「こんにちは!トレーナーさん!」
時刻は午後1時前、昼食をとり血糖値が上がっているのか少し眠い。
仕事が落ち着いてきたのでこのまま惰眠を貪っても良いのだが私の担当がトレーナー室を訪ねてきた。
「こんにちは、トプロ……」
「トレーナーさんおつかれですか?随分眠そうに見えますが」
「いや、昼のこの陽気には人間勝てないなって……」
「あーわかります、太陽の光がとても心地いいですよね」
大きく伸びをし、体をほぐす。
しかしまだ眠いのだろうか、欠伸は止まらない。
「ふふ、トレーナーさん仮眠をした方がいいかもしれませんよ?」
「そうしたいけど折角トプロが来てくれたしなんか勿体ないっていうか……」
「ならゲームをしましょう!」
指をぴーんと立て、私に提案するトップロード。
「ゲーム?」
「はい!トレーナーさんが勝ったら私が膝枕をしてあげます!」
「おお、それは魅力的な提案だな」
ウマ娘の鍛えられた脚はかなり寝心地がいい筈だ。
私はその提案に乗り気だった。
「でも私が勝った場合、トレーナーさんには抱き枕になって貰います」
「代償大きくない?」
「私も少し眠いので……」
そういう問題じゃないんだよトプロさんよ。
トップロードはこの学園の生徒の中でもかなり大きい分類に入る。
何がとは言わないがその、とても大きい。
男してはどちらも万歳なのだが、世間は許してくれない。
あ、でもトレーナー室に鍵かければいいか。
「よーし乗った!そのゲーム受けてやる」
「分かりました!負けませんよ!」
グッと握り拳を作りやる気満々なトップロード。
「あ、そういやゲームって何するの?」
「愛してるゲームです!」
「え、まじ?」
お互いが面と向かって愛してると言い、照れた方が負けというなんともバカップルがやりそうなあのゲームだ。
トップロードは真面目で真っ直ぐだ。
まあ悪く言うとちょっと天然な部分がある。
そんな彼女が照れることなんかあるのだろうか?
「どうしましたトレーナーさん?怖気ついちゃいました?」
「やってやらぁぁ!」
こんな事を言われて引き下がる男などいないだろう。
私はこの勝負を受けることにした。
あ、もちろんトレーナー室の鍵は閉めた。
「「じゃんけんぽん」」
じゃんけんの結果、先攻はトップロード、後攻は私となった。
「じゃあいきますね!」
トップロードが私の膝の上に乗り、腕を首の後ろで組んだ。
彼女の顔がすぐ目の前にある。
若紫色の双眼とシルクのように美しい彼女の髪。
いやいやそんなこと言ってる場合じゃない……この状態で言われたらまずい。
「トレーナーさん、そのすごく、とても愛してます!」
「くく、ありがとう」
「あ!何で笑うんですか!」
安心した。
トップロードはどこまで行ってもトップロードだった。
彼女の語彙力の無さは健在のようで、恥ずかしさより面白さが勝ってしまった。
さあ反撃の時間だ。
右手を彼女の頬に添え、顔をぐいっと近づける。
身長差もあるのだろう、私の口が彼女の耳に触れるくらいの位置につく。
「トプロ、愛してる」
「ッッ!!」
パッと私から顔を離すトップロード。
そこには見事な茹でたこが完成していた。
「俺の勝ちでいい?」
「ま、まだです!まだ私照れてませんから!」
「ふーん?ならお次どうぞ」
私は勝利を確信する。
トップロードは素直な分、このゲームには弱い。
なら私は毅然とした態度でいておけば勝てるのだ。
「トレーナーさん!大好きです!」
「うん?うん、ありがとう」
愛してるゲームじゃなかったのか?
まあニュアンスは変わらないのでいいのかもしれない。
「俺もトプロのこと大好き」
「ッッ〜!!」
顔を横にブンブン振って耐えているトップロード。
いやもう負けじゃないの?
「トプロ?」
「まだです!まだまだこれからです!」
漫画やアニメならグルグル目になっていそうなくらい慌てているトップロード。
あ、これ掛かってるわ。
首の後ろに組んでいた腕をぐいっと引き寄せるトップロード。
そしてそのままほっぺにキスされた。
「と、トレーナーさん。愛してます」
「え、あ、え?トプロ何してるの?」
突然のことでキャパオーバーする私。
顔に熱が集まるのを感じる。
「あ!トレーナーさん照れてます!」
「それはズルいぞトプロ!」
「ほっぺにちゅーしたらダメなんてルールないですからいいんです!」
「反則だろ……」
「私の勝ちです!さあ大人しく抱き枕になってください!」
「え!あれ本気なの……っむぐ」
優しくホールドされ、彼女の胸元に包まれる。
あ、すげー柔らかい……
そのままソファーの横に倒れ、私と一緒にお昼寝を開始するトップロード。
彼女の胸元から顔を離し、顔を見る。
するとトップロードもこちらを見ていたみたいで目が合う。
「トレーナーさん、愛してます」
「俺もだよ、愛してる」
満足した回答が貰えたのか、眠りの態勢に入るトップロード。
私もあれだけ騒いだ後だからか、睡魔が突然襲ってきた。
最後に彼女をもう一度抱きしめ眠りに入る。
柔らかい太陽の陽気と彼女の甘い匂いが私を優しく包んだ。