おみくじで凶を引いたことがない。
新年あけよろ。クリスマスの日にボコボコにされたあと川で溺れてる二乃ちゃんを助けてから体が全く動かない。
いや流石にあの日から動いていないというわけではない。動ける範囲でちゃんと動いている。
「っでぃくし!あ"〜鼻水止まんねぇ」
あの時風太郎も他の姉妹たちと家庭教師のことを話したらしく、2回の失敗で諦めないでほしい、謙虚な風太郎なんて気持ち悪い、最後まで身勝手でいろと色々言われたらしい。色々言いそうだな彼女たちなら。
俺も五月ちゃんと話をした結果を風太郎に伝え、やりたいことをやらせてもらうことにした。
これで俺と風太郎はまた家庭教師と補佐の立場として彼女たちに勉強を教えることになったわけだが、なんだかんだクリスマスの日から今日まで宿題を出しただけで勉強を教えたわけではない。
というのも五月ちゃん以外みんな川に飛び込んで風邪をひいたor引き気味になってしまったからだ。現に俺は年が明けても体がダルいままだ。
「はぁ…こんな日に誰か来たらちょっとめんどいな…」
タイミングを見計らったようにインターホンが鳴った。これで真田だったらぶん殴ってやろうか。あけましておめでとうパンチだ。
「幸村君、あけましておめでとうございます」
「ああ…あけましておめでとう五月ちゃん」
玄関を開けると立っていたのは振袖姿の五月ちゃんだった。新年1発目からいいものを拝ませてもらいました。
「幸村君、今日は予定などございますか?予定がありませんでしたらこれから神社に行こうと思いますのでご一緒に」
「気持ちはありがたいけど、こういう日ぐらい家族だけの時間を過ごさないと。ね?」
「そうですか…でしたら戻りましたらご一緒におせちなど如何でしょう!それならいいですよね?」
「ハハッ、分かったよ。その時にお邪魔させてもらうよ」
「はいお待ちしてますね!それでは行ってきます!」
「うん、行ってらっしゃい」
新年1発目から中野家の姉妹達と過ごせるとは、運が良いのかここで運を全て使い果たしたのか分からないな。
◇ーーーーー◇
それから少し時間が経って、
「キスしました…」
「ロマンチックだわ」
「録画してよかったね」
五つ子たちは録画していた年末のドラマを見ていて、
「何のために俺を呼んだんだ。らいは帰るぞ」
「まあまあ、正月ぐらいゆっくり過ごそうぜ風太郎」
「そうそう、三玖がおせち用意してくれたからみんなで食べようよ」
お呼ばれしたであろう2人、風太郎は呼ばれた意図が分からず帰ろうとし、らいはちゃんは想像と違う家に少し困惑していた。まあお金持ちって聞いてたら想像と違うって思うよね。
「何もない部屋でごめんねー。今は必要なものから揃えているんです」
「じゃあテレビは後でいいだろ…お前ら本当に大丈夫か?」
「ちょっとあんたら、なんでそこに座んのよ。寒いでしょ、炬燵入んなさい」
炬燵は確かに詰めて座れば8人座れる。こうなれば俺が風太郎の隣に座ればいいか。
「幸村君、隣どうぞ」「隣空いてるわよ幸村」
「フータロー、こっち」「お姉さんの隣空いてるよフータロー君」
「こ、これは…!」
「お兄ちゃん達に春が来ました!」
言われるがまま座り、俺と五月ちゃん、二乃ちゃんと一花ちゃん、風太郎と三玖ちゃん、四葉ちゃんとらいはちゃんで座ることになった。なったんだけど……
「テレビ見えにくくない?大丈夫?」
「大丈夫よ気にしないで」
「えっと、フータローとハヤトに渡したいものが「そ、それはまだ早いよ!」
「みんな隣の部屋行こっか!」
ドタバタしながら五つ子たちは隣の部屋へと入っていった。俺たちに炬燵に入れと言いながら結局自分たちが炬燵から出て行っている。なぁに企んでるのかなぁ?
