どうもタピタピです。今回は結構短いです、でもここで切らないと章またぎそうになっちゃうので……。
ということで今話で2章は一旦終わりです!色々たいへんだったここが終わり、ようやく恋愛要素にありつけそうです。
そして評価をくださった、なまこなさん、ガルクッペさんありがとうございます!本当にモチベ上がります!他の方も評価、感想等お待ちしてます!
それでは2章ラスト、どうぞ!
ー5か月後ー
5か月前のあの日に圧倒的な敗北を味わった俺はその日からとある夢を見ることがあった。ただ青く透き通った水面の上に立っている夢。その夢のことを俺は現実世界で覚醒すると忘れ、そして再びこの世界に訪れると以前にここにいた記憶がよみがえるのだ。
そんななんてことはない夢の出来事。
そんな夢の世界に今日俺は意識を覚醒させた状態でやってきていた。
南3局まで追い詰められ、そしてあいつの煽りを受けると、中から何かがあふれ出すような感覚に襲われ次に目を開けると俺はまた水面に立っていた。
「 」
いつもどおり声は出なかった。今までの夢での記憶も徐々に頭に流れ込んでくる。5か月分の情報が頭に流れ込み、若干脳が悲鳴を上げ、膝が水の大地につきそうになるのを歯を食いしばって耐える。
ある程度して痛みがひいてくると次に俺は意味もなく歩いていた。ただただ歩き続けた。一体どれだけの時間が過ぎたのかわからない。1分か、1時間か、それとも1日か、もしかしたらそれ以上かもしれない。だがなぜか足は止まろうとしなかった。まるで何かが自分を引き寄せているように。
そして遂に足が止まる。道のりの果てに見つけたのは『もやのかかった巨大な黒い渦』だった。
これが一体何なのか、果たして本当にこの世のものなのか、頭で理解できたわけではない。だが、どうしてかその正体を俺は分かっていた。
ーーーそう、俺は中学時代にこれを見たことがあった。
そう認識した次の瞬間その黒い渦は急激に大きくなり俺を瞬く間に飲み込んでいった。
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「………………さっきからグダグダと、うっせえんだよ。俺に指図すんじゃねぇ。俺の上に人がいることを俺は決して認めない」
「……っ!?」
あいつに対して多少の煽りをかけた瞬間だった。世界から酸素が消えたように息ができなくなる。どうして息ができないのか、苦しい中何とか頭を回す。周りを見ると他の2人も同じように苦しんで空気を求めていた。
思わずもう一人を睨みつける。奴は飄々とした顔でただ光のない目で卓を見つめ、ゆっくりと目を閉じていった。するとその次の瞬間にはその圧は元々なかったかのように消え去っていた。だが、異常は残っていた。
親の空亜が未だ光のこもっていない手で機械のように牌を切る。その牌はドラでも何でもない{白}だったので俺は何も考えず目をそこから背けた。今までならそれでよかったのだ。そう、
次に俺を襲ったのは類を見ないほどの重すぎる圧力の応酬、そして気づく。オカルトが消え去っていることを。
(ば、馬鹿げてる……。こんな圧力それこそ、白築慕と同等じゃねぇか……!)
あまりに重すぎる圧に汗が止まることなく体を流れ続けていく。奴を除く他二人も同じように冷や汗をこちらから見えるほどかいていた。
だが親が牌を切った以上試合は続いていってしまう。
アレイ {五七八九①①③④⑤457西} ドラ{3}
手牌は別に悪くない、むしろいいぐらいだ。だが今の俺にはオカルトがない。長年連れ添ってきた力だ。いかんせんその力に慣れ過ぎていつも通りの打牌ができなかったことはある。だが、仮にも俺は世界ランカーだ、修正して今できることをしたはずだった。
しかし、それはあくまでできることをしたに過ぎないのだ。
「ツモ 2000オール」
{一二三⑤⑥⑦⑦⑧⑨33} {中中横中}
5巡目には抑揚のない声で発声、手が晒されていた。
元々こいつの麻雀は「強い」というより「上手い」と評価されることが多かった。確かにその読みの力は常軌を逸している。盤面と手出し、ツモ切り、他にもありえないような色んな要素を駆使してあいつは相手3人の手牌をほぼ100%読み切っているらしい。それ故に奴は世界でも1、2を争うほど「上手い」のだ。
だがそれでも麻雀には運が絡む。だからこそ時には読み違えることだってあれば、ツモられ続けて負けることだってある。運の象徴とも呼べるオカルトだってその一端を担っている。
だからこそ、あいつと試合を重ねて考えていったことがあった。
もしその運すらも屈服させることができたのなら、
ーーーその時奴を止められる人間がこの世にいるのだろうか、と。
******
ゆっくりと目を開けるとまばゆい太陽光が突き刺してくる。
「あ、起きた」
