どうも2日目のタピタピです。
連続投稿、2日目となりました。……ヤバくないかこれ?
とまぁ、死にそうではありますが、頑張っていきます!
それでは!本編へどうぞ!
18時30分、うちは姫松が宿泊しているホテルのロビーで空亜を待っていた。今日は少し時間に余裕があったこともあってか、まだあの男は来ていない。
そうして待つこと数分、ホテルの奥の方からこちらに向かってくる影が見えた。その男もこちらを見つけると少し歩くスピードを上げた。
「お、珍しく待たせたか?」
「ん、今来たところや。って、これ普通は男が言うやつやろがーい!」
「いや、いつもはお前が来るのが遅いんだろ。だからいつもはちゃんとやってる」
「『ごめーん、待った?』ってうちが言ったらお前『待った、遅い、人を待たせるとか舐めてんのか』とか普通に言ってくるやん!?それ、普通やないやろ!?」
「……フランスじゃこれが普通なんだよ」
「え、マジか。フランスってやばいところなんやな」
フランス……外国は恐ろしいところなんやなあ。
うちが外国に慄いていると怜たちとの集合時間が近づいてきていた。
「っと、こんなことしてる場合ちゃうで。さて、それじゃ行くかぁ〜」
「んで、どこいくんだよ?」
「ホテルや」
「!?!?!?」
うちが端的にそう言うと珍しく空亜が焦ったような顔を浮かべる。
「お?なんや?何を想像したんや?ただの宿泊ホテルやで?ん?ん?」
「……」
ちょっと揶揄うと空亜は180度回転し、元のホテルに戻ろうとした。
「ちょっ、待てや!すまんって、ちょっと会って欲しい人がいるんや!」
「ん?あって欲しい人?」
何とか立ち止まらせて話を伝えるとうちらは千里山の宿泊してるホテルに向かった。そして10分ほど歩き、目的のホテルに到着する。
「ここやな。んじゃ、入るで?」
「いや、結局誰に会うんだよ」
「それはやな……」
エントランスに入り、怜たちを探すとメールで「見つけた。ちょっと離れてて」との文面が届く。それを見たうちは空亜に一言言って距離を取ろうとする。
「あー、空亜、すまんけどちょっとお花摘みに行ってくるわ」
「?おう、早く戻ってきてくれよ?」
そうしてうちが嘘で抜け出すと、ちょうどあちらからやってくる2人を見つけた。
「来たで」
「すまんな、迷惑かけてもうて」
「ええって。ほな、早く行ったれ」
「うん(せやな)」
そうしてすれ違った2人はうちとは真逆の方向へと進んでいく。
ほな、うちはセーラにでも会いにいくかなぁ。
******
「あわわわわわわ!!!」
「お、落ち着くんや竜華!!」
現在、竜華が壊れてしまった。もちろん原因は約束の時間が近づいてきているからである。
うちらは今ホテルのロビーで2人の到着を待っていた。現在の時刻は約束の7時5分前。うちと竜華とセーラも一緒に待っている。
「ど、どないしよう!?うち、何を話せばええんや!?いなくなったことを怒ればええんか!?それとも再会に喜ぶべきなんか!?」
「竜華……」
「こんな竜華珍しいな」
竜華が今までに類を見ないほどの混乱っぷりを発揮しているとうちのスマホが振動する。
そのスマホを手に取るとそこには待っていた人からの『そろそろ着くで?』というメールが来ていた。
「2人がそろそろ来るらしいで?」
「えっ!?もう!?」
「いや、時間通りやで……?」
あんなにおかしくなっていた竜華だったが、そこはさすがというべきなのか一度深呼吸をすると
「ーーーよし、もう大丈夫や」
「早すぎやろ」
既に平生を取り戻していた。さすがうちのしんゆうやなー。
するとホテルのドアからふたりの高校生が入ってきた。
「っ!あれ洋榎やないか!?」
「!!!」
うちの声を聞くと竜華の顔が急いでそっちに向けられる。
そして奥に見つけた洋榎の隣には1人の少年がいた。
彼を見た瞬間息が詰まった。なんとかスマホを開き、洋榎に見つけたという旨のメールを送るとあっちもこっちに気づいたのか彼をその場所に残してこっちに向かってくる。
「来たで」
「すまんな、迷惑かけてもうて」
「ええって。ほな、早く行ったれ」
「うん(せやな)」
