なので、ガハマさんが出るまで連続更新します
ただし今話出てくるのはオリキャラです
4月8日(日)朝
日曜日の八幡の朝は早い。
ニチアサでひとしきりプリキュアタイムを満喫する必要があるからだ。
しかし、プリキュアタイムが終わってしまえば途端にやることも無くなり、二度寝するかゲームするか、小説を読んだりモルガナの世話をするしかなくなる。
結局、一昨日の夜と昨日一日かけてようやくモルガナを飼う許可を得た。
やはり既にカマクラと言う猫が居住していることがネックとなった。
大分愛想を振りまいてもらって、小遣いダウンと世話を専任することと引き替えにやっとの思いで勝ち取った。
その直後、小遣いダウンのせいで成績が下がってはいけないからと、参考書費用をせびる小悪党がいたのだが今となっては終わったことである。
実質人語を解する猫と言う、意志相通が出来る存在の世話をするだけで済んだのだから大勝利だろう。
まぁ、その猫の世話が楽とは言っていないのだが。
なんだよ、カレーなんざ適当な野菜と肉に火を通して市販ルーを溶かしたらそれで仕舞いだろうが。
やれ隠し味がどうの、手順がどうのとうるさく、出来上がった物を食えば「不味い訳じゃないが、美味いともいえねーな。もっと精進しろよハチマン」とかのたまう始末。
モルガナのせいで週に一回はカレー特訓の日が決められたのであった。
他にも手先は器用になっておけとか、筋トレできる環境を作れだの、内職バイトをしろだのと他にも口うるさいので共同生活3日目の時点で既にうんざりしている。これが倦怠期か。
唯一褒められたのは家にある蔵書の種類だけで、曰くこれだけあればわざわざ図書館で借りたり、買ったりする必要はねえなとのこと。
言われなくとも趣味本以外は買う気はない。たまに四街道市の本屋に行くこともあるかもしれないが、そこまで遠くに行って自己啓発とかコミュ力強化の本を買う気は一切ないのであった。
そんなやることがなくなった八幡は、カマクラとモルガナに構っている妹の小町にちょっと参考書買って来ると告げて一人家を出る。
ついて来ようとしたモルガナはがっちり小町の膝の上でホールドされている。
何やら後ろの方から呼び止める声が聞こえる気がするが多分気のせい。
はてさて、参考書選びに千葉まで行ってみよう。ちなみに、千葉県民にとって千葉に行くとは千葉駅に行くと言う意味らしい、ややこしいな。
未だ日中でも肌寒い風が吹くこの時期、マフラーまでは必要なくとも厚めのアウターは着ておかないと帰りが厳しい。
無精して通学で使っているコートを引っ提げてふんふんと機嫌よく進む。
参考書を買う為に小遣いを貰った。確かに参考書を買うとは言ったが、勉強に使う参考書とは言っていない!
つまり、戦闘の参考書として少年漫画、神話の参考書として青年漫画を買ったとしても参考書なのだから嘘ではない。
「うぉっ、寒いな」
そんな詭弁を浮かべながら歩いていると突風が冷たさを運んでくる。
暦の上では春と言ったとしても最高気温が15℃を超えない日もあるし、今日の最高気温は13℃、最低気温は5℃。普通に寒いなオイ。
明日は最高気温21℃、最低気温9℃。寒暖差が本気出し過ぎて風邪ひくぞ。地球くんはもっと余裕持って?
手袋も持ってくるべきだったかと、ポケットに手を突っ込もうとして
「ん? なんだ、これ」
コツンと指先に硬質な手応えを感じて引きずり出すと、小さな太鼓が顔を出した。
木目のキレイな胴に黒い皮の面、その面にはまるで生き残った男の子の額の紋章のような模様が描かれていて、陽の光が当たると少し揺らいで見えた。
「こんなもん、買った覚えも拾った記憶もないんだが。小町がイタズラで入れたとしたら意味が分からなすぎるし、本気で分からん。えっ、なにこれ怖い」
和風なそれに、市松人形のような不気味さを覚えてしまう。
捨ててもまた戻ってきて最終的に寺生まれのTさんにハーッ! してもらわないといけないのかな?
