やはり俺の○ル○ナは間違っている   作:hung

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特殊タグが使えるからと使ったけど、line風は疲れますね
多分以降ではここまでがっつりと使う事はないと思います
17話までストック(現在8話まで投稿なので9話分)できたので今日と明日でザイモクザ攻略直前まで進めます


これから彼らはそうして繋がっていく

4月13日(金)夕方 ザイモクザパレス

 

「ハチマン! 雪乃殿! 無事か?!」

 

 

 一段落してある程度の事情を説明している途中で、ドタバタとしながらモルガナが扉を開けて飛び込んできた。

 

 

「あっ、モルちゃん。ごめんね、怖い目に合わせちゃって」

 

「も、モルちゃん? って、結衣殿、正気に戻ったのか」

 

「ようモルちゃん、遅かったなモルちゃん、こっちはもう終わったぞモルちゃん」

 

「あなたは何もしていないでしょうに」

 

 

 あてこすりのように揶揄う声に、頭が痛いと言わんばかりに手をやる。

 

 しかし、彼女の独特なあだ名センスはどうにかならないのだろうか。

 

 まぁ、かつての怪盗団のメンバーとしてのコードネームは『モナ』だったから似たり寄ったりと言えなくも無いが。

 

 

「事情はゆきのんから大体聞いたよ。あたしも一緒にその何とかってやつと戦う。協力、させて」

 

「いや、それは嬉しいが…こうして普通にしていられるって事は、まさか」

 

「うん、あたしもペルソナって言うの? 使えるようになったんだ」

 

 

 言葉の途中で言われた内容に理解が及んでハッと眼を見開く。

 

 その宣言の直後『ザシキワラシ』と呟いて一瞬だけ出されたペルソナに「マジか」と驚愕する。

 

 

「あたしのペルソナはゆきのんのとは違って、あんまり戦うのは得意じゃないけど。

 それでもみんなのフォローは得意みたいだから。足手まといにはならない」

 

 

 決然とした強い眼で覚悟を示す彼女に否を突き付ける事は無かった。

 

 しかし、唯一の懸念が存在している事に一人だけが気付いていた。

 

 

「だけど、お前猫嫌いだろ。モルガナは猫なのにいけるのか?」

 

「いやいや、ヒッキーってば。こんなヘンテコな存在が猫な訳ないじゃん。

 もしも猫だとしてもそれは猫と言う名前の別物だよ」

 

「ヒデー言われ様だな! 確かにワガハイも猫扱いされたくねえが、それでもヘンテコ扱いされたいわけじゃ」

 

「いえ、モルガナちゃんは猫よ」

 

「そこ食い下がらなくていいから」

 

 

 今までの彼女の様子を見る限り、猫に苦手意識を持っているのは明白だったのだが、どうにも彼女の中では独自の考え方で納得しているのだろう。

 

 ならば、これ以上何か言及する必要も無い。

 

 

「じゃ、さっそくあのちゅー二をぶちのめそう! …ってあれ?」

 

「由比ヶ浜さん?!」

 

 

 えいえいおー、とクッションに座っていた体勢から勢いよく立ち上がろうとした瞬間、ガクンと膝が曲がり崩れ落ちるように雪乃の胸元にダイブする。

 

 

「あ、あれ? おかしいな。全然あたし元気なのに」

 

「いや、気概だけがあっても無理はねえな。そもそも無理矢理心の闇を暴走させられてペルソナの才能が有ったんだとしても立て続けに覚醒させられたんだから。気力が持たんだろ普通。

 何より、雪ノ下の本気の『ジオ』が直撃したんだから、そのまま気絶してもおかしくないレベル」

 

「て、手加減はしたわよ」

 

「ゆきのん、あたしに本気でぶつかってくれなかったんだ」

 

「いえ、違うのよ由比ヶ浜さん心持は本気だったのだけれどあまりやりすぎて致命傷になってしまってはダメでしょう。ほらあの時のあなたは実に隙だらけだった」

 

「ウソウソ、分かってるからそんなに言わなくても大丈夫」

 

 

 改めてクッションに座り込みながらニヘと笑顔を浮かべる。

 

 しかし、その顔色は疲労と言うだけではなく、浮かない物だった。

 

 それにしても本当にあの時の記憶を失っていたんでしょうね? あてこすりのように『ジオ』で気絶するとか言われて気が気ではないのであった。

 

 

「足手まといにはならない、って言ったばっかりなのに」

 

「…モルガナ」

 

「よし、結衣殿の救出と言う第一目標はひとまず達成した!

