やはり俺の○ル○ナは間違っている   作:hung

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連日投稿はひとまずこれまでです。
また10~15話くらいストックが溜まったら、一区切りつくまで連日投稿します。


これからを想うと葉山隼人は道を違える

4月27日(金) パレス内部

 

「さて三浦さん」

 

『………なに』

 

 

 ぶすっとした、不機嫌さを隠そうともせず肥大化した身体を元の人間大にまで戻したユミコが顔を背けながら返事する。

 

 結局、ユミコは多勢に無勢。

 

 傾いた天秤を戻すことかなわず、力尽きた。

 

 その身体は力なく浴槽のへりにもたれかかり、けだるそうにしている。

 

 しかし、一旦落ち着けたところで悪神の欠片の癒着が自然とはがれるわけでもない。

 

 であるならば、ここは普段通りに肉体的なダメージの後の精神的なダメージ…

 

 

「私とそこの男どもは外に出ているわ。話し合いたいならお好きにどうぞ」

 

 

 と思いきや、最も口が達者で、精神攻撃を得意分野と言って憚らない雪乃がさっさと浴場の出口に向かう。

 

 その顔は浮かない顔つきの八幡と強行軍の後の激戦で疲弊しきった材木座を視線だけで退室を促していた。

 

 手元には通り道に立っていたモルガナを拾い上げ、柔らかく抱かれ「うなぁ」とうなだれている。

 

 

『情けでもかけようっての!?』

 

「勘違いしないでほしいのだけれど、私はあなたの事なんてどうでもいいのよ。

 好きでもなく嫌いでもなく…関わってこないのであればそれで良しとでも言えるかしら。

 いえ、少し嫌い寄りかも知れないわね」

 

『あ゛?』

 

 

 精一杯の低音ですごむ、が浴槽の縁に深く背中をもたれかけている体勢だとすごみきれない。

 

 そんな中途半端な状態の彼女を歯牙にもかけない様子で、しかしふと横を見る視線はとても優し気であった。

 

 

「けれど、どうでもよくないと思っている人が居るのなら。

 あなたの事を心底心配している人が居るのなら、それはとても素晴らしい事だと思うから」

 

『どういう』

 

「優美子」

 

「話そうよ。あたし、優美子が何に怒ってたのか、何を我慢してたのか、知りたいから」

 

 

 彼女の心境の一部は先んじてそこの腐り眼野郎が蔑んでしまっていたから。

 

 雪乃にとってそれ以上の深みを知る必要はなく、十分以上だった。

 

 まぁ走りまわされて酷使された材木座からすれば、リア充に優位に立てる材料の一つや二つ欲しい所だろうが…

 

 

「あとは、あなたとそのお友達で話し合って済ましなさい。

 これ以上、世話焼きなんてしていられないから」

 

『ほんっと、あんたムカつくね』

 

「知っているわ」

 

 

 それだけ返して、湿気で束になった髪を普段通りに払いのけさっさと扉をくぐってしまった。

 

 あるいは弱みを見られてしまった彼女への気遣いなのかもしれないが…

 

 とにかく、雪乃はこの場を離れ、それに続いて八幡も続き、材木座は引っ張られて出て行った。

 

 いまだ詳細を知らず、雰囲気で参戦していて今どうすればいいのか逡巡しておろと周囲を見回した戸塚に

 

 

『戸塚』

 

「あっ、う、うん。何かな三浦さん」

 

『ごめん。そんだけ』

 

「…うん。わかった。僕も出てるね」

 

 

 ユミコは一言だけ謝罪の言葉を告げた。

 

 謝意を受け取って心に一つ区切りをつけられたのか、にっこりと笑って先に出た三人を追いかけた。

 

 残されたのはユミコ、隼人と結衣。

 

 しかし、彼女たちが何を話したのかは語る事は出来ない。

 

 語り部たる主人公がこの場から完全に遠ざかってしまったのだから。

 

 一つだけ言えるのはこの日以降、結衣の笑顔は大分魅力的になった。それだけだ。

 

