日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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どうも7日目のタピタピです。

1日お待たせしました。書いて削ってを繰り返して書きました。もしかしたら変なところがあるかも?

今日で番外編は終わりで、明日から本編に戻ります。

今回の話には後の重要人物が関わってきますのでお楽しみに!

それでは本編へGO


番外編 姫松のお泊まり会②

 

平日の朝、まだ日が登る前、俺はいつものように目を覚ました。……違和感と共に。

 

 

「ふわぁぁーって、ん?」

 

 

布団から出ようとすると何かに引っ掛かる感覚がする。そうしてゆっくり布団を捲ると

 

 

「zzz……」

 

 

俺のベッドの上で熟睡している恭子がいた。そして瞬時に俺はこれが洋榎の仕業と予想した。

 

 

「はぁ……」

 

 

こんな気持ちよさそうに寝ているのだ。まだ朝早いし、無理に起こすのも無粋かと、ため息をつくと俺は恭子に再び布団をかけ、部屋を出る。

 

現在の時刻は朝5:30、そして俺は着替えると外に出た。そして準備体操を行うと走り始める。俺は日課として朝と夜にランニングをしていた。特に距離や時間は決めておらず、満足したら帰ることにしている。

 

 

「にしても、走りやすい気温だなぁ。日本の感覚にも早く慣れないと」

 

 

フランスと違っている気候に少し体がまだ慣れていないところはあるが、それもこの数ヶ月で随分思い出した。これから日本の夏はどれぐらい暑くなるのだろうか。

 

 

「さて、ちょっとペースを上げますかね」

 

 

 

そうして俺がペースを上げようとした時だった。

 

珍しく充電のあるスマホが振動したのだ。慣れない感覚に戸惑いながらもスマホを手に取る。相手は、ん?珍しいやつだな。

 

 

「もしもーし、何だ珍しい」

 

『……お前、なんでフランスにいねぇんだよ』

 

「いや、日本に帰ってきてるだけだが?」

 

 

俺がそのまま答えると、あっち側から叫びが聞こえてくる。

 

 

『はぁ!?んだよ、せっかくフランスに来たから泊めてもらうついでにやろうと思ってたのによぉ』

 

「知らねーよ、そんなこと。それで?要件は終わりか?」

 

『いや、待て。お前世界ジュニアはどうする気なんだ?フランスに帰ってくるのか?』

 

「今年はエントリーしてねぇよ。お前は今年も出るんだろ?」

 

『……いや、俺も出ねぇ』

 

「は?何言ってんだお前?他の2人は出てくんだろ?」

 

『ーーーは今年は出ねぇってよ。ならもうあのバカしかいねぇじゃねぇか』

 

 

俺の情報掴んで黙っていやがったのかよ。んで俺が出ないから自分も出ない、と。

 

そんで、あいつは取り残されてるのか。

 

 

「あいつは元気だったぞ?1ヶ月前にカナダの大会で会ったからな」

 

『あの蹂躙戦な……。話題になってたぞ?決勝戦で他の2人が泣いてたって』

 

 

通話越しに聞こえてくる呆れ。お前だってやったことあるだろうが。

 

 

「……仕方ないだろ、楽しくなっちまったんだよ」

 

『はぁ……相変わらずの戦闘狂がよぉ。んま、とりあえずお前のこと知れてよかったわ。なら、またどこかの大会でな』

 

「おう」

 

 

そういうと通話は切れる。別に久しぶりに聞いた声で触発されたわけではない。だが、俺のスピードは無意識下で確実に上がっていっていた。

 

 

 

        ******

 

 

 

「ん、ん?」

 

 

うちは重い瞼をゆっくりと開ける。するとそこは知らない天井だった。だが、太陽の日差しが当たると少しずつ記憶が蘇る。

 

 

「あぁ、そういえば空亜の家に泊まってたんやった。って、ん?この部屋って……」

 

 

そこで周囲を見渡すと違和感を感じる。うちは確か昨日は客間とされている部屋で洋榎と由子とうちの3人で寝たはずだ。なのに何故ここにはベッドがあって、そこに寝ているのか。

 

だが、部屋を見るとずらっと並んだ麻雀や心理学の本が目に入る。そしてそんな本を持っている人はこの家では1人しかいない。つまりーーー

 

 

「な、な、なななんでうちが空亜の部屋で、ベッドで寝とるんやぁ!?!?!?」

 