千葉生まれのHさんじゃ駄目かな? 無軌道な思考に足を止める八幡。
そんな彼の頭の中によぎる可能性、太鼓、雷というキーワード。一瞬だけ浮かんだ怜悧な少女の姿を
「匂う、匂うぞ、匂うとも! かぐわしい、オカルトの香りだぁ!!!」
「うひゃいお!!」
そんな思索にふけろうとした彼の背後からテンションの高い声と共にあらわれた女が彼の手の中に在った小太鼓をひょいとひったくった。
「ありえない、ありえないねぇ。これは私が小学5年生の時に自由工作で作った『かみなりさまfeat.イザナミ』の一部。証拠にこの雷マークには透かしとして私の名前が見えるようになっている。だけど、あれは出来の良さからイザナミの腐敗コーデの気味が悪いと親に捨てられたはず。なのに、一切の劣化もなくまるでさっき作られたかのような新鮮な木の香りがする! つまり、おかしい! おかしいんだ! オカルトの匂いがする!!」
「うわぁ」
突然の乱入者に八幡ドン引き。
真っ黒な髪を頭部にまとめて乱雑にひっつめ髪にし、分厚い眼鏡をかけている女性。
そんな妙齢の女性が、鼻息荒くくんかくんかして、ためつすがめつ睨み付けるように見ていれば、誰でもドン引きする。
太鼓を奪われた事もどうでもよくなり、というか、自分の物であると言う意識が無いから徐々にフェードアウトしようとする。
気分的には頬の汗を舐められたジョバーナ。嘘の味がするとか言われちゃうかもしれないけど、ここから逃げたいって気持ちだけは嘘じゃないから。
「きみぃ、きみだよぉ! これは一体どこで手にいれたのかなぁ?!」
「うわぁ」
グリンと音の出そうな勢いで首を八幡の方向へと向ける女性。
さっきからうわぁとしか声を出していない八幡である。
「いや、気が付いたらポケットの中にあったっつうか、欲しいなら差し上げますよ」
だから、もう関わろうとしないで? と言う本心が露骨に表れている。
「そうかい? 悪いなぁ! いや、悪い!! うん、それだと悪いよ」
「いえ、別に思い入れも何もない偶然みたいなもんですから、じ、じゃあ、俺はこのへん」
「悪いよ! だからね、これを私が買い取ることにしてあげよう! 買い取るよ!」
同じような言葉を繰り返す独特な話し方と、眼鏡の奥で鈍く光る眼光に圧されて、逃げる事に失敗した。
そして続けられた「買い取る」の言葉に、ピクリと反応する。
浅ましいと言ってはいけない。
高校生に限らず、学生の身分ではいつでもお小遣いとの相談を強いられる。
特に八幡は二人兄妹で、二歳下の妹からたまにたかられたり、積極的に奢ってあげたりするせいで度々金欠となるのだ。
多分、今日も帰ったら何かしらのお土産をせびられて、買ってきてなかったら何かしらの理由をこじつけてコンビニスイーツでもねだられるのだろう。
なお、これは余裕のある社会人(独身等)以外からするとローンだとか、養育費だとか、親の介護だとかで、結局財布との相談は無くならない。
「ち、ちなみにおいくらで?」
「うーん、君がどうやってこれを入手したのか、とかそう言う経緯とか全てを無視したら、これは私にとって少々の思い入れがあるだけだし、う~~~~~ん、そうだね5000円でどうかな、どうだろう?」
ごくり、と喉が鳴る。
侮るなかれ、5000円? ゲームソフトの一本も買えないじゃねえかとか、10連ガチャ一~二回分と少しとか考えてる人はちょっと金銭感覚がマヒし始めてるよ。
高校生にとって万を越えれば大金。
その半分である5000円は大金ならずとも、小金持ちレベルの気分になる。
