ウマ娘短編集   作:こーさん

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枝が無くなり口元が寂しくなったブライアンがトレーナーの指をチュパチュパする話

 

「ない……」

 

学校へ向かう準備を終え、いつも咥えている枝の補充をするべく植木鉢を見る。

しかしここ最近新しい苗を植えていなかったこともあり咥える分の枝が今日はなかった。

 

「チッ……しょうがない今日はこのまま行くか」

 

何か物足りなさを感じるも時間が時間のため私は大人しく寮を出た。

 

ほどほどに授業を聞き、気づけば放課後になっていた。

集中している時には気にならなかったがやはりふと意識を口に寄せると少し寂しい。

タバコをやめれない人の気持ちが少しだけ分かったような気がした。

 

女帝様に今日来なければ分かってるな?とのありがたい言葉を貰ったため気乗りはしないが生徒会室に向かう。

道すがらちっこいのに飴を貰ったがそれも直ぐに無くなってしまい私のイライラが溜まる。

 

「どうしたんだいブライアン。今日はやけに気が立っているように見えるが」

 

「いや、いつもの枝が枯渇してな。少し口元が寂しいだけだ」

 

「ブライアン!会長に対してもっと口調をだな……」

 

「まあまあエアグルーヴ。ふむ……飴でもガムでも持っていたら少しは変わったかもしれないが生憎私はそういう類は持っていなくてね」

 

「ふん、なら私はトレーナー室に向かう」

 

「待てブライアン!また逃げる気か?」

 

「必要業務は終わらせてある。私がここに滞在する理由はない筈だ、失礼する」

 

荷物を手早く纏めて教室を出る。

トレーニングでもしたらこのイライラも少しは無くなるだろう。

 

「失礼する」

 

コンコンと歯切れの良いノックをし、入室する。

 

「やあブライアン、お疲れ様。この作業が終わり次第トレーニングに行くからそれまでゆっくりしておいて」

 

カタカタとキーボードを打つ打鍵音。

作業がいい所なのかこちらを見向きもせずそう言った。

 

いつもなら私が来たタイミングでトレーニングを行うのだが今日はよっぽど忙しかったのか横に夥しい量の資料と本が鎮座している。

 

思わぬ休憩時間があった為何かをする訳でもなくただ時間を潰す。

しかし口の寂しさは治らない。

 

ふとトレーナーのか指に目が行く。

男性ながら華奢な体故かその指はとても細い。

 

まるでいつも私が咥えている枝のように。

 

「終わったあ……朝からこの量は流石にキツかったって……ブライアン?」

 

指先にかけ綺麗な曲線を描いているトレーナーの手。

日焼け止めでも塗っているのか女性みたいに白い。

 

「おーいブライアン?俺のことずっと見てどうしたの?」

 

「ん?」

 

呼ばれたことにより、私は顔を上げる。

 

「いや、さっきからじぃーっと俺のこと見てたから何かあるのかと」

 

「なんでもな……いや、一つあるな」

 

トレーナーの元に近寄りその手を取る。

全ての指をニギニギし、その太さを確認する。

 

一本だけあった。

私がいつも咥えている枝と酷似している指が。

 

「どうしたの俺の薬指なんか握って」

 

「咥えさせろ」

 

「え?」

 

困惑するトレーナー。

しかし私は気にせず続ける。

 

「アンタの指を咥えさせろと言っているんだ」

 

「え?」

 

まだ理解していない様子のトレーナー。

だが私は許可を得る前にトレーナーの指を咥えた。

 

「ぶ、ブライアン!?」

 

「んん……」

 

甘噛みも含めトレーナーの指を吸う。

寂しかった口元が潤うのを感じる。

 

「何俺の指咥えてんのって痛っ……」

 

「ぷはぁ……すまない少し強く噛み過ぎたか?」

 

トレーナーの指を見るとその白い指についた赤い痕。

場所も場所ということもあり付けた痕はまるで指輪のようで……

 

瞬間身体がゾワリと震える。

私だけが付けた私だけの痕。

トレーナーが自分のモノだけだと主張する痕に私はゾクゾクとする。

 

「いつも咥えている枝が無くなってな、今日一日ずっと口が寂しかったんだ」

 

「い、いやだからって俺の指に噛み付く必要あったか?」

 

「そこに丁度いい物があったから私は使っただけだ」

 

赤く付いたソレを優しく撫でる。

 

「それともなんだ?トレーナーも口が寂しくなったのか?」

 

「え、ブライアンどうした……んっ……」

 

何か喋ろうとしていたその口を自身のもので塞ぐ。

後頭部を抑え逃げられないよう念入りに蹂躙する。

 

「はぁ……はぁ……ブライアン何をするんだ?」

 

「アンタが物欲しそうな顔でこっちを見るからだ。私に指を咥えられていた時何故直ぐに突き放さなかった?」

 

「それは……」

 

「ふっ、何も言えないのだろう?私はまだ口元が寂しい」

 

再びトレーナーの頭を掴み距離を縮める。

口元が触れ合うギリギリ距離。

 

「アンタが嫌ならこれ以上はしない。トレーナーはどうしたい?」

 

顔を朱色に染めるトレーナー。

彼は黙って首を縦に振った。

 

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「こんにちはトレーナーさん」

 

「こんにちはたづなさん」

 

「あら、その指どうしたんですか?」

 

「あ、これですか?」

 

薬指に付いた赤い跡をなぞる。

 

「甘噛みが好きな娘が居ましてそのときね」

 

「犬とか猫を飼っているんですか?」

 

「いえ違いますが、まあ似たようなものです」

 

私は笑顔でそう答えた。

 

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