日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!   作:タピタピ

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どうも、タピタピです。大変お待たせしました!

ついにインターハイが始まり、物語が動き始めます!

そしてそれと同時にこの怠惰な私も一つ挑戦ということで告知を用意してあります!あとがきに書きますので最後まで読んでいただけると嬉しいです!

それでは本編へ、どうぞ〜


第8話 邂逅

 

千里山が2回戦を突破した翌日、この日は女子の試合はなく男子のインターハイのみが開催されていた。

 

そのためうちらは毎度のことながらホテルの自室でゴロゴロしていたのだがその優雅な時間はけたたましい電話の音で途切れさせられてしまった。

 

 

「竜華〜うちのスマホ取ってくれへん〜?」

 

「電話がなってるやつやねんな?ん〜、っと、はい」

 

 

うちの頼みを聞いて竜華が手を伸ばしてうちのバッグからスマホを取り出す。そして渡してもらったスマホを耳に当てるとーーー

 

 

「どうしたんやセー「怜!テレビ見とるか!?」な、なんや?テレビ?見てへんけど……」

 

「ならちょっとそこで待っとけ!どうせ部屋におるんやろ?面白いもん見せたるわ!」

 

 

そういうとセーラは電話を切り、スマホからはツー、ツーという電子音だけが流れていた。

 

また、電話を一方的に切られたうちはと言うと意味も分からないままスマホの画面を眺めていた。

 

 

「なんやって?」

 

 

そんなうちの様子を見てか、竜華が声をかけてくる。

 

 

「なんかセーラが面白いもん見せてくれるらしいわ。ここで待っとけやって」

 

「なんやねんそれ」

 

 

それから数十秒後、喧しい足音とともにセーラが来るとうちらは彼女に連れられて部屋を出た。それから夏の日差しの下を少し歩き、インターハイ会場前にまで来ていた。

 

そろそろ溶けてもいい頃合いだろう(自分が)。はぁ、冷房効いてる部屋でアイスが食べたいわぁ……。

 

 

「セ、セーラ……?どんだけ歩くん?もうそろそろ暑くて溶けてまうで?」

 

「会場までやからあと少しや。もう少し頑張れやー」

 

「なんでインハイ会場なん?今日は男子しかやってないはずやろ?」

 

 

そんな竜華の質問に対してセーラは「まぁ、見りゃわかるわ」といってどんどん進んでいく。ここまで来てしまったので渋々ついていくがそろそろ本気で体力が尽きそうだ。

 

 

 

        ******

 

 

 

「あぁ〜ここは天国やぁ」

 

 

会場内は冷房が効きまくっており、セーラが少し待っとけといった後に座った椅子からは既に立てなくなってしまっていた。

 

 

「せやなぁ。もうここに住もかぁ」

 

 

竜華ですらもう既に伸びきっている。

 

そうして2人で冷房を発明した人に感謝して待っているとセーラが試合会場の方から小走りで帰ってきた。

 

 

「モニター前に行くで」

 

「え?嫌やで?」

 

「……」

 

 

あんな人混み行ってたまるかと即座に断ると、セーラは無言でうちの手を掴み会場へと連れ込んだ。

 

セーラにしては珍しく強引だなぁ。と思いながらもモニターの前にまで来ると、なぜかそこは妙に盛り上がっていた。

 

 

「な、なんでこんな盛り上がってるん?」

 

 

困惑するうちと竜華を横にその場に1つのアナウンスが流れる。

 

 

『試合決着!!なんと!男子一回戦Cブロックは先鋒前半戦で決着です!姫松高校が300000点を越える圧勝で一回戦を突破!世界レベルの実力は伊達ではない!

 

 

ーーーCブロックは姫松、()()()()が世界の実力を見せつけました!』

 

 

「……え?」

 

 

聞こえるはずのない名前が聞こえ、思わず横の親友を見ると、彼女も同じように目を見開きそして、涙をこぼしていた。

 

 

「と、怜……今、『()()』って……」

 

「り、竜華、画面、モニター見ぃ。あ、あそこ……」

 

 

今は誰もおらず卓だけの試合会場が映っている画面の右側、そこにのっている点数表示の姫松の欄にのっていた名前は

 

 

        姫松高校 沖野空亜

 

 

紛れもなくかつての親友の名前だった。

 

 

 

        ******

 

 

 

「竜華、ゆ、夢やないか?」

 

「そ、そうかもしれん!えいっ!」

 

「痛い痛いっ!!竜華!!夢やないで!空亜や!空亜がいるんや!!」

 

 

あまりの出来事に一瞬思考が止まったものの2人で事実確認が終わるとその実感が湧いたのか親友はどこかへ走り出してしまった。……え?

