日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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どうも2ヶ月ぶりのタピタピです。

大変長らくお待たせしました。というかすみませんでした。

なんやかんやあったのと、この話が中々難産で、これだけかかってしまいました。これからも失踪せずに投稿していくのでどうぞよろしくお願いします!

それではどうぞ!




第7話 夏の戦 

 

 

『ーーーそれではこれにて1学期終業式を終わりとします。夏休み、麻雀部を始めとする部活の大会がある皆さん、また無所属でもなにかやりたいことのある生徒の皆さんは悔いの残らない夏休みにしましょう』

 

 

校長先生の全国恒例の長い話を首をかっくん、かっくんとさせながらやっとの思いで聞き終えると、やっと夏休みが始まるという実感が押し寄せてくる。

 

 

(最近は全国の学校でもこんなに長い話をする校長ってあんましいないはずなんやけどなぁ。なーんでこんな長い話すんねん、もういっそ「頑張れ」だけ言ってくれた方が生徒の耳にも残るやろうに)

 

 

生徒代表として校長に愚痴を心の中で溢す。果たしてこの広い体育館に同じ思いで生徒代表の愚痴を溢したのは何人いるのだろうか。と、うちがこの体育館の人間全員(自身を含む)を憐んでいるといつの間にか退場が始まっており、隣の人に叩かれるまで座っていたのはクラスでうち1人だけだった。

 

 

「怜、大丈夫?」

 

「ん?大丈夫やで?なんかあったんか?」

 

「いや、さっき立つの遅かったやん。また身体の具合が悪いんとちゃう?」

 

 

教室に戻ると竜華が瞬く間にうちの目の前に訪れる。そしてうちの額に手を当て、熱?を測ろうとしてきた。

 

その手をゆっくりと下ろさせても尚心配なのか未だに瞳の奥で「保健室行く?」という心配が見える。

 

昔も十分心配性ではあったが、インハイ予選で倒れて入院してからはそれがより一層顕著に現れるようになった、と思う。ちなみに結局病院には検査含めて1週間お世話になってしまった。

 

 

「大丈夫やで、ちょっと全国の敵に対して愚痴を溢してただけやから」

 

「なんやそれ」

 

「とりあえず今日はもう終わりやろ?はよ帰ろうやー」

 

 

あの憎たらしい終業式も終わり、あとは夏休みを待つだけ。そう、思っていたのだ。

 

 

「何言ってるん?成績表返してもらうんやで?」

 

 

ーーー神様、お慈悲はないのですか

 

 

 

        ******

 

 

 

青い空、白い雲、さんさんと輝く太陽、そんな夏の空模様の下で今日うちらはバスに乗って大阪から大移動をしている。その移動の目的はただ一つ。

 

2日後東京で、全国の頂点を決めるインターハイが始まろうとしていた。

 

 

「つ〜か〜れ〜た〜」

 

 

大阪から現在は静岡のサービスエリアで休憩を取るために下車し、外のベンチで海を見ながら腰を下ろしていた。

 

 

「怜、体調は大丈夫?結構長い時間乗ってたけどバスで酔ったりしてない?」

 

「大丈夫やで。ただずっと座りっぱなしってのは辛いなぁ。麻雀の時はずっと座ってられるいうのに」

 

 

現在の時刻は正午過ぎ、ということで各自昼食となっていた。

 

飲食店やフードコートで食べるのもよし、持ってきたお弁当を食べるのもよし、と自由にしろとのことだった。セーラは他の生徒と店に入るらしい。そしてうちらは

 

 

「それじゃご飯にしよか」

 

「待ってたで!!」

 

 

朝に作っていたらしい竜華の持ってきた弁当箱の中には肉やおにぎりだけでなく野菜などもしっかり入った彩豊かなものとなっていた。

 

 

「っ……!」

 

 

だが、とあるものを発見したうちはバレないように顔をわずかに引き攣らせる。

 

 

「「それでは、いただきます!」」

 

 

早速おにぎりを頬張る。中から出てきたのは鮭、ちょうどいい塩加減が食欲をそそっていく。

 