 なら、これ以上欲をかいても仕方ねえ。一旦現実に戻って態勢を整える事にしようぜ」

 

「えっ、戻れるの? 一回入ったらボス倒せるまで帰れないやつじゃないの?」

 

「普通に戻れるぜ? って言うか、分かってたからこそこっち見たんじゃねえのかよ」

 

 

 すがるような視線にさらりと返ってきた言葉に思わず素できょとんとしてしまう。

 

 そう言えば退路に関しては誰も質問してなかったし、説明もされてなかったなと思い返す。

 

 どうにも間抜けなポカではあるが、それだけ切羽詰まった状況だったと納得しておこう。

 

 

「特に、この部屋は条件を満たしているからどこかに移動しなきゃいけないって事もねえ。主の認知から外れている場所は現実との接続が容易になるんだ」

 

「まぁここは極論言っちまえば由比ヶ浜の心中なんだからな。

 畢竟、材木座が介入できる余地はないのが必然か」

 

 

 あくまでこの場所は材木座パレスが出来上がった時に巻き込まれた結衣に異能の才が在ることで象徴化せずに、独自のエリアを形作ると言うイレギュラーだった。

 

 いくらパレスが本人の心の中だとしてもココロの全てを把握できている訳も無く。

 

 そして認知が薄い場所からは現実に戻る事が出来るらしい。

 

 

「ただ、戻ってもザイモクザの持ってきた悪神の欠片がまたワガハイたちを飲み込もうとしてくるだろうな」

 

「ダメじゃん」

 

「万が一見逃されても、今度はここに戻ってくる手段がねえって問題もある」

 

「ダメじゃない」

 

 

 逃げる事は出来ても、瞬時に引き戻される可能性が高く。

 

 また、逃れても悪神の欠片をどうにかするのが目的である以上、自発的に戻ってくる必要があるのにその手段がない。

 

 二人からのダメだしにちょっと動揺しながら、黒猫は続ける。

 

 

「ま、まぁ、戻ってくる手段に関しては、ワガハイの主に協力を要請してみるから何とかなるだろ。主はココロとシャドウの専門家みたいなもんだからな」

 

「なら、問題はここから出て、即座に取り込まれない方法ね」

 

「ごめんだけど、あたしそう言う難しいのよくわかんないし、頭も疲れて回んないからパス」

 

 

 疲労を自覚したからか、だらんとクッションの中に埋もれる。

 

 スカートが少しだけずれて元から短かったそれが艶めかしい肌を曝け出すが、事前に察知した絶対零度の視線が貫く。見てないよ、シミ一つない白い脚なんてはちまん見てないから。

 

 

「と、とにかく現実に戻ったらあいつの意識を誤魔化せばいいんだろ。それなら俺に一つ案がある」

 

 

 誤魔化すように少しだけ早口で「私に良い考えがある」と宣言するが、それ失敗フラグじゃね?

 

 ゴミがっ、そんな視線を隠さない彼女から逃れるようにもう一匹にだけ顔を向けてごにょごにょと考えた策を説明する。

 

 そうして、或る程度立ち上がれるくらいになったのを見計らって現実に帰還する。

 

 

 

4月13日(金)夕方 奉仕部部室

 

「釈然としねえが、うまくいったな」

 

「あなた、口の回りだけはいいのね。詐欺師でも目指してみれば? 将来法曹関係に進んだらとっ捕まえてあげる」

 

「ゆきのん、警察官になりたいの?」

 

「いえ、別に」

 

「少しくらいは褒めてくれても良くない? 俺も頑張ったんだけど」

 

 

 それぞれが定位置に座り、全員が机に突っ伏している。

 

 暴走させられていた結衣だけに限らず、他のメンバーも漏れなく疲労困憊のようだ。

 

 ペルソナは心の力。いくら精神世界ではぴんぴんしていたとしても、心を消耗させていた以上、現実に戻ると消耗した心を補填するように体力が削られるとのことだ。

 

