陵辱エロゲ世界TS転生お嬢様無双   作:イベリ子

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日間1位ありがとうございますわ!過分な評価で震えておりましてよ

でもこの小説は大体今回のお話のようなノリで進むので期待と違かったら申し訳ないのですわ!ついでに月月火水木金金の1週間を送っているので基本更新は不定期になるのをご承知あそばせ!


追記 誤時報告感謝いたしますわ 毎度毎度お恥ずかしい限りですが皆様のお陰で拙作が読みやすくなっております 本当にありがとうございますわ


青薔薇の日常(説明回ですわ)

 

今までありがとう、■■■■■

 

 

ああ。よかった、自分はこの言葉を聞くために──

 

 

 

 

 

「姫ー?」「お嬢様」

 

「ん……」

 

 カーテンが閉められた窓から射し込む光に照らされたベッドに寝そべる、黒髪の少女に左右から声がかけられる。

 寝ぼけ眼で見えるのは銀髪を高い位置でちょこんとした二つ結びにする同じ髪型、フリル付きカチューシャにゴスロリ風味のミニスカートワンピースの上からエプロンをするメイド服のような同じ服装。小さな身長、控えめな肉付き、幼い顔立ちも似通っているものの、片方はニヤニヤと悪戯っぽく、片方は無表情で控えている。

 

「オハヨウゴザイマス! もう良い時間ですよ!」

 

「まだ5時半ですが、今日はご予定が詰まっております。起きた方がよろしいかと」

 

 むくり、と半身を起こした少女に対して左右に立つ少女が交互に声をかける。声をかけられた少女はウェーブがかかったボリュームのある黒髪を下ろし、着崩れたパジャマを内の豊満な肉体で押し上げている。

 美貌も相まって男性が見れば垂涎ものの光景を晒している少女は、身体を起こしたまま動かない。半目になったぽやあとした顔で止まる少女を見て、悪戯っぽい顔の少女は窓のカーテンを開けて陽の光を入れ、無表情な顔の少女はティーワゴンを運んで紅茶を淹れて差し出す。

 

「お嬢様、どうぞ」

 

「うん」

 

 

 ワゴンの上にソーサーを置いたまま、両手でカップを持ってふーふーと冷まして口を付ける少女。湯気が立っていない紅茶を吹くという必要ない行為をしているのをじっと熱が籠った目で見つめる無表情な少女。

 

「……うん、美味しい。ありがとうアンナ、目が覚めたわ」

 

「勿体ないお言葉です」

 

「姫起きました!? じゃあほらお着替えしましょお着替え! 新しい制服が届いたんですよー!」

 

「あ、ええそう、じゃあお願いするわ、アンヌ」

 

 アンナと呼ばれた無表情な少女が下がると、待ちきれないように制服の1式を持ったアンヌと呼ばれた少女が迫る。

 

「お召し物はこちらに」

 

「うはー、やっぱり姫のスタイルえげつないですね! 背高いしおっぱいおっきいしくびれ凄いし本当に同じ人間ですか!?」

 

「人間であることには間違いないと思うけれど……」

 

 アンナは少女が脱いだ寝巻きを受け取って立ち去り、アンヌが下着姿を晒す少女に制服を合わせていく。

 ガーターベルトを身につけて黒のストッキングを固定し、カッターシャツとミニスカートを着た上に最年長である証の赤いリボンを胸元に着け、カーディガンとブレザーを羽織る。

 

「これ、スカートもう少し長くならない?」

 

「ダサいからダメでーす!」

 

「そ、そうなの……」

 

 ほらほら、と姿見を持ってこられて、少女は自分の姿を見る。

 黒髪金目の切れ長の瞳が反射して鏡と見つめ合う。酷く整った顔に、従者お墨付きの理想体型。

 

「あっ! 髪結うの忘れてました!」

 

「はい、これで完璧な百合お嬢様です」

 

 左右に立つ従者達がそれぞれに分かれて二つ結びが作られる。白銀百合の朝は、そんな風に始まる。

 

 

 魔法聖女スノウ・ラヴ/白銀 百合

 固有魔法:■■ 所属:生徒会

 特記事項:魔法聖女現役最強 ■■■■■(TS転生者)

 

 

 

(慣れてしまったなあ、この顔も。この2人を母にプレゼントされてからというもの、朝のルーティンに着替えを任せることも慣れてしまい、ましたわね。

 ガーターとかミニスカートとか恥ずかしくて堪らなかったものだけど……まあ、この2人の方が間違いなく若い女性のアレコレについては詳しいでしょうから。母に恥ずかしい思いをさせるよりは私が恥ずかしい思いをしましょう。年長者の意地、ですわね)