 そう長くかかることなく、トツカのパレス兼ユミコの居城は跡形も無く消えるのであった。

 

 

 

4月27日(金) 夜 サイゼリヤ店内

 

「ごめん、遅くなってしまった」

 

 

 爽やかな笑顔で大きなエナメルバッグを肩にかけた隼人がサイゼに現れる。

 

 その後ろには気まずそうな様子をした優美子と、後ろから背中を押している戸塚の姿もある。

 

 少しだけ店内を見渡した後迷うことなく、既に席に座っている4人の元に近づき彼らも座る。

 

 

「仕方ないよ、隼人君も彩ちゃんも部活してるんだし。でも、よくあの後に部活出来たね。現に優美子は今まで寝込んじゃったし」

 

「ちょっ、結衣」

 

「ははは、恥ずかしながら今日の部活は散々だったけどね。あんなに疲れる物なんだな、ペルソナって」

 

「僕も今日は殆ど流すだけになっちゃった」

 

 

 ペルソナ、精神世界では現実世界の体力と関係なく動ける。しかし、一旦現実に戻ればそのフィードバックで疲労困憊になってしまう。

 

 もちろん、あまり体力のない、運動しない人間だと動けなくなってしまう。

 

 そう、一般的な女子高生であり慣れていない優美子だとか、極端に体力の少ない雪乃だとか。

 

 逆に言えば運動部で体力のある目の前の二人にとって、どうにかできなくも無い消耗であったということだ。

 

 

「俺的にはペルソナの疲れよりか、現実に戻った後の方が疲れたがな」

 

「私は疲れで対応できなかったから、引け目を感じてしまうわね」

 

「気が付いたら5限目も終わっててあたしら丸々一限さぼったことになっちゃったし」

 

「巻き込まれてしまった人たちには申し訳ない事になってしまったな」

 

 

 トツカ・ユミコパレスはザイモクザパレスの時より圧倒的に短い時間で攻略できた。

 

 道中はシャドウの波状襲撃で消耗したものの、落とし穴の所為で第一フロアから最深部まで直通でボス戦になったのだ。

 

 これ以上を目指すならパレスの本拠地の外から飽和攻撃で更地にするしかないが、そんな火力を発揮できるわけもなく。

 

 つまり最短経路で最短時間の攻略ではあったが、それでも1時間以上をかけてしまった。

 

 ならば現実に戻って来たらそのまま時間が過ぎているのは自然の摂理。

 

 おしなべて地味に内申ダメージが痛い事になってしまった面々であり、それに巻き込んでしまった野次馬への罪悪感も一入だった。

 

 優美子と雪乃が倒れ込んでしまい、その対処の為と言い訳を並べて何とか事を収めたのである。

 

 その原因となった奉仕部の依頼と言う点で、後日説明(言い訳ともいう)の為にと正式メンバーが平塚先生に呼び出されたのは必要経費だろう。

 

 とにかく済んでしまった事に拘泥していてもどうにもならない。

 

 

「それで、詳しい事を説明してくれるんだよね」

 

「俺は事前にざっくりと聞いただけだし、練習に身が入らなかった原因の一つでもあるからね。納得させてほしい」

 

「あーしは隼人の付き添いってだけだから」

 

「比企谷くん」

 

「もるが…ちきしょう、ここが飲食店だから。ちきしょう」

 

「はぁ…あなた達が来るまでに詳細は資料に纏めておいたわ。

 説明と資料で分からない所は随時質問してちょうだい」

 

 

 説明を求めてくる三人(厳密には隼人と戸塚だけだが)への説明をまたしてもキラーパスされ、スルーしようとしてモルガナが使えない事に気付き嘆く。

 

 とはいえ、それもただのじゃれ合い。後からくる三人に向けての資料は、直前まで雪乃がポチポチと作成していた。

 

 もちろん、こういう事もあろうかと、とこれよりも前に作ってあった草案があったからこその短時間作成ではあったが、結衣の尊敬のまなざしはさらに強くなった。

 