 

「にしても、〆切って言葉でなんであんなに興奮してたのかな」

 

「あいつの望みはこの『自作小説』を読んで評価してほしいってもんだからな。

 いっぱしの小説家みたいに扱われたみたいで嬉しかったんだろ。知らんがな」

 

 

 ひらひらと一枚の原稿用紙をつまんで放り投げる。

 

 机の上にはモルガナだけではなく、山のように原稿用紙が積み重なり、その一枚一枚にみっしりと書き込まれている。

 

 これは材木座が心の闇を暴走させたときに舞い散っていた物ではあるが、その正体はどうも彼が書き上げてきた『自作小説』なのだ。

 

 そう、現実に戻って悪神の欠片に飲み込まれている材木座の暴走を一旦落ち着けるために取った策と言うのが『来週末までに持ち込み小説を読んで感想を考えて来る』と言う先延ばし。

 

 もちろん、材木座は納得しなかったが、続けて

 

『あまりの大作だから一晩じゃ読み切れない』とか

『二度三度と読み返さないと伏線が理解できないかもしれない』

『読み終わって直ぐに続きが読めないのは苦痛だろ、レイニー止めの悲劇を知らないのかよ』

『二、三日で同量を書き上げるのは難しいと思うから来週の金曜を〆切にしようぜ』

 

 そんな口八丁で材木座は一時的に暴走を抑えたと言うのが経緯である。

 

 

「確かに、あのざ、ざい、財津くん? が暴走する直前に『渾身の作品を読む機会を』とかなんとか言っていたから予想は出来たのかもしれないけれど」

 

「まぁ、今回は俺あんまり動いてなかったからな。その分頭を回す余力があったってだけだ」

 

「案外、ヒッキーも中二も相性いいのかもね」

 

「ねえ。ねえよ。それだけはねえ」

 

「拒絶三段活用するくらいには嫌なんだな、ハチマン」

 

 

 ため息を吐かれそうなメンバーからスイッと顔を背ける。

 

 あいつの思考が読めるなんて、まるで俺が同類みたいじゃねえか。そんな考え。多分もう手遅れ。

 

 

「ひとまず、こんな疲労困憊の状態では良い考えも出てこないでしょう」

 

「だな。それに主に相談して精神世界、パレスに侵入できる手段が出来ねえと話し合う意味もねえ」

 

「じゃ、今日は解散ってことで」

 

「あたしもさんせーい」

 

 

 三人と一匹、フラフラとおぼつかない足取りで帰宅するのであった。

 

 

<
ほうしぶ!

4月13日(金)

22:08

☆ゆい★が雪ノ下雪乃をグループに招待しました。招待中の友だちが参加するまでしばらくお待ちください。

22:13

雪ノ下雪乃がグループに参加しました。

☆ゆい★

◀
やっはろー! グループ作ったよ!
22:15

 

既読
だれ?
▶

☆ゆい★

◀
アイコン見ればわかるでしょ!Σ(・□・;)名前出てるし!
22:32

 

既読
そうね。で、誰?
▶

☆ゆい★

◀
ゆきのんが冷たい(つд⊂)エーン
22:34

 

既読
冗談よ、由比ヶ浜さん
▶

 

既読
で。何の用かしら?
▶

☆ゆい★

◀
用無いと連絡しちゃダメなヤツ?
22:41

 

既読
別に構わないけれど、何の用かしら?
▶

☆ゆい★

◀
あっ、これ無限ループのヤツだ(;^ω^)
22:53

☆ゆい★

◀
ほら中二の対策しなきゃじゃん?
22:53

☆ゆい★

◀
だったらモルちゃんの都合がつけば明日あつまって話し合おうって思って
22:54

 

既読
明日明後日は休みだったわね
▶

☆ゆい★

◀
だから適当に駅前のサイゼに集まってさ
22:59

 

既読
このグループだと肝心要のモルガナちゃんが居ないのだけれど
▶

☆ゆい★

◀
あっ(;゚Д゚)
23:02

 

既読
はあ
▶

既読
いいわモルガナちゃんもこの時間なら彼の家に帰っているでしょうし
▶

 

