ホラーコメディを見てホラーを克服したと思い込み、1人で夜中にホラー映画を見て大泣きした。
どうしましょう……
明日は勤労感謝の日。特に用事は無いのですが……無い故にふと思ってしまいました。
幸村君への日頃の感謝を伝えるべきではと。
そう思って今現在携帯と睨めっこを続け早10分。完成した文が、
《明日、駅前のファミレスに行きませんか?》
「うぅ…これではデートみたいではないですか」
それにいきなりファミレス行きませんかなんて自分勝手と思われないでしょうか。幸村隼人にも予定があるかもしれませんし……とりあえず彼と連絡を取らないことには始まりませんね…
幸村君《中野ちゃん、今大丈夫?》
「ひょわっ!?!」
『五月!?大丈夫、変な声したけど!?』
「だ、大丈夫です!なんでもありません!!」
いきなりの幸村君からの連絡で思わず変な声が出てしまいました。夜中にすみません四葉。
どうしましょう。すぐに返事を返して大丈夫でしょうか…画面をずっと開いていたせいですぐに既読マークがついてしまいましたし……彼からの連絡をずっと待っていた変人と思われないでしょうか…いえ、返さない方が失礼ですよね!
五月《はい、問題ありません》
幸村君《明日って予定あったりするかな?予定無いなら約束してた駅前のファミレスでもどうかなって》
そういえば林間学校で彼と約束しましたね。これは私からも日頃のお礼をするチャンスですね!
五月《問題ありません。11時ごろに駅前に集合でどうでしょう》
幸村君《りょーかい。それじゃ明日ねー》
「………」
幸村君とただの連絡をするだけでこんなに緊張するのは何故でしょう。今までこんなこと無かったのに。
◇ーーーーー◇
勤労感謝の日 10時50分の駅前
祝日というのもあり駅前には大勢の人が行き交ってます。約束の時間10分前。幸村君ももう来てるのでしょうか。
『出かけるの?待ち合わせに時間があるなら身だしなみでもチェックしてなさい。三玖と四葉ほどじゃないけど、あんたもたまに髪の毛ハネてるわよ』
二乃に言われた通りに髪の毛がハネてないか確認。家を出る前も確認しましたが大丈夫ですね。
「中野ちゃん、おはよー」
「あ、おはようございます幸村君」
駅の方から歩いてきたのは幸村君。まだ予定の時刻より10分もあるのに早いですね。遅刻するよりよっぽどマシですが。
「ごめんね。結構待ったかな?」
「いえ、私も今来たところです。それより幸村君の家は駅とは反対の方では」
「まあ色々とね。人も多くなってきたし席が埋まらないうちに行こうか」
駅前のファミレスはやはり駅前というのもあって人の出入りが多いです。街の方のお店と比べて少し安いというのも決め手の一つでしょう。
「いらっしゃいませー何名様……兄貴ッ!!」
「え、幸村君の弟さんですか?」
「はい!自分兄貴の下d「ああなんでもないなんでもない!2名です!禁煙席で!」
オホホと笑う幸村君に押されながら席に移動しましたが、まさか幸村君のご兄弟がここでアルバイトをしていたとは。
「はぁ…ビックリした。アイツここでバイトしてたのか…」
「知らなかったのですか?」
「え?まあ、俺もなんでも知ってるわけじゃないってことだよ」
弟のことでもなんでも知ってるわけじゃない。確かに私も他の姉妹のことを完全に理解しているとは言えませんね。
「さ、何頼む?」
「迷いますね…カレーにパスタにハンバーグ……」
今更ですが幸村君は私みたいにたくさん食べる女性をどう思っているのでしょうか。少し気にはなりますね。
「そうですね、今日はハンバーグランチにします」
「じゃあ俺はカレーと唐揚げにしよ。すみませーん」
「はいお待たせしましたー!!」
オーダーを取りに来てくれたのは先ほどの弟さん。幸村君は落ち着いている性格ですが弟さんは対照的に元気ですね。
「まさか兄貴が彼女さんを連れてくるなんて驚きッスね!五月の姐さん以来じゃないッスか?」
「そんなんじゃないっての。ハンバーグランチとカレーと唐揚げ10個の、あと食後にジャンボパフェね」
「ランチのライスのサイズどうしますー?」
「えっとライス大で」
「ライス大ですねー。カレーはライスのサイズと辛さどうします?」
「1番でかいやつで辛さは普通で」
「わかりました!モリモリにしてきますね!「いいよそんなことやらなくて!」
「ハハハ、分かってますって!それじゃあご注文確認しますね!ハンバーグランチ、ライス大がお一つ、カレーのライス特大、辛さ普通がお一つ、唐揚げ10個に食後にジャンボパフェッスね!パフェは兄貴たちの食事が終わりそうなタイミングで作ってお持ちしますね!」