 スマホで作成されたそれを、結衣にメールし転送されたそれを隼人、優美子、戸塚が受け取り各々が読み進める。

 

 モルガナの通訳で補足する八幡と優美子の理解しやすい表現に置き換える助言をする結衣、所在無げにドリンクバーと往復する材木座。

 

 隼人は事前の説明と重複する内容が多いのと、優美子はあまり関心が無く戸塚は一度全部聞く姿勢だからかスムーズに説明は終わった。

 

 

「ふぅん、つまりその猫が全部悪いって事っしょ」

 

「優美子。モルガナくんもわざとこの事態を巻き起こしたわけじゃない。

 未必の故意とすらいえないのなら、彼に責を負わせるのは傲慢だよ」

 

「わ、分かってるし! でも文句位はいってもバチ当たんないでしょ」

 

「あたしはおかげでゆきのんと友達になれたし、優美子と本音で話し合えたからプラマイ的にはプラスだとは思うけどね」

 

「…モルガナがカバンの中で色んな意味で泣いてるからあんまり言わないであげて?」

 

 

 確かにこうなった原因はモルガナに端を発する。

 

 それを自覚しているから何も言えないし、結衣の優しさに感動している。

 

 

「でも、問題は僕たちが巻き込まれた事じゃない、よね」

 

「そうね、ざい…木座くんの件は偶然だと考えられるけれど、今回は明確な悪意で引き起こされた人災」

 

 

 ペルソナの事はもうどうにもならない。

 

 目覚める機会が無かっただけで、ここに集まっている面々には元々その才能が有ったのだからひょんなことで覚醒していたかもしれない。

 

 それを考えれば、何の標も無い状態で戸惑うなんてこともなくこの力を受け入れられる現状は恵まれている。

 

 ならば問題となるのはそう言った超常の力を悪用する誰かの存在が明確に判明したことだ。

 

 

「…そう言えばフィクションではこういうのに対抗する国家機関などがあるのはお約束なのだが。そう言うのは存在しないのか?」

 

「オカルトの警察、みたいなものか。確かにあればそれに頼る事が出来るし。ヒキタニ君」

 

「ちょっと待て。確かその辺はこっちのカンペに」

 

 

 黙っていた材木座が手持無沙汰にふと思いついたと尋ね、少し顔を明るくした隼人が追従する。

 

 

「えっと、何々。日本には大正時代に超國家機関ヤタガラスと呼ばれるオカルト対策組織が存在していたが、第二次世界大戦の終戦を境にその存在を確認する事が出来なくなっている。

 並行世界ではオカルト対策組織としてジプスやベテルと言った名前のモノが存在しているが、現状で調べる限り表に出てきていない。

 つまり、存在しているかも知れないがコンタクトを取る方法が無いし、そもそも存在していない可能性もあるってことだそうだ」

 

 

 この世界に歴代最強なあのライドウが存在していたかどうかすら分からないが、現在分かっているのは存在していても一高校生がその所在を掴むことはできないと言う事。

 

 もしかすればかつて帝都と呼ばれた場所の暗部には今もオカルトを駆使して日本を守っていたり、世界を崩壊させようと何かが動いているかもしれないが、知るすべも無ければ関係もない。

 

 

「頼れるのは自分たちだけ、ということね」

 

「それでも…」

 

 

 その回答に難く口を結ぶ。

 

 

「とにかく、俺らは自衛を主体にモルガナの望み通りに悪神の欠片を消滅させていく。そんな感じだ」

 

「あたし的にはこういう危ないのは一気に終わらせちゃいたいな」

 

「手がかりもないのだから、仕方ない所だけれど…そう言えば、今回の悪神の残滓はどうなったのかしら」

 

「あっ、それなら僕が三浦さんから預かってるよ。えっと、はいこれ」

 

 

 そう言ってジャージのポケットから取り出したのは、一つのテニスボール。

 

 特筆して変な所も無い、それをそうと知らなければ疑問にも思わないただのボールだった。

 