 

まさしく絶叫。もちろんその声は家中に響き渡った。

 

だが今のうちにそんなことを気にするだけの余裕は存在していなかった。

 

 

「なんでやぁぁぁ……、なんでなんやぁ……。は!まさかほんまに大人の階段登ってもうたんか!?……」

 

 

うちは自身な体を満遍なく触る。だが幸か不幸か自身の体に特に異常は見られなかった。とりあえずはそのことに安堵してほっ、と息をつく。

 

だが、冷静になったことでこの問題に改めて考えさせられる。

 

 

(いや、本当に何でこないなことになっとるんや?別に変なことしたわけじゃなさそうやし、空亜がうちを連れ込んだってこともないやろ)

 

 

この数ヶ月でうちはあいつに対してそれなりの信頼を寄せている。だから彼がそんなことをするとは思えなかった。

 

そんなこんなでうちがベッドの上で思案していると半開きになっているドアの向こうで何か赤いものが動いた。

 

その瞬間、全てのピースがくっついた。

 

 

「……」

 

 

うちは足音を殺してドアに近づく。そうして目の前までくると勢いよくドアを開けた。すると、

 

 

「う、うわぁぁぁっ!?」

 

「やっぱお前の仕業か!洋榎!」

 

「な、なんてバレたんや!?」

 

 

うちがドアを開けると倒れ込むようにして先程見えた赤髪を持つ愛宕洋榎が現れる。うちに指を指されると洋榎は背中をのけぞらせて驚く。

 

 

「いや、だってこんなことするのお前ぐらいしかいないやろ」

 

「空亜がやったかもしれないやないか」

 

「あいつがうちみたいな貧相な体にそないなことするわけないやろ」

 

「……恭子、自分で言って悲しくならへんのか?」

 

「……うるさいわ」

 

 

2人して自分たちの身体を見る。そうして一つの結論を出した後、さらに目に光を失わせて、ゆっくりと無言で下に降りて行った。

 

そうして階段を降りるとなにやらいい匂いが鼻をつつく。

 

 

「なんやええ匂いやなぁ」

 

「せやな」

 

 

洋榎の言葉を適当に返す。そしてリビングに入り、キッチンに視線を向けるとそこでは空亜と由子が2人で朝食を作っていた。

 

その視線に気付いたのか空亜がこっちに顔を向ける。

 

 

「ん?恭子と洋榎かおはよう」

 

「お、おはよう……」

 

「?なんか元気なくないか?」

 

 

言葉が少しくぐもってしまった。それは彼を見た瞬間今朝あのベッドで寝たことを思い出したからだった。だがそれも一時、少しすれば落ち着きを取り戻すことができた。

 

 

「別に大丈夫や。それよりうちにもなんか準備できることは?」

 

「あー、とりあえず顔でも洗ってきたらどうだ?お前今起きてきたんだろ?」

 

「!あ!え、ちょっ、見んといて!!」

 

 

うちは全力ダッシュで洗面所に向かった。か、顔変やなかったやろか?女子にとって寝起きの顔とはあまり見られたく無いものである。

 

パシャパシャと顔を洗い、タオルで拭くと少しは顔の火照りもおさまってきた。そしてゆっくりとリビングに戻り、空亜にボソボソと聞く。

 

 

「……変な顔やなかったか?」

 

「?いや?ただ寝起きなんだろうなぁとは思ったな」

 

 

寝起きなんだろうと思われる顔ってどんなんやろう。だ、大丈夫なんやろか?

 

そんな疑問が浮かぶものの、とりあえずは隅においておくことにする。

 

 

「そ、それでうちは何を手伝えばええんや?」

 

「恭子ちゃんは座ってればいいのよ〜」

 

「いや、うちもーーー」

 

「いいのよ〜」

 

 

由子の形容し難い迫力に押し負けうちはソファに座って待つことにする。そこには既に先客がいたが、無理やり押し除けた。その時に何かの悲鳴が聞こえたような気がしたが気にしない。

 

そうして少しした後うちはそこにいたやつに再度朝の事を確認する。

 

 

「なぁ、洋榎」

 

「ん?なんや?」

 

「朝のは洋榎がやったってことでええんやな?」

 

「せやな。うちが珍しく早起きしてやっといたわ」

 

 

とりあえずは安心してふぅ、と息を吐く。

 

 

「そうか。お仕置きは何がいい?」

 

