やはり俺の○ル○ナは間違っている   作:hung

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とりあえず25話までの15話分のストックが出来ているので、材木座の次の区切りである19話までは毎日投稿します。
そこまでいってようやく原作1巻分ですので、長い目でお付き合いください。


どうあっても材木座は七転八倒する

4月20日(金)夕方 ザイモクザパレス

 

『酷い、酷過ぎる。我が何をしたと言うのだ。ただ、気持ちいい感じに創作活動をしてただけなのに』

 

 

 城を破壊され、元のサイズにまで戻ったザイモクザが地面にへたり込みながら泣き言を漏らす。

 

 

『ただ、シャドウも八幡たちも全て我の作品のネタにして適当にゲラゲラ笑ってやろうとしただけなのに』

 

 

 泣き言からすら、根性のねじ曲がった発言が飛び出てくるあたり、筋金入りである。

 

 あまりのうじうじとした惨状に、普段の三倍(当社比)イライラした様子の雪乃がカツリと近寄る。

 

 

「っ」

 

「あぁっと、俺に任せてくんない?」

 

 

 我慢しきれないとばかりに口を開きかけた雪乃より一歩先に出た八幡が、遠慮がちに(怯えながら)頼む。

 

 このままこの女子に好き勝手言わせたら、また材木座が暴走してしまうかもしれない

 

 もしくは、再起不能になってしまうかもしれない。

 

 流石にそれは顔見知りとして、忍びない。

 

 そんな考えからの行動だった。

 

 

「………そう。あなたのお友達ですものね。好きなさい」

 

「いや、友達じゃねえけどな」

 

 

 少しばかり躊躇ったものの、溜まり切った鬱憤を爆発させることなく翻意させた手腕。

 

 気分はまさに爆発物処理班である。

 

 女子に地雷が埋まっているのはゲームだけで十分なのに。

 

 なお、リアルだと地雷(踏むとやばい)どころか、機雷(触れるとやばい)もあるし、魚雷(やばいネタが追いかけてくる)もあるし、ミサイル(自動追尾)なんかも標準装備。やっぱりリアルはクソだわ。

 

 

『のう、八幡よ。我、そんな悪い事をしたか? ただ、我は我の書いた作品を適当に『一人ぼっちは寂しいもんな』って共感してもらいたかっただけなのだ』

 

「………多分、そこなんだろうなぁ」

 

 

 よいしょ、と手近な瓦礫(義輝城残骸)に腰掛けて、材木座と向き合う。

 

 

「別に、俺からしたら、材木座の小説が日本語出来てなくても、脈絡なく女キャラ裸にしても、先の読めすぎる展開でも構わねえんだよなあ。

 むしろ、最近のな○うとかだと、まともな文章で書かれてるのを探すのも一苦労だし、ヒロインが可愛かったら大体許せるし、先が読めるって事は筋が通ってるとも言い換えられる」

 

『それにしては、我、滅茶苦茶ボロカスに言われたのだが…』

 

 

 流石に何度もアナライズを試し、デバフを連発した疲労が厳しい。

 

 だるそうな顔を隠さずに淡々と告げる。

 

 

「まあ、その辺は読めない文章を書いたお前が悪い。

 本当に小説家になったら、編集者にもっとぼろくそに言われる。その予行練習として考えろ」

 

『むぅ、一理ある。だが、雪ノ下嬢よりも舌鋒が鋭い人はそこまでおらんと思うぞ。多分』

 

 

 ヒュゴォと背後から寒気が襲ってくる幻覚を覚えるが、努めて無視する。

 

 だって、あいつの属性は電撃と衝撃なんだから氷結は違う。八幡は自分に言い聞かせた。

 

 

「自分の作品が面白いって自負があるのも、まぁ当然だ。

 自分が面白いって思わない作品を誰が面白いって思ってくれるんだよ。

 自分の作品の一番のファンは自分だろ」

 

『は、八幡! お主、あんがい良い事を言うではないか! そのフレーズイタダキ!!

