日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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どうも、相変わらずの3週間投稿、タピタピです。

いやぁ、咲-saki-23巻、怜-toki-9巻、最高でしたねー。

雀明華の風集まるの強すぎですよね、私の元にもなんかオカルト来ないかなぁーと思う日々です。

それでは、今回で県予選編はラストです。どうぞぉ!


第6話 絡んだ糸はまたほぐれて

 

園城寺怜の棄権。それは全観客に衝撃を与えた。

 

試合後、大会本部の方で話し合いが行われ、先ほどのメンツ(園城寺を除く)+現在の3位である先輩がもう一度打つという結果になった。ただし先輩は先程最終試合を終えているためこの試合でスコアの変化はないという。

 

この報告は清水谷竜華と園城寺怜以外の先ほど卓に座っていた二人からしてみれば吉報であった。何せあの悪夢のような点数状況がやり直しになったのだ。

 

そして1時間後、試合が始まり、終了のブザーが鳴ったのは開始から1時間後のことだった。

 

 

 

         ******

 

 

 

「みんな、今日はお疲れ様や!1位から3位まで独占しての全国行き、よう頑張ったと思う!けどまだまだや。全国はこんな比やないことはみんなわかっとるはずや、これから1ヶ月、死ぬ気で努力せい!今回3位に入れなかった奴も彼女らが、万全の状態で出れるようしっかりサポートに回るんや!全員で優勝を目指すで!!それじゃ今日は解散や!お疲れ!」

 

 

監督の言葉で解散がかかると、みんなが次第にバラけ、帰ってきた高校の正門を1人、また1人とくぐっていく。

 

そんな中うちは監督の身支度を待っていた。しばらくすると正門前に一台の車が現れ、ドアが開けられる。中から「はよ乗れぃ」と聞こえてきたので入らせてもらうとその車は走り出した。

 

 

「お疲れ様やったな清水谷」

 

「いえ、まぁ、はい……結局負けちゃったんですけど……」

 

「それでも今日はお疲れ様や。色々と、な」

 

「……はい」

 

 

インターハイ北大阪予選、私の結果は4位だった。

 

再戦となった最終試合、3位の先輩と私の実力はいつもならほぼ互角であったが、今日はそう上手くはいかなかった。試合中蘇ってしまうのは倒れ込み起き上がらない親友の姿。その光景を思い出してしまうだけで脳が思考を停止してしまった。

 

そして気がつけばラスで試合は終わっており、そこで私の大会は終わりを告げた。

 

 

「園城寺はとりあえず命に別状はないらしい。ただまだ意識がないから当面は入院することになりそうや」

 

「そうですか。とりあえずはよかったです」

 

 

とりあえず無事であることに安堵しつつも目の前で倒れるのを見てしまったからだろうか、漠然とした不安は未だ心に残り続けていた。

 

 

 

        ******

 

 

 

トントン、と、ノックをしゆっくりとその扉を開ける。

 

 

「失礼します。……怜」

 

 

ドアを開けると、そこにはベッドに横になり目を閉じている親友の姿があった。

 

今までも何度か怜が入院してしたことはあったが倒れ込んで運ばれたことは私が一緒にいた中では初めてのことだった。

 

そんな親友を眺めていると後ろから足音が聞こえてくる。

 

 

「速すぎや清水谷……。園城寺は、まだ寝てるか」

 

「はい……」

 

「そうか、なら私は今日はお暇させてもらうわ。色々やることがあるんや。お前はどうする?帰るんなら車に乗せてくが」

 

「いえ、今日はもう少しここにいたいと思います」

 

「そうか、体には気をつけて無理はするんやないで」

 

「はい」

 

 

そう言うと監督は失礼しましたと言葉を残して部屋を去っていった。その様子を確認すると私はまた怜の方に向き直る。

 

これでもう起きてました、なんてことならよかったのだがずっと一緒にいたからこそこれが狸寝入りでないことも分かってしまう。

 

 

「ごめんな、試合終わらせてしもうて。あんただって自分が危険だってことは分かってたやろうに。……余計なお世話、やったんかなぁ……」

 

 

あの瞬間私は確かに逡巡した。これが怜にとって本当に正しい選択なのだろうかと。それでも多分何度あの選択肢を繰り返しても自分は怜を止めるんだろうと思うし、後悔だってしていない。