しかも、これはただの玩具。
いやさ、言ってしまえば彼にとってはガラクタでしかないのだ。
それを5000円で買い取ろうなど破格を通り越して怪しさすら覚える。
「へぇ、べ、別に俺もそれが欲しいって訳じゃないんで、いいですよ」
「うん、取引成立だ。ありがとう、感謝するよ!」
現金の前には(警戒心なんて)勝てなかったよ。
パパッと財布を取り出して、八幡にお札5枚を渡す。
そしてうへへへと気持ちの悪い笑みをこぼして太鼓に穴が開きそうな程の視線を送る。
臨時収入が入り寛容な心でその奇行を許して立ち去ろうとした。
「あぁ、そうだ。なんだか、君はオカルトと縁がありそうな匂いがする、うん、匂うね。
だから、もし、怪しげな物品が手に入ったら、そこに連絡をくれたまえ。色を付けて買い取ってあげよう」
そう言って彼の受け取った1000円札の束を指さす。
お札の間を調べると、そこには一枚の名刺が挟まれていた。
「へ?」
「私は、こういったオカルトや妖怪と言った物を研究していてね。第6の力だとか、陰謀論、世界は滅亡する! とか、そう言ったものを雑食的に調べているんだ。
だから、その調査の助けになりそうなものは幾らでも欲しいんだよね、どれだけでも」
「いや、最後のはキバ○シ、しかも二番煎じ」
「わかる、わかるともさ。こんな胡散臭いオバサンに急に言われても怪しいのはさ、分かるさ。
だから、そこには一応の私の肩書を記載しているから、存分に調べてくれ給え。これでも社会的な地位は一応持っているんだ、とりあえずね」
「は、はぁ」
勢いに呑まれて、生返事をしながら名刺に書かれた文字を読むが、八幡には良く分からない何となく偉そうな肩書が書かれていた。
しらーっと読み流すしかない肩書情報の下にはおそらく目の前の女性が持つ名前が記されていて、珍しくも無い苗字と少しだけ読み方に悩みそうな名前が並んでいる。
つーか、佐々木 三燕ってどこの小次郎ファンだよ。そう突っ込みそうになった。
「ちなみに、私の事は………そうだね、今孔明に習って、今石燕とでも呼んでくれ給え、今石燕と。
本名は昨今でいう所のキラキラネームを先どった両親のせいで嫌いなんだよね、嫌いなんだ。
本名で呼ばれても返事しないし買い取らないからその辺はよろしく、呼ばないでね」
確かに、小学生とか中学生とかの時期には弄られそうな名前ではあるな、と一人で納得する。
佐々木小次郎って色んな漫画アニメにも出てるし、そうやってからかわれた事があれば苦手意識もでるかもしれない。
彼がツッコミの言葉を放つ前に、彼女はそう言って制止する。
だから、開きかけた口は代わりの言葉を紡ぐしかなかった。
「石燕、って江戸時代の妖怪専門家の鳥山石燕、ですか?」
「おや、良く知っているね、本当に良く知ってる。専門家と言うより、彼こそが妖怪研究の一人者と言ってもよい。
様々な妖怪の名付け親だったりするが、あまりオカルト界隈以外には知られていないと思っていたよ、知名度が低いとね」
かつて黒歴史を生産した時に神話を調べたと同時に日本のオカルトもかじった。
その時知った知識だったのだが、経験が活きたようだ。
「まぁ、現代の石燕と言えば水木御大だが、その名に恥じない程度にはなりたいなと言う願望を持って名乗っている、そうなりたいなとね」
「いや、願望かよ」
「ぼーいずびーあんびしゃす、だよ、私はオバサンだけどねオバサン。とにかく、変な物を見つけたら連絡を頂戴ね、報連相!
