インフィニット・ストラトス 氷帝の軌跡   作:ウィングゼロ

10 / 14
9話『VSセシリア』

 

 

1組対3組の試合が行われるアリーナはもうすぐ始まる試合にアリーナ全体が熱狂を包まれていた。

 

そして3組側のいるデッキから予定変更で打鉄に搭乗する一夏が飛び出してくる。

「あれ?」

「どうかしたの?」

その光景を見て生徒達の歓声はより一層に盛り上がる中、榛名だけ首を傾げ、隣にいる香澄もまたそんな榛名の仕草に疑問を持ち訪ねた。

「予定だったら一夏の専用機である叢雲に乗ってるはずなのに、打鉄で出てきたから…」

可笑しいなっと榛名は呟く中、一夏は完全に自分用に調整されていない打鉄を安定した動きでセシリアの前に立つ。

(なんとかなったけど動きが鈍い)

叢雲との比較して感じる感覚に少し苦い顔をする一夏、そして視線を目の前のセシリアへと向けると憎たらしい顔つきで一夏を見下ろしていた。

「この選ばれた私を待たせるなど、男という生き物はこれだからいけませんわ」

「…っ!そういうオルコットさんはもう勝った気でいるみたいだな」

「当たり前ですわ、私が男に負けるなどありえないこと、それを証明してあげましょう」

そういってセシリアはブルーティアーズの主武装、スターライトを展開するとその銃口を一夏へと向けターゲットをロックオンする。

「…っ!」

一夏もまた打鉄のハイパーセンサーで照準を当てられているアラートを確認すると右手に近接用の刀、葵を持ち何時でも動けるように神経を尖らせ…そして試合開始のブザーが鳴り響いた。

 

「はあぁっ!!」

先に動いたのは一夏だった。

神経を尖らせ先手を取ろうと何時でも飛びかかる構えで望んでいた彼はセシリアのスターライトのトリガーが引かれるよりも速くセシリア目掛けて飛び立ち葵を下段の構えで突撃する

たがそれを許す相手ではない。

セシリアは少し驚くだけでずれた照準を一夏に合わせるとトリガーの引き金を引き銃口からレーザーが2発発射されそれを一夏は反応して回避運動を取るが2発目のレーザーに回避が遅れ、掠れてシールドエナジーが少量減少する。

(くっ!今のは叢雲なら避けれたのに…!)

一夏自身は反応が出来ていたが調整も出来ていない打鉄では回避が出来なかったことに、数日前に試運転で乗り回していた専用機があればと苦い顔をする。

「だけどやるしかねえよな…!!」

無いものはないと強請ったところで無意味と一夏は割り切ると速度を殺さずにセシリアに葵を振るう。

 

その光景を見ている3組の生徒達の声援は更に大きくなり、一丸になって観客席に響く。

 

「頑張れ!織斑くん!!」

「そのまま押し切っちゃえ!!!」

 

「一夏くんが押してる!いける…このままいけば…!」

積極的に詰めて相対の距離を取らせない動きする一夏見て、試合の主導権を握っていると力拳で握りしめた拳をきっちりと座っている足の膝に置いて前のめりで一夏の動きをみる。

そんな観客席組とは違いデッキにいるユーキと簪は備え付けられているモニターで見ているとあまり優れた顔をせずに神妙な目つきで観察していた。

「確かに一夏くんが押してるけど…」

「長期戦になると不利…元々数時間しか乗っていない織斑くんでは長丁場になるにつれ疲労で集中力も欠けてくるはずです…」

(叢雲があればけりが付いているけど、今の一夏が勝つ見込みのあるのは一撃必殺、この長い小競り合いを打破して完全に有効打を打ち込むことが出来ればオルコットの性格上、激情して動きが単調になる)

2人して一夏とこの試合の動きを観察しこの試合の一夏への活路を見据え、2人とも一夏ならっと強い眼差しでモニターから目を離さず観察する。

 