 

それでも罪悪感が消えるわけではない。彼女の想いを叩き割ったのは他でもない私自身なのだから。

 

 

「……」

 

 

というよりもそもそもなぜ怜は急に発熱したのだろうか。

 

東一局で、私が最初に無極点を使用した時には怜は発熱などしていなかった。つまり、病気などの可能性は低いということ。なら……

 

 

「まさか……」

 

 

思い当たる節、それは私が違和感を感じた東一局一本場の怜の和了りだった。明らかおかしい手作り、和了り、そして周りの異常な副露率。私にはいつもの怜とは違うようには思えた。そしてその結論として弾き出したのは

 

 

「ーーー代償、なんか」

 

 

 

        ******

 

 

 

「んぅ……あ、あれ?朝?」

 

「せやで〜もう朝やで〜」

 

「っ!?怜!!体調は!?」

 

 

怜の入院している病院に来ていた私はベッドの近くの椅子に腰掛け、夜遅くまで色んなことを考えながら怜の看病をしていた。だがその日怜は起きることはなく、いつしか私が眠りに落ちてしまっていたらしい。

 

そして現在、朝日で起床すると目の前にあったのは目を開けた親友の姿だった。

 

 

「怜ちゃん完全復活や。心配かけたなぁ」

 

「よかったぁ〜。……怜、ほんまにごめん」

 

 

彼女の体調の確認が済むとやっとひと息をつくと、私は怜に頭を下げた。

 

 

「なんで竜華が謝るんや?それはこっちのセリフやろ。ほんまにごめんなさい。竜華が、そんなこと考えてるなんて思ってもいなかったのに、悔しくて、でも自分じゃどうしようもなくて、八つ当たりしてしもうた。」

 

「うちだって、あの時の選択が本当によかったのかなんて分からへん。もしかしたら最後までできたのかも知れへんし、そしたら怜が全国にだっていけたかもしれないのにって」

 

「竜華……」

 

「それでも、後悔はしてないんや。だってーーー」

 

 

 

ーーーうちの1番はいつでも怜なんやから。

 

 

 

「っ!ごめん、あんなこと言ってほんまにごめん……」

 

「たとえ空亜に会うためでも、それでも怜には傷ついてほしくないんや。だから、()()()()()()()は使わないでほしいねん」

 

 

その言葉を使った瞬間、怜の目が見開かれる。まさかその言葉が私の口から出てくるとは思っていなかったのだろう。

 

 

「竜華、気づいてたんか……」

 

「うちだって気づいたのは昨日の夜やけどね。やっぱりオカルトやったんか」

 

「……分からへんねん」

 

「え?」

 

 

独白をするように怜は顔を俯かせて喋り始めた。

 

 

「昨日の試合、絶対に負けたくないってそう思った。せやけど竜華が大きいのを和了りまくってそんで自分の配牌はバラバラ、もうダメやと一瞬諦めたんや。そしたら、彼の声がどっかからか聞こえてきたんや」

 

「彼、ってまさか、空亜の声?」

 

「多分、そうやったと思う。そんでまだ諦めるには早いんやって気付かされて、そしたら次に世界が変わったんや」

 

「?」

 

「うちも詳しいことはわからへんけど多分、未来だったような気がすんねん。そこでは竜華が和了ってて、うちは追いつけてなかった、けどまた次にはこっちに戻ってきて、あとはそれを阻止するように動いただけなんや」

 

「そんなことほんまにあるんか?」

 

 

世界が変わる?未来が見えた?私の無極点とは違い、絶対に科学的に証明のできないことであるのは確かだが、それがオカルトなのだ。

 

だが、それだけの最強とも呼べる力ならこの代償も納得ができる。

 

 

「もしかしたら夢やったのかもしれへん、それに結局竜華には勝てへんかったし。そういえば、総合結果はどないなったんや?」

 

 

その言葉に思わず私は口を噤んでしまう。怜のことが心配すぎて全く麻雀を打てなかった、こんなことを途中で退場させてしまった怜の前で言うことは私にはできなかった。

 

それでも、

 

 

「そか」

 

 