逆に丑の刻参りに使う藁人形とかオカルトグッズが欲しいなら格安で売ってあげるよ! 同士だからね、仲間、フレンズ、たーのしー!」
ケラケラと笑いながら、今石燕と名乗る佐々木女史は去って行った。
八幡の手にお金と名刺を残して。
「なんで丑の刻参りとかを俺に言うんだよ、人を呪いそうな見た目だってか? うっさいわ」
帰り道、寄った書店で鳥山石燕著の『今昔画図続百鬼』現代語訳版をさっき手に入れたお金で購入した。
これはオカルトの参考書だから。ちゃんとペルソナとかの理解に繋がるからセーフ。
別に親からもらった参考書代を使ってもいないにもかかわらず内心で言い訳してしまう、小心者であった。
小太鼓の存在から連想した少女の事を思い出したのは、案の定せびられた妹からのスイーツを買い直してコンビニから帰って来てからだった。
4月8日(日)夜
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From 雪ノ下雪乃
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Title Re:すまん
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あなたは何故そう言った悪神の欠片や
ペルソナの手掛かりになりそうなものを
見ず知らずの人に考えなしに渡したのか
、私としては理解に苦しみます。
ですが、あなたの衝動的な愚行にまで
私が口を出す権利も無いでしょうから、
今回は不問にします。
元々、その太鼓?も私のライジンに由
来していたと言う確証もないのでしょう
?
だったら、そのお金はそのまま比企谷
くんが使ってください。
ただし、次に怪しげな物を見つけた時
は私やモルガナちゃんにきちんと報告す
るようにしなさい。
社会人として相談、連絡、報告の3つ
は後々必要になるのだから。と言っても
あなたには必要にならないのでしょうけ
れど。
ではおやすみなさい。ヒモ谷くん
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「よかったじゃねえか、雪乃殿が優しいお人でよ」
「どこがだよ。いつの間にか女性に寄生する細長い存在に貶されてんだけど」
ベッドの上で寝ころびながら返ってきたメールを一人と一匹が読みつつ会話する。
帰宅した八幡に、新顔の存在が嬉しくてテンションが上がりすぎた小町から逃げてきたモルガナが駆け寄り、そのまま自室に逃げ込まされる。
ピッピ人形のごとく目暗ましに買いに行かされたスイーツを消費してふいぃと一息つく猫にポロリと太鼓の事をこぼしてしまったのが運の尽き。
モルガナは猫である。
いや、その本質はまともな生物とも言えない造魔みたいな存在であるのは大前提として、形質は黒猫である。
だが、かつては自分は元々人間だったと言う思い込みをしていた時期があり、紳士的な良い男だったと勘違いしていたその猫は、女性に対しては随分甘いし、逆に女性に対してないがしろにする態度は許せない。
多分ぶるぅあとか叫ばないし、うほっとかも言わないけれど、自分の正体が分かった後も紳士な良い男たろうとする精神があった。
だからこそ、モルガナは八幡のウカツを口撃し雪乃へと謝罪のメールを送らせた。
DTひねくれぼっち男子高校生の彼は、それはもう盛大に渋った。
女子と連絡を取るという事だけで「勘違いされたくない」とか「面倒」とか「こんな部屋に居られるか、俺は帰らせてもらう」とか、過去のトラウマからの拒否感が半端ないレベル。
なんとかなだめすかして雪乃へとメールを送れたのが夕飯も終わって風呂も終わって宿題も予習復習も終わらせて、さぁ後は寝るだけだとなってからなのだからさもありなん。
それぞれ別の理由でぐったりした一人と一匹は、それぞれ別の感想を返信から受け取っていた。