 しかし、それを知っている奉仕部のメンバーからすると、錯覚でも嫌な威圧感を覚えるのであった。

 

 ここから今回の不審者へと繋がる線はないだろうし、もしも見つかってもただ飛んできたボールを投げ入れただけと言われればそれで終わりだろう。

 

 背後にある悪意と周到さに少しだけめまいを覚えてしまいそうだ。

 

 

「ほれ、餌だぞ…って、痛ぃ」

 

 

 受け取ったボールをこそっとカバンの中に突っ込むが、そのタイミングで手の甲をひっかかれた。

 

 流石に扱いが雑過ぎたか、とひりひりする手をふりふりする。

 

 ひとまずはこれで優美子の乱入から始まった今回の一件は終わりを告げた。

 

 戸塚の依頼は、ペルソナに目覚めたことで何か吹っ切る事が出来たのか取り下げになったので、差し迫って何かしなければいけない事はない。

 

 

「それで、これからなんだけどさ」

 

「あっ、それなら僕から言っていいかな」

 

 

 空気を変えようと普段より少しだけ明るめの声で結衣が先の話をしようとすると、機先を制して戸塚が控えめに手を挙げる。

 

 

「今回みたいなことはちょっと怖いけど、それでもこんな目に他の人が遭うって言うのは良くない事だと思う。

 どうして僕にペルソナって力が授かったのかは分からないけど、この力を使ってモルガナくんの目的を手伝うのはいいことだと思うんだ。

 だから、僕は雪ノ下さんや比企谷くんのお手伝いをしたい。

 もちろん、部活があるときとか都合のつかないこともあるかもしれないけど、出来る限り力になりたいから。

 だから僕も仲間に入れてくれないかな。そうすれば僕も自分に自信が持てると思う」

 

 

 

 その時、八幡の頭に不思議な声が囁く

 

 

<汝は我、我は汝>

 

<我、新たなる繋がりを得たり>

 

<繋がりは即ち、前を向く支えとなる縁なり>

 

<我、運命のペルソナに一つの柱を見出したる>

 

 

「戸塚くん…ええ、あなたの参加は心強いわ。歓迎しましょう」

 

「盛大にな。とりあえず歓迎会か歓迎会をしようそうだろうピザかチキンかポテトか好きなものを選んでくれ奢るぞ懐は寒くないんだ遠慮しないでくれ」

 

「早口きもっ! ヒッキーどんだけ嬉しいの?!」

 

「むむぅ、月末でなければ我も出したいところだったのだが…お小遣いが」

 

「あはは、別にそんな気を使ってくれなくてもいいよ。入れてくれるだけで嬉しいから」

 

 

 奉仕部の仲が深まった気がする。

 

 

「盛り上がっている所悪いけど、君たちはこれから具体的にはどうするつもりなんだ」

 

「具体的、って?」

 

 

 話も一段落、と思いきや隼人が話の流れを切り質問する。

 

 

「明確な原因は悪神だっていうのとそれが誰かに悪用されていると分かっている。

 だけど、分かっているのは言ってみればそれだけだ。

 誰が持っているのか、持っている人は操られているのか、それとも自分の意志で悪用しているのか。

 目的は、ターゲットは…他にもいろいろあるけど分からないことだらけだ」

 

「まぁ、今まで我らも受け身であったからな。知るすべも無かったと言うか」

 

「そうだ。君たちは今まで手がかりも無い状態で、ただヒキタニ君のトラブル集約効果で待っていただけ。

 それが今回の戸塚達の一件で、手がかりが向こうからやって来たし、なんならこれからも向こうからちょっかいを出してくる事も考えられる」

 

「…今回、不審者として姿を現した相手を調べる事で追い詰める事も出来なくも無い。手段を選ばなければ、だけれど」

 

「あっ、そうか。今までと違って、調べる対象が居るんだね」

 

「まぁこれ以上の被害を受けない為にもこっちから攻める必要もあるだろ。押してダメなら押しつぶせって言うしな」

 

 