23:08

雪ノ下雪乃が比企谷八幡を招待しました。招待中の友だちが参加するまでしばらくお待ちください。

☆ゆい★

◀
ありがとうゆきのん!(人''▽`)
23:08

☆ゆい★

◀
あれ?でもなんでゆきのんがヒッキーのline知ってるの(・・?
23:08

 

既読
業務連絡用よ
▶

☆ゆい★

◀
返事がすごい遅い
23:28

☆ゆい★

◀
怪しい
23:28

 

既読
ごめんなさいシャワー浴びてたの
▶

☆ゆい★

◀
じー!(-_-)
23:30

 

23:31

比企谷八幡がグループに参加しました。

比企谷八幡

◀
お二人を待たせてすまねえな
23:33

 

既読
いえ良いのよモルガナちゃん
▶

既読
明日の予定は空いているかしら
▶

既読
空いているのなら駅前のサイゼで対財津君会議を開きましょう
▶

☆ゆい★

◀
誤魔化した
23:35

比企谷八幡

◀
わがはいがくるまでになにかあったのか
23:39

 

既読
いえ何もないわ
▶

☆ゆい★

◀
むー(# ゚Д゚)
23:42

☆ゆい★

◀
そう言えばさっきからモルちゃんばっかりだけどヒッキーはどうしたの?
23:42

比企谷八幡

◀
ハチマンはかえって速攻ねたぞ
23:49

比企谷八幡

◀
うるさいからって渡されてかわりに変身してるんだ
23:52

比企谷八幡

◀
返信な
23:52

比企谷八幡

◀
どうにもタッチしにくい
23:53

☆ゆい★

◀
あの肉球でペチペチやってるの想像したらなんか和むね
23:54

比企谷八幡

◀
あいつによていがあるわけないから時間をしていしてくれたらそれに合わさせる
23:58

☆ゆい★

◀
知らない間に休日の予定を決められるヒッキーとかウケる((´∀`))
23:59

☆ゆい★

◀
じゃあ明日の昼過ぎ
23:59

☆ゆい★

◀
13時ころにサイゼに集合ね
23:59

 

 

4月14日(土)

比企谷八幡

◀
りょうかいだゆい殿
0:01

☆ゆい★

◀
ゆきのん既読だけで返事来ないけどそれでいい?
0:02

 

既読
ええ猫はいいわね
▶

☆ゆい★

◀
全然聞いてなかった!?
0:04

 

 

4月14日(土)昼 サイゼリヤ

 

「不幸だ。休みとは休むために存在しているのであって会議だのと働くのは間違っている」

 

「のんびりしていられる時間はあんまりないんだから贅沢言うな」

 

「バッカ、お前喋んじゃねえよ。飲食店にペット持ち込み禁止の法律を知らないのかよ」

 

 

 ドリンクバーでメロンソーダをコップに注ぎながら溢した愚痴にカバンの中から返って来た鳴き声に焦る。

 

 なんで飲食店に集合とかしちゃうのかな、もうちょい考えてくれよ。昨今、流行り始めたオンライン会議でもすればいいのだ。

 

 そうすれば録画しておいた音声でループさせていれば不参加でも良かったのに。

 

 ルルーシュ並の灰色の頭脳であいつらの言葉を先読みして吹き込んでおくとか余裕だからな、なにせ「さあ」「知らん」「すまん」「せやけど工藤」「それあるー」の相槌サ行活用しか言わなくても普段喋らない俺なら関西弁が紛れても不自然に思われない。

 

 あほらしい事を考えないと今すぐにでも帰ってしまいそうな乗り気になれない、足取りもそれを反映するように重い八幡であった。

 

 ギリギリまで家を出なかった彼以外は既に飲み物を準備していて、待たせている状態だ。

 

 ようやく全員が席に着いて議長として部長が口火を切る。

 

 

「では、第1回ペルソナ会議を始めます。議題は財津君パレスの対策よ」

 

「その前にあたしからいいかな」

 

「由比ヶ浜さんの発言を認めます」

 

 

 ほ、本格的だ! 内心のツッコミを抑えながら一息つく。

 

 

