「姐さん、ちーす」
「おう」
「お姉さま、御機嫌よう」
「おう」
アタシの名前は、緋凰桃。とうちゃんである、ノワール・T・緋凰とかあちゃんである、緋凰すみれの娘だ。
とうちゃんの名字が後ろに来ているのに、あたしの場合、名字が前に来ているのは、普段のとうちゃんは緋凰ノワールと名乗っているからだ。
とうちゃん曰く、どちらでも変わらず、かつ、ばあちゃんの名字を忘れないためにそう名付けられているからであるらしいけど、アタシの場合は、こっちでいいそうだ。
「姐さん、今日も綺麗っす!」
「お姉さま、素敵ですわ」
んで、アタシの回りにいる奴らなんだけど、前に学校に襲ってきた暴漢を退けたら、こう呼ばれてしまった。
まぁ、慕ってくれているしいいんだけど、なんか違うんだよなぁ……
「てめえが、ここのボスか!」
「んだよ、てめえは」
「俺は、隣町の小学校を占めているものだ。てめえを倒して、ここも俺の島にしてやるぜ」
時代錯誤もいい感じで、制服を魔改造している奴が、こっちにメンチを切ってくる。
「占めてるとかしらねーよ」
「うるせぇ!俺は岩を砕くんだぞ!さっさと、明け渡せ!」
いや、だからどーしたよ。岩なんて誰でも砕けるだろうが。
アタシは自他ともに認めるくらい、早熟している自覚はあるけど、それでも島とかなんとかなんて知らない。てか、こんなヤンキーなんて化石だと思っていたんだけど。
「へっ、ビビッて声もでねーってか?」
「ああ、はいはい。凄いですねー」
「馬鹿にしてんじゃねー!」
せっかく褒めてやったのに、向こうは勝手に怒って殴りかかってきたので、とりあえず、岩を砕ける程度にパンチを腹にぶち込んだから、錐揉みしながら吹っ飛んで行った。
「すげー!またワンパンだった!」
「ワンパンマン、いや、ワンパンウーマンだ!」
「素敵ですわ、おねーさま!」
んで、回りのギャラリーたちが歓声を上げるんだけど、全然うれしくねー。
アタシだって歳相応に可愛いものが好きだ。いや、大好きだ。なのに、そういった類のことができない現状がつらい。
「おー、ももっぺは相変わらず人気ものだねー」
突如背後から気配もなく声をかけられる。
アタシの背後をとれる存在なんて………結構いるな。てか、親族全員できるのか。
「紫遠ちゃん」
「やっほー、遊びにきたよ」
後ろを振り向けば、アタシのおばさんである緋凰紫遠がにこにことこちらに手を振っていった。
おばさんと言っても、アタシと紫遠ちゃんの年齢差はたったの1つだから、おばさんと呼べないけど。
とうちゃん曰く、アタシがいる世界と紫遠ちゃんが住む世界の時間の進み方が違うとか。
「相変わらず、ももっぺはかっこいいねー」
「あう」
紫遠ちゃんにも言われちゃった。
そういう紫遠ちゃんはフリフリとした服を着ていてとっても可愛らしい。アタシには絶対に似合わないなぁ。
「ん?紫遠ちゃんがいるってことは……」
「当然、俺もいるぞ」
「じいちゃん!」
再び後ろから声をかけられて振り向けば、紅莉じいちゃんが柔らかい笑顔を浮かべて立っていたので、腰にダイブ。
「はっはっは、桃はまだまだ甘えん坊だな」
「じいちゃんじいちゃん!」
アタシの自慢のじいちゃんの一人である紅莉じいちゃん。とうちゃんのとうちゃんで、凄腕の剣士だ。
「ももっぺ、ももっぺ。ととさまの骨がミシミシなっているから、手加減しようね。てか、ととさまも、ももっぺに抱き着かれてうっとりしないでよ」
「おっと」
紫遠ちゃんに言われてあわてて力を緩める。アタシの力は結構強くて、軽くのつもりでも、相当に強いらしい。
てか、前に全力でパンチしたけど、紅莉じいちゃんには効かなかったし、要じいちゃんなんてアタシの手が痺れただけだった。
「紫遠、ととさまは大丈夫だぞー。さぁ、桃、もっと来るがいい」
そういって、紅莉じいちゃんが手を広げたので今度は胸にダイブ。
そういえば、アタシが生まれた時に、紅莉じいちゃんが狂喜して、狂気に身を委ねて、凶化したって聞いたけど、こんなに落ち着いているじいちゃんがそんなことになるわけないよな。
「あの時のととさまは大変だったよ……」
アタシの考えに紫遠ちゃんがとうちゃん達と同じような遠い目していた。てか、考えを読まないでくれ。
「顔でわかるよ?ね、ととさま」
「ああ」
「そっか!」
つまり、家族ってことだな!とうちゃんもわかるしな!
