インフィニット・ストラトス 氷帝の軌跡   作:ウィングゼロ

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4話『戻れない日々』

 

 

IS学園から出て寮へと向かう道、綺麗な夕暮れが道を照らす中、一夏とユウキは往来する在学生達の好奇な視線に耐えながら寮へと急いでいた。

「はぁ、まだ気が抜けない…」

「仕方がありませんよ、3人しかいない男子なんですから」

「嫌だけど、グランガイツに関しては女にしか…「織斑くん?」」

「男性に対して女とかそういう言葉はかなり傷つきますよ?以後気をつけてくださいね?」

「は、はい」

ユウキに向けた女発言はユウキの微笑んでいるが何処となく鬼気を迫られる表情で言葉を遮り、一夏を完全に黙らせた。

「織斑くん、デリカシーがないとか言われませんでした?」

うぐっ!っと図星を付かれる一夏、そんな一夏は何処か亡き親友と話しているような錯覚に見舞われ少し哀しそうな顔をした。

その直後、ユウキの胸元から着信音が聞こえてきて、制服の懐からユーキは正方形の端末を取り出すと着信者を見て前に進んでいた足を止める。

「織斑くん、すみませんが先に行っていてくれませんか?直ぐに済むと思うので」

「ああ、別に良いけどそれって今流行ってるマナリアだよな?」

「ええ、もう高校生なので買ってみたんです。」

マナリア、世界初電気を使わず半永久的に起動することが出来る最先端の通信機、開発者は不明でそのスペックは従来のケータイを上回り、何人もの研究者がマナリアの解明に乗り出したが中身はブラックボックスで誰一人解明することが出来ず、巷では篠ノ之束が開発したのではと噂されている。

ユウキが持つマナリアに興味を示すもユウキの言葉に一夏は頷き先に行かせるとユウキは道から離れた木々中へと入っていく。

しかし、周囲の女子達は何事かと上手いネタを求めてユウキの入った木々を覗き込むが…覗き込む生徒の内の1人が呟いた

「あれ?いない?」

 

 

???SIDE

 

「…何処に視線があるか油断できないな…これは」

そういいながら木の上から見下ろす僕はある程度周囲から人がいなくなったのを見計らうと既に切れている着信を掛け直す。

 

[ハロハロ~!ゆーくん、久しぶりの学園生活初日はどうだったかな?]

掛け直した後、コールを待たずして陽気なその声が聞こえてくる。

「どうだった…と言われても…兵器を扱う軍事校…というより一般な高校だと思いました」

それが僕が感じた感想だ。

中には理解している人もいるだろうがあれは兵器だ。しかも制作者本人のお墨付きの

「そっか……」

通信越しでも悲しみが伺える声…そんな相手に僕は前置きではなく本題の話へと入る。

「それで…例の件…上手くいきそうですか?」

[ん?ああ、オーディンと叢雲だね、オーディンに関してはゆーくんに直接渡せば済むんだけど…叢雲はね…うーん微妙かな…ほら私は指名手配されてるでしょ?1週間じゃ無理かも]

「直接渡せば要らぬしこりが生まれるし……また提供っていうことで九重コーポレーションに叢雲を渡せませんか?新型のコアごと」

[それが妥当だろうね、でもそうすると流通ルートを探られない?]

「それこそ問題ないのでは?」

[まあ、それはそうだね…

坦々とこれからの段取りを決めていく中、少し真剣な声付きで話しかけてくる。

「ねえ、ゆーくん…いっくん達はどうだった?」

それが誰を示しているのかそれは俺にとって直ぐにわかることで周りには誰もいないため、少し本音を打ち明ける。

「変わってない…あの日から全然…」

[…そっか…]

「…そして変わったのは、僕の方だ」

[でもそれは…!]

通信越しで声を荒げて否定するけどそれでも僕はその考えを否定しない。

「仕方がなかった…なんて言い訳に過ぎませんから…2度も約束を破った僕はみんなと面で合わせる顔がないから」

だからこそ被る…九重優希ではなく、氷帝ユウキ・グランガイツという人間として…

そんな決意がわかるのか通信越しの声は聞こえず。遠くから泣き喚く子供の声が微かに聞こえる。

「…束さん?紅葉が泣いているみたいですから、構ってあげてください」

「ふえ?…あああっ!?それじゃあまたね!?何かあったら連絡するから!」

そう束さんはバタバタしながら電話を切り、通信を終えた僕はマナリアを懐にしまうと一息をつく。

 