 

 

「なんで!?セーラ!はよ追いかけるで!」

 

「お、おう!ひひ、にしても竜華嬉しそうやな」

 

「せやな!うち、今なら水平線の向こうまで走れそうや!」

 

「やめとけ!?」

 

 

そうして怜を追いかけて走っていくと、会場内の奥の方に行こうとして死んでいるかのように廊下に張り付いている怜を見つけた。

 

 

「怜!?生きてる!?」

 

「り、りゅーか、セーラ、つ、疲れた」

 

 

怜は頭を上げることなく地面にへばりつきながらも息絶え絶えに返事をする。

 

 

「そりゃあそうなるやろ。運動してないんやし」

 

「ちょっとそこのベンチで休もか」

 

「せや、な……」

 

 

怜を2人で起こし一旦近くのベンチに3人で腰掛ける。座っているとセーラは先ほどの試合のリプレイを流している実況配信を見ていた。

 

 

『男子一回戦Cブロックは波乱の展開となりました。姫松高校先鋒沖野空亜選手が他校を飛ばし切っての2回戦進出、なんと沖野空亜選手は昨年のU-15の世界ジュニアにフランス代表の大将として参加しているという驚くべき経歴の持ち主です。日本には約4年ぶりの帰国だそうです』

 

 

「フ、フランス?空亜が?」

 

「そりゃぁどれだけ国内探しても見つからへんわ……。セーラもう少し音量上げてくれへん?」

 

「おう。てか世界ジュニアに姫松って言っとったな、洋榎と一緒のとこかぁ、ええなぁー洋榎」

 

「ん?姫松?……あ!?もしかしてあん時言ってた奴って空亜のことなんか!?」

 

 

配信を見ながら話していると急に思い出したように親友が叫び出した。

 

 

「なに、何のことなん怜?」

 

「いやな、5月ぐらいに姫松と練習試合したやろ?その時に洋榎からアドバイスして欲しいって頼まれたんや。なんでも同じ高校に確か、148戦1勝147敗の奴がいるとかなんとかで、強くなりたいから場の読み方を教えて欲しいって」

 

「洋榎が1勝!?と、とんでもないやつやな……。まぁ、1人で20万稼ぐような奴やからなぁ。その空亜ってやつはオカルト持ちなんか?」

 

 

オカルト……4年前まではそんなの無かったと思うからフランスで身についたんやろうなぁと思っていたがーーー

 

 

「いや、あれオカルトやないらしいで?洋榎がそないなこと言ってたわ」

 

「「マジ?」」

 

 

素の実力であれなんか!?空亜、一体フランスで何があってん……。

 

驚愕もほどほどに怜の体調を整え、配信を見終えると3人で息を吐いた。

 

 

「というかこれからどうするん?空亜に会いに行くんか?」

 

「せやなー。でも多分今は記者とかに揉みくちゃにされてるやろしなぁ」

 

「うん、そうやね」

 

 

あんな記録に残るような大暴虐をしたのだ。きっとどこも空亜の情報を得ようと必死になっているだろう。そんな状態で会いに行くなんてことはもちろんできるわけがない。

 

そんな時セーラが何かを思いついたように手を叩いた。

 

 

「せや!洋榎に呼び出してもらえばええんとちゃうか?」

 

「おお!それやセーラ!じゃ、洋榎に連絡頼むで〜」

 

「いや、そこは人任せなんかい!!ったく……」

 

 

なんだかんだ言いながらもやってくれるあたりセーラは本当に優しいと思う。

 

そうしてセーラが電話をかけ始めて数コール後、スピーカーにしたスマホからあの元気な声が聞こえてきた。

 

 

『なんや、セーラ。お前からなんて珍しい』

 