「また来たのか、親父殿!」
「別にかまわんだろう?」
じいちゃんと一緒に家に帰ると、とうちゃんがいて、じいちゃんを見て騒ぎ出した。
「桃はやらんぞ!」
「馬鹿なことをぬかすな。桃はものじゃない。やるやらないの問答をするんじゃない」
やっぱじいちゃんは凄いな!とうちゃんがたじたじだ。
「……紫遠、私が間違っているのだろうか?」
「間違ってはないと思うよ?ただ、ととさまには道理は通じないってだけで。てか、口で勝てると思っているの?屁理屈の達人だよ?」
なんだか、家の端っこでとうちゃんが紫遠ちゃんに慰められていた。どうしたんだろ?
「あら、お義父様」
「やぁ、すみれちゃん」
かあちゃんがやってきて、じいちゃんの来訪に驚いている。
「どうしたのですか?」
「孫の顔が見たかった」
「……昨日も来ましたわよね?」
「ああ」
「……はぁ」
かあちゃんがとうちゃんのもとに行って、二人ともなんか暗くなっている。どうしたんだ?
「実際は、紫遠が会いたいって言ったからだがな。あの二人はからかうと言い反応してくれるようになって助かる」
「ととさまったら、お茶目ー」
「お茶目ー」
「いやぁ」
紫遠ちゃんと一緒にじいちゃんを褒めるとじいちゃんが照れる。
見た目はとうちゃんと変わらないけど、アタシのじいちゃんだ。
「そうだ、じいちゃん、前に教えてくれるって言った技教えてくれ!」
「なんだっけ?」
「あれじゃない?ぴかりんが天双飯綱をもとにしたっていう」
「ああ、あれか」
「そっちじゃなくて、貫手のほうの!そっちは、おじさんが教えてくれた!」
「ああ、陽明流の奥義か。てか、光君もあまいねぇ」
「ももっぺは、スペック高いからそっちもできていいねぇ」
紫遠ちゃんが羨ましがっているけど、アタシとしては、紫遠ちゃんが羨ましい。
歳が二つ違うけど、おっぱいおっきいし、可愛いし。
おっぱいは、かあちゃんもばあちゃんもおっきいからアタシもおっきくなりそうだけど、藍紗さんの例があるからなぁ。
「ボクとしては、ももっぺの身長が羨ましいんだけど」
アタシの身長は145cm。紫遠ちゃんよりちょっとだけ大きいだけだよ?
「まぁいいか。そんじゃ、うちに行って練習すっか」
「「おー!」」
身支度を終えてじいちゃんと一緒に、じいちゃんたちの家へと出向いて行った。
「まて、桃を連れて行くな!」
次元を渡るときに、後ろでとうちゃんが何か言っていたような?
人物紹介
○
紅莉の息子であるノワールと雨期様の小説の主人公である一条要の娘のすみれとの間の子。
緋凰家の技術力(器用さ)と一条家の身体スペックを持つハイブリットな子。
特殊能力は持たないが、スペックで基本的に問題ない。
初孫とあり、紅莉には相当に甘やかされており、また要も負けじと甘やかすので、じいちゃん大好き。
キリリとした目とすらっとした見た目により、学校ではなぜか番長&お姉さまポジにいてしまう。
また、そういった外見やあれこれで、一人称は「オレ」でも、心の中では「アタシ」。
可愛いものが大好きで、部屋の中はファンシーまみれ。だけど、服はシンプル(似合わないと思っているから、フリフリの服はきない)
最初、この子の設定を考えているときに俺っ子、ファンシー好き、そういった子がいないなぁっと思って考えて、作ったら、よくよく考えたらハリーに似ていたという事実。でも、かわいいからこのまま。