 そう言って隼人の疑問から思いつく事を一同は口々に乗せる。

 

 その内容を確かめた彼は一つだけ頷いて、切り出した。

 

 

「そういう方向に行くのなら、戸塚には悪いけど俺は君たちに全面的に賛同する事は出来ない」

 

「隼人君?」

 

 

 和やかな空気がその一言で一変する。

 

 ぴたりとそれぞれが止まる。

 

 

「考えてたんだ。今回の事に巻き込まれて、ペルソナって力を使えるようになって、戸部達の姿を見て、優美子と戦わされて」

 

「…」

 

 

 両の手を握り合わせて口元を隠す。表情は全て見えていないが、それでも目付きは険しいのは分かる。

 

 悩んでいるのだろうか、目を合わせようとしていないが決意を滲ませている言葉の強さに巻き込んでしまったと言う意識が有った戸塚が眼を逸らす。

 

 同じく引け目を覚えている八幡も何も言えず、リア充率が増えない方が助かる材木座も割り込もうとはしない。

 

 

「これはもう子供の手に負えるものじゃない。可能ならしかるべきところに任せるべきものだ。

 そう言う類がないのは残念だけど、俺も、君たちもこんな危険なモノからは手を引くべきなんだ。

 だってそうだろ。一歩間違えれば今回ヒキタニ君も雪ノ下さんも死んでいたし、戸塚も時間をかけていたら危なかった。

 確実に降りかかる訳ではないならこんな危険からは身を引いて、関わりは必要最低限にするのが一番だ」

 

「…あなたが臆病風に吹かれてもどうでも良い事よ。

 私には悪神に借りがあるし、何もしなくても降りかかってくる火の粉は積極的に殲滅するのが信条。

 それをあなたに強制はしないけれど、差し出口を挟まれる筋合いも無いわ」

 

「はぁ?! 隼人はあんたらの事心配してやってんでしょ、それを」

 

「いいんだ、優美子」

 

「でも」

 

「いいんだ」

 

 

 隼人をこき下ろされたと激昂する優美子の肩を抑えて、強い口調で首を振る。

 

 その反応は予想できていた。

 

 だからこの先の言葉も用意するのが当然だった。

 

 

「あまりとりたい手段ではないけど、俺はこの事を両親やその繋がりに相談する事も出来る。その意味が君には分かるだろう」

 

「っ、それ、は」

 

 

 隼人の言葉の意味を直ぐに理解できたのは雪乃と八幡だけだった。そしてすぐ後に優美子が続く。

 

 隼人と雪乃の関係を知ってしまった八幡と優美子だけがおぼろげに先を予測できた。

 

 

→異議あり!

 静観する

 そんなことよりピーナッツ食べたい

 

 

「…なぁ。例え関わりを最小限にしたとしてだ」

 

「比企谷くん?」

 

「そうしてみないふりをしても俺はアルカナの所為で放っておいても巻き込まれる可能性が高い。

 で、いざという時に抵抗できないってのは余計危険なんじゃねえの」

 

「だから、それを何とかする為に大人に相談する事で」

 

「これはモルガナの世界の話だが、ペルソナ、って言うか精神世界『認知の世界』を知った政治家が自分にとって都合の悪い奴を排除する為に、その力を悪用したらしい」

 

「っ!」

 

 

 八幡の言葉を聞いて、全てを説明するまでも無く隼人は理解してしまった。

 

 こう言いたいのだ、法に縛られないオカルトの実在を証明してしまえば、誰に悪用されてもおかしくない。

 

 しかも隼人が考えている大人、というのが多少とは言え政治と言う一面に関わっているのならそう言った懸念を考慮すべきではないのか。

 

 廻り回って余計な危機を呼び込まないと誰が保証すると言うのか。

 

 

「それでも、俺は」

 

「ひ、ヒッキーも隼人君も難しい事言ってるけどさ。簡単に言えばヒッキーは自分の身を守るのに頑張る。

 あたしとゆきのん、中二とさいちゃんはモルちゃんを手伝う

 隼人君はそう言う危ないのには関わらない方が良いと思うから、手伝えない。それだけでしょ」

 

