白兎行進   作:六無位

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今回は繋ぎの回なので短めです。


冒険者登録

 

 

朝の騒動が収まり、食堂で朝食を済ませたベルとリヴェリアはギルドへと向かっていた。

 

ベルの冒険者登録を済ませるためである。

 

アイズも一緒について行きたそうにしていたが、あまり大人数で押し掛けても迷惑になる上、ファミリアの幹部が複数で付き添いとなると変に注目を浴びてしまう恐れもあったためお留守番となった。

 

ギルドに到着して中へ入ると、運良く受付窓口は空いているようだった。

 

「あ、エイナさーん!」

 

そんな中、ベルは知っている人を見つけたのか、受付嬢の一人に手を振りながら駆け寄って行った。

 

「あっ、ベル君! よかった。心配してたのよ?」

 

反応を返したのは、オラリオでベルが一番最初にお世話になった人物−−−−−−ハーフエルフのエイナ・チュールだった。

 

「えと、すみません。でも僕、ちゃんとファミリアに入れましたよ!」

 

「ほんとに!? よかったじゃない!」

 

嬉しそうに報告するベルに、エイナは釣られて笑顔を浮かべる。

 

「それで、どこのファミリアに決まったの?」

 

「ロキ・ファミリアです!」

 

「……へ?」

 

「え?」

 

「ごめんベル君、もう一回聞いてもいいかな?」

 

「あ、はい。ロキ・ファミリアです」

 

「ろ、ろ、ろ、ロキ・ファミリアっ?」

 

混乱している様子のエイナを見かねて、少し離れた場所で様子を見ていたリヴェリアがようやく動きを見せた。

 

「久しぶりだな、エイナ。突然のことで驚かせたようですまなかった」

 

「り、リヴェリア様っ?」

 

エイナからすればベルのロキ・ファミリア入団も驚きだが、ここにリヴェリアがいることにも同じくらいの驚きである。

 

「今日はこのベル・クラネルの冒険者登録をお願いしたくてな。頼めるか?」

 

「も、もちろんです! 少々お待ち下さい!」

 

エイナは慌てて冒険者登録の用意を始める。

 

「(ベル君がまさかロキ・ファミリアに入っていたなんて……というより、どうして新人のベル君の付き添いにファミリアの副団長であるリヴェリア様がっ!?)」

 

いろいろなことに理解が追いつかず頭がパンクしかけたエイナだが、そこはさすがのベテランギルド職員。そんな状態でもしっかり仕事をこなしていく。

 

相当手慣れているようで、見事な手際によりベルの冒険者登録はスムーズに、かつあっという間に完了した。

 

「これで冒険者登録は完了です。ベル君、おめでとう。これで今日から君も冒険者の一員だよ」

 

「ありがとうございますエイナさん!」

 

「でもベル君。無茶だけはしないでね? 冒険者は冒険しちゃいけない。約束だよ」

 

「はい!」

 

「さて、用は済んだことだし、そろそろホームに戻るか。エイナ、今日はすまなかったな。助かった」

 

「いえいえ、そんな! これが私のお仕事ですから!」

 

「では、アイナによろしく頼む」

 

「は、はい!」

 

こうして無事に冒険者登録を終えた二人は、あまり長居をするのも良くないと考え、早々にギルドを後にする。

 

その帰り道。

 

「そうだ、ベル。お前に一つ伝えておかなければならないことがある」

 

思い出したようにリヴェリアは話を切り出した。

 

「えと、なんでしょう?」

 

「今日からお前の教育係を私が担当することになった。みっちり叩き込んでやるから、そのつもりでな」

 

「ええっ、リヴェリアさんがですかっ!?」

 

「むっ、なんだ。私では不満か?」

 

「そ、そんなわけないです!? ただ、僕なんかにリヴェリアさんがその、いいのかなって」

 

リヴェリアはファミリアの副団長だ。

 

そんなみんなの憧れである彼女が、入団したての自分の世話を焼くというのは、変なやっかみを受けないだろうか……とベルが懸念するのは、至極当然のことだった。

 

「まぁ、そうだな。中には贔屓に思う奴もいるだろうが、それ以上にロキもフィンもお前に期待しているということだ。もちろん私もな」

 

「リヴェリアさん……」

 

「そういうわけだから、ダンジョンやモンスターに関する講義を明日から始めるからな。覚悟しておくんだぞ」

 

「は、はい! 頑張ります!」

 

「(それに、そういった妬みも、ベルが第一級冒険者と呼ばれるくらいに成長すればいずれなくなるだろう)」

 

リヴェリアは、何年後かにはベルが第一級冒険者にまで昇り詰めるだろうという確信があった。

 

しかし。

 

後にその予想は大きく裏切られることになる。

 

ベルの尋常ではない、飛躍とも言える成長によって。

 

そのことをまだリヴェリアは知らない。

 

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