インフィニット・ストラトス 氷帝の軌跡   作:ウィングゼロ

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5話『訓練と妨害』

IS学園の初日の夜が過ぎていき早朝五時、ユウキは外の木に凭れながら定期的に取ることにしている連絡をしていた。

「昨日の報告書は読んだけど…先日の会議での議題になっていた鉱山の拡張は進める方向で、それと市場の新設は当分は問題ないけど移民者と保護した子の受け入れ人数次第で検討するから目を光らせておいて、それとオーディンと叢雲の件は束さんに話通しておいたから、オーディンは束さん名義でスウェーデン政府に送りつけた設定で後で釘刺すって言ってたから問題は無いよ…叢雲は九重コーポレーションでお願い…いつも通りのルートを使って構わないから…うん、問題ない…それじゃあこんな朝早くからごめん、また明日連絡するから…」

長話はせず本題をすらすらと述べていくユウキ、相手もちゃんと聞き取ってくれているのか、再度説明せずに連絡は終えて身につけている時計を見て正確な時間を確認する。

 

「少しジョギングしながら寮に戻ろう」

ユウキは軽い気分で寮へと戻っていった。

 

 

……

「…んん…此処は」

一夏が目覚めるとそこはいつもの家の部屋ではない天井が目に映る。

「そっか…」

体を起こしながら眠る前のことを脳裏で浮かべると此処がIS学園であることを自覚し辺りを見渡すと隣でベッドにはユウキの姿がなかった。

「あれ?グランガイツは…」

「此処ですよ」

一体何処へ?っと一夏は思った瞬間、台所からユウキが昨日と変わらない制服姿で現れる。

「おはようございます織斑くん、よく眠っていたみたいですね」

「お、おはよう…今何時なんだ?」

「六時過ぎですよ」

一夏の質問に素早く答えるユウキ

一夏も横目で目覚ましを見るとユウキの言うとおり短針は六時指しており長針は5分と10分の間を指していた。

「六時半から食堂が開くみたいですから急いで支度した方が良いですよ?」

「そうなのか?それじゃあ急ぐか」

一夏はベッドから立ち上がり、顔を洗い制服を整えると三十分まえになっており、食堂が開く前後に場所を確保して、お盆に食べる朝食をおいて運ぶ。

「ふぅ…さて飯だ飯…朝からこんなに並ぶんだな」

一夏は改めて食堂を見ると既に食堂は生徒が数え切れないほどにおり、朝食を食べ始めている。

一夏とユウキも食堂が開く前にやって来たがそれでも先に来ていた人達が大勢居た。

「仕方がないと言えば仕方がないのでしょうけど…僕も認識を甘く見ていました」

っとユウキもこの人集りに自身の認識を改めていると起きていた簪と榛名、そしておどおどしながら赤みのある桃色の女子生徒が一夏達の元へやってくる。

「一夏くん、グランガイツさんもおはよう、隣良いよね?」

「2人ともおはよう、別に良いぜ」

「それじゃあお言葉に甘えて…堀北さんも遠慮しなくて良いよ」

「う、うん…お、お邪魔します」

女子生徒…堀北と呼ばれる少女はどこか余所余所しく座り、まったく知らない一夏とユウキに榛名は堀北に関して紹介する。

「私と同じ部屋の堀北香澄さんだよ」

「えっと堀北です、よ、よろしく」

「ああ、よろしく堀北さん」

男と居ることで緊張しているのか終始の言葉は何処か詰まる香澄。

そんな香澄を見て苦笑いの榛名、そしてそんな言動にまったく気付かない一夏は首を傾げる。

「あ~いっくん、はるはる、かんちゃん!おはよう~」

「あ、本音、おはよう」

ぶかぶかな袖でお盆を持ちながらやってきた本音は有無を確認せずに座る。

「今日も一日大変な気がする~」

「…そういえば本音って1組だよな?何かクラス事情とか知らないか?」

座るやいなや今日のことでテンションが低い本音、それを見かねた一夏はそれが本音がいる1組に関連しているのかと思い訪ねた。

「うーん、いっくんは織斑くんとオルコットさんの蟠りは知ってるよね~」

そう本音が愛称ではなく苗字で二人の名前を呼び、今回の騒動の原因を話し始める。

「まず、クラス代表を決めることになって、織斑先生が投票の形で取り決めようとしたんだけど…織斑くんに票が集中したんだ」

「大方、男だからという単純な選び方だったんですね」

本音が話す中、秋十に指名が集中したのかをユウキが紅茶を少し飲んだ後補足する。

「うん!それで男が代表になるのが気に食わないオルコットさんが日本に対する誹謗中傷な言動をして、それを織斑くんが売り言葉で買っちゃったんだ、イギリスも何年飯まず覇者なんだって」

「あのバカが…!」

「確かに、イギリス代表候補にしてはあるまじき行為、普通はこの学園に居られなくなる」

そしてオルコットの暴言に簪は目に余る行為だと指摘し一方売り言葉を買った秋十に一夏は頭を手で抑え溜め息を吐く。

 