 

「うまいわぁ〜」

 

「そう?よかったわぁ。さ、どんどん食べてな?」

 

「ならタコさんもらうでー」

 

 

次にタコさんのウインナーをぱくり。うまっ……。

 

そうして食べ進めていくとどんどん中身はなくなり、()()()()()だけを残して手を合わせた。

 

 

「ごちそうさ「まだ残ってるで?」……うちにはなんも見えへん」

 

 

竜華の指摘にうちは耳を塞ぎ綺麗な海を眺める。

 

 

(あぁ、海が綺麗やなぁ……隣からの圧が半端やないけど)

 

 

「怜まだブロッコリー食べれへんの?」

 

「誰があんなモサモサっとしたやつ食いたがるんや!」

 

「ほら、食うで!」

 

 

うちがブロッコリーというものの存在に対して反対しているとその開けた口の中に素早く緑を入れ込んできた。

 

……不味い……

 

 

「はぁ、しゃあないなぁ。なら今日はこのへんで勘弁しといてやるわ」

 

「か、完全にヤ◯ザのやつやん、それ。でも恩にきるわ……」

 

 

そうしてうちは激闘?を乗り越え、再びバスに乗りこみ、東京へと向かっていった。

 

 

 

        ******

 

 

 

「到着やぁ!」

 

「怜ーあんまはしゃぐと危ないでー」

 

 

実に一年ぶりの東京、あまり様相は変わらないとは思うものの、やはり何かここにくると特別な感じがする。

 

去年は親友と一緒に涙を呑みながら大阪へと戻ることになった。

 

ーーー今年はそもそも試合にすら出られない。

 

 

「っ……」

 

「竜華?」

 

 

自業自得だというのにそのことを思うと胸が締め付けられてしまう。

 

その様子を見たからか怜がこちらに歩み寄り心配をかけてしまった。

 

 

「……今年は試合には出られへんね」

 

「せやな」

 

「……絶対に戻ってくるって言ったのに」

 

「いや、戻ってくるで。ここでうちらはまだ強くなれる。今年は出られないかもしれへん、それでも強くなれるチャンスやろ?ここには全国の最強たちが集まってくるんやから」

 

 

怜の瞳には炎が灯っている。体調不良という自身が望むような形での終わりだったというのに、もう既に前を向いていのだ。

 

 

(まだ過去に縛られてるのはうちだけやったってことやねんな。怜はもう先を見てる、ならうちも怜の隣にいるために……!)

 

 

「うちも!絶対に強くなる!それでここにもう一回帰ってくるんや!」

 

「せや!それでこそ竜華や!」

 

「おい!そこうるさいぞ!公共の場でなんだから静かにしろ!」

 

「「す、すみません!」」

 

 

怜と2人で燃え上がっていると後ろにいた部長からお叱りをもらってしまう。そうやった、ここ東京のホテルの真ん前やった。

 

とりあえず荷物を各部屋に持ち込むことになり、当然私は怜と同じ部屋に荷物を置くと同時にベッドの方からぼすっという沈み込む音が聞こえてくる。

 

 

「あ〜ベッドってなんて最高なんやぁ〜。バスの疲れが溶けてく〜」

 

 

そちらに目を傾けると親友が顔をベッドに押し付けゴロゴロぐにゃぐにゃとしていた。

 

 

「怜ーそんなことしたら制服がしわになるでー」

 

「せやけどもう今日は自由行動やろ?」

 

「だとしてもやろー?ちなみに怜はこの後したい事とかあるんか?」

 

「暑いのは嫌やなぁ。このままホテルでゴロゴロでもええんちゃう?」

 

「せっかくの東京やのにええの?」

 

「だってもう東京にも慣れてしもうたし」

 

 

怜としては中学合わせて3度目となる東京。既に有名どころは回りきっただろうし今更動く気にもなれないのだろう。

 

 

「なら今日はここでのんびりしよか」

 

「せやな〜」

 

 