 

 

 

 

「うん、2人ともありがとう。これで今日も頑張ってお嬢様出来るわ」

 

「ふへ、えへへ、どういたしまして!」

 

「……勿体ないお言葉、です」

 

(この2人とも随分長い付き合いになるなあ。娘を思い出しそうになりますわ。さて、起こしてくれたのだもの、仕事をしなくては)

 

 姿見から視線を外し、控えていた2人の従者の頭を微笑みながらそっと撫でる百合。弾けるような笑顔のアンヌと無表情ながら頬を赤らめるアンナの頭から手を外し、立ち上がって扉へと向かう。

 

「さて、入校式まで時間もありますし、一度母様の元に行きましょうか。例の件の報告も届いているでしょうし」

 

「はーい!」「はい」

 

白銀の従者/白銀 アンナ

 所属:生徒会 得意:炊事

 特記事項:百合が紅茶を飲む姿が好き

 

白銀の従者/白銀 アンヌ

 所属:生徒会 得意:清掃

 特記事項:百合を着飾ることが好き

 

 

 

 

 

 対怪魔学園ブルーローズ。怪魔に対抗出来る人材、魔法聖女を保護、養成するための機関として政府により運営されている。

 イレギュラーの塊である怪魔に対して、魔法聖女もまたイレギュラーの塊。変身というファクターを経て魔力というリソースを操れるようになる女性達。その歴史はまだ10数年程度であり、学園の成立の歴史はさらに短い。衣食住は一般人からの支援が可能だが、怪魔との戦闘に関わる諸々は魔法聖女達にしか理解できないため、学園内の事象はかなりの自治権を認められている。

 その自治権のトップに位置するのが生徒会である。学園の基本方針は学園長と生徒会により決められ、その方針を政府に伝えて支援を要請する形式であり、政府は要請に従うしかない独立機関となっている。

 

「ブルーローズ学園生徒会長、白銀百合ですわ」

 

「入りなさい」

 

 そのため、学園長と生徒会長の権限は強く、その2人の会合は政府や学園の生徒達にとって重要な意味を持つ。

 百合は学園長室と書かれたプレートがある部屋の扉をノックして返事を貰うと、失礼します、と言って中へ入る。後ろに控えていた従者の2人は顔を伏せたまま追従し、扉が閉まる。

 

 扉の中は応接用のソファの奥に執務机が置いてあり、そこに女性が座っている。腰まである長い黒髪は右目を隠すように伸ばされており、左の金色の瞳が入ってきた百合達を見つめている。

 百合は扉が閉まったことを確認すると、ふっと表情を柔らかくして話しかける。

 

「お母様、おはようございます。今日も良い日和ですわね」

 

「……おはよう、百合。でも、学園内では学園長と呼びなさい」

 

「(喜んでくれてるな、仏頂面でも分かるぞ。甘えがいがあって困りますわ)ごめんなさい、つい。挨拶出来て嬉しく思いますわ、学園長」

 

 

 

青薔薇の守護者/白銀 胡蝶

 所属:対怪魔学園ブルーローズ学園長 得意:ポーカーフェイス

 特記事項:「元」魔法聖女ホワイト・ブライト

 

 

 

「用は何かしら? 貴方は生徒代表なのだから、入校式まで休んでいたらいいのでは?」

 

「ご心配ありがとうございます。ですがそうも言ってられない事案があるでしょう?」

 

「あの人型実体のことね」

 

 報告は上がっているわ、と机の上にペラペラと書類を並べる胡蝶。枚数は多くないものの、その全てに「極秘」の判が押されて物々しい空気が醸し出されている。

 

「『冠城冥』、そう名乗る実体。貴女も当事者だから知ってると思うけど、人間と瓜二つの姿形に瘴気も発生していないけど魔力を持つ、女性ではない存在。戸籍などを確認してみたけど親族がいない所謂天涯孤独の孤児院暮らし。人間である確たる証拠を持てないのは厄介極まりないわね」

 

「学園での処遇の方針は決まっておりまして?」

 

「私のみで決めていい話ではないわ。今日の午後にでも緊急生徒総会を開く必要があるでしょうね」

 

「まあ、やはりという感じですわね」

 

 そこまでの話を聞きながら、百合は執務机の奥に入り込んで胡蝶の隣へ近寄って書類をひょっこりと覗き込む。本来の部屋の構造として客人が入るべき場所ではない位置に入り込んでいても、不思議と2人が並んでいる姿に違和感はない。扉の傍に控えている従者の2人は自分の主人が見せる子供としての姿にほっこりしている。

