日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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どうもタピタピです。

2週間って言ったのに、5分間に合わなかったと現在AM 0:05に絶望しています。すみませんでした。

さて、今回はのんびり回、是非読んでいってくださいねー


第3話 夏に向かって

 

陽も暮れだし、半日行われたうちら千里山女子と姫松の練習試合は幕を閉じることになり、整列する運びとなった。

 

 

「ほな、今日はここまでや!整列!礼!」

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

 

うちらと姫松のお互いが互いの健闘を讃えあうようにして挨拶をすると今日の部活も解散となり、姫松が部屋から出て行くのを確認してから親友の怜はソファにふらふら〜っと倒れていった。

 

 

「つーかーれーたー」

 

「大丈夫?具合悪くない?」

 

「大丈夫やで〜りゅうか〜。ちょっと、眠、い、だけ、や……ガクッ」

 

「と、とき〜!!!」

 

「いや、そんな悲惨そうな声出すなや。ただ寝ただけやろ」

 

「?こういうのって乗らんといけんのとちゃうん?愛宕さんが言っとったで?」

 

「あいつ……」

 

 

とりあえず片付けが終わるまでは怜を寝かせておくことにする。入学からの1ヶ月で怜が病弱で過去に入院も繰り返しているのを部員全員が知っているのでこの事に文句を言うような生徒はいない。

 

このソファも実質部活後は怜専用になっている。

 

 

「ふふっ。今日は怜も珍しくはしゃいでたなぁ」

 

「せやなぁ。怜も本当に強くなった」

 

「中学の頃は暇あれば麻雀の勉強、暇がなくてもずっと麻雀を考えて生活しとったし、昔のグータラの頃とはえらく変わってしもたね」

 

「……まだ、アイツは見つかってないんか」

 

 

のんびり怜の髪を掬っていると、セーラの顔が少し俯き、重々しく言葉を発した。誰をとは言っていないが誰のことを言っているのかは言葉の雰囲気から分かってしまう。

 

 

「……せやね。もう麻雀へやめてしまったんかなー」

 

「大丈夫や。きっとお前らが麻雀をやってる限りはそいつもやってるんとちゃうかな」

 

「なんでそんなことが言えるん?ちょっと無責任やない?」

 

 

軽い感じに少し諦めかけていた私の発言にセーラが励ましを入れてくれた。だというのに何故か言葉はキツくなってしまう。色々と疲れてしまっているのだろう。そんな私にセーラは笑顔を浮かべて

 

 

「だってお前らが話してくれたソイツは麻雀を楽しんでたんだろ?なら、やめられるわけなんてないやろ」

 

「そう、なのかな」

 

 

いまいちセーラの理論は分からなかったが、それでも少し深くへと落ちていっていた心をいつもほどに落ち着かせることはできていた。

 

 

「うん、もう大丈夫や。迷惑かけてごめんな?」

 

「おう。さてみんなも帰っちまったし俺らも帰るか。おーい、怜ー起きろー」

 

 

セーラの声が聞こえているのか体を捩らせるも怜は起きようとせず、まだ寝ていることを怜の口が証明していた。

 

 

「んぅ、んん……く、あ……うちのかち、やで〜」

 

「!!……とき……。はぁ、怜!帰るで!」

 

「ん〜?りゅうかぁ」

 

「起きた?」

 

「起きたー、ふわぁぁ〜」

 

 

目を擦りながら体を起こす怜。まだ眠いようで目は完全には開いていない。……寝言で出てくるぐらいまだ……。

 

 

「さっき寝言言ってたけど、なんか夢でもみてたん?」

 

「ん、なーんか懐かしい夢やった……気がするわ」

 

「よっぽど疲れてたんやね。ほな今日は早く帰ろうか」

 

「おんぶして〜な竜華」

 

「朝までそんなこと言ったったなぁ……。はぁ、少しだけやで?」

 

 

うちの背中に体を預けてくる怜にそう言葉をかけると、ゆっくりと体を持ち上げる。うちと同い年にしては軽すぎる体重に少し心配してになる。

 

 

「怜、ちゃんとご飯食べてるん?痩せすぎやない?」

 

「食べてるけど、うち常人より食べる量少ないしなぁ」

 

「なら、今日はうちがごはん作ったあげようか」

 