そういうと再び怜はベッドに顔を埋め、私はというとシャワーを浴び、食事をとり、ミーティングを終えると、ベッドに潜った。こうして3年目の東京初日は幕を閉じていった。

 

 

 

        ******

 

 

 

『さあ今年もインターハイが始まります!全国から集まった52校の学校のうち一体どの高校が頂点をつかむのか!今年も熱い夏が始まります!』

 

 

アナウンサーの声が入ると、だんだんと試合会場に選手が入りはじめた。

 

千里山は第二シードのため、今日はホテル内のミーティングルームで観戦となっている。そして選手たちが全員卓に着くと、再びアナウンスが響く。

 

 

『それでは!インターハイ一回戦、開始です!』

 

 

ーーーそして、今年も日本一を決める夏の戦が始まった。

 

 

 

        ******

 

 

 

『試合終了です!』

 

 

一回戦終了のアラームがモニターから流れるとそれと同時にうちらも肩の力を抜く。

 

モニター内では勝ち上がりガッツポーズをし、抱きしめあっている人と崩れ落ちて泣く人、負けた責任からか帰らずに卓に残り俯き続けている人がいる。これがインターハイなのだと嫌でも分からされる。

 

その様子を見てから、部長を中心としてミーティングが始まる。

 

 

「まあ、順当と言った感じでしたね。監督、何かありますか?」

 

「せやなぁ。今年も厳しい大会になることは明らかや。それでもただ自分のできる精一杯をやったらええ。頑張りや。ただ一つ言うんやったらーーー西東京代表の大将だけは、明らかな化け物やってことやな」

 

 

その言葉に和らいだ空気が再び引き締まっていく。

 

西東京代表、白糸台高校。インターハイ初出場の高校を優勝候補であるうちらがここまで警戒する理由は、大将を背負っている一年生にあった。

 

 

 

        ******

 

 

 

「う、嘘やろ?」

 

 

目の前でとある試合の録画を見ると、怜がそんな言葉を漏らした。

 

テレビに映っている少女は、今こそただの落ち着き払っている少女にしか見えないが、先ほどの試合では、東場で他家3人を同時に飛ばし切ったのだ。

 

たった一度の親番、それを流せなかっただけだというのにたったそれだけのことで相手である彼女らは全てを奪われたのだ。

 

 

「……これが、今大会最も危険だと判断された選手、白糸台高校『宮永照』です。見てもらったとおりただただ上がり続け、そして負けます。しかも彼女はこれを個人戦の全試合で行っており、これは西東京の最高スコアをたやすく塗り替えています」

 

「団体戦は副将まだに全ての試合が終わってしまったのでこの大将の存在は認知がされていませんでしたが、この個人戦で大暴れされましたんで流石にうちらの目にも留まったというわけです」

 

 

テレビの中に映る赤髪の少女はインタビューに対し、完璧とも取れる姿で答えていた。だが、その姿が本当の彼女でないということに気づいたのはきっと私だけではないだろう。

 

それにしても、うちらの代にこんな人いなかったはずやのに、どうして今まで出てこなかったんやろうか?

 

 

 

        ******

 

 

 

あの日から数ヶ月、うちらは同じ舞台に立つことは出来ないが、それでも周りはみんなあのバケモンを止めるために鍛え、この日を迎えた。

 

白糸台とは運がいいのか悪いのか、決勝にてぶつかることになっている。今年もルールは一位抜けのため、まぁ運が良いと考えるのが妥当だろう。

 

そして対宮永への策としては「副将までに飛ばし切る」となった。正直、千里山のレギュラーがそうそう負けるとは思えないが何せ相手は未知の怪物、対策しておくに越したことはないだろう。

 

 

「それじゃあ、今日はこれで解散や。団体戦メンバーは明日に向けてしっかり体調を整えとくんやで」

 

「「「はい!」」」

 

 

そうして、インターハイ1日目、出場校のうち約4分の3、36校が姿を消した。そして明日、ついにシードである、姫松、臨海、新道寺、千里山が全国の舞台に姿を現した。

 

 

 

        ******

 

 

 