そして管制塔でも一夏とセシリアの試合を見る教師、1組副担任の山田麻那と1組担任織斑千冬がいた。

「凄いですね、たった1週間だけだったというのに、一夏くん、オルコットさんに善戦してますよ」

「……………チッ」

善戦する一夏に賞賛する山田先生だが、その反面、織斑千冬は善戦する一夏を見て不機嫌な顔つきを見せていた。

(出来損ないの分際が、無様に負けるのを見世物にしようと手回ししたというのに私の秋十の見せ場を奪うつもりか)

実の姉弟とは思えない織斑千冬の思考は懐にしまっているあるものに意識をする。

(出来損ないは出来損ないらしく負けるのがお似合いだ)

織斑千冬が不適に笑う中、アリーナの戦いも遂に終盤を迎える。

着実に追い詰めている一夏にこんな状況ではないと持ち合わせていた余裕が消えて焦りの色を濃くするセシリア

(男の分際でここまでしぶといなんて!)

「こうなれば……!お行きなさい!ブルーティアーズ!!」

そういってブルーティアーズのカスタムウイングに搭載されている遠隔式銃砲、ブルーティアーズを射出しビットは四方八方へと散らばると別々の四方向から一夏へ向けて銃口を向ける。

「これで……フィナーレですわ!!」

そう高らかに勝利宣言をするセシリアはブルーティアーズから放たれた4つのレーザーが一夏へと向かっていく中、それを待っていたと言わんばかりに笑みを浮かべた一夏は一気に打鉄のスラスターを吹かせ、加速する。

加速してセシリアへと近づく中一夏の脳裏には先日、自身の部屋でルームメイトのユウキとのやり取りが思い浮かぶ

 

「良いですか?織斑くん、こういう時、まず始めに大事なのは情報です。情報戦で最初から優劣が決まると言っても過言ではありませんからね、オルコットさんの機体はイギリスの第3世代型の試作機……欧州のイグニッションプランのための機体と噂があります。その上軍用機ではないため機体情報や稼働テストなどのデータはインターネットに記載されていることが多いんです。僕の方は調べが付いていますから織斑くんは自力で調べてくださいね、こういうのは自分でやらないと意味がありませんから」

 

(待ってたぜ、ビットを使って攻撃するのを!その時だけオルコットさんは動けない!)

手に入れた情報やデータから一夏はセシリアの弱点、ブルーティアーズの遠隔操作にはかなりの集中力を要するため本人が動けないという欠点を見抜き、男性嫌いということもあって直ぐに終わらせたいとセシリアの思考を予測づけることで自分の活路はこの時をおいて他にないと踏み、着実にセシリアへと近づく。

周りの見ている生徒達は誰もが決まると確信する中、遂に見えざる悪意が一夏に襲いかかった。

「なん!?」

突然、一夏の纏う打鉄のスラスターの一部が小規模の爆発を起こしそれにより加速していた速度は減速し一部の損傷により飛行の維持が難しくなりふらふらと高度が下がっていく。

「ふ、ふふふ……こんなときに操縦ミスをするなんてやはり男は毛皮らしい野蛮な生き物ですわ!!」

誰もが明らかに不可思議な現象に戸惑う中、危うく攻撃を食らいそうになっていたセシリアは代表候補生とは思えない間違った解釈、その爆発を一夏の操縦ミスだと思い込み、それに追い打ちをかけるようにブルーティアーズのレーザーの猛攻が一夏にへと降り注ぐ。

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

一夏の打鉄のシールドエナジーは見る見ると減少していく。

「やめて、もうやめて!お願いだから!!!」

その光景に3組の生徒達はあまりに酷いものをみて目をそらし、榛名は譫言でセシリアには聞こえない命乞いを嘆く。

それとは正反対に一部を除く1組はこれを聖戦、そして制裁だと言い切りながら批判する所か寧ろ同調しているように盛り上がっていた

「酷…すぎる…!」

「っ!!!」

「ま、待って!ユウキ!」

そして3組のデッキでもあまりの酷い光景にそれを起こしているセシリアを国を担うであろう候補生なのかと絶句する簪、そして完全に我慢の限界だと怖いくらいに顔に出ているユウキは直ぐさまアリーナの出入り口へと走っていき、それを見たフェイトが止めようとしたが既に止まることなど出来るはずが無かった。