「一夏、榛名、簪…」

また会えて嬉しい…けどもう親友である九重優希として会うことはない 

だって約束を違えてしまったから

変わらないと…みんなで約束したのに…一夏達は変わっていないのに自分だけ変わってしまった

ならばなぜ僕はここに来たのか…そんなことは何時までも僕の心の胸に刻まれている。

「守るから…絶対に」

例え、どんな罵声を浴びようと変わらない一夏達は守る。

そのためだけに今僕は此処に居るのだから。

 

NOSIDE

 

ユウキと別れ先に寮に辿り着いた一夏は今窮地に立たされていた。

(くそ、なんでこんなことに)

周りから見られている視線は一層に強まり、なにより女子達のラフな格好が一夏の目のやり場を困らせる。

(グランガイツを待っていれば良かったか!?)

そうすれば一点に自分に集中はしなかったと思い、見られている羞恥に耐えながら漸く部屋までやってきた。

(部屋に入れば漸く落ち着ける)

そう思い渡された鍵で開け中に入ると突如大きな音が一夏を迎えた。

 

「うおっ!?」

「「「一夏くん!ようこそ!IS学園へ!」」」

その大きな音の後に一夏のよく知る人達のお祝いの言葉がかけられる。

改めてその人物を見ると先に寮に荷解きしていた榛名と簪、そして今回の主犯と思われる簪と同じ髪色をした少女の姿があった。

「サプライズは成功だね!」

「うん、お姉ちゃんに聞いて正解だった」

「うふふ、私に掛かれば部屋の番号なんて直ぐにわかるわ」

サプライズ成功に喜ぶ榛名に、その過程を自身の姉の力を頼ったことは間違いではなかったと頷く簪、そして自身の持つコネで今回のサプライズを成功したことを胸の内で自慢げにする簪の姉

「みんな…」

「少しはこれで疲労も和らぐかなって…」

一夏の精神的な疲労を労っての行動に一夏は心底から感謝をして3人のもてなしを受ける。

「それとそろそろ来るはず…」

っと簪の姉、楯無は口元を扇子で隠し何かを待ちわびているとドアのロックが解除されドアが開くとそこから入ってきたのは一夏より幼く見える小柄な少女茶髪を後ろでリボンでまとめていて、玄関前で呆然としていた一夏を捉え、柔やかに微笑む。

そんな彼女は一夏にとって知り合いで一夏も少し驚いたが同時に納得した表情を見せて話しかけた。

「永和姉!!」

「いっくん!お疲れ様!座って座って!」

永和姉…九重永和は近場のところで買ってきた袋を見せると直ぐに台所に立ち作業を取りかかる。

「俺も!」

「いっくんは祝られる側なんだからじっとしてて、そういえばもう一人は?この部屋、3人目の子とシェアだよね?」

料理なら自分もと一夏が乗り出すが、主役はじっとして欲しい永和のお願いで料理を任せると、話題はユウキのことにうつる。

「そういえばそうだよね、一夏くん、グランガイツさんは?」

「グランガイツは電話があるみたいで先に寮に来たんだ」

ユウキが誰かと連絡していることを説明ししばらくすると部屋の扉が開き、廊下からユウキが入ってくる。

「お待たせしました織斑くん…っと些か賑やかですね」

入ってくるなり、部屋の状況を察したユウキは目を細める。

そんなユウキを見つめるのは簪の姉である楯無と永和。

楯無は思考深くユウキを観察している。

そして永和は信じられない表情を見せ直ぐにユウキに近づき抱きしめた。

 

「ゆーくん!ゆーくんだ…!」

「……」

涙声になりながらユウキの名前を連呼する永和

その光景に水を差すわけにはいかなかった。

「す、すみません、その…人違いです」

そんな気まずさを感じながらもユウキは人違いであると述べ力が緩んだのを見て永和から離れる。

「え?あっ…」

「…人違い…ね」

永和は突然の拒絶に終始呆然として立ち尽くし、ユウキを見た楯無は何処か引っかかりがあるのかユウキのその返答に疑いを持つ。

(少し調べる必要がありそうね)

ユウキに疑いの目を向ける楯無、そんな視線に気付きながらもユウキはあえて無視して平然を装う。

 

「ユウキ・グランガイツです以後お見知りおきを」

っとユウキは礼儀正しくお辞儀をする。

そうしてユウキも加わったパーティーは何事もなく順調に進むのであった。

 

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