ウマ娘短編集   作:こーさん

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雨の日にトレーナーとイチャつくアドマイヤベガの話

 

 

 

私は雨の日が好き。

同室のルームメイトは湿気で髪型が上手くいかないという理由であまり好きではないみたい。

 

ポツポツと地面に水が跳ねる音を目覚ましに意識を覚醒させる。

夏が近いということもあり少しジメジメとした気温なのが唯一の欠点だろうか。

 

お気に入りのスリッパを履き、クローゼットに掛けていた制服に身を包む。

歯ブラシと厳選したふわふわのタオルを持っていき、集合洗面所に向かう。

 

休日ということと朝もまだ早いということもあり私の他に生徒の影はない。

跳ねた髪を櫛で梳かしつつ、片手で歯を磨く。

 

諸々の準備を終え、目的の場所へ足を運ぶ。

 

雨の日のトレーニングはお休みにする。

あなたと決めたこの約束事。

 

デビュー前、少し無茶をし過ぎたせいか、私の脚は他の娘より少々弱い。

室内トレーニングもやること自体は可能だがあなたに必死に説得され私が折れるようになったのが今の形。

 

それに雨の日にはあなたと一日中過ごすことができるから。

 

「おはようございます、トレーナーさん」

 

ノックをし、中に入る。

仄かに香るコーヒーの匂い。

トレーナーさんは休日というのに朝の早い時間からトレーナー室にいる。

 

「おはようアヤベさん、休日なのに早起きだね」

 

「それはあなたもそうでしょう?」

 

「すっかり習慣になったからね」

 

私とあなたの暗黙のルール。

少しでも長く、一緒に過ごす為に私たちは朝早くからここに集まる。

 

飲んでいたコーヒーを机に置き、ミーティング用の大きいソファーに腰掛けるトレーナーさん。

私は何かを言うこともなく隣に座る。

 

「アヤベさんまた夜更かししたでしょ?」

 

「……別にしてないわ」

 

「うーん?じゃあこの可愛らしい寝癖はなんなんだろうなあ」

 

私の頭を優しく撫でるトレーナーさん。

私はその手に体を寄せる。

 

「いつもは完璧なのにね」

 

「しょうがないじゃない、楽しみだったんだから」

 

「昨日トレーナー室で予報見た時びっくりするくらい喜んでたもんね」

 

「忘れなさい……」

 

久しぶりの休日の雨。

夜遅くまで何回も予報を確認したのは彼には内緒。

 

「ほら、膝貸してあげるからちょっと寝たら?」

 

ソファーに置いてあった私がプレゼントしたふわふわのクッションを置くトレーナーさん。

 

「寝るならあなたと一緒がいいわ」

 

ボソッと聞こえるか聞こえないくらいでそう言う。

するとトレーナーさんはソファーの端っこにそのクッションを置いた。

 

「ほら、おいで」

 

腕を広げ、こちらを迎えてくれるトレーナーさん。

私はその胸の中に飛び込んだ。

 

クッションに頭を置くと彼もよく使っているからだろうか、大好きな匂いが私を包む。

 

「こんな時間にお昼寝するなんてなんだか悪いことをしているみたい」

 

「1日は思っているより長いよ、たまにはこういう事もいいんじゃないかな」

 

「ふふ、それもそうね」

 

トレーナーさんの背中に手を回し強く抱きしめる。

彼はというとそんな私を抱きしめ返し、頭を優しく撫でてくれた。

 

「ねぇ、あなた。ちょっとして欲しいことがあるの」

 

「珍しいね、どうしたの」

 

ふと思いついたので口にしてみる。

 

「この時間っていつもあなたは受け身よね、やりたい事とかないの?」

 

草食系に分類されるトレーナーさん。

いつも私がやりたい事を受け入れてくれるが実際彼は不満に思っていたりするのだろうか。

 

「そりゃあるよ、今君をこうして抱いているのも可能だったら先に進みたい。それは俺も心から思ってる」

 

「ちょっとくらいいいんじゃないのかしら」

 

「アヤベさんそれ本気で言ってるの?」

 

トレーナーさんの目つきが変わる。

最後の忠告だろうか、彼が理性と戦っているのがとても可愛らしい。

 

「ええ、もちろんよ……んっ」

 

思わず声が漏れるほど強く抱きしめるトレーナーさん。

脚と脚を絡め、私が逃げれないように捕獲してきた。

 

「男に対してそんな事を気軽に言うんじゃないよアヤベさん」

 

「別に他の男の人には言わないわ。あなただからよ……ッッ……」

 

私が言い終わるのと同時に首元に噛み付くトレーナーさん。

彼の荒い息遣いと目の前にある髪から香る彼自身の匂いに思考がトリップする。

 

「……見事に紅い花が咲いたよ」

 

「いきなりは狡いわよ……」

 

「誘ってきたアヤベさんが悪いよ」

 

「あなたって肉食だったのね」

 

「そりゃもちろん、目の前に御馳走があるんだから。後終わりだと思って油断したらダメだよ」

 

そう言いメンコのついていない耳にカプリと噛み付くトレーナーさん。

 

「……ッッ!!」

 

跳ねる体をあなたは無理やり押さえ込むように抱きしめる。

そしてもう片方の耳を空いている方の手で激しく揉みしだいた。

 

「ダメ……トレーナーさん……お願い……」

 

私の懇願を無視し、蹂躙を続けるトレーナーさん。

私はただ彼の背中をトントンと叩き、抵抗することしか出来なかった。

 

無限に感じた時間が終わり、彼から解放される。

私はただただ声を上げるのを我慢することしか出来ず、酸素不足故か頭がぼうっとする。

 

「尻尾もあるけどどうする?」

 

「やめて……これ以上やると死んじゃうわ……」

 

「俺も歯止めを利かせることが出来なくなるからやめておくよ」

 

肩で息をし続ける私。

彼には多分一生勝てないんだろうと身を持って感じた。

 

「ねぇトレーナーさん……んっ……」

 

口を突き出し彼にお願いをする。

 

「そういうのは卒業してからって約束じゃなかったっけ?」

 

「んっ……」

 

「はあ…‥今回だけだよ」

 

優しく唇を重ねてくれるトレーナーさん。

さっきの彼と違い優しく、相手を気遣うようなキス。

 

「ふふ、幸せね」

 

「本当幸せだよ。どこから覚えたのか随分と甘え上手になったことですこと」

 

「あなたが好きだからよ」

 

「それはもちろん、俺も好きだよ」

 

"同じ"ではなくちゃんと"好き"と言ってくれるトレーナーさん。

彼は無意識かもしれないがそういうところも大好き。

 

モゾモゾと少し下の方に移動したトレーナーさん。

彼はそのまま私の胸に顔を埋め、グリグリとする。

 

「少しくすぐったいわ」

 

「ここが1番安心する」

 

「そう、いつでも来てくれて構わないわ」

 

トレーナーさんの頭に唇を落とし目を瞑る。

 

また目が覚めた時何をしようか。

そんな事を考えながら窓を打ち付ける雨のコーラスをBGMに私は意識を手放した。

 

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