 

これでもかと降り注いだレーザが降り止むと土煙がはれそして完全に打鉄が解除され気絶している一夏の姿が見える。

既にシールドエナジーもきれ試合終了アナウンスも流れたというのにセシリアの心中は覚めることは無い。

「さあ、トドメですわ」

そういってスターライトの銃口を一夏へと向け、明らかな過剰攻撃、命を刈り取ろうとする行為に一部のアリーナ中の生徒達は背筋が凍る感覚に陥る中、3組のデッキからオーディンを身に纏ったユウキがセシリアと一夏の間に割り込む。

「何の真似ですの?」

「もう勝負は付きました、更に追い打ちをかけるというなら、僕は見過ごすわけにはまいりません」

「何を呆けたことを…同族意識というものでしょうか、所詮は男、神聖な戦いに割って入ってくるなど言語道断…良いですわ、このままあなたの相手もしてあげましょう」

《これより、第2回戦を開始する》 

 

セシリアは所詮は男とユウキを見下ろしながら勝つ自信が満々で上機嫌にスターライトを構え、アリーナのアナウンスからは織斑千冬が気絶する一夏の退避もさせずに試合を進めようとする。

「そんな…!一夏くんが狙われるかも知れないじゃない」

 

「一夏くん!フェイト先生、私が降りて一夏くんを回収してきます!」

「………大丈夫だよ…この試合直ぐに終わると思うから」

観客席では恋人の一夏が命の危機に瀕していることを顔を青くして呆然とし、デッキでも簪が織斑千冬に逆らっても一夏を助けようと彼女が持つ打鉄弐式に手をかけようとしたとき、フェイトは何かを悟ったように簪を静止する。

 

試合開始のカウントダウンが着実に迫る中、ユウキは一夏をアリーナの端に移動させアリーナの中央へと戻るとセシリアにいつもとは違う。敵を見る目で訪ねた。

「閣下、一つお訪ねしてよろしいでしょうか?」

「何かありまして?もしかして手加減して欲しいということならもう手遅れですわよ、うふふ、男ということを悔いると良いですわ」

「残念ながらそのことではありません、閣下は子爵という爵位を得ているというのに…平民を…男を見下している。閣下は貴族の責務をどうお考えなのですか?」

「貴族の責務ですか?当然です。選ばれた私が私に尽くす女性達を導くのは当然の義務!そんなことあなたに言われるまでもありませんわ」

「そうですか……コール、シヴァ」

セシリアの問に何かを悟ったユウキはこれ以上の検索はせずシヴァと呼ばれるトライデントを取り出すと戦闘態勢を取る。

 

そしてカウントダウンが0になり、開始のブザーが鳴り響くと

 

終了のブザーと試合結果のアナウンスが鳴り響いた。

[ブルーティアーズ シールドエナジーが全損、勝者 ユウキ・グランガイツ]

「……は?」

呆気にとられるセシリア

一体何がおきたのか、頭が理解に追いつかない中、まず気付いたのは、一定の距離が離れていたユウキが目の前にいた。

そして彼は終わったかのように既に臨戦態勢を解いており、一息ついている。

そのうえ体を動かそうとするが上手く体が動かず、まるで深手を負ったかのように体が重い。

セシリアは辺りを見渡して、彼女が先程までいた場所から一瞬でユウキによりアリーナの壁際まで吹き飛ばされている

 

「い、一体……なにが……」

「それでは失礼させていただきます。直ぐに回収班も来られるかと、それでは閣下」

 

理解が未だに追いつかない中、ユウキは言葉遣いを丁寧に一夏を抱えて3組のデッキへと戻っていく。

そしてアリーナに取り残されたセシリアはユウキの何らかの攻撃で損傷して動けないブルーティアーズは解除されており、ただ地面にへたり込んで呆然とする。

そして彼が最後に発した言葉は敬意をこめてではなく、失意と煮えたぎる怒りを込めていたことを理解することは出来なかった

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。