そして次に聞こえてきた声は自身を案じるものだった。光に目が慣れたのかだんだんとその姿が見えてくる。
「あれ、小鍛治さん?ここは……」
「ここは会場近くの病院だよ。君、2日も寝たきりだったんだから」
そこにいたのは一緒に大会にきていた小鍛治プロだった。そして次には見覚えのない白色の配色の風景が視界に移り始めた。そして脳も小鍛治さんが言う通りここが病院であるのだと認識していく。
だが認識はできても理解できない今の現状。落ち着いているように見えているのもただ混乱しているだけであった。
「なんで俺病院なんかに……って、試合は!?」
「ん」
試合途中であったことを急に思い出して起き上がろうとした俺を手で制しながら小鍛治さんはある一点を指す。するとそこには優勝と刻まれた金色のトロフィーが飾ってあった。
「優、勝……」
あまり現実味はなかった。なにしろ今の俺には試合当時の記憶、いや南3局からの記憶がないのだ。いきなり優勝のトロフィーなんて渡されても困惑しか生まれない。
そんな俺を見かねてか、小鍛治さんは俺に手を差し伸べてきた。
「ーーーようこそ、沖野空亜くん。私があなたを最強にしてみせるよ」
突然の行動、発言に再び脳が思考を停止させる。だがその行動をした小鍛治さんはふざけなど微塵もない表情で俺の目を見ていた。
「なんでそんな驚くの?だって約束したでしょ?。優勝したら手伝ってあげるって。それに面白いものも見せてもらったしね」
確かに俺はそのために大会に出ていたが優勝した記憶すらないというのに認められるというのもどこか釈然とはしなかった。しかし彼女の手は未だに俺に向けられたまま。
思考がまとまりきってない中、それでも俺にはこの手を払う選択肢など彼女を初めて訪れたあの日から、いや白築慕に負けたあの日から心にあるはずもなく、俺は覚悟と共に差し出された手を握り返した。
その返答を受けて小鍛治さんは笑みを浮かべる。
「うん、これで契約成立だね。じゃあ無事退院できたら日本にもどってオカルトの練習してみようか」
「え?練習って、なにもこの現象については分からなかったんじゃなかったんですか?」
確か彼女は俺の「オカルトの制限を外したいという」目標に対して何をすればいいかはわからないと答えていた。それでも練習を手伝ってくれるという条件が今回の俺に与えられた報酬だった。
しかし今彼女はまるで何をすべきか分かっているような答え方をした。
「え?あぁ、そっか、そういうことか。君はあの試合のことを覚えてなかったんだったね。うん、私もちょっと前まではなんにも分からなかったけどね、今なら多少は協力できるよ。なんたって、君はすでにオカルトの制限をあの試合で取っ払ってみせたんだからね」
「は?」
俺の疑問に対して何でもないかのようにそう告げる小鍛治さんを思わず見つめてしまう。オカルトの制限を外した?俺の最終目標であったそれをたった1日で完成させた、そう言われやっと回り始めていた頭はまたフリーズしていた。
(考えることが多すぎる……!)
そんな俺をおいてなぜか俺から顔を背けた小鍛治さんはゆっくりとドアの方向に向きなおした。
「じゃあ、お医者様がそろそろ来ると思うからそれまで待っててね。私は一足先に日本に帰ってちょっと準備するよ。準備できたらこっちから連絡するからさ、それまでは体を安静にしてるんだよ!」
「え、あ、はい。……あの!ありがとうございます!」
顔を見せないで俺に伝えるとドアを開いて帰ろうとする小鍛治さんに俺は頭を下げ感謝の言葉を伝える。今の入院だけでなくこれからも多くの迷惑をかけるだろう、いうならば感謝の前払いである。
「じゃあ、結果で示してね♪」
その言葉に小鍛治さんはなれないだろうウィンクをして返した来た。頬はひくついていた。
そうして小鍛治さんが部屋を出ると俺は病室に一人取り残されていた。
「……そうか、できたのか……。…………よし、……よぉっしゃぁぁぁ!!!」
頭を落ち着かせていくとようやく優勝という言葉と目標を無意識下ではあるものの達成したということが脳に沈み込んでくる。
俺の歓喜は医者が部屋に入ってきて「他の部屋の患者さんに迷惑です」と怒られるまで続いていた。
******
鳳凰に苦汁を飲まされた一人の人間は鳳凰、そして龍を殺すための武器を手に入れるために旅に出る。
春が過ぎ、夏が過ぎ去ろうとする中、その人物は長い旅の果てにとあるものに出会う。
黒い渦、この世を平常にしたという災禍である。
はい、ということで2章終了です。次はやっと日本に戻ってきます。
そういえば言ってなかったので、もう言ってしまいますが、この話には最終的なヒロインが1人います。さぁ、誰なのか予想しながら見てるとちよっとだけ今より面白いかもです。
それではまた次回会いましょう!感想、評価お待ちしてます!