そう声をかけるとうちらは彼のいる方向に進んでいった。うちらの間には言葉で表せない何かが蠢いていた。
******
例の彼を連れてきた洋榎は2人を見送ったのち、俺の方へ歩いてきた。
「お疲れさん」
「おお?ありがとう?」
珍しく俺が感謝した言うとるのになぜこいつは素直を受け取らないのか。
「いや、そこは素直を受け取れや。それで?まさかこのまま盗み聞きというわけにもいかんやろ?俺の部屋にでも行くか?」
「せやなー。ちょっと疲れたわー」
そうして2人で俺の部屋に向かう。俺らは団体戦メンバー同士なので同卓を囲むことは規定上できないのでどないしたもんかと考えつつも考えるのはめんどくさいと言う結論に落ち着く。
その時の俺は、2人の長年のとっかかりが取れることをただ一心に願っていた。
******
洋榎の来た方向に進んでいくと彼が見える。
一歩、一歩と彼に近づく度に彼の姿がより鮮明に見えてくる。それと同時に心臓の鼓動も早くなっていく。そしてーーー
「ん?……ん!?まさかお前らーーーぐはっ!?」
そこへたどり着いた瞬間、パチンッ!という乾いた音が辺り一体に大きく響いた。夜ということもあり、人の数は少ないものの辺りの注目は確実にこちらに集まった。だがそれでも空亜の頬を打った親友は止まることを知らない。
「空亜!!」
「……っ!やっぱりお前ら、怜と竜華か。……そうか、洋榎の言ってた会わせたいやつってのはお前らのことだったんだな。それで、どうする?もう数発殴っておくか?」
少し痛そうに頬をさすりながらも自虐するように続きを促す空亜に竜華は数年間溜め込み続けていたものを吐き出していった。
「ーーーなんで、急に消えたんや!!ふざけんなや、この馬鹿!!」」
「っ!?……竜華……」
うちらが初めて聞くであろう竜華の本気の激怒にあの空亜でさえたじろぎ、そして形容し難い悲痛な顔をしていた。
だが、そんな程度で彼女は止まるわけがない。
「4年間、ずっと探してたんや。空亜が私たちのことを見つけてくれるかもしれないって思って2人で麻雀もたくさん強うなって、千里山に2人で推薦入学して、それでも心のどこかで足りなかったんや。だって、そこには空亜がいなかった」
だんだんと嗚咽混じりになってきた声は、一呼吸ためて、
「それが、それがどれだけ辛かったかなんて!ビンタなんかじゃ表せるわけないやろっ!!!」
「竜華……」
「空亜……なんで、どうして……」
そうして竜華は膝から崩れた。そして、
「うわぁぁぁんっ!!ひぐっ、あぁぁ!!」
「……」
全てをぶつけるように泣き出してしまった。だが仕方のないことだろう。それだけ彼女、いやうちらがこの数年で溜め込んだものは大きかったのだ。
これにはさしもの空亜も言葉が上手く出せないのか二の足を踏み、ただ竜華を見つめているだけだった。
その間、竜華の理性を失った行動で逆に落ち着いていたうちらこのままでは埒が開かないと1つの提案を2人にする。
「2人とも、とりあえずうちらの部屋に行こうや。ここじゃあ人様の迷惑やろ。そこで今までのこと、色々話そう。空亜もついてきてくれるやろ?」
そのうちの問いに空亜は難しいことは言わずに頷く。
「あ、あぁ。元はと言えば俺の生み出した火種だしな」
「ひぐっ、ぐすっ……」
「ほら、竜華も行くで?」
そうして未だ涙を抑えきれていない親友に肩を貸し、自室に戻って行った。その間の数分、私たちの間に会話は何一つとしてなかった。
部屋のドアを開ける頃には少し落ち着いたのか竜華は泣き止み、部屋では3人でベッドに腰掛けていた。だが、ここで1つ。この部屋にはベッドが2つあるのだ。もちろんうちらは互いのベッドに座るが、空亜はどうしたのかである。さしもの空亜も今竜華のベッドに座ることは躊躇われたのかゆっくりとうちのベッドに腰を下ろした。すると
「……空亜、何で怜の方に座ったん?」
「は?いや、な?」
「うちのじゃ、嫌なんか?」
なぜか急に竜華が目の光を失くし始めたのである。恐らく怒りも収まり始め、次は寂しくなっているのだろう。どこか、ヤンデレを感じさせるのはきっと寂しいからだろう。うん、きっとそうだろう。そうだよね?