「ワガハイたち怪盗団のリーダーもシャドウからの戦利品を売っぱらって軍資金にしてたがな、それはあくまで怪盗団のメンバー全員からの信任を受けていたからだ。
こいつなら悪い事にはならねえ、信用できるってな。実際、リーダーが仕入れた薬とか武器でワガハイたちは戦えていた。翻ってハチマン、お前は未だ雪乃殿と殆ど接点が無いんだぜ。
ペルソナって点以外は赤の他人って男に対して、報告すりゃ資金を預けるだなんて雪乃殿は美しいだけじゃなく懐もふけえな」
「いや、報告するよう書いてるけど、したところで却下されそうな性格してるじゃねえか『確かに報告はしなさいとは言ったけれど、使い道をあなたにゆだねるとは一切言っていないわ』とかなんとか言って」
見解の相違ではあるが、衝突にはつながらない。
モルガナは紳士的たろうとしすぎて若干女性に色眼鏡(プラス補正)をかけているし、八幡は妹の薫陶を受けているせいで女性に色眼鏡(マイナス補正)をかけているから向きが反対で互いに交わらない。
争いは同水準でないとうまれないのであーる。
「つか、ちょくちょく怪盗がどうのと言ってるけど、お前記憶喪失なんだろうが。そんなに過去の事に言及してたら設定と矛盾してねえか」
「設定言うな!」
ただし衝突しないとしても怒らない訳ではない。
仲間をけなされたと思いふしゃーと逆立つ毛にドウドウとなだめる腕。
「ワガハイのこれは記憶喪失じゃあねえ。言っただろうが、ワガハイは一部の記憶を封印しているんだ。だから、全部を思い出せないだけで殆どは覚えたまんまさ」
「ほぉん。具体的には何を思い出せないんだ」
「具体的にって言えば怪盗団のメンバーそれと関わりの在る人の名前、顔、活動地域、社会的に所属してた組織。
とにかく怪盗団と繋がりが分かる個人情報は全て封印してある。万が一ワガハイが喋っちまえば社会が混乱しちまうからな。
だけど、怪盗団の輝かしい軌跡と奇跡は一つたりとも忘れちゃいねえ。
人類が悪神によって怠惰に染まりそうになった盤面をひっくり返して人類に希望を思い出させたんだ。
どんな理由があったとしてもそれだけは忘れない。ワガハイ絶対に絆は忘れねえ」
雑談交じりに疑問に思っていた点を聞いてみれば何やら壮大な答えが返ってきて茫然としてしまう。
絆、モルガナはそう言ったが彼はそう言った不確実なモノを信じない。
いや、信じたいと思っているが存在すると思っていないし、万が一存在したとしても自分には関わりのないモノだと思っていた。
例え何を忘れたとしても、忘れなければならないとしても、リセットされようとも、初期化されようとも、それでも残るモノにかつては燃え尽きる程に焦がれた。
今となってはそんなモノある訳ねえと斜に構えた立派な高二病患者である。
しかし、彼が言葉を失った理由はそれだけではない。
「怪盗団とか今どき小学生でも言わねえぞ」
「何だと! それが人類を救った心の怪盗団に対する言葉か! あんだけ日本中で騒がれて知らねえとは言わせねえぞ」
「いや、知らねえよ。怪盗で知ってるのは白マントでハンググライダーの奇術師だけだし」
心の怪盗団などと言う痛々しいネーミングを比企谷八幡は一切聞き覚えが無かったからこそ、彼は呆れを覚えて言葉が無かったのだ。
ちなみに、コナンとキッドとヤイバとルパンは全部同じ世界線らしい。そりゃ蘭ねーちゃんも電柱へし折れるわ。
「いやいやいやいや、ハチマン。お前がぼっちなのはこの数日を観察してれば分かる。休みなのに遊びに行くでもなく、用事を済ませたら即帰宅。携帯には遊びの誘いも付き合いの連絡すら来ちゃいない。そんなお前でも、あれだけ話題になった怪盗団を知らない訳がねえだろ」
「ぼっちなのは当たってるが本当に知らねえって。何、心の怪盗ってあなたのハートをずっきゅんしちゃうの? それとも洗脳まがいのアトモスフィア?」