 自分の、作品の、一番のファンは、自分、と。しかし、もう少しオサレな言葉にしたいな』

 

「そこだ」

 

『ぬ?』

 

 

 八幡の(適当な)言葉に感銘を受けた(ちょろい)ザイモクザに指を向けて、指摘する。

 

 

「小説だろうがなんだろうが、作品を作るとき、一番必要なのは一貫して言いたいことは何なのか、ってことなんだよ」

 

『いや、それは我の作品は我が面白いと思えるように』

 

「だから、さっきから言ってるじゃねえか。

 別にお前が自己投影した主人公に俺TUEEEをさせても構わねえ。

 それがヒロインにもてはやされても構わんって」

 

『あれ? そうだっけ?』

 

 

 若干のニュアンスの違いに、黒材木座が首をかしげるが、まぁ、大体あってるから。

 

 材木座がどんな内容を書こうが構わない、と言う事は変わっていない。

 

 そもそも、八幡に材木座の小説に興味が無い…げふん。

 

 というか、あまりの疲労とその疲れる原因となった人物の説得と言う事でイライラし始めている。

 

 

「肝心なのは、その作品でお前が何を言いたいのかだ。

 お前が爽快感を覚えるのが目的なら、くっそムカつく敵役を出してみたり

 ちやほやされるのが目的なら、ちやほやされる理由になる所を掘り下げたり

 笑わせたいなら、ギャグの勉強をしてみたり

 涙させたいなら、感情移入できるキャラクターにしてみたり………

 材木座、お前からアウトプットされる物にはさっきから何を言いたいのかさっぱりわからん。

 どっかで見たようなキャラクター、どっかで聞いたような言葉、どっかでやられたような展開。他人の言葉を並べただけでそれが本当にお前の言葉なのかよ。

 その原因は、材木座自身何を目的にして、どんな言葉で言いたいのかを具体的に分かってないからじゃねえのか?」

 

『………』

 

「だから、俺はこの小説を読んで第一に思ったのは『これ、なんのパクリだよ』って呆れだ」

 

 

 グサグサと言葉の針を刺し続ける八幡。

 

 なお、その言葉の針は作者にもぶっ刺さっている。その言葉は俺によく効く。

 

 

「別に芸術家きどって流行を作ったりするのが目的でもないし、大衆におもしれー! って言われる為に書いたわけじゃねえんだろ?

 だったら、多分もうちょいまともなモンにしてくるだろ、つかそこに寄せられる程度にはお前頭悪くないだろ」

 

『………』

 

 

 じっと、自分の掌を見つめる材木座に淡々と、いや、むしろイライラして指をトントンしながら吐き出し続ける。

 

 いい加減、帰って休みたいのだ。

 

 部活時間からの数時間をハードワークしているのだ。

 

 いくら体力が有り余っているぼっちでも、厳しいものがある。

 

 

「お前の小説からは、とにかく自分の書きたい欲求だけが見えてたけどよ。

 でも、その書きたい欲求の素になったお前の、お前だけが理解できる『目的』があったんだろ。

 だったら、それを思い出せ、材木座義輝」

 

『………』

 

 

 これでトドメだ! と言わんばかりに臭いセリフを吐く八幡。

 

 おそらく、帰ってから反芻してベッドで疲労で動かない身体を悶えさせることになるだろう。

 

 ここまで言ったのに、ザイモクザは微動だにしない。

 

 ここまで、か。

 

 そう、八幡が諦めて背後に控えている雪乃にバトンタッチしようとする。

 

 雪乃の容赦ないマシンガン批評にさらさせるのは不憫な、そしてまた暴走されてはかなわないと似合わない説教なんかをした。

 

 だが、もしかするとずっと黙っていた結衣ならもっと的確な言葉をかけられたかもしれないな。

 

 そう考えて立ち上がった時。

 

 

『おもい、だした』

 

 

 ぽつりとザイモクザがこぼした。

 

 

『そうだ、そうだったのだ。我は何故このような簡単な事を忘れていたのだろうか』

 

「材木座?」

 

 

 見つめていた手の平を握りこぶしに変えて、声に力が入りだす。

 

 ぷるぷると震えながらも、足をまっすぐに立たせ、まっすぐな姿勢で空を見上げる。

 

 

『そうだ、我は見果てぬ蒼穹に夢を見たのだ。

 例え夢果てんとしても、我は遥かな先に輝きを見た』

 

 

 一言発するたびに、全身を覆っていた黒いナニカがひび割れていく。

 

 ぴしり、ぴしりと少しずつ、だが確実に。

 

 

『ありがとう、我が盟友よ。我は肝心な事を思い出すことができた』

 

「…いや、友達じゃねえよ」

 

 

 黒く染まり、真っ赤な目ではあったがその顔は確かに笑っていたのだと思う。

 

 ぼそり、と付け加えるが、その言葉にはザイモクザの言に反して力が無い。

 

 

『すまなんだな。迷惑をかけた。

 そちらの二方にも、猫殿にも』

 

「別に、こういう事は不本意ながら慣れてしまったから」

 

「あっ、うん、別に今回あたしなにもしてないし」

 

「ワガハイの名前はモルガナだ、ちゃんと覚えとけよ」

 