私の親友は全てを理解したように頷くとそれ以上は聞いてはこなかった。

 

そんな心遣いが逆に私の心を締め、私は話を軌道修正してしまっていた。

 

 

「と・に・か・く、あのオカルトは使っちゃダメやからね!」

 

「あー、うん。使いたいのは山々なんやけどなぁ、どうも今は使えそうにないんや」

 

「いや、だから、使っちゃダメやって言っとるやん。でも覚醒したわけではないんやな」

 

 

オカルトの覚醒、それは麻雀を愛する者の中で一握りの者だけに訪れるもので、今回、怜はそれに当たったのかと思ったがどうやらそうではないらしい。

 

1回限りのオカルトなんて聞いたこともないが、あるのだろうか。

 

だがそれでも、怜はそんなこと気にせずにのほほんと、

 

 

「ま、とにかく今は麻雀がしたいわぁ」

 

 

と、窓から晴天の青空を見ながら呟くのだった。

 

 

 

        ******

 

 

 

『オーラス決着!今年の南大阪代表は男子、女子共に姫松高校です!』

 

『女子は全国常連校として有名ですが、男子は今大会が初めての県代表となりました!』

 

 

対局室のドアが開かれ、オーラスを1位で終えた男子生徒が仲間のいる部屋に向けて足を進め、そしてドアを開けた。

 

 

「よっしゃぁ!やったぞー!!」

 

「よくやった!本当にみんなよくやった!それと、沖野!ありがとうな」

 

 

部員が補欠含めて喜び合っている中、1人その様子を見ている男子に姫松の男子麻雀部の部長が礼をかける。

 

 

「いえ、俺は約束を果たしただけなので。先鋒として出場して2位と3万点差をつける。一応果たせたはずなんで、これからも何卒よろしくお願いします」

 

「相変わらず部活に入ってくれる気はないんやな」

 

「部活に入っても自分は多分世界に飛んでるんで大して部活に参加できそうもないので。すみません」

 

()()()()()()かぁ、ほんとすごいやつだよなぁお前は」

 

 

部長が空亜と話していると周りに人も増えてくる。その中にはこんな特例を受けている空亜を疎むものは1人もおらず、全員が彼を仲間だと思っている。

 

 

「さーて、それじゃあ今日の功労者の胴上げといきますか!」

 

「「「おーー!!」」」

 

 

副部長の声掛けで、みんなが胴上げの準備を始めたため、空亜も部長を持ち上げようと近づくと何故か周りに先輩たちが集まっていることに気がついた。

 

 

「あ、あれ?部長を持ち上げるんじゃないんですか?」

 

 

きょとんとする空亜に対して部長が呆れながら口を動かす。

 

 

「なーに言ってるんや、総合獲得点数はお前がダントツだろうが、ならお前がMVPに決まってるやろ!さぁ、いくぞぉ!せーのっ!」

 

 

 

「「「優勝!おめでとう!沖野!最高!」」」

 

 

 

自身としてはそれほど重く考えてはいなかったこの大会、あくまで条件のために参加したが、「インハイ出場」きっと先輩からたちにとっては、ずっと叶えたかった夢なのだろう。

 

だからこそ急に胴上げされ、戸惑いこそしたものの先輩たちのためになれたのならと、その感謝を心に留めることができた。

 

 

 

        ******

 

 

 

県予選を突破した俺たち姫松高校はバスで学校まで帰ってくると、解散し、そして今俺は自宅にて1人で夕食を食べていた。

 

 

「ん?」

 

 

机の上に置いていた滅多に鳴らないスマホから初期状態の着信音が流れる。

 

スプーンを持ったまま片手でスマホを手に取ると

 

 

「もしもしー」

 

『おー、うちや、うちうち』

 

 

呑気な女の声が聞こえてきた。一気にめんどくさくなった俺は再び食事を始めようとする。

 

 

「なんだ洋榎か、んじゃ切るぞー。腹減ってんだわ」

 

『いや、待てやジブン。この可愛い可愛い洋榎ちゃんの声を聞いてなんでそんな非道な真似ができるんや』

 

『んまぁ、洋榎だしな』

 

『もうええわ!』

 

 

プチっ

 

 

こちらが6割冗談で切ろうとしていると、何故か一瞬のうちにあっちが切っていた。

 