「あ、あの…そんなことになってしまったのなら…その担任の…織斑先生は止めなかったのですか?」

「むしろ逆じゃないかな?怒ったオルコットさんが織斑くんに決闘を申し込んだんだけど、織斑先生はその決闘を認めて、その上他クラスのいっくんやユーユを巻き込んでるから」

「ユーユ…僕のことですか?…聞く限り僕たちが巻き込まれた原因は織斑先生にありそうですね…それも教師としてあるまじき行為…そういうところがもしかすれば副担任が付いている理由かも知れませんね」

 

おどおどしながら香澄は本音に担任が止めなかったのかと訪ね、その答えは逆でさらに飛び火させていたと指摘する本音、そんな本音から出てきた自身の愛称に少し目を丸くしたあとユウキは1組だけ副担任が付いているのはそのためなのではと予想を告げる。

「そうかもだね…一夏くん、グランガイツさんも決闘についてだけど…ISの操縦とか大丈夫?」

「いや、稼働時間なんて全然だから駄目に決まってるだろ?」

「多少、武術には精通していますがISは…」

榛名は一夏とユーキに決闘は避けられないと考え二人にIS操縦について訪ねると2人ともあまり自信のないように話す。

「あんたの場合、多少所じゃないでしょ?ユウキ」

「え!?ティ、ティアナ!?」

「ランスター先生!」

一夏達の中に割り込んできた教師は呆れながらユウキに話しかけると、ユウキは信じられない表情で何故かこの場にいる教師、ティアナに素で話しかけ、簪は知っていたのかティアナを先生と呼び、驚く。

「えっとグランガイツも簪も知り合いなのか?」

他は突然のことで戸惑う中一夏が二人に訪ねるとそれはオレンジ色の髪を下ろしジャージー姿のティアナが全員に対して告げる。

「4組の担任教師のティアナ・ランスターです、まあユウキとは知り合いでね…ユウキ、此処では先生だから呼び捨ては厳禁よ」

っとティアナに指摘されるとあ、うんとユーキは小さく頷く。

「話はフェイトさんから聞いているわ、今日の放課後、第3アリーナの使用許可申請をフェイトさんや生徒会長と一緒に出してあるから、使うことが出来るわ」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

アリーナが使えることで一夏とユウキの練習が出来ることに簪は喜びティアナにお礼を言う。

「それじゃあ、私は行くから、あんた達も早く食べて遅れないでね」

 

そういうとティアナは去って行き、一夏達の表情も少し明るくなっていた。

 

「よかった…一夏くんとグランガイツさんは機体どうするの?訓練機の貸し出しも出来るだろうし打鉄?それとも迅風?」

 

「どっちも日本製だからな…打鉄もいいけど、迅風にしようと思う」

「どちらも九重コーポレーションが関わっている機体ですね…そういえば簪さんは九重コーポレーションの企業代表でしたね」

「うん、打鉄弐式、倉持研が暮桜の後継機、白式を開発してるから九重コーポレーションは打鉄の後継機の弐式を開発したんだ。」

 

補足 この世界線では打鉄は倉持研と九重コーポレーションの共同開発で作られた第二世代の機体で九重コーポレーションが弐式の開発に着手してもなんら問題は無いのである

 

そんな機体の話で花を咲かせながら朝は過ぎていき…そして放課後、第3アリーナでは一夏とユウキ、そして榛名と簪が中央に集まっていた。

「それじゃあ、ISの操縦始めよう、まずは動かして馴れないとね」

そう言いながらスクール水着のようなISスーツに水色を強調する打鉄弐式を身に纏う簪、周りには同じくISスーツを身につけた榛名と特注で作られた男用のスーツを着る一夏、そして何故か普段着のようなズボンや質素なTシャツのユーキの姿があった。

「ああ、それにしてもグランガイツのそれって…」

「これですか?知人が用意してくれた特別仕様です。ISの伝達率もアップしているんですよ?」

 

普段着のような服装のユーキを羨ましい目で見る一夏、流石にISスーツは水着のような物なのでそういった恥ずかしさはやはりあるのだ。

 

「それは私も同感だね…さてと先輩や先生が用意してくれた機体に乗ろっか」

一夏の言葉に榛名も同意する中榛名の目線の先には鎮座する打鉄が1機に万能性が売りの九重コーポレーション製のIS、迅風の姿があった。

「俺は迅風に乗るけど2人はどっちに乗る?」

「僕は余った方で良いですよ?」

「それじゃあ…私も一夏くんと同じ迅風!」

3人は話し合い、乗る機体を決めるとさっそく簪が次の指示を出す。

「みんな乗り込んだね、それじゃあ先ずは、動かしてみよう」

先ずは基礎とISを動かすことから始める。

それを始めて10分ほど、短い間で既に変化が起きていた。

 

