より「体調が戻るまでゆっくりするといい。もし歩き回れるまで回復したら、一度理事長室に来てくれ」と、伝言を預かってますので、それを伝えに」

 

 

 

そう言って、丸く可愛げのある文字とイラストで描かれた1枚の手紙を渡す。そこには、療養棟から理事長室までの道筋が描かれていた。

 

 

 

?「ご丁寧にありがとうございます」

 

史房「いえいえそんな……では、私はこれで」

 

 

 

メモを渡し部屋のドアまで移動する。そして、部屋を出る前に振り返り彼の顔を見る。その顔は少し赤くなっていた。

 

 

 

史房「あの……良かったらなんですが、スコーンと紅茶ご用意して待ってます。お好きでしたよね?」

 

?「ええ、好きですよ。ありがとうございます」

 

史房「いえ……理事長室に来る際はご連絡ください。では」

 

 

そう言い残して足早に療養室を後にする史房。その後ろ姿から見えた耳は赤くなっていたという。

 

 

 

?「……事前に連絡はどうやったらいいの?」

 

 

 

少々抜けているところがある史房であった。

 

 

 

 

 

太陽が高く昇り、療養棟にも昼を告げるチャイムが鳴り響く。遠くから少女達の楽しそうな笑い声が聞こえてくる穏やかな昼休み。コンコンという軽いノック音の後に部屋のドアが開かれて、2人の少女が入ってくる。

 

 

 

?「ここが死神様の部屋かー」

 

 

 

サイドを纏めた緑色の髪に緑色の瞳の少女と、ロングの黒髪に紫色の瞳の少女。この2人と少年は初対面であった。

 

 

 

?「おや、初めましてですね」

 

梅「おう!私、吉村・Thi・梅。1年だゾ。ほら、夢結も挨拶しろ」

 

夢結「わ、私はいいって言ってるのに……白井夢結です。ごきげんよう」

 

?「ごきげんよう、2人とも」

 

梅と少年は笑顔を交わすが、夢結は目を合わせず興味の無さそうな顔をしている。梅はそれを見て小さくため息をついた。

 

 

 

夢結「梅、私戻るわ。お昼の時間がもったいないもの。挨拶も済んだから良いでしょう?では、ごきげんよう」

 

梅「おい夢結!」

 

 

 

梅の静止を聞かずに部屋を後にする夢結。梅はそんな後ろ姿を先程とは違う大きなため息で見送った。

 

 

 

梅「ごめんなぁ、夢結にも紹介してやろうと思ったのに、他人に興味無いやつでさー」

 

?「無理やり男のリリィに興味を持てって言っても難しいですよ。あれは正しい反応ですし、気にしてないですよ」

 

梅「……お前、良い奴だな!同級生として誇りに思うゾ!」

 

?「……同級生?確かに歳は同じかもしれないですが、僕はこの学校の生徒では……」

 

梅「あれ、聞いてないのか?夏休み終わったら1学年に編入だゾ?今日理事長代行が言ってた」

 

?「……へ?」

 

 

 

軽い口調でとんでもないことを言われた。普段静かでお淑やかな少年も、こればかりは驚きと困惑の表情になる。

 

 

 

梅「あー、まだ聞いてなかったのか……あはは!お前もそんな顔するんだなー」

 

?「え……いや、まぁ……あはは」

 

 

 

豆鉄砲を食らったかのような驚きの表情を指摘され、恥ずかしさを笑って誤魔化す少年。梅は死神が普通の人間だということがしっかりと自身の目で確認出来たため、緊張が解れて自然な笑い声が出た。

 

 

 

?「その件は後で理事長代行に詳しく聞くとして、さっきの子は追わなくていいんですか?」

 

梅「あーあー、そういう固い口調やめろよなー。梅達もう友達だろ?」

 

?「友達……」

 

梅「同い年だし、同級生だし、同じリリィだし。友達にならない理由なんてないだろ?」

 

?「……そう、ですか。初めてです……友達と言ってくれる人が出来たのは」

 

梅「だからその口調やめろってー。タメ口でいいから!」

 

?「わ、分かった……これでいいかな?」

 

梅「おう!」

 

 

 

ニッと笑顔を見せる梅。それを見て、少年も自然に笑顔になる。この「友達」という存在が、今後彼に大きな影響を及ぼしていくのはまた後の話……

 

 

 

梅「じゃあ私は夢結の所に行くから。また後で遊びに来るからなー」

 

?「うん、またね。梅"ちゃん"」

 

梅「梅ちゃっ……!」

 

 

 

呼び慣れていない呼ばれ方をされて、梅の動きが止まった。

 

 

 

?「あれ……まずかったかな?さすがに初対面の女の子を呼び捨てにするのは早すぎるかと思ったんだけど……」

 

梅「あ……いや、あ、あはは……ちゃん付けは呼び慣れてなくてさ。出来たら呼び捨ての方が楽かも……」

 

?「あ、ごめん……分かった。それじゃあ梅、また後でね」

 

梅「お、おう!またな!」

 

 

 

何故かその場に居られなくなって、駆け足で部屋を後にする梅。校舎から離れた療養棟の静かな廊下も合わさり、心臓の音が耳の中で大きく響く。

 

 

 

(私の事……女の子って言ってくれた……しかも梅ちゃんって……あぁもう!顔が熱い!なんか恥ずかしいゾ!)

 

 

 

顔を赤くし、慣れない「女の子扱い」に異常な恥ずかしさを感じながら、梅は先にあの場からいなくなった羨ましい友人を探しに廊下をかけていった。




きっと百合ケ丘にはお世話好きな子が多い!

次回は久しぶりに死神様君の戦闘シーンを出しますよ!
あと名前!

死神君、死神様、少年……使い分けが大変なのでそろそろ出します(

それではノシ
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