随分仲が良いのですね。私たちも昔は仲が良かった…いえ今も良いのですが、やはり衝突も多くなってきました。
「ごめんねホント。アイツ前に話した猿渡佐助って奴でさ」
「……え、弟さんでは」
「ああ、アイツが勝手に兄貴兄貴って言ってるだけで」
「…………え"」
「お待たせしましたー!ハンバーグランチとカレーと唐揚げでーす!」
「随分早いな」
「他のオーダー無視して先に作らせました!」
「うん、そういうのやめろよ?」
料理が到着したのは注文から10分もかかりませんでした。
猿渡君、確かによく見れば幸村君とは似てませんね。
「猿渡君とはどういった関係で?」
「佐助とは中学からの付き合いなんだよ。それこそ五月ちゃんよりも長いかな」
「随分慕っているようですが」
「先輩後輩なんてあんなもんだよ」
「なんだか前に二乃が観ていたドラマみたいです」
「二乃ちゃんだから…イケメンが出てるのはなんとなく読めた」
「二乃の好きな俳優が出ているヤンキードラマというやつです」
ドラマや映画、数あれどやはり喧嘩をするものは苦手です。第一暴力はいけません。二乃はワイルドでカッコいいなんて言っていましたが、あんなの痛いだけじゃないですか。
「幸村君は喧嘩とは無縁そうですね」
「いやぁ?お兄さんも昔はバリバリだったかもよ?」
「そんな風に言っている人は喧嘩慣れしていません。二乃に付き合わされて一緒にドラマを見た私が言うんです。間違いありません」
「中野ちゃんもドラマに影響されるタイプだね」
「まだ上杉君の方が喧嘩してそうです」
「ハハハ。まあ風太郎は目付き悪いから何回か喧嘩売られてたよ」
意外でした。上杉君は確かに挑発に乗りやすい人だとは思いましたが、まさか喧嘩を売られてそれを買うだなんて。
「上杉君なら正論で上手く逃げそうですが」
「珍しく買ったね。でもそれくらいじゃないかな風太郎が喧嘩したの」
「喧嘩なんて何回もするものじゃありませんよ。幸村君は喧嘩しないでくださいよ?」
「いや俺も男の子だし約束は「約束してください」……はい」
暴力沙汰で万が一ということもあります。そうなると幸村君から勉強を教わることができませんからね!いたって普通の理由です!
「約束はなるべく守るけど…もし喧嘩して怪我したら手当てしてくれる?」
「なんで喧嘩をする前提なんですか。勿論手当てはしますけど、幸村君は野蛮な人ではないでしょう?」
「ほらそれこそドラマみたいに何かあるかもよ?」
「ドラマの見過ぎです。一花や二乃は好きそうですが」
一花の名前を口にして思い出しました!一花から出演している映画のチケットを貰ったのでした。幸村君、時間大丈夫でしょうか…
「そういえば幸村君はテレビや映画はよく見ますか?」
「そうだねーテレビだとアニメとかよく見てるよ。映画は誘われないとあんまり行かないかな」
「そうなんですね……あの、もしお時間があるようでしたら、この後映画に行きませんか?一花からチケットを貰っていまして」
「いいね、行こう行こう!どんな映画なの?」
「えっとですね…………」
私としたことがなんというミス!この映画ホラーじゃないですか!!ああ、チケットをよく見ておけばよかった!!
「これなんですが…」
「ああ、最近公開したやつね。CMはよく見てるよ。でもこれホラーじゃない?大丈夫?」
「だ、大丈夫……かもしれません…」
「無理はしないでね。とりあえず映画館に行って、中野ちゃんが無理そうだったら「いえ!大丈夫です!一花が出てるんです!この目で見ないとですよ!!ね!」
ああ、言ってしまいました……私のバカ、なんで強がってしまうんですか…
「……え、この映画一花ちゃん出てるの?」
「え?そうですね。出演時間は短いと言っていましたが、これも大事な一歩だと」
「………え、ごめんちょっと待って。何、一花ちゃんって……役者さん?」
「女優ですよ?まだ駆け出しと一花は言っていますが……もしかして幸村君」
「ええ…聞いてない聞いてない初耳なんだけど!?」
驚く幸村君の顔は新鮮でした。
◇ーーーーー◇
「まさか女優とは…今度サイン貰おうかな」
「私も最初聞いた時は驚きましたよ本当に」
ファミレスを出て映画館へ向かう道中。お昼時もあって人通りが多いです。ここまで人通りが多いと知り合いにでも出合いそうですね。
「あらあんた達、これから映画館かしら?」
「二乃?」「二乃ちゃん?」
早速出会いました。今日は一花と三玖は2人でお買い物、四葉も出かけ、私も幸村君とこうして出かけているので予定が無い二乃がお留守番をすることになっていました。
「暇すぎたから出て来ちゃったわ。それにしても五月の待ち合わせ相手が幸村だったとはね」
