日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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お久しぶりです、タピタピです。

4か月お休みしてしまい申し訳ありませんでしたぁ!!リアルが忙しいのもあったんですけど、うまくこの話がかけなくてすでに4話没になりました。
そんな中なんとか生まれたこの話ですが、アンケートにご協力いただきまして牌画像変換ツールを用いています。不具合が生まれるかもしれませんので何かありましたらお伝えくださるとうれしいです。

そして今回はWMRCの話となりますが細かい大会説明はまだしないのでなんとなくで見ることを推奨します。

それでは本編へどうぞ~


第15話 最強

 

 

~5か月前~

 

 

『さあ、今年もWMRCがやってまいりましたぁ!!!世界ランカー上位100人の選手による苛烈な優勝争いが始まろうとしています!!!』

 

 

やたらと声の大きいアナウンスが会場に響き渡る。今現在会場には世界ランカー上位100人が互いに話をしていたり、1人集中力を高めていたり、人によっては寝ていたりもしていた。

 

そんながやがやとした中もアナウンスが続いていく。すると中央のモニターが明かりを灯し、そこに1人の女性が姿を表した。

 

 

『それでは開会として前年度、いえ現在5年連続優勝中の!白築慕さんの開会の挨拶となります!!!』

 

『こんにちは、白築慕です!まずは今年もこの大会の開催に助力くださった皆さんに感謝申し上げます。そして世界中から集まってくださった選手の皆さん、ご足労いただきありがとうございます。私にとっても思い入れのあるこの大会で皆さんと戦えること大変うれしく思います。それでは、今年度WMRCの開会を宣言いたします!皆さん、全力を出し切りましょう!』

 

 

笑顔のチャンピオンが映し出され、開会宣言をした後、画面が再び暗転する。

 

 

「強者の余裕かいな……」

 

 

その様子を見て隣の人物がボソッと声を漏らした。

 

 

「……ね。緊張とか全くなさそう」

 

 

その声に近くにいた少し背の低い人物が反応する。若干緊張感が漂うその会話は俺を含めた4人で行われており、周りはその様子を一歩引いて見ていた。

 

 

「龍帝、お前は去年も参加してんだろ?どうだったんだ?」

 

「それはうちが、って話?それともチャンピオンの話?」

 

「どっちもに決まってんだろ」

 

 

4人のうちの1人のアレイ ヴァグナが怪訝そうに答えると、聞かれた人物は面倒くさそうに、そして嫌そうに答えを返そうとする。

 

 

「……チャンピオンは去年と全く同じような感じだな。緊張?なにそれみたいな顔で優勝してたわ。うちは、まあ、特に特筆することなく確かベスト8ぐらいで終わったぞ」

 

「……十分な戦果じゃねえかよ。てかてめえはどうして黙ってやがる」

 

「そうだよ、戦闘狂のクアにしては珍しい」

 

「お前にだけは戦闘狂とは言われたくないな。いや普通に緊張してたんだよ。俺は世界大会に初めて出たのだって中3の春だったし、まさか1年でこうも見る世界が変わるなんて思ってもなかったしなー」

 

 

ぼーっと周りを見ながら話を聞いていた俺は急に投げられたパスになんとか噛み付く。

 

本当に一年もたたないうちにこの場に来れるとは思ってもいなかった。それ故にどうにもこの空気に馴染めていなかった。

 

 

「なに、クア泣きそうなの???ボクが胸でも貸してあげよっか???」

 

 

俺の様子にそいつはちょっかいをかけてくる。まあ、ちょっかいという名で緊張をほぐそうとしてくているのだが。最もそんな事を言ったら恐らくキレたうえで脱兎のようにいなくなってしまうので、直接は言えないのだが。

 

だからこそこちらもいじり返すのが礼儀というものだろう。

 

 

「なーんでわざわざお前の無い胸で泣かなきゃいけなんだ」

 

「はい、ぷっちーん。キレちゃったよボクは!!!」

 

「じゃあそのとなりのやつの胸見てみろよ。な?」

 

 

そう言って俺は右を指でさす。するとどうやらラインを超えてしまったらしい。まるで鬼すらも殺すかのような形相をこちらに向けてきた。

 

 

「……死刑」

 

「死刑!?っておい!来るな!」

 

 

そんなやりとりを経て、気が付いた時には緊張は消え去っていた。

 

 

 

        ******

 

 

 

「あ、空亜さん!1回戦お疲れ様です!」

 