 

「んまぁ、なんか要件あんならまたかかってくんだろって、早いな!?」

 

スマホを一旦置こうとした瞬間にまた着信がかかってきたので先ほどと同じ相手だということを確認して出る。

 

 

「お前、切ったじゃん」

 

『ちゃうわ!癖なんや!』

 

「癖なのヤバいだろ」

 

 

電話かけたら切りたくなるってもはや何もできねぇじゃねえか。

 

 

『まぁ、ええわ。とりあえず団体優勝おめでとさん』

 

「なんだ珍しい。ま、ありがとな」

 

『おめでたいことに変わりはないんやけどな、なんで手抜きなんてしてるんや』

 

「なんだ、わかってたのか」

 

『もう何百と打ってきたんやで?それぐらい分かるわ』

 

 

そうか、もうそんなに打ったのか。まだこっちに帰ってきてから3ヶ月と経ってはいないんだが。

 

 

「それもそうか。部長たちとの規定でな、俺は県予選は先鋒として3万点差を2位とつける。その代わりに部室を使いたい時に使わせて欲しいってことになってんだよ」

 

『そんなことになってたんか。……ん?お前、自分の家に全自動卓あるって言ってなかったか?』

 

「ん?あるぞ?ただ学校でも自由にできるところが欲しいなぁって思ってな。あとは、まぁ先輩たちの力になりたかったってのも一割ぐらいはあるかもなぁ」

 

 

先輩たちと初めて打ったあの日、俺は洋榎たちと同じように圧勝した。だがその試合で先輩たちは最後まで諦めることなく牌を握っていた。

 

1人じゃない、全員が諦めなかった。

 

この先輩たちは間違いなく上に行けると思った。だが、いかんせん有秀な指導者は実績のない部には来ない。この人たちがここで朽ちていくのが嫌だった。

 

そして俺はならばと、部長に交渉を持ち出したのだ。

 

 

『ほーん、まぁお疲れ様や。それじゃ本題やで?』

 

「今まで本題じゃなかったのかよ……」

 

 

すでに数分経ってるんだが、と考えていると、洋榎はひと息置き、そして

 

 

『恭子がキレとる』

 

「は?」

 

『んじゃ、頑張れや』

 

 

とんでもない爆弾を残して通話を切った。

 

残されて俺は夕食を食べる手を止め、何故恭子がキレているのかを考える。結論ーーー

 

 

「あ、そういえば解散したら部室で牌譜研究する約束あったわ。えっと今は……7時ね、うん。……これ、殺される……」

 

俺には大人しく天井を見上げ、これからの説教に絶望を抱くしかないのだった。

 

 

 

        ******

 

 

 

 

「で?何か申し開きはあるんか?」

 

「本当に申し訳ございませんでした」

 

 

学校に近い家のため、急いで学校に向かうと10分もかからずに到着することができる。そこの部室で待ち受けていたのは久しぶりに見るガチギレの恭子だった。

 

 

「うち、ずっと待っとったんやで?」

 

「……はい」

 

「前の約束覚えとるな?」

 

「……はい……確かスイーツの食べ放題でしたよね?」

 

「そうや。てことで明日いくで」

 

「了解です。それはそうと、なんで洋榎もいるんだ?」

 

 

激おこぷんぷんな恭子さんの隣には俺が怒られてる様子を見て必死に笑いを堪えている洋榎がいた。現在の時刻は7時過ぎ、いつもなら既に帰っているはずだ。

 

 

「くっくっくくく、う、うちか?うちもちょっとお前に聞きたいとこがあってな、待っとったんや。てことでスイーツ食べ放題追加な〜」

 

「マジかよ……」

 

「文句あるんか?」

 

「無いです、恭子さん」

 

「あっはっはっははははは!!!」

 

 

その日、俺は2人に逆らえず、ただひたすら牌譜について解説し、翌日は財布として2人分の金を払わされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次はいよいよインハイ、かもしれません。ワンチャン姫松の話をもう少し挟むかもしれません。それは数週間後のジブンに任せましょう笑

それでは評価、感想お待ちしています。

もし、何かやって欲しい話とかあったらそれもどんどん送ってください。実現できるかはわからないですけど。
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