「ええんか!?やったぁ久しぶりの竜華のご飯やぁ」

 

「怜だけずるいわ!なぁ竜華俺も行っていいか!?」

 

「ええで〜。ただ買い物は付き合ってなー」

 

 

そうして3人で学校を出て、買い物をしてうちの家へ向かう。怜のお母さんへの連絡も忘れることはない。こういうパターンは過去にもう幾度としてきているのであっちのお母さんからも「お願いね」と頼まれてすらいる。

 

こんな日々がずっと続けばなぁ、と思う。それでもどこか心に穴が空いていて、100%の幸せにはならないのだ。

 

 

(空亜、早く帰ってきて)

 

 

 

 

        ******

 

 

 

「怜、来週テストなの覚えてる?」

 

「え?」

 

 

学校終わりの放課後、私の問いに怜はそう答えた。

 

姫松との練習試合から数日後の金曜日、うちらには中間テストが迫っていた。私は毎日ちゃんと授業受けて家でもコツコツ勉強していたし、自分で言うのもなんだがそこそこ勉強はできる、はずだ。

 

だが問題は親友にあった。中学の頃は推薦が途中から決まっていたし、そこまて本気で取り組むことなく乗り越えてきた怜だったが、ここではもちろん勉強をしなければならない。だが私はーーー

 

 

「ガクガクガクガクブルブルブルブル」

 

 

ーーーまだこの少女がテスト勉強しているのを一度たりとも見たことがなかった。それどころかこの様子、そんなものがあったことすら忘れていたのだろう。段々と親友の顔が青くなっていく。

 

 

「怜……」

 

「や、やばいんか!?うち、やばいんか!?」

 

「当たり前やで?ここで赤点でもとったら大会出られへんやん。セーラですら今は麻雀やってない時は勉強してたで?」

 

「嘘、やろ……」

 

 

ダメージがでかいのか、膝を床につく怜。だがそんな時間があるなら勉強するべきなのだ。そっと親友の肩に手を置くと、怜は涙を浮かべながら顔を上げた。

 

 

「り、りゅうか!!助けてくれるんか!!」

 

「さ、怜のうちに行って()()()()で勉強すんで?」

 

「いややあぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 

        ******

 

 

 

放課後、親友から死刑宣告を告げられた後、うちは竜華と集合したセーラを連れてうちの自宅へ帰ってきていた。あの後セーラに、勉強会の話をすると参加するということになり、結局いつもの3人ですることになった。

 

 

「ただいま〜」

 

「お邪魔しまーす!おお、ここが怜の家かぁ」

 

「お邪魔しまーす。あれ?そういえばセーラは怜の家来たことあらへんかったっけ?」

 

「ないなぁ。大体は竜華の家やったし」

 

「そういえばそやなぁ。竜華の家の方がなんでもあるし。今日はなんでこっちなんや?」

 

 

言われてみればそうで、料理の器具の種類や客間などもある竜華の家の方がなにかと便利なので、うちに来ることはあんまりない。うちに来たって普通の家だし。ということで今回についてその辺を竜華に聞くと、何故かハイライトが消えた目でうちのことを見つめていた。

 

 

「そんなん、徹夜でやり続けるからにきまってるやん。寝かさへんで?幸いテストは休日挟んで三日後、まだ今からでも間に合うし」

 

「え、うち一睡もさせてもらえないん?」

 

「?当たり前やろ?赤点やで、赤点」

 

「……」

 

「竜華、その辺にしときぃ。怜が息しとらんで」

 

 

セーラがせめてもの救いの手を伸ばしてくれると、竜華の瞳に光が戻り、少しバツが悪そうにちょっと飲み物持ってくるわと出て行った。

 

そんな姿を見ながら思った。

 

 

(あぁ、うちの体持つんかなぁ。うち、病者なんやけどなぁ。)

 

 

そんなことを考えていると竜華が飲み物を全員分持ってきてくれる。その後のことはあまり覚えていない。次にうちの記憶があったのは夜ご飯を食べ終わった後(記憶なし)に少し部屋で休憩していた時だった。

 

 

「にしても、怜の部屋初めて入ったけど本しか無いな」

 

「せ、やな……。常に読んどったらこんなんなってしもうて……」

 

「これ500冊はありそうやない?」

 

「多分、あるで……」

 

「と、怜?大丈夫?」

 