 

一回戦を無事に抜け、他の試合を待って席に座っていると慣れ親しんだ声が後ろから聞こえてきた。

 

 

「明華か。そっちは、まあ、残念だったな」

 

「そう、ですね。……空亜さん、私の分も頑張ってくださいね」

 

「ああ、善処するよ」

 

 

明華は惜しくも一回戦は2位で2回戦進出は叶わなかった。いつもの彼女よりも声のトーンが低くなっているのは気のせいではないだろう。彼女もこの日のために練習を重ねてきていたのだ。悔しくないわけがない。

 

 

「あ、クアくんっ!一回戦お疲れ様!って、いたのキミ(負け犬)?」

 

「あ゛?一体()()空亜さんになんの用ですか『調律者』さん?」

 

 

そんな少し重くなっていた空気をぶち壊したのは一回戦を抜けた先ほどの貧乳バカだった。

 

そして明華は珍しく怒気の孕んだ声でそいつの二つ名を呼んでいた。

 

 

「アハハハハハッ!いっつも無表情のくせにたまには面白い冗談言うんだね!」

 

「フフフフフ、冗談ならよかったですね~~」

 

「「アハハハハハ(フフフフフフ)!!!!!」」

 

「えぇ……」

 

(……この二人こんなに仲悪かったの???)

 

 

まさか2人がここまで仲が悪かったとは知らなかった。あれ?でも去年2人が会った時は普通に話してた気がするんだが……?

 

そんなことを考えていると同じく勝ち抜いたアレイが後ろから現れた。

 

 

「おい、その辺にしとけって二人とも。クア、決勝で待ってるからな」

 

「あぁ」

 

 

2人の肩を掴み物理的に距離を離すと、俺の方を向いて宣戦布告をしてくる。それを俺も拒む必要もないので、返事を返す。

 

それに合わせて言い争っていたのもこちらに視線を向けてくる。

 

 

「ボクもクアと打つからね!そこの泥棒猫とは違ってまだ勝ってるからね!」

 

「……」

 

 

余計な発言をしたせいでまた明華の表情が険しくなって、不穏な空気が流れ始める。本当にどうしてこんなに仲が悪いのだろうか。

 

こいつら止めてくれ、とアレクに視線を向けると気づいたのかやれやれと肩をすくめて2人のそばに近づいていく。

 

 

「だーからやめとけって言ってんだろうが。んじゃ、またあとでな」

 

 

そう言って殴りかかりそうになっている2人の距離を再び離すと、片方の服の首あたりを掴み持ち上げ、猫のように暴れるのをうまくいなしながら歩いて行く。

 

 

「ってオイっ!ボクの服を掴むな!ボクはネコじゃないぞ!」

 

「はいはい、ほらいくぞ」

 

「うにゃあああああ!!!助けてクアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

最後までじたばたと暴れていたが、距離を取ると見たことのある奴に向かって投げられていた。すると「ふぎゃっ!」という声が遠くから聞こえてくる。

 

その様子を見ると明華は「はぁ……」と息を吐き出す。

 

 

「全くなんなんですかあの人は!」

 

「お前、あいつとあんなに仲悪かったのか?」

 

 

俺がそう聞くと顔を逸らして、ボソボソと俺に聞こえない声で呟き始めた。

 

 

「……そりゃそうですよ……。……こ……がた……きですし…………」

 

「え?」

 

「なんでもないですっ!ほら、対戦相手決定しましたよ!」

 

「そ、そうか?んで、対戦相手は……」

 

        ******

 

 

 

「……やっと会えたね。沖野空亜くん」

 

「俺もあなたとは打ってみたかった。今日ここで、あなたを倒す」

 

「うん。君が全力で向かってきてくれるから私も全力を出せる。さぁ、楽しもう!」

 

 

大会4日目、俺の目の前に現れたのは世界の王だった。

 

 

 

 WRMC 準決勝 Cグループ 前半戦

 

 ー 東3局 ー  親 白築慕  ドラ{9}

 

 

 

南家 沖野 配牌{四五九②⑤2246779北}

 

 

(ドラ1!白築慕が親のときにこれは……!)

