どうも、3日目のタピタピです。
あっぶねぇ、日を跨ぐ30分前!なんとか投稿できました。
そういえば初めてこの作品に高評価をつけてくださった、ポンポン 丸さん、本当にありがとうございます。励みになります!
それでは本編、どーぞー
第10話 世界
4年ぶりのわだかまりを解き、また笑顔で笑い合えた後、うちらは空亜と適当な雑談に花を咲かせていた。
あの話の後、竜華は感情的になりすぎたと空亜に謝り、許しを得ると、なぜかぴったりと空亜にくっついていた。
「……あの、竜華さん?離れてもらっても?」
「嫌や!……また急にいなくなるかもしれへんやん」
竜華は全く離れずむしろより強く腕を自身の腕に絡ませていた。
「そんな急にはいなくならないっての。いや、俺らももう高校生なわけだしさ?もう少し、こう、節度のある行動を、な?」
「そんなこと言ってさっきから竜華のデカいのが当たって嬉しいくせに」
「はぁ!?俺は別にそんなーーー」
「そうなん?ならっ」
ちょっと2人をつつくと、動いたのは竜華だった。空亜に対してさらにモノを強く押し付けたのだ。
「うおっ!?」
それによって今までは竜華の無意識によって行われていた行為が故意なものへと変わり、この結果空亜は思わず声を出してしまっていた。
「り、りりりり竜華!?ちょっ、おまっ、離れ「嫌や!」いや、うん……まぁ……」
「おい、そこの変態。何うちの親友に鼻の下伸ばしとるんや?通報か?通報するか?」
「伸ばしてねぇわ!!」
うちがスマホを持って脅す(冗談)と空亜が全力で否定する。するとなぜか竜華はうち見て、いやうちの一部を見て
「怜は無理やもんね♪」
と、珍しく煽ってきた。それにしても少しカチンときたので私も空亜にしがみつく。
「と、怜!?お前まで何してーーー「っち、やっぱりいい反応せえへんな」……おい」
そうして2人して空亜にひっついているといつしか話は空亜のフランスでの話になっていた。
「そういえば空亜、フランスに行ってたん?」
「ん?あぁ。実はちょっとうちの家系ってちょっと複雑でな。俺は今日本とフランスの2つの国籍を持ってる状態なんだよ。まぁ、大人になったらどっちかに決めなきゃいけないんだけどな」
「へぇ〜。空亜はそっちでも麻雀してたんか?フランスって言ったら麻雀先進国やろ?」
フランスは世界で1位争いをするような麻雀先進国である。現在日本は世界ジュニアにおいて決勝トーナメントにすら行けていない。
「あぁ、必死にやってたさ。近所、っていうかお隣さんにめっちゃ麻雀が強い女子がいてな。最初はずっとボコボコにされてて、それで必死に突っ走ってきたんだよなぁ」
女子にボコボコ……。何回もやってた言い方やな。その子と仲良かったんやろか。
「今はどっちの方が強いん?」
「まぁ、流石に俺かな。確か、中2ぐらいには勝ててた気がするわ。まぁ、あいつがいなかったらここまで強くなんてなれなかったし、世界ジュニアなんて夢のまた夢だっただろうよ」
「そういえばテレビでも同じようなこと言ってた。世界ジュニアってすごいやん空亜!」
世界ジュニアは学生による麻雀の世界大会で、あまりにハイレベルな戦いゆえに解説などには世界のトッププロが呼ばれたりしている。
「まあな。だからあいつには感謝してるんだよ。」
「その子って今何歳なん?」
「えっと、俺らの一個下だから15、いや14か?というかもしかしたら名前ぐらいは聞いたことあるんじゃないか?雀明華って言うんだが」
「雀、明華……あ!?それ、『風神』の本名やん!?」
空亜が出した名前に竜華があまりの衝撃にか思わず立ち上がる。その名前に心当たりのなかったうちは竜華に聞くことにした。
「?竜華、それ誰なんや?」
「雀明華、中学生ながらに世界ランカーとして名を馳せてる人で、彼女の周りには風が集まるって言われてたり、あとは歌姫って呼んでる人もおるらしいで?」
世界ランカー、中学生ですごいなぁ。世界ランカーとはつまり大人と戦い合っているということを表している。その中で結果を出しているのだ。彼女はきっとうちの数倍強いのだろう。
それに加えて歌姫だと言う。神はなぜうちにそういうのをくれないんや……。竜華だって立派なもん持ってるいうのに。
「あぁ、あいつの歌綺麗だもんなぁ」