そのことに空亜も気づいたのか少し汗を垂らしつつもうちに「すまん」と声をかけると竜華の隣には腰掛けた。すると竜華も少し彼に体を寄らせる。
「……ほな、空亜そろそろ話聞かせてもらおか?」
「ああ。話すよ」
それから空亜はあの時のことを少しずつ思い出すように話していった。
******
〜引っ越しの3ヶ月前〜
「空亜、落ち着いて聞いて欲しい」
「え?」
土曜日、俺がいつも通り麻雀クラブから帰って晩御飯を食べていた時だった。急に父さんが箸を置き、一緒に母さんも箸を置いた。
そのただならぬ様子に俺も箸を置き2人に視線を向ける。
そうすると父さんは重たく言葉を発した。
「……フランスに引っ越すことになった」
「……は!?」
突然告げられたカミングアウト、その意味は意外にもすぐに理解できてしまった。それはあの2人との別れを意味しているのだと。
理解したからこそ混乱してしまった。その瞬間、世界がモノクロになったのは気のせいなのだろうか。
「え、え?」
「あぁ、何も今すぐにってわけじゃない。恐らく、夏休みぐらいだとは思うが「嫌だ!!」……空亜」
もちろん、俺は大反対した。そりゃあそうだ今が1番楽しい時なのだ。2人と何気ないことで笑い合ある今が好きなのだ。この日々を失うことが俺は何よりも嫌で、怖かった。
「すまない、空亜。時間はまだあるし、ずっとあっちにいるってわけじゃない」
「……ごちそうさま」
今にも溢れそうになった涙を堪えながらその場を後にする。父さんと母さんが何か言っていたような気がしたが、その時の俺には何も聞こえていなかった。だが自室に入った瞬間、堪えていたものは崩壊した。
「っぐ……あ、ぁぁ。なんで、だよっ……」
その日、眠りに落ちたのは俺が覚悟を決めた頃、日が昇り始めた頃だった。
朝、寝るのが遅かったこともあり、起きたのは9時だった。自室から出てリビングにいくと、そこには母さんの姿があった。
「おはよう」
「あ、空亜、おはよう。朝ごはん食べる?」
「うん」
母さんはどこか心配そうに俺のことを見つめてきていた。それもそうだろう。昨日の俺のあの様子じゃあ心配させても仕方がなかった。
だが、どこか吹っ切れた俺の顔を見て、少し頬を緩めていた。
「その様子だともう大丈夫なのね?」
「うん。くよくよしたって意味ないし、あと少しを全力で楽しむんだ」
そういうと母さんは笑みを浮かべキッチンに向かって行った。
そして8月のあの日、俺が家に戻ると、家の中は荷物がまとまっており、段ボールでいっぱいだった。
「ああ、そう、なのか」
涙はもう出なかった。枯れてしまった。ひとり、信じたくなくて玄関に突っ立っていると、母さんがこっちに向かってきた。
「空亜、明日ここを出るからね」
「早いんだね」
「じゃないと辛いでしょ?」
「うん、ありがとう。もう、大丈夫」
(あぁ、結局あいつらには言えなかったな)
俺は最後までここからいなくなることを怜たちに伝えられなかった。理由はいたって単純、ただ、彼女らを泣かせたくなかったのだ。涙ながらにお別れなんて俺は嫌だった。彼女らには笑顔でいてほしかった。きっと、言ったら泣くだろうから。辛い思いを背負うのは俺だけでいいと思っていた。だから言わなかった。