「お、出たな。ちょっと頼み事があるんやけど」

 

『なんや気色悪い』

 

「なんやとー!!用があんのは俺やなくて怜と竜華からや!あぁ、もう変わるわ!ほな、2人でやってや。ったく、失礼なやつやで」

 

 

そう言ってセーラはぷりぷりと怒ってスマホを渡してくる。

 

それを受け取るとスマホから気まずそうな声が聞こえてきた。

 

 

『あー、セーラにドンマイって言っといてくれ』

 

「あんた、最低やな」

 

 

思わず怜がツッコむが愛宕さんは気にも止めずに話を促してくる。

 

 

『んで、要件はなんや?そっちからかけてくるなんてよっぽどのことやろ』

 

 

要件を言えばいいだけ、だと言うのにその名前を口に出すことになぜか緊張があった。それでもうちらは進んでいくしかないのだ。そのために3年間、歩んできたのだから。

 

 

「ーーー沖野空亜をうちらに会わせてくれへんか?」

 

『空亜と?なんでや?てか今は記者たちに揉みくちゃにされてると思うで?』

 

 

要件を聞いた愛宕さんには明らかに???が浮かんでいた。それはそうだろう、いきなり友達(想定)に会わせてくれなんて言われてスッと納得できる人の方が少ないに決まっている。

 

 

「あいつ……空亜は、うちらの幼なじみやねん。怜とうちはずっと空亜を探してて、やっと、やっと、会えたんや」

 

 

その言葉に愛宕さんは合点がいったかのようにあぁ、と漏らした。

 

 

『なるほどな、それが原因か……』

 

「原因?」

 

『せや、あいつ前にあんたらの名前を出したとたんおかしくなってうちに倍満放銃して負けたことがあったんや。なーるほーどなー、そういうことかぁ』

 

 

うちらの名前で……てことは空亜はうちらの事覚えててくれたんやな。そのことを理解した瞬間頬を何かが伝った。

 

 

「竜華、泣いとるん?」

 

「そういう怜だって泣きそうやん」

 

 

隣で聞いていた怜も同じように目を潤ませている。あぁ、本当に良かったぁ。

 

感極まって無言になっていたうちらに通話越しでこちらを伺う声がすると一気にこっちの世界に呼び戻される。

 

 

『あー、続けてええか?会いたいっていうんなら今日そっちのホテルに連れてくわ。ただ夜になると思うけどそれでええか?』

 

「うん、ありがと。すまんなぁ迷惑かけてもうて」

 

『んなこと気にすんなや。怜には借りもあるし、これで返しとくわ。ええか、怜?』

 

「借り?」

 

 

思い当たる節がないのだろう、ぽかんとする怜に呆れながら愛宕さんが言葉を続ける。

 

 

『はぁ、練習試合のアドバイスのことや。まだ使いこなせはせえへんけど今も助かってるんやで?その時の借りってことでどうや?」

 

「あぁ、そないなこともあったなぁ。わかったで、ならそれで手打ちや。ほんなら夜は頼むわ」

 

『任せとき!そんじゃ今はこれでお暇させてもらうわ。あと、セーラー?』

 

「?なんや?」

 

『ーーー決勝でボコしたるからな、それまで負けるんやないで?』

 

「!!上等や、てめぇこそ油断して負けるんやないぞ!」

 

 

セーラの声が届くと、通話越しに笑い声が聞こえ、通話は切れた。

 

その間私と怜はただただ、未来の再会に希望を膨らませていた。その様子を見てセーラが少ししんみりとした感じで声をかけてくる。

 

 

「2人とも、やっとやな」

 

「せやな。4年ぶりの再会かぁ。うち、上手く喋れるかなぁ」

 

「あかん、うち空亜見たら泣くかもしれへん……」

 

「それは、うちもやなぁ」

 

 

なにせずっと探し続けてきた人に会えるのだ。ただでさえ今溢れてしまっている涙が留まりを知るとは思えない。それはきっと怜も一緒だろう。

 

 

「……とりあえずホテルに戻ろか。来るまでに色々済ませるんや。久しぶりの再会なんやから2人とも今の汗かいた状態で会いたないやろ?とっととシャワー浴びな」

 