 

俺は一打目の{9}をゆっくりと切り出す。

 

ドラ切りによるオカルト封じ。ここまでの俺の連荘を含んだ5局は手がよかったのと、ドラがなかったりでオカルトは行使していなかった。そしてチャンピオンも動かなかった。そしてここで俺の力がこの人に通じるのかが判明する。今のところこのオカルトが効かなかった相手はいない。

 

だからこそーーー

 

 

「は?」

 

 

何が起こっているのか、脳が理解を拒んでいた。

 

ほかの2人に効いている感覚は間違いなくある。この抵抗感が毎回相手からは感じ取れていた。だが、1人分明らかに足りないのだ。

 

初めてのことだった。自身のオカルトが全く効かない相手、その事実に俺は、あまりに高い壁を感じていた。

 

しかし、相手は正真正銘の世界最強。この程度で終わる器ではなかった。

 

 

「ーーーうん。さあ、行くよ沖野くん。リーチ」

 

 

白築 捨牌 {南西⑧2横四}

 

 

六巡目、先制リーチは白築慕からだった。切り口、周りの手牌、息遣い、ツモ切りの{2}などのありとあらゆる情報から情報が少ないながらも今までのデータも全てを含めて俺はこの当たり牌の第一候補を{58}待ちと判断していた。

 

親のリーチに対して俺の手も一向聴にまで伸びている。それに俺のプレイングはあくまで振らないギリギリを攻めて攻撃をするもの。故にこんな順目でオリることはほとんどなかった。

 

故にいつも通り()()()ツモってきた{1}を切り出した。いつもならこれで通るし、これ以外の選択肢なんて考えていなかった。

 

 

「ロン」

 

 

だからこそ、彼女の発声を聞き逃しかけた。

 

 

{三四五⑥⑦⑧1345678} 裏ドラ{1}

 

 

「リーチ、一発、ドラ2 12000」

 

「……っ!?」

 

(タンヤオの三面張と一通どっちも捨てて{1}単騎!?)

 

 

結果は一発での放銃+裏ドラのおまけつきだった。正直、意味は分からないが、だが収穫は多かった。

 

まずオカルトが効かない。これで俺は基本的に残り二人にオカルトを集中することができる。

 

次に変則的な打ち方をしてくること。一発で{1}を掴んだのまで仕組まれていたとしたら、おそらく今後もこのように狙い撃ちしてくることはあるだろう。白築慕のオカルトに対してはほとんど情報が出回っていない。唯一分かっているのは{1}を引くことが多いことぐらいであった。今回俺は自身の読みと心中した。その結果の振り込み、つまり、

 

 

(完全に読まれてたな。{1}が俺のもとに来ることも、俺がそれをツモ切りすることも)

 

 

だがまだ認識が甘かった。

 

 

 ー 東3局 一本場 ー  ドラ{四}

 

 

「リーチ」 {二三四五六③③⑥⑦⑧789}

 

 

次の先制は俺だった。三面張で予測では山に9枚で、すぐにツモれる予定だった。

 

だが次に発声したのは俺ではなかった。

 

 

「じゃあ私も、リーチ!」

 

 

親の追っかけリーチ、しかも今切られた牌はツモ切りであった。それだけではない、3順連続ツモ切りである。つまり

 

 

(3巡前に張ってたのにリーチをかけない……おいおい、まさか)

 

 

そして俺のツモ番、俺は牌を引く。

 

 

「っ……!」

 

 

手が震え、思わず牌が手からこぼれる。引いた牌は{1}であった。

 

 

 

白築 手牌 {一二三①②③23789東東}  裏ドラ{2}

 

 

 

東3局 点数状況

 

白築慕   51000

沖野空亜  22000

ーーー   14000

ーーー   13000

 

 

二局で30000点のリードが逆に30000点を追いかける展開になっていた。

 

おそらく今のは完全に狙われていた。俺のリーチに対して一発で{1}をキャッチさせるためにあえて待っていたのだろう。そしてほぼ確定として、おそらく彼女は{1}を自由に操れるはずだ。それこそ自他の手牌からおそらく王牌にまで。

 

リーチをかけるとつかまされ、ダマにしてもおそらく送ってこられる。そして俺はその{1}を処理しなければならず、その隙に和了られる。

 

なら俺がすべきはーーー

 

 

 ー 東3局 2本場 ー  ドラ{北}

 

 

「リーチ」 {四五六九九23567789}

 

「……!」

 

 

次の局も先制は俺だった。あたり牌は{14}、そう{1}を和了り牌にすることで{1}送るに対し一発ツモにするのだ。チャンピオンは先ほどと同じようにツモ切りを繰り返していた。つまりまた一発を狙っているのだ。だからこそこれで次巡に{1}で和了る予定であった。故に{4}が山にいないことも許容リーチだった。