 

疲れがどっと溜まり言葉を返すのも億劫になっていると竜華が心配してくれた。「犯人あんたなんやけどな」などと言えるわけもなく恨みがましく目を向けるとまた目から光が消えそうになっていたのでそっと視線をセーラに外す。

 

 

「何冊かセーラに貸してあげるで?好きなの持ってってええよ」

 

「マジでか!?ならーーー」

 

 

セーラが欲しい本を選び出す。それに流されるように本棚を見ていると中学の頃の麻雀漬けの日々が思い出されていく。インターミドルも結局は優勝できず、空亜も見つけることは出来なかった。大会後に泣いたはずなのに、帰ってきてこの本棚を見たらまた涙がこぼれてきたこともよく覚えている。

 

 

「っ……」

 

 

それにその傷が癒えたわけでもない。まだインターミドルはいい、だがもう一つの方は結局中学三年間でも叶うことはなく、傷は癒えることを知らなかった。その様子に何かを感じたのか

 

 

「竜華……」

 

「大丈夫、大丈夫やから」

 

 

竜華がそっとうちの手に手を重ねてくれる。大丈夫というのはただ単にうちに言っているだけなのか自分にも言い聞かせているのかは分からないが昔から変わらない親友の手の暖かさに段々と心か落ち着いてくる。

 

 

「ありがとう、竜華」

 

「親友やで?これぐらいのことはさせてーな」

 

「何でもかんでもやってもらってるような気がするんやけどな」

 

「怜〜決まったで〜ってどうしたんや手なんて繋いで」

 

 

2人して笑っているとセーラが数冊の本を抱えてこっちへやってくる。

 

完璧すぎるタイミングの登場に逆に狙ったのではないかという疑問も浮かんだがセーラに限ってそんなことはないかと心を改める。

 

 

「それでええんか?」

 

「おう!1ヶ月ぐらい貸してもらうで?まだまだ借りたいのはあるんやけどな、流石に多くて今回はこれだけにしとくわ」

 

「にしても相変わらず攻めの本しか取ってないやんな」

 

「防御なんてやってたら高い手上がれないやろ?」

 

 

この思考こそが彼女がインターミドル準優勝を掴むことができた理由なのだろう。こういう自身の信念を貫くことができる人は本当に強い。愛宕洋榎も同じように防御を極めた。それは一つの技を極めるに限った話ではなく心のありようなのだと大会後には考えたりもした。

 

それでも結局答えは分からなかった。

 

 

「セーラは相変わらずやな」

 

「これが俺の麻雀やからな!」

 

 

それからまた勉強を再開、九時を回るとセーラは帰宅、竜華は泊まるらしくうちのお母さんもOKを出している。だがその日うちはベッドに入ることはなく、限界を迎え寝落ちという形で睡眠に入ることになってしまった。それを2日ほど繰り返した後のうちの顔はどんなふうになっていたのか。セーラが一歩引いていたので深くは考えないようにしたのだった。

 

 

 

        ******

 

 

 

「アハハハハハハハハハハ」

 

「と、怜?」

 

 

3日間のテストが終わった木曜日、うちは自分の教室から出て、親友の教室に入ると親友が壊れていた。

 

なんとか土日で詰め込み、万を辞して挑んだ中間テストは怜の勉強を見ていたおかげで復習ができていたのでそこそこの点は取れたと思う。しかし問題の怜は1日、1日とテスト期間がすぎていく度に疲弊していき、そして現在、

 

 

「アハハハハハハハハハハ」

 

「保健室行かな!!」

 

 

完全にショートしている。急いで保健室に連れて行き、先生に説明、ベッドに寝かせる。テストに関しては昨日までは会話が成り立っており、その時の発言曰くーーー

 

 

『あ、赤点はないで?……たぶん。命削ってやったんやで?だ、大丈夫やろ……』

 

 

らしい。保健室でぐったりして眠っている怜は気持ちよさそうによだれを垂らしていた。そこに元気な足音が近づいてくるのが聞こえてくる。

 

 

「生きとるか!?怜!」

 

「うるさいでセーラ」

 

「お、おぅ……すまん。大丈夫そうか?」

 

「なんとか大丈夫や。流石にさっきは狂気じみてはいたけど」

 

「らしいな?なんか学年で軽く騒ぎになってたからな」

 