「へぇ〜……ん?空亜、さっきの話的にその人に勝ってるん?」
「ん、そうだぞ?今までの話聞いてなかったのか?あいつ、俺との相性あんまし良くないんだよなぁ」
「?風牌がくるのに相性なんてあるん?」
「いや、そもそも
「風神の風が来ない?空亜は今オカルトを待っとるんか?」
風神のことを知らないうちは話について行きづらかったが、どうやら空亜が風神をいじめているということだけはわかった。
そしてオカルトという話が出ると、5月の洋榎との話が思い出された。
「ああ、そういえば前に洋榎がなんか言ってたわ。洋榎にはオカルトが使えないとかなんとか」
うちがそういうと空亜は少し言い淀んだものの、なんとか言葉にしていく。
「あー、そのことは話してんのか。まぁ、別に隠したいわけでもないんだがな。ーーーそうだよ、俺はオカルトを使える」
そして彼は完全に言い切った。ーーーオカルトがあるのだと。
その断言に竜華が問いを投げかける。
「うちらといた頃はそんなん無かったんやろ?あっちで身につけたんか?」
この問いに空亜は再び言い淀む。だが、先ほどとは違い、うまく言葉に表せないと言ったようだった。
「説明しろって言われると難しいんだよなぁ。あ、そういえばここって千里山?が宿泊してんだろ?なら雀卓の1つぐらいあるんしゃないか?」
「多分、監督の部屋にあると思うで」
インターハイに来ている学校の多くは試合後に反省などを行うために卓を持ってきている学校は少なくもない。空亜もそのことを知っていたのだろう。
「よし、じゃあ行くか。俺もお前らと打ちたいし、そっちも見た方が早いだろ」
「せやな。後1人誰か呼ぶんか?」
「洋榎でも呼ぶか。こっちで電話してみるわ」
空亜が同学校の洋榎を提案し、電話をかける。すると数コールするうちに声が聞こえて来た。
「あ、洋榎か?」
「痴話喧嘩じゃねぇよ!?これから怜たちと麻雀しよう思ってんだが、お前も来るか?」
洋榎が空亜をいじっているのか、空亜のツッコミが部屋内に響く。
「ん?セーラ?あー、うん、分かったわ。なら監督の部屋の前に集合な」
セーラという名前が聞こえると、会話が終わったのか空亜がスマホから手を離す。
「なんやって?」
「セーラって奴と一緒に来るってさ。誰なんだそいつ?」
「うちの中学からの友達や、ちなみにうちのレギュラーの1人やで?」
「そりゃあ楽しみだ。2人はレギュラーじゃないのか?」
空亜のその質問にうちらは一瞬言葉が詰まるものの、少し嘲るように竜華が答えた。
「うちらは
竜華が強調した「まだ」という部分に空亜も気づいたようだが、あえてそこに触れることなく妥当に返す。
「ほーん。まぁ、まだ一年だし、まだ時間はあんだろ」
「なぁ、そろそろ行かへん?」
先ほどの電話から既に数分が経過している。このままゆっくりしているとあの2人にキレられて何をさせられるかわかったものではない。
うちが提案すると、2人も外に出る準備を始める。
「そうだな、行くか」
「せやな」
そしてエレベーターで階を降り、監督の部屋に向かう。すると部屋前で2人と監督が何やら談笑していた。
2人はうちらを見つけると話をやめ、なぜか仁王立ちし始めた。
「お、やっと来やがったで。ほなオカン、こいつらやけどええか?」
「お前は打ったらあかんで洋榎。姫松の団体戦メンバーなんやから。うちの3人がそこの沖野とやるのはまぁ、ええやろ」
「せ、せやった。うち、今戦えへんのやった」
監督のその回答に娘である洋榎は少し落ち込み、それをそれを見てから空亜はうちらに質問を投げかけてくる。
「そうなのか?」
だが、その問いに答えたのはまさかの監督だった。
「団体戦のメンバー同士は大会終了までダメやねん。沖野、いつも娘がお世話になってるようですまへんなぁ。他の3人と打つのはええけど明日はこっちも3回戦や、あんまやり過ぎへんようにな」
そのやりすぎるは時間的な意味なのだろうか、それともーーー
空亜も感じ取ったのか、質問を返す。
「なんですか、貴方も俺のことを知ってる感じですか?」
「娘からとにかく聞いてたし、うちも調べてたからな」
「そうなんですか。てか洋榎はいつまで落ち込んでんだよ。お前は学校に帰ってからも打てるだろうが」
そういって空亜は洋榎の肩をポンっと叩く。そ、そんなボディタッチ軽くやるんか!?
