実は一年の頃は部活に入っていた
明日からいよいよ期末試験のテスト週間に入る。これまでの伸び率を考えれば何事もなかったら問題なくいけるだろう。
問題がなかったらの話なんだけどねぇ…
「……」
「フータロー、顔が死んでる」
「四葉ちゃんは部活で今日は参加出来ないってさ。二乃ちゃんも試験勉強は明日からだろって友達と遊びに行ったよ」
「どうするんですか上杉君。今日は4人でやりますか」
「全員揃った状態が1番いいからな……仕方ない、今日は各自自習で………ちょっと待て一花は何処行った」
現在図書室には俺と風太郎、三玖ちゃんに中野ちゃん……五月ちゃんの4人だけが集まっている。二乃ちゃんと四葉ちゃんの所在が分かっているが一花ちゃんは行方知らずだった。
「用事があるから家で自習するって」
「怪しいな……予定変更だ。お前らの家で勉強するぞ」
「しばらく帰ってこない方がいいって言っていましたが」
「ますます怪しいな。こうなりゃ突撃するか」
勉強のことになると結構強引になる風太郎。今のところは良い方向に進んでるけど、後が怖いねぇ。
◇ーーーーー◇
というわけで中野家に来てみたわけだが、
「事務所の社長の娘さんの面倒を見るって伝えたじゃん」
「誰に伝えた」
「えーっと、四葉」
「ダメじゃねぇか!!」
家には一花ちゃんだけではなく、事務所の社長の娘、菊ちゃんもいた。今は熱心にお絵描き中と言ったところか。
「菊ちゃん大人しくしてて偉い」
「急な出張が入った社長の代わりに面倒を見ることになったんだ」
「あのおっさん結婚してたのかよ……って今はそんなことはどうでもいい。子供は静かにさせて勉強を」
「おいお前」
ここでお絵描きを終えた…否お絵描きが飽きた菊ちゃんが風太郎に声をかけた。
「お前、アタシの遊び相手になれ」
「………菊ちゃんあそぼー」
「子供扱いすんな!人形遊びなんて時代遅れなんだよ。今のトレンドはおままごとだから」
(子供だな)(子供!)(子供だな〜)(子供…)(今のトレンドはおままごとなんですね)
「お前私のパパ役。アタシ、アタシ役」
「じゃあ私ママ役やる」
「ウチにママはいない。浮気相手と出ていった」
リアルすぎる…よく知らない社長さんのシリアスな過去を知りたくなかった。
「どうするんだ風太郎」
「所詮子供の戯れだ。俺が適当に相手するからプリント解かせてやってくれ」
意外にも風太郎が相手をするという。こういうこと他の人には任せないよな。風太郎特有の引き受けたからにはとにかくやってみるの精神だ。
とりあえず風太郎が相手してくれるなら俺は3人に出来る限り勉強を教えよう。
「大丈夫でしょうか…」
「まあフータロー君が珍しく勉強以外のことをやるって言ってるんだし。見守ってみようよ」
「こらこら、貴方達は勉強ですよ」
正直俺も気になるけど期末試験も近いし勉強しないとね。
「オホン…菊、幼稚園で友達ができたかパパに聞かせてごらん!」
「あいつらガキばっかりだ」
「コラコラ、お前もクソガキだろ?お勉強の方はどうなんだ?パパが教えてあげてもいいぞ」
「断る。やってもどうせすぐ忘れるんだ」
「いけないぞ菊。失敗を恐れてはいけない。諦めず続けることで報われる日がきっとくる。成功は失敗の元にあるんだ」
「綺麗ごとを」
「このクソガキィ!!」
風太郎、キレた!小さい子の相手をすることがなかったけど、まさかここまで現実を見てるとは思わなかった。小学生で携帯持つわけだわ。
「まあまあ、子供の戯れなんでしょ?そうムキにならないの」
「良いこと言ってたと思う」
「2人はパパの会社の事務員さん」
「ええ!?私たちもやるの?」
「事務員さん…」
「2人ともパパに惚れてる」
「「!!」」
これは勉強どころじゃないかな。まあ二乃ちゃんも言ってたし、本腰入れるのは明日からでもいいだろう。今日のところはプリントだけ渡して明日採点から入ろう。
「そこの2人は事務所のラブラブ社員」
「「ブッ!?」」
「あー……里中さん夫妻…」
「えぇ!?ホントにいるの!?」
「もう!心臓に悪いのでやめてください!」
ホント心臓に悪いよ。菊ちゃんには俺たちがそういう風に見えたのかなぁ?いやたまたまだろう…うん、そうだよきっと。
「五月ちゃんもハヤト君も満更でもないんじゃない?」
「そ、そんなことありませんよ!」