きっと、俺がいなくなっても1週間もすれば彼女たちは元気に麻雀をしているだろう。だって彼女たちは親友なのだから。あの頃の俺は本気でそう思っていた。
そうして翌日俺たちは周囲に軽く挨拶をしてあの街を出た。
そのなかには麻雀クラブの先生もいた。
『え?ここを出て行くの?』
「はい、引っ越しです。なので麻雀クラブも辞めさせてもらいます」
『……彼女たちはどうするの?』
「……どうすることもできないですよ。もう。」
こうして俺はこの街を去った。彼女たちの零した涙も知らずに。
******
「これがあの日までの出来事だ。黙ってて本当に悪かった」
そういうと、空亜はベッドから降りてうちらに土下座をした。
「俺の勝手な行為で、お前らを傷つけた。それで2人の人生まで歪めちまった。本当に、ごめん……」
「空亜、顔あげて?」
「いや、そんなこーーーわふっ!?」
そう言うとうちは彼をできる限り優しく抱きしめた。彼は急なうちの行動に完全に硬直していた。
なあ、空亜ーーー
「うち、空亜が、いなくなってからずっと辛かったし、たくさん竜華と一緒に泣いた。きっといつか帰ってきてくれるって信じてたけど、何度か信じられなくなることもあった。せやけど、それがうちらだけやないことだって分かっとる。なぁ、空亜。あんたも辛かったやろ?辛かったのにうちらのこと考えてずっと1人で抱え込んでうちらの幸せ願ってくれて。やっぱ空亜は優しいわ」
「っ!俺は、そんなできた人間じゃーーー」
うちらにとってーーー
「あんたが自分のことをどんな風に言ったってうちらは空亜のことを優しいって言い続けたい。確かにいなくなって辛かった。空亜がうちらの人生歪めたのやって間違いやない。でも、帰ってきてくれたやん。なら、これからは一緒に歩んでいこうや」
「怜……」
竜華もうちに続くように彼をゆっくりと包み込む。
あんたはーーー
「空亜、うちらは確かに辛かった。でも、さっきいっぱい文句なら言ったし、もうスッキリしたわ。空亜だって辛かったんやし、おあいこってことにしたる。うちらにとってあんたはかけがえのない人なんやって押し込んだる。だから空亜、一緒に未来のことを考えていこうや」
「竜華……」
大切な親友で宝物なんやーーー
「ここまでは長かったけどうちらはまた集まれた。それだけで未来の可能性なんて無限大やろ?だから、空亜ーーー」
だからできる限りの笑顔でこう言いたいーーー
おかえりっ!!!
「は、はは……別、に泣くつもり、なんて、無かったん、だけど、な。……ひぐっ、あぁ……ありがどうっ、ふだりどもっ」
「ありがとうやない、やっと帰って来れたんや、言うことは1つやろ?」
「うんーーー」
ーーーただいま!!!
また、出会えたこの宝物をうちらはもう、手放さない。
今、月明かりは見えるだろうか。
シリアスって書くの難しいですよね。特に泣いてる描写とか(真理)
それではまた明日会いましょう!評価、感想お待ちしております!それでは!