「あ、ああ。そう、だな」

 

 

 結衣の言葉通りだ。

 

 モルガナ、悪神の件が無くとも愚者のアルカナには騒動がつきものである以上、自衛手段は磨く必要がある八幡は今更他人に任せられない。

 

 雪乃は責任感から、結衣は友達の為に、材木座は趣味の為に、戸塚は己の成長の為に。

 

 三者三様、各々がそれぞれの理由で覚悟を持って関わっている。

 

 だからと言って隼人の言葉も間違っていない。

 

 法治国家であり、生命の保証は国で担保される物なら未成年の彼らがこう言った危険に巻き込まれること自体おかしい。

 

 ならば大人や社会に頼るのも当然なのだ。

 

 いうならばスタンスの違いでしかない。

 

 自助努力で己の身を立てるのか、他者に依存してでも身を守るのか。

 

 そのスタンスが違えてしまえば歩む道はおのずと分かれるのも道理である。

 

 スタンスを他者に強要しようとしない限りそれは信条と呼べるのだから。

 

 

「…それでも、俺は積極的に協力したいとは思えない。

 もちろん、巻き込まれてしまう人は助けたいし、君たちが困っていたら手を貸そう。

 誰かに告げ口みたいに報告するのもしないと約束するよ。

 だけど、この先君たちが自分たちから進んで首を突っ込んでいくと言うのなら、そこに俺は付き合いきれない」

 

「優美子は? どうする」

 

「あーしは隼人に賛成。華のJKの青春を切った張ったで浪費したくないし。

 ま、結衣はやりたきゃやればいいし。そっちは何も言わないけど、あんま危ないことばっかしないようにね」

 

「そっか。うん、ありがと」

 

 

 結局のところ隼人が静観のスタンスを示して道を違えたという事実が横たわった。

 

 そこに理解を示さない訳ではなかったものの、水を差された形になり騒ぐ空気でもなくなった彼らはそのまま解散する。

 

 

 

 




ペルソナメモ

 メガテンシリーズでは多くの作品でLaw、Chaos、Neutralと三つのスタンスがあり、法と秩序を重んじるか、力と自由を重んじるか、うるせえ両方死ねという特徴がある。メガテンでは全く異なるルート、エンディングになるが、ペルソナではあまりその要素が強くない。超常、アクマ、世界への関わり方のスタンスの違いだが、ペルソナシリーズでは人間関係の方が主体になっているからだろうか?
 なお、作中の悪用した政治家とはP5の獅子堂。こいつのせいで主人公は屋根ゴミと言われる騒動に巻き込まれる事となった。


俺ガイルメモ

 原作の葉山隼人は周囲の和を重んじ、人の良い面を信じる人間である。一見秩序(Law)を重んじるかのような彼だが、周囲を混乱させるチェンメ騒動では犯人を捜そうとせずに情実を優先する面は感情(Chaos)に傾倒しているややこしい奴である。
 今回はペルソナと言う超常現象に対して積極的に首を突っ込むのは愚策と考えてのメンバー離脱である。ペルソナシリーズには何故か主人公グループと思想を異にするグループがほとんど存在しない。個人ならあるのだが、それも大体別ルートへの象徴でしかない。あえて言えばP3でのストレガがそれにあたると言える? 加入しなかった隼人たちはこの先どうなるのか…


愚者……比企谷八幡(アマノジャク)
魔術師…材木座義輝(ギュウキ)Rank2
女教皇…雪ノ下雪乃(ライジン)Rank1
女帝
皇帝…葉山隼人(ツチグモ)
法王

恋愛…由比ヶ浜結衣(ザシキワラシ)Rank2
戦車…三浦優美子(???)
正義
隠者
運命…戸塚彩加(ノヅチ)Rank1 New
剛毅(力)

刑死者
死神
節制
悪魔




太陽
審判
世界…奉仕部 Rank2 Up

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