日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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大変お久しぶりでございます、タピタピです。

1ヶ月ほど前から別作品書いてまして、慣れてきたのでこっちも再開しようと思います。

ただ、切れ目が悪すぎて、今回はとても短いです。

それでは本編はどうぞ。



第17話 竜打ち砕くは槍也。

 

 

 

インターハイのあった灼熱の夏休みが終わり、九月の中旬、気温も若干下がり多少は過ごしやすい気候になってきていた。

 

そんなとある土曜日、千里山の部室はいつもとは違う緊迫感に包まれていた。それもこれからの練習試合の相手がすべての元凶である。

 

対戦校が来るまでに時間があるということでうちは竜華とセーラのいつもの三人で卓を囲んでいた。

 

 

「そろそろ来るんやないか?」

 

「あ、ほら来たっぽいで」

 

 

太陽が一番上にかかろうかといったところで外から大勢の人の歩く音が聞こえ始めると、卓上を片付け、一列に整列を始める。それから数分、部室のドアがノックされた。

 

迎えに行っていた生徒がドアを開けると、今日の対戦相手である王者、白糸台の生徒が軽くお辞儀をして入ってくる。その中でも特段目立つ髪色、赤髪のチャンピオンが姿を表すと少しざわめきが起こった。

 

 

「今日は遠路はるばる来ていただきありがとうございます」

 

「いえいえ、場所をお借りしていますので。今日はよろしくお願いします」

 

 

監督同士の軽い挨拶を終え、各々の試合に移ることになる。今日の形式は四つのグループに分かれたリーグ戦を数回行い、最後はその順位ごとに卓を囲むことになる。

 

各グループの組み分けごとに試合が始まっていき、それから各々が目の前の相手に勝つために全力を尽くした。そうして、グループ戦が終わると、うちはグループ一位の卓に向かうと、既に白糸台の生徒が1人座っていた。

 

 

「初めましてやな、チャンピオン。園城寺怜っていいます、よろしゅうな」

 

「……初めまして、宮永照です」

 

「うちも初めまして、清水谷竜華いいます」

 

「私が最後かな。お二人は初めまして、2年の宇野沢栞です。よろしくお願いします」

 

「じゃあ、サイコロ回しますね」

 

 

最後に白糸台の宇野沢さんが卓に着くと、竜華が断りを入れてサイコロを回す。チャンピオンは西家。彼女の性質上は北家が最も通るため、それだけでないだけで万々歳である。

 

(いうなら起家だったら大満足やったんやけどな)

 

 

そんなことをぼやきながらうちも牌を揃えていく。うちの起家のため、一打目の{⑨}を河に送る。

 

そうして数巡、最初の和了りはあっさりと訪れた。

 

 

 ー 6巡目 ー

 

 

「ツモ 2600オール!」

 

怜 {二三四九九24東東東} {3} {横③②④}

 

 

4巡目の{③}チーで聴牌し、開幕はうちの7800の和了りとなった。そして3人から点棒を受け取り、一息ついた瞬間のことだった。

 

 

「「……!?」」

 

 

思わず後ろを振り向く。もちろん何かあるというわけではないが、明らかに感じたのだ。誰かに自分のすべてを見られているような、そんな気味の悪い感じであった。卓全体にいやな雰囲気が流れているまま一本場が始まったが手はすぐに開けられた。

 

 

 

 ー 5巡目 ー

 

 

 

「ツモ 300 500」

 

照 {一二三六七八④⑤⑥79北北} {8}

 

 

 

(もう張ってるんか!?)