「せやな、セーラに賛成や。ほなとっとと帰ろか」

 

「怜、体力は大丈夫なん?まだ、回復しきってないやろ?」

 

「……竜華、おんぶしてーな」

 

「はぁ、仕方ないなぁ……ほら怜いくで?」

 

「いつもすまんなぁ。病弱なんや」

 

 

怜をおんぶして会場を出る。今夜、やっと空亜に会えると思うと、怜の分重くなっている足も軽くなった気がした。

 

 

 

        ******

 

 

 

試合が終わり、インタビュー等を上手く捌きながら何とか控え室にまで戻ってきた。

 

 

「お、帰ってきたで。お疲れさんやったな沖野」

 

 

部屋に入ると先輩方が総出で迎え入れ、その中の部長が前に出て俺に手を出してきた。その意味を理解した俺はにやっと笑って、その手をがしっと握りしめた。

 

 

「ありがとうございます先輩。もしかして出番欲しかったですか?」

 

「阿呆、俺らはお前のおかげでここに立てとるんや。そんなお前に文句なんてあらへん。安心して最後までやってきてくれ」

 

「まぁ、今回みたいな試合だとむしろ相手に同情しそうになるけどな」

 

「いったいどうしろというのです」

 

 

少し呆れたように言う先輩に俺は肩をすぼめるしかない。いや、だってやれって言ったのあなた方ですよ?

 

そんな俺の心情も先輩たちはお構いなしに話を進めていく。

 

 

「にしてもインタビューとかなかったのか?」

 

「いえ、ありましたよ?ただ全部無視か適当にあしらってきました。ーーーインタビューは優勝した後にここにいる全員で受けましょう」

 

 

俺がそういうと全員で頷く。目指すは優勝、それ以外は見えていないのだ。そうしてまだ太陽が真上にあるような時間に解散になると宿泊しているホテルに帰ってきていた。ちなみに姫松は共学校ということもあり同じホテルに男子と女子の麻雀部が宿泊している。

 

すると、ロビーで待ち構えていたのであろう洋榎が俺を見つけると同時にこっちに近づいてくる。

 

 

「随分派手にやったやないか」

 

「たまたまだよ、たまたま。あんなの運が良かっただけだし、それに相手も上手かったからな。俺にとっちゃありがたかった」

 

「そうやな。明らかにバカづきしとったしな。っと、そういえば1つお願いがあったんや」

 

 

……お、ねがい?あの、洋榎の?

 

 

「な、なんだ?お前のお願いとか嫌な予感しかしないんだが……」

 

「うちと今日の夜『でーと』してーな」

 

「……は?」

 

 

なんだ、何を聞いた俺は?デート?あの洋榎からは出るはずのないと思っていた言葉を認識することは俺には難しかったようで反応はあまりにも呆けたものになってしまった。

 

そんな俺を見て洋榎は少し睨みを利かせてくる。

 

 

「は?やないで。乙女からのお願いを断んのか、あぁん?」

 

 

そういうところが乙女からかけ離れているということになぜ気づかないのだろうか。近くには由子という、れっきとしたお嬢様がいるというのにだ。

 

だが、それもまた洋榎と言う感じがしてどこか落ち着くのは俺も段々毒されてきているのだろう。

 

 

「はは、そうだな。可愛い可愛い乙女の洋榎ちゃんからのお願いだし断れないよなぁ。それでどこいくかは決めてあんのか?」

 

「言ったからな?なら19時にうちらのホテル前に集合や!ええな?」

 

「いや、だからどこいくんだって」

 

「それは夜のお・た・の・し・みや」

 

「なんじゃそりゃ……」

 

 

1番教えて欲しい謎を残して洋榎はどこかへ立ち去っていく。そうして取り残された俺も流石に少し疲れた体を部屋へと持っていくのだった。

 

 

 

ーーー再会の時は刻一刻と近づいてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





告知 『日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!』20日〜27日毎日一本投稿決定!!

ということで、はい。やります。今まで随分みなさんを待たせてきましたのでここらでひとつやってみようと思います。内容は本編と番外編を組み合わせていきます。……死なないかな?

それでは評価、感想お待ちしております!また明日!
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