『さあ、今日も2回戦が始まります!今日でシードを含めた16校の中からベスト8が決定!そして明後日には全国の頂点に君臨する高校が決まります!』

 

 

テレビから聞こえてくる声、その音に耳もくれずレギュラーの全員が意識を高めていた。そんな中部長が立ち上がる。

 

 

「1位じゃなきゃ2位もビリも同じや。うちらには1位しかいらん、わかっとるな」

 

「うん」

 

「ああ」

 

「せやな」

 

「分かってますよ」

 

 

全員の顔を見ると部長は満足そうに頷く。

 

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

「部長、気張りや!」

 

「あぁ」

 

 

そうしてゆっくりと出ていく部長を見て、補欠であるうちらはあれこそが関西最強の女なのだと分からされる。それでも今だけは倒すべき敵ではなく、最高の仲間として

 

 

(部長、お願いします)

 

 

ただ、うちら部員全員の思いを託そう。

 

 

 

        ******

 

 

 

「あ〜疲れた〜」

 

「お疲れやでセーラ」

 

 

大将戦も終わり、無事1位通過したうち達千里山はホテルに戻って夕食をとっていた。

 

 

「セーラ、今日はちょっと調子悪かったんとちゃう?」

 

「うっ……。せ、せやな、なんやちょっと緊張してたみたいや」

 

「珍しいやん、どないしたん?」

 

「いや、中学の頃も団体戦はあったけどやっぱ高校はーーーインターハイは重いんやなぁって思っとったらなんか緊張してもうて」

 

 

私が聞いているとセーラの顔はいつも通りのあっけらかんとした顔つきではなくどこか苦しそうなそんな顔だった。

 

その顔を見て昨日の一回戦で見た生徒達の顔が目に浮かんでくる。あんな顔をさせてしまったのが自分だとそう思ってしまっているのだろう。

 

 

(せやな、それは辛いやろな……)

 

 

セーラに同情してしまう。だがーーー

 

 

「セーラ、なめとるんか?」

 

「え?」

 

 

その声を発したのは先ほどから黙っていた怜だった。

 

 

「相手に同情でもしてるつもりなんか?自分が他の学校のインハイを終わらせてもうた?そんなこと思っとるんか?」

 

「っ……」

 

 

私が考えていたことを怜が言うと図星だったのかかおを少し俯かせる。

 

怜はその様子を確認すると、すぅーっと息を吸い、そして

 

 

「ふざけんなっ!!!」

 

 

本気の声でセーラに向けて怒号を飛ばした。

 

 

「相手が可哀想?知らんわ!あんたに乗ってんのはうちらを含めて多くの人の希望やぞ!!インハイに来とる全員が各県の代表として全力でやってるんや!それが一生懸命やった相手に対して可哀想?それがどんだけ人を馬鹿にしとる行為やって分かってんのか!!」

 

「……」

 

 

その通りだと思った。そしてそれと同時に先ほどセーラに同情してしまった自分に激しい嫌悪感を抱いてしまった。

 

怜は自分の思いを一気に述べたからか息切れをしながらも未だにセーラをなら見続けていた。

 

そんな怜を見たセーラは目を見開いて彼女を見つめていた。そしてしばらくすると、おもむろに笑い出した。

 

 

「ハハハ、そうやな。あーあ、なんで悩んでるんやろうこんなん!この時間さえ失礼な行為やってんな。せや!今俺にできるんは全員ぶっ潰すこと!怜、ありがとうな!」

 

「吹っ切れたんか?」

 

「あぁ!もうわかった。俺が何をするべきなのか。

    もう思い出した。俺の目の前で託された願い。

    もう止まらない。全てを倒すまで!」

 

「せや!それでこそセーラや!」

 

 

その時のセーラの顔は今まで見た彼女の顔で1番光り輝いているように見えて、その眩しさにうちは目を向け続けられなかった。

    

その中、うちの頭の中でもう1人の自分が問うのだ。

 

 

ーーーお前は、この光に何を思うのか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





一応難しいところなんで次話は不定期としますが2、3週間で出していきたいと思います。

感想、評価等お待ちしております。
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