「週末は予定を空けていろ、私が料理を作ってやる」
「え?エアグルーヴ家に来るの?」
「二度と言わせるな、そうと言っているだろう。どうせ貴様のことだ部屋も散らかっているのだろう?」
「めっちゃ綺麗だけど」
「……」
「……」
「き、貴様のことだから毎日即席麺とかなのだろう?健康管理ができないようなら私が作ってやる」
「自炊できるんだけど」
「ふん。どうせレンジで温めるだけとかだろう?」
「いや肉じゃがくらいは普通に作れるけど?」
「……」
「……」
「家くる……?」
「行くに決まってるだろたわけが」
「エアグルーヴ先輩との二人三脚を見てからずっと好きでした!もしよければ付き合ってもらえませんか!」
「え……?俺なの……?」
「はい!」
(む……あのたわけ女子生徒と何をしてるんだ?)
「ごめんねー」
(何かやらかしたのか?注意せねば……)
「おい!たわけ……」
「俺もエアグルーヴにゾッコンだから」
「あっ」
「え..?」
「え、エアグルーヴ先輩!?ご、ごめんなさい!私もう行きますね」
「……」
「……」
「すまない。タイミングを考えるべきだったな……」
「いいよ別に元々断るつもりだったし」
「そ、それより貴様!わ、私にゾッコンとか言ったのか!?」
「うん。本心だし」
「う、嘘をつくな!そんな訳ないだろう!?」
「え?じゃあこれで信じてくれる?」
「な、何をしているたわけ!?」
「壁ドン。ドーベルがいいよって教えてくれた」
「ドーベルめ……」
「あれ?そんなにドキドキしてない感じ?」
「ふん。貴様如きでドキドキするわけがないだろう」
「へえ、言ったな?」
トレーナーはそのままエアグルーヴに顔を近づけキスの直前まで寄る。
「な!?き、貴様!離れんか!んんー」
しかしいくら待っても唇に優しい温もりは来ない。
気になり恐る恐る目を開けると笑いを堪えるトレーナー。
「貴様!私を揶揄ったな!!」
「エアグルーヴ...めっちゃキス待ちじゃん...ふふっ」
「忘れろ!!大体生徒にそんなことをするな!」
「だからしてないじゃん、おっこれいいな」
トレーナーがエアグルーヴにスマホを見せる。
そこには真っ赤になりながらキス待ちをするエアグルーヴが写っていた。
「なっ!?貴様すぐに消せ!?」
「これドーベルに見せて来るわ。バイバイ!」
「待たんかぁぁ!!」
逃走開始から6秒後エアグルーヴに捕まるトレーナー。写真はしっかり消された。
「トレーナーいるか?生徒会の業務が終わった、トレーニングに向かおう...って寝てるのか?」
トレーナー室のソファーに横になり寝息を立てるトレーナー。
「ふふ。日頃のお返しだ写真を撮ってやる」
そう言いパシャパシャと写真を撮り始めるエアグルーヴ。
するとエアグルーヴはトレーナーに引っ張られ添い寝をする形となる。
「なっ!?貴様離さんか!」
トレーナーに向けて言うが寝息が聞こえるだけ。
「無理に起こすのも悪いな……もうしばらく……こうしてやるか」
エアグルーヴはそう言い、先ほど撮ったトレーナーの寝顔をホーム画面に設定する。
「ふふ。こうしてみると案外可愛い顔だな。折角だ、本物のトレーナーの寝顔も……」
向きを変えてトレーナーの方を見るエアグルーヴ。
そこにはニヤニヤと笑いながらエアグルーヴを見るトレーナーがいた。
「可愛いことするじゃん」
「い、いつから起きていた?」
「君がパシャパシャ写真撮り始めた頃」
「起きているなら返事をせんか!」
「折角だしエアグルーヴが何するか気になって寝たふりしてたけど……ふふっ」
「笑うなたわけが!!起きているならいい加減離さんか!」
「やーだね。折角きた獲物なんだ離すもんか」
「たわけが!強く抱き寄せるな!頭を撫でるな!胸に頭をグリグリするなあぁぁ!!」
エアグルーヴの怒号がトレーナー室に響き渡る。
その後拘束を解いたエアグルーヴはトレーナーに説教をする。
するとトレーナーはスマホを取り出しホーム画面を見せる。
そこには幸せそうな笑みを浮かべてトレーナーの肩で眠るエアグルーヴが写っていた。
再びエアグルーヴの咆哮とトレーナー室をバタバタと走り回る二つの足音。
無事ホームは変えられた。
ファン感謝祭が近いということもあり、生徒会業務を手伝っているエアグルーヴのトレーナー。
「すまないエアグルーヴとエアグルーヴのトレーナー君、感謝祭に必要な衣装が届いたらしい。理事長に荷物があるようだから二人で取りに行ってもらえないだろうか?私はこの後会議があってね」
「了解しました会長。」
「りょーかい。行こうエアグルーヴ」
「貴様、会長に失礼だろうが!」
「いいんだエアグルーヴ。彼くらいフランクに接してくれたら私も嬉しいのだけどね」
「だってさエアグルーヴ。たわけたわけばっか言ってると後輩に怖がられるぞ?」
「うるさい!貴様がたわけなのがいけないんだ!」
「痴話喧嘩は他所でやってくれ、廊下まで聞こえてるぞ?」
「ブライアン!散々サボっておいて何を言ってる!」
「まあまあ、とりあえず荷物取りに行こ」
「くっ...会長失礼します」
生徒会室を出て下の階の理事長室へ向かう。
「大体貴様も貴様なんだ、私を怒らせるようなことばっかして……」
「ぷんぷんしてるエアグルーヴ可愛いじゃん」
「なっ!?そうやっているから他の生徒からも人気なんだ」
「こんなことするのはエアグルーヴだけだよ?」
「え?って不味い!?」
突然のことに驚きトレーナーの方を見たエアグルーヴはそのまま階段を踏み外し落ちそうになる。
「おっと、こらこら前ちゃんと見て」
エアグルーヴの背中を左手で支え、彼女の左手を支えるように掴む。
さながらダンスのワンシーンのような状況。
顔を上げると目の前にはトレーナーの顔。階段から落ちかけたとことトレーナーの顔が近くにあるということで物凄くドキドキしているエアグルーヴ。
何も出来ずただトレーナーを見つめている。
すると突然エアグルーヴのおでこにキスをするトレーナー。
「な、何をした!!貴様ぁ!!」
「え?だってエアグルーヴめっちゃして欲しそうな顔してたよ?後可愛い顔が近くにあるのが悪い」
「そういう事ではないだろう!」
「ごめんごめん。後でお願い一つ聞くからゆるしてちょ」
「そんな軽いノリで流すな!たわけが!」
「でも助けなきゃエアグルーヴ落ちてたでしょ?」
「うっ……それについては感謝する……」
「うむうむ、よきにはからえ〜」
「ファインか?」
「あの子も貴様呼びだよね?俺初めて話した時たわけ〜って呼ばれたんだけど?」
「そ、それはすまない」
「うん。ちゃんとデコピンしといた」
「貴様、中々怖いもの知らずだな」
「よく言われる」
「あ、後さっきなんでも一つ聞くと言っていたな?」
「うん言ったけどどうしたの?」
「そのだな……?」
エアグルーヴは顔を朱色に染め言った。
「キスは口にして欲しい……」