 

 清々しさすら感じられる笑顔で、さっきまでまともに会話すらできていなかった女子に声をかける。

 

 まるで、生まれ変わったかのような爽快な気分である。

 

 ぴしり、びしりとほぼ全身にひびが行き渡った彼は一つ大きく深呼吸した。

 

 

『これが、自分の気付いていた弱さを認め、自己を確立すると言う事か。

 ………………案外、悪くない物だな』

 

 

 最後の最後までカッコつけたような言葉を吐きながら、身体にまとわりついていた黒が一気に剥がれ落ちる。

 

 

「ペルソナ『ギュウキ』!!」

 

 

 そして、己を克服した証としての能力(ちから)、ペルソナを出現させた。

 

 

 

 

 

 

 

「え? なんで、今ペルソナ出したの?」

 

「しっ、今はあいつの気持ちよさそうな展開だから、邪魔すんな。万が一失敗したら目も当てられん」

 

「由比ヶ浜さんも似たような事していなかったかしら」

 

「とにかく、これでようやく終わりだな」

 

 

 結局最後まで締まる事無く、今回の材木座が端を発して発生したパレスは解決する事になった。

 

 ころんと、胸ポケットから落ちてきた万年筆をシミターで叩き割り、残滓を『ゾロ』で吹き飛ばす。

 

 

 その時、八幡の頭に不思議な声が囁く

 

 

<汝は我、我は汝>

 

<我、新たなる繋がりを得たり>

 

<繋がりは即ち、前を向く支えとなる縁なり>

 

<我、魔術師のペルソナに一つの柱を見出したる>

 

 

 

 

4月20日(金)夕方 奉仕部部室

 

 

「ところで、中二の夢って何だったの?」

 

 

 元通りとなった奉仕部の部室で、四人と一匹全員がぐったりとしている。

 

 帰れるまでの体力を回復していた時に結衣が疑問を挙げた。

 

 それぞれが自分に合っている回復アイテムとして飲み物と軽食を持ってきていたが、それだけでは回復しきれなかったようだ。

 

 

「…あぁ、いや、まぁ別になんでもいいじゃねえか。

 今はもう疲れてるし、それはまたいつか今度って事で」

 

「どうせ帰れる程度になるまでもう少しかかるのだから、暇つぶしがてら聞いてみてもいいんじゃない? 興味はないけれど」

 

 

 止めようとする八幡に、心底どうでもよさそうな声音で雪乃が後押しする。

 

 

「ふっふっふっふ、よくぞ聞いてくれた!! 我の壮大な夢!

 それをいまここでお主等だけに聞かせてしんぜよう!!」

 

「だから、煩い。疲れてる頭に響くでしょう」

 

「あっ、はい」

 

 

 疲れていても、夢を語るときはその疲労を一時だけ忘れることができる。

 

 中二も男の子なんだなぁ、と改めて思う結衣。

 

 とにかく静かにしてほしい雪乃。

 

 うへぇと言わんばかりに嫌そうな顔をする八幡。

 

 慣れているからか、一足先に動けるようになってそっと部室をあとにするモルガナ。

 

 

「我の夢はな、その、えっと、何と言うか」

 

「きもい、サバッと言え。どうせ誰も期待してねえよ」

 

「酷い! お主さっきから口がどんどん悪くなっておらんか!?」

 

「言わないなら、静かにしておいてくれないかしら」

 

「言う! もう、こうなっては意地である! しかと聞けい!」

 

 

 もうどうでもいい感を隠さない八幡と雪乃、飽きてきた結衣。

 

 そんな空気を敏感に感じ取って、ここを逃せば二度と発表させてもらえないと確信して慌てて見栄を切る。

 

 

「我の夢は……………………その、声優さんとお近づきになって、あわよくば結婚したい」

 

「「「……………………」」」

 

 

 そうして、もじもじとして、溜めに溜めた後に告げられた内容に三人が絶句する。

 

 

「我、声優さんが本当に好きでな。今思えば、我の目的は『我が書いた作品がアニメ化されて声優さんと親密になりたい』と言う崇高な理念を持っていたのだった。八幡よ、お主には感謝したい。我の純粋な夢を思い出させてくれて。いつの間にか、売れてる作品のパクリをすればアニメ化できるかもしれんと言う妄想につられて目的を見失っていた。これが手段と目的の逆転という奴であるな、恐ろしい妖魔にたぶらかされておったようだ。だが、これからは違う! 我が面白い作品を書かなければその前提にもならんのだと気付いた以上、我の今後の小説は今までとは全く異なるものとなぁる!!」

 

「帰るか」

 

