簪SIDE
「そっか、一夏くんがクラス代表になったんだ」
あの1組対3組の戦いの翌日、私はお昼休みに榛名からその話を聞いた。
一夏くんがクラス代表か……
調整もされていない打鉄でイギリス代表候補に善戦。そういう意味でも叢雲が戻ってきた一夏くんがクラス代表になったということは納得できる。
「うん、そういえば4組のクラス代表は……」
「もちろん。わたし……」
榛名が私の言葉に頷いた後。今度は私のクラスの代表が気になって、薄々誰かはわかっているみたいだけど訪ねてくると私はその問に答えた。
榛名もやっぱりと納得した表情を見せ、一夏くんは顔を強ばらせ、それを見たグランガイツくんは右手を口元において少し考えてから口を開けた。
「なるほど……つまり……織斑くんと更識さんは戦うことになるんですね」
「あっ、そっか……」
「正直、簪に勝てるかな……」
グランガイツさんの言葉に反応した榛名は目を大きくし、一夏くんは私に勝てる自信が無いのか少し俯いている。
「私が企業代表だからというのもあるけど……もちろん、強制ってわけじゃなかっんだよ?自薦する人がいたら譲るつもりだったし……けど私でよかったのかも……1組の件もあるし」
「…………そうですね……言い方はあれですが……下手にトラウマを植え付けかねない事態になっていたかもしれません」
「……そうだな……そうだ、1組の代表は誰になったんだ?」
「本音から聞いた話だと織斑秋十だって」
「え?あいつが?てっきりまだイギリス代表候補と揉めてると思ってたけど……」
やっぱり、クラス代表があの織斑秋十であることを聞いて三人とも驚いている。
現に私も本音から聞いたときは驚いた。
「何でもイギリス代表候補が辞退したらしい……幾ら何でも変わり身が早い気はするけど……」
「秋十の奴なんかしたな?」
「たぶん、十中八九そうだと思う」
あの男……また何をしたのか……気にするだけ嫌な気分だけど……これからも注意しておかないといつこっちに飛び火してくるかわかったものじゃない。
そんなことを考えていると何かいいことを思いついたのか手を合わせた榛名は私達に向けて口を開ける
「あっ!そうだ!2人のクラス代表就任祝いに一夏くんの部屋でパーティーしない?」
「え?就任祝い?」
「うん、代表戦当日は敵同士になるかもだけど……2人の健闘を称えて……ね?いいでしょ?」
「それは名案かもしれませんね。それじゃあ放課後レゾナンスまで行って買いそろえてきましょう」
ダメかな?という目でこちらを伺う榛名と榛名の提案に少し考えた後いい考えだとグランガイツさんも賛成する
それからお昼休みが終わるまで私達は四人で談笑し、放課後に駅に集合してからIS学園から近い本島にあるレゾナンスに向かった。
一夏SIDE
レゾナンスに到着すると時間も限られていることから俺達は二手に別れた。
祝いとはいえ手の込んだものは作ることは無理があるから手軽に作れるパーティー料理といこう。
「このお店はこれでOKだね。次は……」
「榛名、なんだか楽しそうだな……」
「もちろん!この一週間、料理作ってなかったし……それに、一夏くんに食べてもらえるから作りがいもあるし」
「……そっか……ありがとな」
榛名の言葉に俺は笑みを溢して頭を撫でると心地よく頬を緩め笑みを溢す榛名は俺の腕に抱きつき、そのまま俺達は次のお店へと向かった。
簪SIDE
「えっと、取りあえず飲み物はこれでいいかな……」
一夏くんと榛名とは別行動でお店を回る私は飲料店でみんなの飲み物を手に持っていく。
「更識さん、迷わず飲み物を籠に入れていきますけど……皆さんの好きな飲み物を熟知しているみたいですね」
「それはそうですね……もう何年も付き合ってますから……あっグランガイツさんはこの飲み物でいいですよね?……あっ」
「えっと……」
つい慣れた手つきで炭酸水を手に取る私は思わず籠に入れようと動かしていた腕を止める。
その炭酸水は優希が好きな炭酸水で、思わず手に取っていた……
グランガイツさんは優希ではないと本人が言っているのに……また私は優希とグランガイツさんを重ねてしまった。
お互いの間に重い沈黙が続く中、先に口を開いたのはグランガイツさんだった。
「…………本当に……」
「え?」
「本当にその人と僕は似ているんですね」
「それは……」
何度もグランガイツさんのことを優希と連想させてしまったことでグランガイツさんも気づいて……気づいていて黙っていたんだろう。
「ごめんなさい。恐らく触れて言い部分ではなかったですね」
「その……こっちこそ……あなたのことを……」
お互い目を合わせず沈黙を続けていると彼の方から閉ざしてた口を開ける。
「ダメですね。織斑くんと更識さんの代表就任祝いなのにこんな……重苦しい空気にしてしまって……それと好きな飲み物のことですけど……先程のジュースも好きですが一番は紅茶ですね」
「えっ……あっ」
「実は淹れるのには自信があるんです……といってもポットもないので振る舞えないのは仕方ありませんが」
少し苦笑いして場の空気を少しでも緩和させようとするグランガイツさんの気遣いに少し感謝しつつ、一つ提案をするしてみる。
「お姉ちゃんなら容器一式持ってたはずだから、それを使うのはどうかな?」
「更識会長にですか?……そうですねお貸ししてくれるのであれば」
「それじゃあ、お姉ちゃんに頼んでみるね」
飲み物を買い終えた後、次のお店へ行く前にお姉ちゃんに連絡を取る。
お姉ちゃんに事情を話し、二つ返事で貸してくれることになったけど、パーティのことを話したら「私達を差し置いてパーティするなんて……ひどい!」と電話越しで泣き声を上げるお姉ちゃんに少し苦い笑みを浮かべ、次のお店へと向かう。
そしてその日の夜、私達四人にお姉ちゃんや本音、虚さん、永和お姉ちゃんも加わったパーティーは盛大に賑わった。