「そうです!予定が無いなら二乃も映画行きましょうよ!」
「はあ?映画ってまさか一花から貰ったヤツじゃないでしょうね?あれホラーじゃない。あんた大丈夫なの?」
「だ、大丈夫ですよ!私だって成長するんです!」
(肝試しの時のはなんだったのかしら)(肝試しでかなり怖がってたよね中野ちゃん)
「昔は他の姉妹に手を握ってもらっていましたが、もう高校生なんです!そんな必要はありません!!」
「うわ〜〜ん!怖かったですぅ!!」
「言わんこっちゃない」
「割と序盤から俺と二乃ちゃんの手握ってたね」
ダメでした。めちゃくちゃ怖いじゃないですか!林間学校の肝試しと違って逃げることが許されない劇場内……大丈夫と言ってしまった手前引くに引けない状況にしてしまった自分を呪いたいです。
「まあ割と怖かったわね。一花はさっさと死んじゃったけど」
「結構面白かったね。一花ちゃんかなり早く死んだけど」
「怖すぎて覚えてません!!」
「あれー?隼人に五月ちゃん?」
映画館を出た私たち3人に声をかけてきたのは高梨五月さんでした。
「五月ちゃん」「高梨さぁぁん」
「わお凄い顔。さっきの映画が怖かったのかな?」
「思った以上に怖かったみたいで」
「ちょっと幸村、この人誰なのよ」
「ああ、高梨五月。俺の元カノ」
「へー元カノね……は?元カノ!?あんたが!?嘘でしょありえない!!」
「ちょっとお兄さん傷ついちゃうよ?」
二乃も私と同じような反応をしていますね。やっぱり信じられないという気持ちが1番にくるのでしょうか。ごめんなさい幸村君。
「五月と同じ名前なんてね…私は中野二乃、五月の姉よ」
「やっぱり姉妹だったんだ!もしかして映画の中野一花ちゃんも姉妹だったりする?」
「ええそうね。一花は私の姉で「キャー!!やっぱりそうなんだ!ねぇねぇサインって貰えるかな!?私この映画で一花ちゃんの演技がすっごい好きになってね!いやぁあの子は将来大物になるよ!間違いないね!」…ちょっと幸村なんとかしなさいよ!」
「はいはい離れてね五月ちゃん」
「あぁおごめんね。ていうか隼人はいつまで私のこと五月って呼ぶわけ?五月ちゃんがいるんだから私のことは高梨って呼びなよ!」
「意識しないと中々変えられないの知ってるでしょ?」
「じゃあ意識して!高梨ちゃんと五月ちゃん!さんはい!」
「た…高梨ちゃん……五月ちゃ…ん…?」
「これからちゃんと意識すること!いい?」
「努力します…」
私も二乃も高梨さんの勢いには負けてしまいますね。四葉も勢いが凄い方ですがそれとはまた違った勢いというか、こちらに何もさせないぞという圧力と勢いを感じます。
「じゃあ私これからバイトあるから。クリスマスの時は是非ウチのケーキ屋に来てね!」
「ケーキッ!」
(目の色変わるの早すぎるのよ五月…)
「隼人も風太郎によろしくって言っといて!」
「分かったよ。2人ともなんかごめんね、嵐みたいな人だからいつk……高梨ちゃん」
「ずっと相手するのは疲れるわね。それじゃあ私達も帰るわよ五月」
「え、もう?」
「なに?あんた幸村とまだいたいの?」
「そういうわけでは……」
今日なんてただご飯を食べて映画を見て、挙げ句の果てに怖すぎて手を握ってもらっただけですよ?勤労感謝の日として彼に何か日々のお礼をしたかったのですが、これでは何も……
「五月ちゃん」
「は、はい!!」
「今日は楽しかったよ。休みの日に誰かと出かけるの久しぶりだったから尚更ね。二乃ちゃんもありがとう」
「次はもう少しプランを練ることね。五月のお腹はこの程度じゃふくれないわよ」
「もう余計なこと言わないでくださいよぉ!」
「じゃあ次は姉妹全員に奢れるぐらい用意しとくよ。その為にもテスト頑張ってね」
「余計な一言が多いのは上杉と一緒ね幸村」
「そんなこと言わずに頑張りましょう二乃」
よく考えてみたら、赤点を回避して良い点数を取ることが彼に対するお礼になるのではないでしょうか。特に私は幸村君から教わってますし。
「全教科俺に勝てるといいねぇ?五月ちゃん」
「余裕ぶっていられるのも今のうちですよ幸村君。勝って見せます、約束しましたから」
(なんかすっごいやる気になってるわね…)
頑張りましょう。将来のためにも、勉強を教えてくれる幸村君と上杉君のためにも!
猿渡佐助 さわたりさすけ
誕生日 1月8日
身長 176
隼人の後輩。隼人に懐いている。
思った以上に時間がかかってしまいました。一億五千年前に実際に体験したデートを思い出しながら書いたような気がします。多分気のせいです。
次回はリビングルームの告白……という名のおままごと大会になるのかしら…ならなかったら七つのさようならになります