「まずゆきのん、ヒッキー、モルちゃんあたしを助けてくれてありがとう。助けてくれたのは成り行きかもしんない。

 でも、原因の中二じゃなくてあたしを優先してくれた。

 で、だいぶみっともない姿をみせちゃってごめんなさい。あたし、たぶんだけどずっと、初めて会ってから、嫉妬してた。

 隠してたことはあの時に殆ど言っちゃったから、追加することはないんだけど。

 …それでもこうしてありがとうとごめんなさいを言わないと区切りがつかないと思ったから」

 

 

 ぺこりと座ったまま、だけど腰まで曲げて誠意を示す。

 

 例え他が許してくれていたとしても、必要な儀礼だった。

 

 自己満足かもしれない。目の前の彼は「うえ」って引いてるし、横の彼女は「仕方ない子」と優しい目になってるし。

 

 でもそのままのなあなあにしておきたくなかった。

 

 

「区切りがついた以上この話はもう蒸し返さないようにしましょう。キリが無いわ。

 あなたは謝った、私達は受け取った。それでいいのよ」

 

「一番矢面に立った雪ノ下が終わりって言うなら終わりでいいんじゃね」

 

「これからよろしくな、結衣殿」

 

 

 その時、八幡の頭に不思議な声が囁く

 

 

<汝は我、我は汝>

 

<我、新たなる繋がりを得たり>

 

<繋がりは即ち、前を向く支えとなる縁なり>

 

<我、世界のペルソナに一つの柱を見出したる>

 

 

「改めて、彼のパレス攻略を話し合っていきましょう。モルガナちゃん」

 

「おう、「いや、お前は黙ってて? お前の持ち込みバレて怒られるの俺だからね」詳しくはハチマンから」

 

 

 ごほん、と一つ咳払いして朝の内にモルガナから聞いた内容をメモしたカンペを取り出して他の二人に説明する。

 

 

「まず、材木座の精神世界、便宜上パレスと呼称するあそこに出入りする…あいつの心に入り込むって言霊だけで気持ち悪いな、ごめんなさいこれ以上脱線しないんでその眼は止めて。

 あそこに戻るのはこの『異世界ナビ』ってアプリを使う。これはモルガナのご主人様が用意してくれたらしい。

 これに向かって悪神の欠片の形質と、寄生されている対象の名前を言うと入れるようになるんだと。

 今回は『万年筆』『材木座義輝』ってな具合にな。悪神の欠片がどんな形をしてるのかと、フルネームが分からんと使えないのは不便だが、これ以上は難しいとのことだ」

 

 

 一息に説明して、ポイといつの間にかダウンロードされていた怪しげなアイコンが表示されているスマホを机の上に投げ出す。

 

 ツンツンとおっかなびっくり触ろうとしているが、材木座が近くに居ない以上反応する事はない。

 

 

「なら、再度の侵入に関しての問題は解決したわね。後の問題は武器の問題と、どうやって悪神の欠片から彼を解放すればいいのかと言う根本的な部分ね」

 

「武器って銃とか? あたしそんなの買えるお金ないよ。どっかの裏通りに落ちてるの?」

 

「日本には銃や刃物には所持を制限する法律って言うのがあってだな」

 

「どこぞの紛争地帯でもあるまいし、落ちている訳が無いじゃない」

 

 

 いや、九州のとある場所ならワンチャン?

 

 パイナップル的なあれが落ちてるって都市伝説もあるらしいし。

 

 

「そういえば、由比ヶ浜さんには認知の事を説明していなかったわね」

 

 

 モルガナの説明を雪乃が結衣にも分かる程度にかみ砕いて説明する。

 

 簡単に言えば自分が武器だと思える物体が本当に武器になっちゃうのだ。

 

 

「つまり、包丁とかでもいいって事? でも包丁持ち歩くのは怖いかも」

 

「武器であると言う認知、言い換えれば思い込めるのならそれが一番ね」

 

「トランプとかでもオッケー?」

 

「お前がそれを武器だと思い込めるならな。つか、トランプを武器にするとか漫画見過ぎ」

 

 

 裸エプロン先輩の名煽りをご存じでない?

 

 ひとまずペルソナであるザシキワラシの雰囲気に合わせて和風な扇でイメトレしてみると言う事になった。

 

 もちろん、直截的に武装と見なせる方がいいのだが、これにも相性があるらしい。

 

 かつて若い旅館女将が主武装にしていたのだから不自然ではない、イイネ?