その返事にあがっ、と顎が外れんばかりに驚愕する猫。
一つだけ言うとモルガナの判断基準は屋根裏に住んでいた彼であるから、大分基準が高いのは先に告げておく。
休みの度に遊びに行こうと連絡が来るのは当然だし、彼から誘えば余程の用事が無ければ大体OKが出る。
恋人は複数いたし、怪盗団としての顔を知っている人は全員が心友と言っても過言ではない。休みには自分磨きをする事も欠かさない。
そんなリア充を越えてゴミくずじゃない? と言わんばかりのコミュ強者と比べれば八幡とかカスや、なんちゅうもんと比べてくれてんだって文句が出るまである。
まるで1週目コンプした怪盗団リーダーと一般学生を一緒にしてはいけない。
「まさか、本当に怪盗団を知らねえのか? 改心は? メジエド、高校生探偵との対立とかは?!」
「高校生探偵は探偵王子と服部と新一しか知らねえよ。またコナン君に会話がループしちゃったじゃねえか。なに、怪盗団はルパン一味だったの?」
「嘘だろ!!?」
さっきよりも更に大きく口を開けて驚きを表現する黒猫に、流石にうるさすぎて鬱陶しいなと思う。
モルガナが喋ることを知らない、認知していない人間に対してはモルガナの言葉は全て猫の鳴き声にしか聞こえない。
それを知っている部屋の主人としてはあまりうるさくし過ぎると、今年高校受験を控えている妹の逆鱗に触れてしまうかもしれないと危惧するのは当然であった。
ひとしきりベッドの上でどったんばったんしてうにゃうにゃ騒いでいたのが大きく深呼吸してようやく落ち着きを取り戻した。
「よく考えてみれば、悪神の欠片が逃げた先がワガハイの知る世界と同じって訳が無かったんだ」
「そのこころは?」
「ワガハイは主からもらった知識で並行世界が存在している事を事実として知っている。
数ある並行世界には核と情報生命体の悪魔によって人類が滅びかけてる世界線もあれば、VR―仮想現実―が実現してる世界線もあるんだ。
なら、この世界はワガハイたち怪盗団が活躍した世界とは違うって訳だ。
だってそうだろ、悪神はワガハイたち怪盗団がぼっこぼこにしてやったんだから、怪盗団の居ない世界に逃げるのは理にかなってる」
へーと興味なさげに相槌を打つマシーンに変わり果てた八幡には感動するココロが存在していなかった。
後々ココロが芽生えて「これが、ココロ。これがナミダ」ってなるフラグ。
話は聞いていたが、勝手に驚いて勝手に納得している一人芝居を繰り広げる猫に付き合う程余裕が無かった。主に時間帯による眠気のせいで。
うつらうつらと舟をこぎながら意識が闇に沈んでいく。
どこかに違和感を覚えながらも、とぷんとぷんと揺蕩うような心地よさに溶けていった。
ペルソナメモ
モルガナ(追記)…前回でも記述した通り今作では一部の記憶を封印している。その内容はジョーカーたち怪盗団の個人情報に繋がる一切。コードネームは覚えていても顔も名前も分からない。エピソードやコミュ内容は覚えている。それは怪盗団の事を万が一にも広めないことだと理解していたが、そもそも八幡は怪盗団を知らない為どうやら違うようだ。
愚者のアルカナの正位置には『楽観、新たな出発』逆位置には『無責任、衝動的』と言った意味が含まれる。
女教皇のアルカナの正位置には『知性、努力が報われる』逆位置には『無神経、冷酷で無慈悲』と言った意味が含まれる。
なお、今回出てきたオリキャラ佐々木何某はペルソナシリーズでいう所の怪しげな物品を買い取ってくれるだいだらや、合法(?)なモデルガン等の武装を売ってくれる岩井さん的な枠である。同じ言葉、似た意味の言葉を重複する癖がある。イメージ的にははがないの理科を歳くわせて眼鏡の奥の瞳が見えない感じのビジュアル。
また、雷マークの小太鼓は雪乃からのドロップ品です。ショップチュートリアル用イベントアイテムの為、売らないと言う選択は出来ません。