「うおっ!?とと」

(一夏くんは短い間でもう危なげなく動かしてる…昔から飲み込みが早いから、直ぐに慣れそう)

「ふぅ、なんとか動かせ…榛名!」

「ふえっ!?きゃっ!!」

なんとかそつなく動かす一夏は千鳥足で危うい榛名にむけて名前を叫ぶがそれで気が散った榛名盛大に転ぶ。

(榛名は至って平凡…努力すれば力を付けていくタイプだから場数の問題かな?…でも問題は…)

少し和んだ目で榛名を見た後、問題視しているユウキの方へ目を向ける。

「よっ!はぁっ!」

(もう、手足のように動かしてる…余程予習してるのか拡張領域から武装も取り出してそれもそつなく使えてる…グランガイツくんってやっぱり普通じゃない…)

努力次第で強くなる榛名、飲み込みが早く直ぐに頭角を現す一夏、既に十全に力を発揮するユウキ、三者スタートを切った時間は同じだが既に差が出てきていた。

(もうそろそろ次の段階にいこうかな?)

全体的に成長の早い3人を見かねて、次のステップに移行しようとする簪だが突如としてアリーナへと降り立つ三つの機影が現れる。

「おいおい、どうして出来損ないや3人目がいるんだ?」

「っ!秋十!」

三つの機影の内一つは秋十の操縦する打鉄

行き成りの登場で一夏が仇を見る顔つきで睨みつけるが直ぐに二つの悍ましい殺気にやられて後退ることになる。

「ふっ!何故出来損ないが此処にいる?此処は私達が使うことなっている」

「篠ノ之…箒!」

黒髪をポニーテールにしたつり目の少女…かの篠ノ之束の妹である篠ノ之箒もまた打鉄に乗り見下す目で問い掛け、榛名が恨めしい声で話す。

 

「そして…あと1人は…かのブリュンヒルデですか…」

そして3人目は一層殺気を放つ打鉄にのる女性、地球上で最強と謳われる女性、一夏の姉である織斑千冬が睨みをきかせていた。

「貴様達、何故アリーナを使っている?」 

「っ!」

彼女から放たれる一口一口から殺意が漏れて上手く返答することが出来ない一夏達、しかし、そんな中、ユウキは喋れない3人に変わって千冬と話し始める

「お言葉ですが織斑教諭、我々は正式な手続きを踏んでこの場にいます。申請書も通っていますから使っても問題は無いはずですが」

「そんなもの聞いていない、今から我々が使うお前達は出ていけ、これは命令だ」

「そんなこと許されるはずが…」

正論を述べるユウキに千冬は傲慢な態度で退去を要求、そんな理不尽な対応に簪は身を乗り出すがそこでユウキの脳内に声が響く。

(「ユウキ聞こえる?」)

(念話!?「聞こえますよティアナ…今、ブリュンヒルデ達がいますこれは一体…」)

(「やられたわ、ブリュンヒルデ達が私達の申請書を揉み消して、強引に割り込んだみたい、この学園自体ブリュンヒルデの力が働くから…下手に逆らわないで」)

(「了解です」)

脳内での秘密会話…念話を終えたユウキは唇を噛み締め一夏達に向けて立ち去ることを促す。

「…仕方ありません、残念ですが訓練は此処までですね」

「っ!グランガイツさん!?どうして!?」

榛名は意味がわからず反論するがユウキは次に千冬に向けて話しかける。

「それでは織斑教諭、我々は失礼致します、六日後の戦いあなた方に後れを取らぬように精一杯頑張らせて貰います」

「ふん、物わかりが良いな、そうだ、私の質問や命令には、はいやYES以外認めん、それを覚えておけ」

「…っ!一夏くん、榛名も…行こう」

社交辞令で話すユウキに物わかりの良さに上機嫌になる千冬は理不尽な警告をするとその言葉に状況を理解した簪は悔しさで手に力拳で握ると2人に立ち去ることを促し渋々一夏達はアリーナを立ち去った。

 

アリーナから出て寮へと帰る一夏達

その途中でティアナと会いユウキが念話で知った情報を口頭で一夏達に伝えられあまりの理不尽に悔しさが滲み出す中、一同は無言のままただ帰路についていた

 

「……」

「……」

「……あっ…」

「…グランガイツさん、どうしたの?」

無言の中ユウキが立ち止まり声を漏らすとそれに反応して簪は訪ね理由を聞いてくると申し訳なさそうにユウキが一夏達に伝える。

「電話みたいです、先に行ってください」

「…そっか…うんわかった、それじゃあまた後で」

懐からマナリアを取り出し着信が入っていることを伝えると簪はプライバシーだと思い3人は先に寮へと帰って行く。

 

「……僕だよ…」

3人がユーキの声が聞こえない距離まで離れたのを見計らいユウキはマナリアの電話に、出て短く言葉を喋った。

 

 

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