「えー?ハヤト君も五月ちゃんのこと名前で呼ぶようになってるよ?」
「それは高梨さんが…」
「まあまあ、とりあえずおままごとだから、ね?」
今はそう割り切ったほうが気持ちが楽な気がする。ちょっとモヤモヤが晴れないけど。
「まったくなんなんだこの設定は…」
「社長、いつになったらご飯連れてってくれるの?今夜行こう今夜」
「菊ちゃん、新しいママ欲しくない?」
「社長!僕たち夫婦のラブラブハネムーンのために給料上げてください!」
「あ、上げてくだ…は、ハネムーン!?!?」
「やめろやめろ!カオスすぎる!なんなんだこれは!」
うーん確かにカオスだ。菊ちゃんも流石に困惑気味だね。俺自身も困惑してるもん。
「じゃあ事務員2人はパパのどこが好きか言え」
「好きなところ…えーっと、こう見えて男らしい一面があったり…」
「頭が良い、頼りになる、背も高い、カッコいい」
「パパそんなに背が高いほうじゃないんだけど」
「そうだったね…社長のことだったね…」
「菊ちゃんはどっちが良いと思った?」
「アタシは…ママなんていらない。ママのせいでパパは大変だった。パパがいれば寂しくない」
「…無理すんなよ。お前くらいの子供が母親がいなくなって寂しくないわけがない。可愛げもなく大人ぶってないで、ガキらしくわがまま言ってりゃいいんだよ」
風太郎が菊ちゃんの頭を乱雑に撫でる。菊ちゃんの瞳に涙が浮かぶが、それは雑に頭を触られたからじゃないだろう。
母親がおらず、父親も社長となると家にいる時間も少ないだろうし、そんな中で生活すれば自然と我慢するようになるんだろう。
甘えることもせずただ我慢して…我儘を言っていいと言ってくれる大人も身近にいなかったのかもしれない。
「人の気持ちに寄り添える…風太郎はそういう奴だからな」
「ええ、口は悪いですがそこは認めざるを得ません。上杉君自身は分かってないと思いますが」
「あ?なんか言ったかお前ら」
「「何も?」」
「うん…フータローの温かさが私を……ねえフータロー、
私と付き合おうよ」
「!?」「!!」「!!!」
「三玖、お前何言ってんだ」
「え、あっ……えっと…」
「違うだろ三玖……結婚しよう!!」
「ンンッ!!」「ええっ!?」「えぇ"!!!」
急展開のジェットコースターだ。俺の首が飛んで事件発生、五月ちゃんが薬を飲まされて小さくなって、一花ちゃんが江戸川を名乗ってしまうぐらいの急展開のジェットコースターだ。
「けっこん…って……ええっ!?ど、どうしたら…」
「良かったな菊!これでママができたぞ!といってもままごとの中だけどな」
「あー」「はぁ…」「あはは…」
なんとなくそんなことじゃないかと思ったけどさ。だけど俺としては三玖ちゃんのは実弾発射された感じがしたんだけどなぁ。まあ風太郎に恋愛ごとはなぁ。
「ただいまー。ってあれ!?可愛い女の子だ!どうしたんですか!?」
「何結局家で勉強してたわけあんたたち」
「ままごとだ。ちょうど俺と三玖が結婚したところだ」
「ホントに何やってんのよ…」
二乃ちゃんと四葉ちゃんが帰ってきた。もうそんな時間かぁ。ホントに勉強出来なかったな。
「私もまぜてください!誰の役が余ってますか?」
「ウチの犬!」
「ワンちゃん!?わんわん!」
それでいいの四葉ちゃん……?
「おばあちゃん!」
「ブッ」「ふふっ…」
「あらぁ私も混ぜてくれるのありがとー…その前に笑った五月と幸村!あんたたち覚えておきなさいよ!」
「よろしくなお袋」
「あんたの母親なんていやー!!」
「おかーさんッ!!!」
「あんたは違うでしょ幸村!!」
いつの間にか賑やかになった…というよりはいつものメンバーが集まった感じだな。
7人の時間。いつしかそれが日常になったんだな……
◇◇◇◆◆◆
「よお幸村ンとこの猿じゃねぇか」
「誰かと思ったら真田の旦那。なんか用スか」
「お前にじゃないんだけどな。幸村に伝えといてくれや。ちょっと面倒なのが来るってな」
「自分で連絡すりゃあいいじゃないッスか」
「連絡先しらねぇ」
「あー……兄貴にまた言っときますね」
「おう、頼むわ!」
「それでご注文どうします?」
「じゃあこのミルフィーユを…」
アニメでリビングルーム観たかった(白目)
次回から七つのさようならになります。隼人目線の話が多くなるのでオリジナル展開が多くなります。裏では原作通り進んでいると思っていただければです。