「そだね、ゆきのん帰ろ」

 

「ええ。帰りましょう」

 

 

 一人演説をしている彼をそのままに、三人が一斉に席を立つ。

 

 少々足取りがおぼつかない感覚があるが、それでも帰宅するだけなら出来るだろう。

 

 

「だからこそ、我はもう一度書くぞ! 剣豪将軍である我が心底から魂を捧げるまでの代償を払うのだ、ならば我の壮大な夢も叶うは必然…って、あれ? みな、どこへ行くのだ。我のスピーチはまだ」

 

「部室のカギはそこにあるから、戸締りはしておいてね」

 

「甘い物たべたいなぁ」

 

「マッカンなら、ここにあるぞ」

 

「食べたいって言ったのに、飲み物とか、ヒッキー話聞いてる?

 てか、クッキー食べた後にそんなの飲んだら太っちゃうじゃん」

 

「あ、あれれええええ?」

 

 

 材木座の渾身の言葉も全て無視して、帰り支度を済ませる三人。

 

 扉をくぐる寸前、雪乃が声をかけるが、最低限の連絡事項だけだった。

 

 一切の興味も無い、そんな冷たい眼だった。

 

 

「お、お主等、本当に我の扱い酷くない?」

 

 

 そして結衣が退室し、続く八幡の背中に泣きそうになりながら、材木座が佇む。

 

 

「つぎ」

 

「へ?」

 

 

 扉を抜けて、閉める寸前、部室に顔を向けながらポツリと八幡が何かを言う。

 

 

「宣言通り、()はもうちょいまともな内容にしてくれ。じゃあな」

 

 

 一方的に告げて、カラカラと扉をスライドさせて閉めきる。

 

 残されたのは一人。

 

 

「………次…そうか、また、読んでくれるのか」

 

 

 だが、その彼の顔には悲嘆の色は残っていなかった。

 

 

「そうか、そうか」

 

 

 長い間ぼっちとして過ごしていた為、される事が無かった<次に繋がる約束>にほころばせる。

 

 ふつふつと、彼の心中に形容しがたい感情が湧き上がり、心のままに叫びたくなってくる。

 

 そして、その衝動に逆らわぬまま、歓喜の雄叫びを挙げた。

 

 

「ファン一号げーーーーーっと!!」

 

 

 拳を天につきあげて、勝利を祝う。

 

 

「いや、ファンでもねえよ」

 

 

 扉の向こう、廊下の先から聞こえないツッコミを受けながら。

 

 

 




ペルソナメモ

 ギュウキ(牛鬼)…牛の頭、鬼の身体。いやそれとは逆の身体。昆虫の羽がある、猫の身体と尻尾がある等々………様々な伝承がある。毒を吐き、自分を殺した相手を同じ牛鬼にする。
 土蜘蛛と同一視される事もあるが、字面から言えばミノタウロス。真Ⅳでは中ボスだったね、死ね。対策なしで行ったら、それまでと難易度が違い過ぎて全滅するのは必至だった人も多いハズ。本当に死ね。むしろ自分たちがカロンのお世話になった。

 アルカナ…魔術師

 ステータス…呪殺耐性。破魔無効。物理弱点

 初期スキル…ムド、ガル、夢見針
 現状スキル…ムド、マハガル、夢見針、エイハ


 雪乃と同じく、魔法に偏った物理も一応覚えるペルソナ。ようやく、全体に攻撃できるスキルを持ったペルソナが出て来て、雑魚に囲まれても何とかなりそうになった。地味に破魔無効がいい味出してる。多分『ニフラム!ニフラム!』が効かないコピペの影響。
 レベルを上げると、マハエイハにもなる。優先的にレベルを上げよう。雪乃たちは個人の性質から、マハ~を覚えないように設定してある為、今は本当に材木座が命綱。
 ただし、得意属性は呪殺の為、後半になって呪殺が効かない雑魚が出てくると一気に殲滅力不足になるし、もう少ししたらモルガナがマハガル思い出すから、序盤だけの無双である、よかったな()。

魔術師のアルカナの正位置には『創造、自ら切り開く』逆位置には『混迷、無気力な姿』と言った意味が含まれる。


愚者……比企谷八幡(アマノジャク)
魔術師…材木座義輝(ギュウキ)Rank1 New
女教皇…雪ノ下雪乃(ライジン)Rank1
女帝
皇帝
法王

恋愛…由比ヶ浜結衣(ザシキワラシ)Rank2
戦車
正義
隠者
運命
剛毅(力)

刑死者
死神
節制
悪魔




太陽
審判
世界…奉仕部 Rank1
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