 

 

「な……」

 

 

声の発生源は俺だった。ツモってきた牌は{東}。つまり、彼女は{1}を送ってこなかった。これが意味することはつまり、

 

 

({1}が和了り牌なのがばれてる?だとしたらこれーーー)

 

 

「ロン 8000」

 

 

2巡後に俺は下家に放銃となった。この原因になったのは間違いなく上家、チャンピオンのせいであった。

 

当たり前の話なのだ。彼女のもとには{1}が集まる、つまり彼女がこっちに送ってこない限り彼女のもとに俺の和了り牌は吸収され続けていくのだ。

 

ともすれば山に{1}しかいなかったこのリーチはあの時点で実質カラテンだったのだ。

 

この局での情報もプラスして今までをまとめると、

・リーチすると掴む

・ダマだと永遠に和了れない

・{1}待ちだと実質単騎になって他家に放銃する

 

 

(は?無理では?)

 

 

攻撃手段を抑えられすぎてしまっている。ただ{1}を使ってくるだけ、そうそれだけなのだ。

 

 

「ツモ 1300 2600」

 

 

彼女は笑っていた。

 

 

 

        ******

 

 

 

 ー 南3局 ー  親 白築慕  ドラ{④}

 

 

南2局 点数状況

 

白築慕   77000

ーーー   10900

沖野空亜   7200

ーーー    4900

 

南入し、今もなおチャンピオンは暴れ続けていた。ここまでありとあらゆる手を尽くすものの大した成果は得られなかった。なぜかスピードでもなぜか追いつかれ、打点もあるのだ。

 

ここまでくるともはや俺には一つしか浮かんでいなかった。

 

 

(オカルトを、封じるしか……)

 

 

もちろん東場で失敗したことを忘れたわけではない。だがこれしか打開方法が浮かばないのも事実なのだ。ならばやれるだけのことをしよう。

 

そうして俺は上家の後にドラの{④}を体力の許す限り全神経を集中させてオカルトを発動させた。

 

 

「……!」

 

 

 ー 7巡目 ー

 

 

「ツモ! 2000 4000!」

 

 

どうにか抑えきれたらしく、妨害は入らずに初手以外は手なりで満貫を和了ることができていた。正直ダメ元であったため、内心では相当驚いてしまっていた。

 

そう、俺は思ってしまったのだ、抑えられたのだと。

 

 

 ー 南4局 ー  親 沖野空亜  ドラ{八}

 

 

先程と同じように俺は全神経をオカルトに集中させる。先ほどの疲れも相まり、視界が半分見えていないような朦朧とした状態でなんとか初手に{八}を切り出す。先ほどと同じようにオカルトの発動している気配を感じる。

 

だが彼女は白築慕(最強)なのだ。

 

彼女の初手は{1}だった。その瞬間、この卓から俺のオカルトは消え去っていた。

 

 

「え……?」

 

 

急に体が楽になり、予想外の出来事に思わずそんな声が漏れる。そうして呆けていると次巡にチャンピオンから発声がかかる。

 

 

「リーチ」

 

 

そのリーチに誰も何も為せず、そして彼女は山から牌を見ることなく目前にさらす。

 

 

「ツモ リーチ、一発、ツモ、ホンイツ、裏2 4000 8000」 ツモ{1}

 

{1234567789東東東} 裏ドラ{1}

 

 

 

 

最後の和了り牌は初手に切った{1}であった。

 

 

 

 

『し、試合終了!!今までこれほどまでに沖野空亜が完敗を喫した相手がいたでしょうか!?これで「絶望の世代」全員が1人の前に敗れ去りました!圧巻!この人に土をつけられる相手は果たして存在するのか!?準決勝を制したのは前年度チャンピオン白築慕だあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

恐らく、この瞬間なのだろう。俺が麻雀において初めて絶望したのは。

 

俺はオカルトの行使のし過ぎで全身の力が抜け、卓に突っ伏した。

 

 

 

試合終了 点数状況

 

白築慕  89000

沖野空亜  7200

ーーー   4900

ーーー  -1100

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ということで、入学前のWMRCの話でした。できるだけ恋愛入りたいんですけど恋愛派の人はもう少し我慢くださーい。


では今回もご覧いただきありがとうございました。評価、感想お待ちしております。
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