そんなうちのざわついた気持ちを考える訳もなく、洋榎は顔をあげると不満そうな声を漏らす。
「あぁ、打ちたかったわぁ。3人とも、うちの仇とってな」
「お前死んどらんやん。っと、お前が沖野空亜やな?俺が江口セーラやあんたのことは2人からよく聞いとったで?な?女泣かせ?」
洋榎の発言にいつも通りセーラがツッコむと、次には空亜に対して現在最も効くであろう単語を投げかける。
もちろん、クリティカルヒットだった。
「!?いや,その、……本当にすみませんでした」
「いや、軽い冗談やって。8割ぐらい」
「2割本気じゃねぇか!?」
空亜の反応にセーラは満足したように笑い、「嘘やって。俺とも仲良くしてくれよな?」と告げると、あんまりにのんびりしているうちらに監督が急かしを入れてくる。
「おい、おまえら部屋で打つんやろ?ならはよしてくれ。うちかて早く寝たいんや」
「「「……はい」」」
そういう時やっと部屋に入り、卓の前に着く。座ったのはうちと竜華が座るとセーラもそれに続き、そして空亜が着いた。
「さて、始めるか」
空亜のその言葉で、サイコロが回された。
******
最近、娘がよく同級生の話をしてくる。それが色恋沙汰ならばあの無縁だった娘にも、と歓喜するのだが、あいも変わらず内容は麻雀だった。
しかし、内容は普通のそれではなかった。連荘17本場や、全員を同時にトバすなど、あまりに荒唐無稽な話だったのだ。だが、その彼について調べると彼は世界から「支配者」と恐れられていると知った。
その彼の試合を生でみることができる。久々に心が躍った。
(さあ、見してもらうで、世界の支配者の実力をーーー)
******
ー 東一局 ー 親 清水谷竜華
「ほい」
一打目、うちが北を捨てると次に南家である空亜が捨てたのは8索だった。そしてこの8索は
(((初手、ドラ!?!?!?)))
この局のドラであった。空亜以外の全員が息を呑むのが伝わる。初手からドラを捨てる人間など完オリする人ぐらいだろう。しかし、今は東一局の0本場、あまりに異常なこの行為、可能性としては空亜の手が既にほとんど完成しているか、又はーーー
(なんかのオカルトか……)
ー 9巡目 ー
「ロン タンヤオ ドラ1 2000」
和了ったのは怜だった。あのドラ捨てから仕掛けてくるのは空亜だと考えていたし、実際和了った怜も動揺を隠しきれていない。
「……さぁ、東二局だ」
だが、そんなうちらの心情を知ってかどうか空亜は変わらぬ様子で試合を進めていった。
ー 東二局 ー 親 沖野空亜
親である空亜の一打目、捨牌は西、ドラではない。
(ドラじゃ、ない?どういうことなんや?)
意味のわからない行動をする空亜ではあったが、親で和了らせるのはまずいと警戒していた。そう、していたはずだったのだ
ー 4巡目 ー
「お、ツモ ツモ 平和 一盃口 1300オール」
空亜はものの数巡で和了りをおさめてきた。だが、安いこともあってかまだ、普通の麻雀だと思っていたのだ。
しかし、あとで考えればここで気づかなければいけなかったのだ。空亜の捨牌がおかしかったこと、そして既に術中にハマっていることに。
ー 東二局 一本場 ー 親 沖野空亜
「ロン 三色同順 ドラ2 8000」
「んなっ……」
ー 東二局 二本場 ー 親 沖野空亜
「ロン 純チャン 三色同順 12600」
「……え?」
ー 東二局 三本場 ー 親 沖野空亜
「ツモ 一気通貫 ドラ1 1300オール」
(((こいつ、全然止まらない!しかも有効牌まで入ってこないっ!)))
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ー 東二局 九本場 ー 親 沖野空亜
「ロン 混一色 平和 一気通貫 18900」
そして連荘が終わった。そしてそれは同時に試合の終了を指し、次の瞬間、セーラが卓に伏せるように倒れ込んでいた。
はー、大変だったぁ。ってことでまだまだ毎日投稿は続きます。
多分明後日は番外編かなぁ。
評価、感想お待ちしております!それではまた明日!