 

まぁ、推薦で高校受験をしていないようなものだった怜にとっては久しぶりの本気の勉強だったし流石に無理があったのだろう。にしてもこれから部活だというのにこんなにスヤスヤと寝て、起こすのが憚られる。

 

私がどう起こそうかと思案していると、セーラがポケットから何かを取り出していた。

 

 

「なにそれ?」

 

「ん?怜を起こす必殺アイテムや!」

 

 

そうして彼女が出したのはーーー

 

 

「いや、麻雀牌やん!?」

 

「せや!いくで〜」

 

 

怜の近くに寄るとセーラは怜の耳元に麻雀牌を近づけ、そして

 

        カンッ!!

 

と2つを互いに叩き合わせた。その甲高い音が部屋内に広がると次の瞬間

 

 

「!!!」

 

 

ガバッと布団から怜が飛び起きた。そして辺りをキョロキョロすると、麻雀牌を見つけ、目をキラキラさせる。

 

 

「ま、麻雀や!うちは麻雀がしたいで!!」

 

「せやろせやろ〜〜。これから部活やで?こんなとこで寝ててええんか?」

 

「!せやった、こんなとこで寝てる場合やないやん!ほら2人とも早く行くで!」

 

 

そうして怜がすぐさま保健室を出て行くのを見て私はおもわず一言こぼした。

 

 

「怜、麻雀バカになってるやん」

 

 

 

        ******

 

 

 

数日ぶりの部活を終え、帰宅。そして翌日、うちはテストを返却されていた。

 

 

「園城寺!」

 

「っ!はい!」

 

 

先生に呼ばれ、カチコチになりながらも教壇へ向かい、一枚の紙をもらう。先生の顔はなんとも言えない感じだった。

 

 

「赤点ではないが、最初がこんなんじゃ後が怖いぞ?」

 

「赤やないんですか!?よっしゃあ!!」

 

「騒ぐな」

 

 

ファイルで頭を叩かれるも、なんとか耐えたという喜びのおかげだろうか余り痛みは感じない。先生は、はぁとため息をついてからうちに着席を呼びかける。

 

その後も無事、赤点は回避。特に苦手な数学に関しては赤点の一点上という本当にギリギリの点数で乗り切った。

 

放課後、うちは竜華と合流し点数を報告、よかったわぁと涙ながらにうちより喜んでいる様子を少し引き気味に見つつもセーラを待つ。彼女は少しずつ勉強していたと言っていたし大丈夫だとは思っていたのだが。

 

 

「……」

 

「これはやらかしとるな」

 

「セ、セーラ?赤点あったん?」

 

「……二教科」

 

「なんで勉強したったのにそんなことになったん?」

 

「怜のせいや」

 

「嘘やん!?」

 

 

まさかの原因はうち。もちろんそんな覚えはないのだが、なぜか竜華は納得がいったように頷いていた。

 

 

「え?マジでうちのせいなん?」

 

「どうやろ?半分ぐらいやない?どうせ麻雀の本読んでたら全部忘れたとかなんやろ?」

 

「うぐっ……はい。ごもっともでございます」

 

 

赤点があるってことはセーラはインターハイ出られへんのやろうか?そんな疑問を、感じ取ってか竜華が首を横に振る。

 

 

「ちゃうで?とりあえず追加課題出せば今は大丈夫や。でも期末もおんなじことしたらマジで終わりやからね?」

 

「あれ?それでええの?なんかヤバいみたいなこと言ってなかったっけ?」

 

「あれは怜にやる気出させるためにちょっと盛ったんや」

 

 

マジですか……なんや、少しがっかりやわ。うちの努力は一体……そんな中、セーラは落ち込み続けている。

 

 

「……やっぱ怜のせいや」

 

「貸しただけやで!?うちでも赤点なしやというのに、情けないやつやなぁ」

 

「はぁ……」

 

 

こうしてうちらの波乱の中間テストは幕を閉じた。ちなみに竜華は流石の出来と言ったところで学年3位という成績をうちらの面倒まで見ながらとっていた。神様、流石に贔屓しすぎやないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





評価•コメントお待ちしております。是非是非お願いします。

それに皆さん今年は暑いんで水分補給はしましょう!最近一緒に行動していた奴が急に隣で熱中症倒れたんで。マジでビビる。
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