「何を企んでやがんだあいつら…ん、このおせち美味いな」
「本当だ!」
「料理も少しずつ上達してるのかね…あと何でシュークリームもあるんだろ」
「このシュークリームも三玖が作ったのか?これはこれでかなり美味いな」
「うん………これ二乃ちゃんのだな」
勉強だけじゃなくてこういった料理などの他に苦手なこともみんな得意になっていってる気がする。風太郎が親身に接したおかげってやつなのかね。
「不純です!!」
「あんたも同じこと考えてたでしょ!!」
「……何やってんだろうね」
「気にするだけ後が怖いだけだぞ……お、なんだこれ」
隣の部屋の五つ子を気にしつつ風太郎が何かを見つけた。これは福笑いか…でもパーツが凄く見覚えがある。具体的に言うと隣の部屋の方々と同じパーツがいくつかある。
「これ、五つ子バージョンってやつじゃない?」
「難しすぎる…でも時間もあるしやってみるか」
とりあえずパーツを机に並べてみる。パーツだけでいうとかなり難しい。髪は何とかなる。目や口がかなり難しい。ご本人たちに並んでもらったら分かりやすいんだろうけど。
「とりあえず一花から作るか……こうか?」
「えー?一花さんの口はこっちだよ」
「目はこれじゃないか?」
「全然分からん」
反面、風太郎はまだ五つ子の見分け方が分からないらしい。流石に今五つ子に並んでもらったらわかるだろうが、髪型を同じにされると全く分からないらしい。カツラなんてつけられた日にはどうなることやら。
「決まりだね、フータローく…「動くな一花!」え!?…ちょ、なに……ん……」
「いきなりセンシティブやめなさい。らいはちゃんはまだ早いんだから」
「え?え?前が見えないよー」
タイミングが良いのか悪いのか隣の部屋から出てきた一花ちゃんに顔を近づける風太郎。福笑いのために顔を近づけすぎだっての…
「やはり!これが一花の口だ!間違いない!」
「わー!福笑いで遊んでくれてるんですね!」
「これで一花が完成したはずだ。四葉、これでどうだ」
「えーどれどれ…あ、上杉さん。顔にクリームついてますよ」
予想外なことが起きた。四葉ちゃんが風太郎の顔についていたクリームを舐めとったのだ。これには後から部屋から出てきた姉妹たちもビックリ。俺も勿論、風太郎にいたっては驚きすぎて今まで見たことない顔になっている。
「あ、い、今のほっぺにチューが家庭教師のお礼ということで……と、となると幸村さんにも…ハッ!殺気!!」
「その件ですが、今の私たちでは十分な報酬が差し上げられない状況でして、せめてもと…」
「な、なんだそういうことね…何事かと思ったよ……」
「そういうことは早く言え。ずっとそんなこと気にしてたのか。俺たちがやりたくてやってるんだ。給料のことなら気にするな」
「そうそう。お金のことはいいから「出世払いで結構だ!その代わりちゃんと書いとけよ!1人1日5千円!1円たりともまけねぇからな!!」
そういえば風太郎はこういう奴だった。そりゃ給料が欲しいか欲しくないか言われたら欲しいよ?お金だし。でも俺は補佐だし貰えるほど彼女たちに教えられているかと言われたら違うし。
「風太郎は少しは…なぁ?」
「な、なんだよ」
「まあ、そうだよねぇ」「期待はしないわ」「フータローらしいけど…」「確かに上杉さん!って感じはしますね」「正直すぎるんですよ」
「お兄ちゃん」
「な、なんだらいは」
「………」
「なんとか言ってくれらいは!!」
◇ーーーーー◇
その日の夜、俺は五月ちゃんにとあるものを渡していた。
「はいこれ。約束の品でございます」
「いよいよですね……今回は自信がありますよ」
「さあ、どうかなぁ?」
全科目俺に勝てれば俺が勉強する理由を教えるというものだ。なんだかんだで俺は五月ちゃんの点数を知らないのだ。
お互いに解答用紙を見る。五月ちゃんの顔が少しずつ険しくなっていく。
幸村隼人
国語 92 数学 56 理科 66
社会 70 英語 42 合計 326
中野五月
国語 43 数学 36 理科 68
社会 26 英語 34 合計 205
「勝てたのは理科だけ…」
「五月ちゃん凄いね。あと社会だけで赤点回避じゃない」
「そうですが…今回は貴方に勝つのも目的にしていたので」
「着実にレベルアップ出来てる。この調子なら学年末は大丈夫かな」
3月にある学年末試験。三学期期末試験とも呼ばれる進級がかかった大事なテストだ。これで赤点を取ると進級出来ない…わけじゃないと思うけど、危うくなるのは間違いない。
「正直不安はあります。進級がかかってますし、何より3年生になれば進路のこともあります。それを決める判断材料にもなる大事な試験ですので…」
「そうだよねぇ。一筋縄じゃいかない、2年生の集大成のテストだもん。だけど難しく考える必要はないよ」
「そうでしょうか?」
「今まで通り、学んだことをぶつけてやればいい。五月ちゃんもそうだし他の子もそれが出来るんだ。あとは「肩の力を抜く、ですよね?」……うん、そうだね」
「どうやら貴方に染められてきたようです。今年もよろしくお願いしますね、幸村君」
「こちらこそよろしく、五月ちゃん」
きっと今年は去年よりも大変な1年になるだろう。それでも俺は約束を守るために彼女たちと共に行けるところまで行こう。それが俺のやるべきことだ。
少し時間が空いてしまいました。申し訳ございません。FGOで姫君が参戦して、急いで手持ち鯖を最終再臨させて天井しました。私は悲しい。
次回なんですが、原作通り一花の話をするか、一花ファンには申し訳ありませんが最後の試験に突入するかのどちらかになります。
最後の試験も所謂『最後の試験が隼人の場合』といった感じになりますので、三玖のバレンタインや四葉の過去に触れるのがかなり怪しいです。ご了承ください。
そして私、別の場所で別の作品を書いていまして、そちらの方も進めなくてはいけませんでして、まあ更新が遅れます!大変申し訳ございません!!今月スクランブルエッグまで進めるか怪しいです…来月はキチンと進めますので!マジごめんなさいでございます。
最後に、五月のVRゲームしたい