 

あまりにも早い手に何もできずにツモられてしまう。聴牌気配が全く感じられなかった。これからは色々と宮永照の情報の修正が求められていた。そしてチャンピオンはいつもと変わらず最初の和了りを最も安いツモで締めてきた。

 

この300 500がこれからの地獄の始まりの合図だった。

 

 

 

 ー 東二局 ー ドラ{9}

 

 

「ツモ 400 700」

 

照 {234①②③③④⑦⑧⑨88} {②}

 

 

 

 

 ー 東三局 ー ドラ{2}

 

 

「ロン 2900」

 

照 {七八九23456678北北} {1}

 

 

 

 

 ー 東三局 一本場 ー ドラ{西}

 

 

「ツモ 2100オール」 

 

照 {六七八⑥⑦123678白白} {⑧}

 

 

 

 

 ー 東三局 二本場 ー ドラ{一}

 

 

「ロン 12200」

 

照 {一二三六六七八九⑦⑧⑨78} {9}

 

 

 

(……止められない……!)

 

 

 

東三局 二本場

 

園城寺 29800

清水谷  7100

宇野沢 16700

宮永  44200

 

 

 

四連続和了からの竜華の2打目の{9}をチャンピオンが和了り、5連続和了となると点差は15000を超えていた。振り込んだ竜華はというと信じられないという目で晒された手牌を見ていた。それは竜華もまたチャンピオンの速度を捉えられていないということであった。

 

言うならば常識(経験)の通用しない相手、それが今のうちらの中での宮永照という存在だった。

 

 

三本場、手牌を確認する。

 

 

 

怜 {一一二八八③④⑦789西西}

 

 

 

自風の西が対子、牌姿も相当によい。

 

(この局で止める……!)

 

 

覚悟を決め、ふぅと一息つくと卓に冷たい空気が流れ始めたのを感じた。反射的に対面を見るも、彼女の視線はうちの下家に向いていた。それに合わせうちも下家(竜華)を見る。その目は冷たくなっていた。

 

 

竜華 {一七③③⑤⑥⑦⑨⑨234西}

 

 

(竜華も無極点を使っとる、ここで終わらせる気なんやな)

 

 

1巡目、竜華は{西}を切り出し、それをうちはポンする。この西のポンによってうちも聴牌。竜華も差し込めるならそっちに切り替えてくれるはずである。今の優先順位は連続和了の阻止、この場の誰しもがそう思っていた。無極点を使っている竜華にとっては差し込みなど造作もないことである。

 

 

 

怜 {一一八八②③④789} {西西横西}

 

 

 

二巡目の{一八}待ち、そして竜華はツモって来た牌をノータイムで切り出す。その牌は{一}であった。

 

 

「!ロ「ロン」……!?」

 

 

歓喜、声高らかに和了り宣言しようとしたのを邪魔したのは1番聞こえてはいけないはずの対面から聞こえてきたうちと同じ言葉であった。

 

 

(まだ一回もツモってないやないか!?)

 

 

それが示すのは配牌時に聴牌、つまり天和チャンスであったということ。

 

冷静になる前に大粒の汗が手に落ちる。先程は11600、そして彼女の打点は必ず上がってくる。つまりこれが意味するのは、

 

 

 

 

 

照 {二三四四四六七八西西中中中} {一}

 

 

 

 

 

 

「12900」

 

 

 

 

 

 

試合終了

 

園城寺 29800

清水谷 -5800

宇野沢 16700

宮永  57100

 

 

 

        ******

 

 

 

白糸台との練習試合を終えたうちらは何となく空亜の家に向かっていた。怜が行こうと言ったわけでもなく、私が言ったわけでもなくただ2人で何となく行きたくなったのだ。

 

 

「……負けたなぁ」

 

「……せやね。完敗やったわ」

 

 

数時間前の試合が今でも鮮明に思い出される。

 

 

「何もできなかった」

 

 

 

怜が吐き出した言葉通り、うちらは何もできなかった。最終局、私は無極点を使い、怜も自風をポンしての2巡目聴牌であったように見えていた。そしてあの{一}が恐らく当たり牌であると今までの経験と諸々から判断した。

 