 

 雪乃は引き続き手頃に手に入りばれ難い刃物、八幡は頑丈な棒を探す事となった。

 

 

「材木座を止める方法は、やることは単純だ。

 動けない程度にぶちのめしてから正気を取り戻させるくらいに口撃すればいい」

 

「死体撃ちする趣味はないのだけれど」

 

「攻撃じゃなくて、言葉であいつを叩きのめすって意味な」

 

「なら、得意分野ね。期待していて頂戴」

 

「すっごい笑顔なのにすっごい怖い!」

 

 

 詳しく説明するのなら、物理的な衝撃で寄生されている対象と悪神の欠片に隙間を作り精神的な揺さぶりで引きはがす。

 

 そして排出された欠片をモルガナが完全に消滅させる。

 

 性質として対になるモルガナ以外だと消滅しきれず、残滓が悪さをしてしまうかもしれないらしい。

 

 

「とりあえず、今日話し合うべきことはこれ位かしら」

 

「あ~、他にないなら俺から、というかモルガナから一つ議題を預かっていてだな」

 

 

 そろそろ解散するか、という流れになっておずおずと手を挙げる。

 

 はて? と何かあっただろうかと怪訝に思いながらも発言を促す。

 

 

「シャドウを倒した時に出たドロップ品の扱いなんだが」

 

「以前言っていたオカルト好きの方に処理して貰ったら?」

 

「はやい、早いよ」

 

「誰?」

 

 

 ピクシーの羽根やカタキラウワの蹄だけに限らず、ドワーフの髭、オンモラキの落とした石(モルガナ曰く魔石)等々。

 

 正体も怪しい情報生命体の落としたモノはどうにも持ち帰る気はなかったのだが、その身の小ささを活かしてせっせと集めていたようだ。

 

 困ったのは「猫って戦利品をみせびらかしてくるよね、蝉とかゴキとか。あれほんと止めてほしい」と袋一杯のガラクタに遠い目になった仮の家主。

 

 

「と言っても、私や由比ヶ浜さんの伝手では精々リサイクルショップや適当な骨とう品店位しか候補にあげられないでしょう」

 

「一応、これも共同戦果だから同意は得ておくべきだろう」

 

「だから、誰?」

 

「これからも同じような取得物に関して一々承諾を得る必要はないわ。あなたに一任します。面倒だし、処理とか、税金とか」

 

「最後の一言が余計なんだよなぁ」

 

「あら、将来の夢は専業主婦なのでしょう。なら奥さんのフォローとして一通りの事務処理、税処理は知っていて損はない、違うかしらヒモ谷くん」

 

「ねぇってば!」

 

 

 簡単にオカルトに詳しい某佐々木、呼称今石燕について説明する。

 

 貰った名刺を使って会う約束を取り付けて、今度こそ現時点では話し合うべきことはないと解散する。

 

 どさくさに紛れて、今石燕と会う際に結衣が同行することになったが、何も問題はない。

 

 仲間はずれにしていた事で暴走させてしまったのに、同じ轍を踏んでしまったのだから否やは言えなかった。

 

 

 




 ペルソナメモ

 ペルソナでは通信手段の豊富となった現代を舞台にする為、携帯やSNSを駆使する場面がシリーズを追うごとに頻出する。最新作の5ではLINEを使った演出も出された。
 そもそもの本編、女神転生の初代から『コンピュータに搭載された悪魔召喚プログラム』と言うハイテクを前提としている。デビサマ、デビサバ。むしろライドウ(大正時代)ですらその時代の最先端の技術を駆使して悪魔と戦うのはメガテンのお約束。ペルソナではあくまで通信手段やギミックの一つでしかない。

愚者……比企谷八幡(アマノジャク)
魔術師
女教皇…雪ノ下雪乃(ライジン)Rank1
女帝
皇帝
法王

恋愛…由比ヶ浜結衣(ザシキワラシ)Rank1
戦車
正義
隠者
運命
剛毅(力)

刑死者
死神
節制
悪魔
塔
星

月
太陽
審判
世界…奉仕部 Rank1 New

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