 

「んー、今まで確認されてなかった男性の魔力持ち。なんだか主人公みたいだねえ」

 

「……呑気は大概にしなさいな、百合。希少価値にときめくのは生徒会長の仕事ではないのよ」

 

「ああ、ごめんあそばせ。でもこういうのってロマンがあるってててて! 痛い痛い痛い!」

 

「百合? 私が受け取った報告には貴女の輝かしい、”凶怪魔の影世界に単身で侵入して討伐したものの帰還が困難になった”戦績がついでに載っているのだけど。やっぱり指摘しないといけないのかしら私は」

 

 胡蝶は見るものが見れば硬直するような、冷たい目をして美しい笑みを浮かべながら百合の耳を引っ張る。じゃれ合いながらいてててて、と叫ぶ姿はお嬢様らしくないが、そこに深刻な雰囲気はない。二人の関係性が深い仲であることが伺えた。

 

「いててて、ごめんごめんごめんですわ、でも大丈夫だと思ったんですの! 無理をするつもりはなかったん、ですの!」

 

「……はあ、まあ貴女は呑気過ぎる所はあるけど自己犠牲をするほど馬鹿じゃないのは分かってるわ。今後気をつけるように」

 

「う。……はい、分かりましたわ(申し訳ないな、そりゃ今こうして無事でいても報告を見たら気が気じゃなくなるだろう。あんまり心配かけないようにしないとですわね)」

 

 引っ張られていた耳を摩りながら殊勝にうなずく百合に、椅子に座り直した胡蝶は表情を元の仏頂面に戻すと、ふうと息をつく。

 

「貴女は生徒会長でしょう。学園内での私と貴女は対等なのだから、好きにやりなさい。貴女が今最も優秀な魔法聖女であることは明白なのだから」

 

 生徒総会の通達は出しておきましょう、入校式に向かいなさいと告げる胡蝶。書類をしまい、自らの作業を始めて話は終わりだと姿勢で示している。

 

(母は本当に良い人だ。心配させるようなことをしてるのはこちらなのに、私を信じて口出ししないようにしてくれている。……その信頼を裏切らないようにしないと、ですわ)

 

「ええ。それでは、また。お時間頂きありがとうございました」

 

 失礼します、と声をかけて学園長室を出た百合は、講堂へと向かう。頑張るぞ、とやる気をたぎらせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(来ちゃったんだな、ブルーローズ学園に)

 

 

魔法聖女識別名なし/光移(みつい) 芙蓉(ふよう)

 固有魔法:幻惑 所属:新入生

 特記事項:孤児

 

 薄くピンクがかった白髪を持つ少女は、魔力を持つ人々特有のカラフルな頭を光の無い目で見ながら実感していた。

 

 4月1日。学園と名乗ってはいるものの特例が多いブルーローズ学園では、入校式は年度初めに行われると決まっていた。

 講堂に集まったのは二十数名の新入生。魔力は成長とともに増加するとされ、第二次性徴が終了するころに髪の色が変化した人々が魔法聖女として資格ありということになる。

 髪の色の変化が確認された場合、政府に速やかに連絡されて意志確認を受ける。その上で希望した人がブルーローズ学園へと向かい、怪魔との戦いに身を投じる事になる。

 

 すなわち新入生は大なり小なり闘う覚悟があるということなんだよな、と芙蓉はぼんやりと思う。その上で一番覚悟が無いのは私だろうな、とも。

 魔法聖女は公務員である。給金が発生するし、家庭にも支援が送られる。そして孤児院に厄介になっていた芙蓉には、魔法聖女の保護者になることで貰える支援の話を聞いた以上他に選択肢はなかった。

 戦いたいわけでも怪魔に強い恨みがあるわけでもなく、お金に釣られて来てしまった。厳密には、顔も知らない両親の命を奪った怪魔に多少は恨みはあるけれど。……ついでに、一緒に育った幼なじみがつい先日殺されたことにも。

 けれど、芙蓉は強い感情を抱けなかった。もう芙蓉の人生には諦めが身についていて、怪魔に殺されることはよくあるしょうがないことだと割り切れてしまっていた。

 

『それでは、学園代表挨拶です。生徒会長、白銀百合様』

 

 だから、この場にいても危機感も現実感も感じられずにいた。けれど、そんな芙蓉でもその人は嫌でも目についた。

 