大して宮永照はツモ番を飛ばされ、一度も手牌に新しい牌を入れていない状況。だというのにうちらの{一}にいとも容易く合わせられていた。まるでそうなることが決めつけられているかのように。

 

 

 

「……勝てるんかなぁ」

 

 

いつになくネガティブな怜。ここまでの完敗はそれこそ空亜と久々に打った時と2度目ではないだろうか。まさしく彼女は最強であった。故に思ってしまったのだ。

 

 

ーーー宮永照ならば沖野空亜にも勝てるのではないだろうか、と

 

 

それだけの実力差が今のうちらと彼女の間にはあった。

 

そんな気持ちで空亜の家に向かって歩いていた時であった。

 

 

「…………っ」

 

 

前から走ってくる少女の姿が見える。既に日は落ち、顔も下を向いていてこちらにも気づく様子のなかったため、うちらは少し壁により彼女に道を空ける。

 

通り過ぎる際にわずかな明かりで見えた彼女の髪の色は赤。その少女が着ている制服もうちらは心当たりがあった。

 

うちが怜の方を向くと、彼女は今しがた去っていった生徒の方向を見続けながら呟いた。

 

 

「今の、白糸台やったな」

 

「……せやな。それで赤髪、うちは1人しか心当たりがないんやけど」

 

「奇遇やな。うちもや」

 

「「宮永照」」

 

 

その少女は顔こそ見えなかったものの、間違いなく昼間に対戦したチャンピオン宮永照、その人だった。

 

 

「なんでここに?」

 

 

2人で理由を考えながら歩く。この辺りはただの住宅街で、特段ホテルなどの宿泊施設があるわけでもない。彼女がここにくる理由などなさそうなものだが。

 

答えがわかるわけでもなく、いつの間にか空亜の家の前に来ていたうちらは一旦考えを保留にし、インターホンを押す。

 

すると中から「はーい」という声が聞こえる。女性の声で。

 

 

「「は?」」

 

 

2人してそんな声を漏らして硬直しているとガチャリ、という音と共にドアが開かれる。すると中から出てきたのは

 

 

「あれ?あなた達、千里山の……」

 

「え?宇野沢さん???」

 

「な、なんで宇野沢さんがここにおるんですか!?!?!?」

 

 

姿を現したのは同じく先ほど卓を囲んだ、白糸台の2年生レギュラー、宇野沢栞さんだった。宇野沢も同じように驚いた顔をして固まっていたものの、何を思ったのか手を合わせ、何かわかったように目を輝かせる。

 

 

「…………まさか(くう)の彼女さん!?」

 

「「はいぃ!?!?!?」」

 

「んなわけあるか」

 

 

未だに状況が飲み込めないうちらに対して落とされた爆弾によってさらに目を回す羽目になったうちらの代わりに中から空亜が姿を現し宇野沢さんの頭に軽くチョップを入れる。

 

 

「いたっ!?叩かなくたってぇ……。この子達って空の知り合いなの?」

 

「そうそう。それとお前ら、来るなら連絡しろって。連絡してればこんなめんどくさい状況にならなかったのに……。ま、とりあえず中入るか?」

 

 

空亜が少し呆れながら指を家に向ける。

 

 

「え、いいの?」

 

「?あぁ、別に姉さんも気にしないよ。な?」

 

「うん、そもそもここは空亜の家なんだから別に私の許可なんか取らなくていいよ」

 

「ありがとね、姉さん、飲み物二人分用意してきて。1つはオレンジジュースと、竜華はどうする?」

 

「あ、じゃあ緑茶で」

 

「うん、了解。じゃあ先戻ってるねー」

 

 

そう言ってルンルンな宇野沢さんが家に入っていくのを後ろからついていった。

 

 

 





ここまでのご精読ありがとうございました。

ウマ娘で10000文字とか書いてたせいですごく短く感じる。


もしかしたらまた連日投稿とかするかも。

それでは評価、感想等お待ちしてます。
また次回お会いしましょう。
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