「!?いや、ちょっとしたジョークやん?な?」

 

「……はぁ」

 

 

慌てながら言い訳を紡ぐ洋榎に呆れるしかなく、お腹が空いていたこともあり、もう何も言葉は出なかった。

 

それから数分、2人から声がかかると朝食を食べ始める。

 

 

「「「「いただきます」」」」

 

 

色々あったこともあり、食事にいつもより熱中していた。それもこの料理が外れなく美味しいからなのであるが。

 

今日の朝食は和食で、焼き鮭がメインであった。

 

 

「美味いな」

 

「あったりまえやぁ!なのよ〜」

 

 

由子が満開の桜のような笑みを浮かべて喜び、それにつられてみんなも笑う。

 

そんな笑顔の絶えない食事を終えると、うちは洗い物をしていた。隣には空亜がいる。

 

2人で他愛無い会話をしていた中、そういえば、といきなり空亜がとある言葉を放った。

 

 

「そういえば恭子、朝俺のベッドにいたよな?」

 

「!?!?!?な、ななななななな!?!?!?」

 

 

急な空亜の発言に思わずテンパってしまう。あまりのうちの慌てように空亜も皿を落としそうになる。

 

 

「え!?いや、急に何!?朝起きたらお前がいたから聞いたみただけなんだが!?」

 

「それは洋榎の陰謀やったんやぁ!!!うちが自らの意思で入ったんやないで!!!」

 

「あぁ、なるほど。そうなるとあいつ相当早く起きたんだな」

 

 

全力で事実を伝えようと努めると、空亜は合点がいったように冷静になり頷いた。

 

だが、うちはというとどこかやるせない気持ちになっていた。

 

 

「いや、何でそんな急に落ち着けんねん。女子が起きたら隣にいるのに慣れてるような反応やな?」

 

「いや、まぁ、うん……」

 

「……マジなんかい」

 

 

うちが冗談混じりにそんなことを言うと空亜は否定することなく、ただ苦々しく肯定してきた。

 

 

「誰や?大阪のやつか?」

 

「いや、違うけど……」

 

「フランスか……」

 

 

うちはフランスにいた頃の空亜をあまりよく知らない。せいぜい知っているのは麻雀で世界を舞台にして暴れていたことと仲の良い後輩がいたことぐらいだ。

 

その、後輩なのだろうか。

 

うちが遥か遠くのフランスに思いを馳せていると空亜が気まずいと感じたのか話題を切り替える。

 

 

「そういえばお前ら今日学校あんの覚えてるよな?」

 

「?覚えとるで?」

 

 

何当たり前のことを言っているのだろう。今日は木曜日、祝日でも無い。公立の学校が休みであるわけがないのに。

 

 

「時間見てみろって、今から家帰る時間あんのか?」

 

 

ようやく空亜の意図がつかめてくる。だが、その心配は無用であった。

 

 

「いや、その必要はないで?な?洋榎」

 

 

未だにソファでくつろいでいる洋榎に確認をぶん投げる。すると洋榎からは思った以上にスムーズな返球がくる。

 

 

「せやな。うちらここから学校いくで」

 

「は?いや、制服とかどうすんだよ?」

 

「そんなもん全部荷物に入れてきてるに決まっとるやろ」

 

「こいつら準備周到すぎるだろ……!?」

 

 

うちらの準備は昨日から今日の学校に行くまでの完璧なスケジュールであった。ちなみに発案者は洋榎である。

 

 

 

         ******

 

 

 

それからある程度の時間になると4人揃って家を出る。

 

こいつらは本気で制服を持っており、全員がいつも通りの登校の形になっていた。

 

特段急ぐような時間でも無いため、のんびり日差しの下を歩いていく。

 

 

「あっついなぁ」

 

「せやな。ほんまに暑すぎんねん」

 

「あっちっちなのよ〜」

 

 

なんだかんだ色々あったが、このお泊まり会は楽しかった。中学の頃は麻雀しかしてこなかったためこんなことはしなかったが、あいつらとやるのも楽しかったのかもなぁと1つ後悔が浮かんだ。

 

 

この後、お泊まり会の噂が男子麻雀部にまで届いており、部員からやっかみを受けるのはまた、別の話になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





1日お待たせしました。明日が毎日投稿ラストとなります。1週間見てくださった方、後1日だけお付き合いください!

それでは評価、感想お待ちしております!

ではまた明日!
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