 壇上に上がるのは、魔力を持つものとしては珍しい、吸い込まれるような黒髪を二つ結びにした少女。

 制服らしい制服のカーディガンとブレザーを押し上げる豊満な肉体に長い脚。司会の娘よりも頭2つは高い長身を背筋を伸ばして歩き、マイクの前に立った。

 芙蓉は、真正面からその顔を見た。大人びた切れ目に、キラキラと光るような金色の瞳。

 

「新入生の皆様、ご入校おめでとうございます。手短に歓迎の挨拶をさせていただきますわ」

 

 その口から告げられた言葉を聞いて、今が入校式の途中だと思い出す。そして目の前にいるのが生徒会長、すなわち魔法聖女スノウ・ラヴであると。

 

「ここにいる皆様は全て魔力を扱え、魔法聖女へと至る願いをお持ちになられていること。素晴らしい才能ですわ」

 

 鈴が鳴るような声はマイクを使わずとも構内に響く、はっきりと力強い声だった。

 

「しかし。魔法聖女とは万能の存在ではございません。

 怪魔とは本来戦ってはならない災害のようなもの。その災害に立ち向かい、民間の人々を救う魔法聖女の作業は常に危険が付きまとい、この学園で生きた()()として卒業が叶う者はほとんどいません。

 容易く想像が出来る人もいるでしょうが、怪魔との戦いでは死ぬことが救いであるような、痛ましい結末が簡単に起こります。災害の元へ自ら向かうような愚行を行わなければならない、それが魔法聖女ですから。

 皆様はそれを覚悟して入ってきたのでしょう。危険を知った上で、人々の盾となり平和の礎とならんと。あるいは復讐のため、自らの命尽きるまで怪魔を討ち倒さんと」

 

 その言葉に、芙蓉はうつむいてしまう。危険があるというのは、芙蓉にとってはただの知識。覚悟も、復讐も、芙蓉にとっては縁遠い感情だ。産まれた時から流されて、なんとなく孤児院の人に良いことをしたくてここにいる。そんな自分が平和の礎としていなくなれるなら、どんなに幸せか──

 

 

「ですが、礎などまっぴらごめんです」

 

 

 続いた言葉に、ハッと顔を上げる。そんなはずはないのに、輝く瞳と目があったような気がするほどにその目は真っ直ぐこちらを見据えていた。

 

「心なさい、大人になった自分を。愛する人と結ばれ、子を産み、家族を護る人生を。今日この日の感情も、これからの学園生活も、長き人生の一瞬でしかないことを。魔法聖女とは一時の熱病のようなものであり、その後には普通の人生が待っていることを」

 

 ()()()()()。怪魔が現れてから、遥か彼方になってしまったその想像(ビジョン)を、金の瞳は確かに存在する景色のように見つめていた。魔法聖女にとってそれがどれだけ難しいものか知らないはずはないのに、そこにはただの理想ではなく、辿り着けるはずという確信を持っているように感じた。

 

 

「私が断言致します。あなた達の生は、価値あるものであると。けして悪辣な怪物の欲を満たすために存在するものではなく、まして怪魔との戦いのために存在するものでもないのだと」

 

「あなた達の()()を願います。在校生代表、白銀百合」

 

 

 

 そういって一礼する少女。芙蓉の手は、自然と手を鳴らした。

 ぱち、ぱち、というまばらな音はすぐに伝播し、湧き上がる轟音のような拍手が講堂を揺らした。芙蓉も、他の新入生も、身体がかつてない程に熱を持っていることを感じていた。

 

 ──頑張ろう

 

 その熱量を心の中で一つに固めるように想う。礼をしていた少女は、会場の拍手に驚いて顔を上げる。真っ直ぐに新入生を見つめていた瞳は驚きのせいか丸くなっており、自分の挨拶への拍手であると状況を理解したのか、

 

 

 

 

 えへ、と恥ずかしそうに笑みを浮かべ、控えめにひらひらと手を振って壇上を去る。

 

 

 

 

 

 

 ──何アレェ!? 

 

 ──エヘ!? エヘって言ったの生徒会長さま!? 

 

 ──ギャップが強すぎる! 情報が完結しない! 

 

 

 新入生たちは顔を真っ赤にしながら拍手を鳴らし続ける。先程までとは違う、むずむずするような熱量を発散させるためにパンパンパンパンと猿のように打ち鳴らす少女達は、湧き上がる感情の正体を未だ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大人気で結構なことだな、白銀」

 

「ええ、まあ。ご要件は何かしら」

 

「分かっているだろう? 機密生徒総会だよ。──人型怪魔についての、な」

 

 




Aパート終了して次話がBパートという感じですわ

Bパートが終わったら掲示板のお排泄物達のお話ですわね

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