好きなジャンプ漫画はBLEACHとドラゴンボール
雪が溶け、桜が見頃になった今日この頃。一花が突然私たちに告げたのは『来週から3年生、頑張ろう!』なんて生優しいものじゃなかった。
「これからはお家賃を5人で五等分します。払えなかった人は前のマンションに強制退去だから、よろしくね♡」
◇ーーーーー◇
とりあえず私たちは一花の前から一時撤退し、カフェでアルバイトの求人を見ることにした。
「コンビニ…新聞配達…どれも大変そう…」
「全員で同じところで働けたら安心するのですが…以前の幸村くんたちのように」
「あれは長期休み中の短期バイトだから出来たことよ。それに私たちは得意なことがバラバラなんだから」
「私に接客業なんて出来るかなぁ。悪ーいお客さんとか来たらどうしよう」
なんとなく想像してみる。うん、四葉があたふたしてるのが目に浮かんだ。
「まさか一花がいきなりあんなこと言い始めるとはね。どのみち働くつもりだったから求人を集めておいてよかったわ」
「でも一花のあの感じ、懐かしかった」
「あ、私も思った!」
「むしろ今まで一花1人に無理をさせ過ぎてましたからね」
「ああなった一花は頑固よ…それにしても強制退去ってことは、あのマンションで1人……それはそれでちょっと優雅ね……」
「でもお父さんと2人っきりかもしれませんよ…」
スリルがありすぎる。
確かに二乃の言う通り、あの部屋を1人で使うとなるとそれなりに優雅な生活にはなる。だけど1人は寂しい。
やっぱりアルバイト見つけないと。やるならやっぱり自分のやりたいことをやりたい……
「あ、そういえばこんなバイトを見つけたよ!ここって上杉さんと幸村さんの働いているケーキ屋さんだよね」
フータローとハヤトが働いてる…ケーキ屋さん………
私がその求人に手を伸ばした時、二乃も同じタイミングで手を伸ばしていた。
「二乃、それ渡して」
「なんでよ。これは私の得意分野よ」
「なんでわざわざそこなの」
「なんでって……別にいいじゃない!あそこのケーキが美味しかったんだもん…味音痴のあんたの出る幕じゃないわ」
「むむむ…」
でも、ここで諦めたくない………
◇ーーーーー◇
「えー、今日は面接ということでね。まずは募集を見て来てくれて嬉しいよ。しかし、2人同時に来るとはね」
私と二乃は同時に面接を受けることになった。これはたまたま。そうたまたま。
「何故お前らがここのバイト受けてるんだ!」
「なんでこの子がここにいるのか私も知りたいわ」
「?面接を受けに来た」
「いやそれは分かってるんだけど!」
「できることなら2人とも採用してあげたいけど、生憎ウチも向かい側のパン屋にバイトを1人取られ、売り上げも少し怪しくなって定員は1人だけなんだ。上杉君が辞めてくれたら…」
「ハハハ!店長何言ってるんですかー!」
ここの定員は1人……出来ることなら二乃と一緒の方が気が楽になると思ったけど…
「ケーキ、作りたいです」
「へぇ得意なんだ。じゃあ君に「私の方が得意です!!」
「今年に入ってから何度もチョコを作りました」
「あんたねぇ、それだって私の手助けがあってじゃない!」
「最後は1人で作れた」
「……本気なのね」
「本気。だから勝負しよう」
私は負けるわけにはいかない。私のやりたいことはこれなのだから。
「上杉君、君の友達でしょ?なんとかしてよ」
「ハハハ、自分の死ぬ時ぐらい自分で決めますよー」
◇ーーーーー◇
「それじゃあ来週からよろしく」
「何の勝算があって料理対決なんて言い出したのよ……」
結論から言って私は負けた。味は悪くないって言われたけど、流石に二乃にはまだ勝てなかった。
「あ、向かい側のパン屋も募集してるんだ」
「切り替え早いわね!?そのパン屋にはあいつはいないわよ?」
「うん、私の目的はフータローじゃないから。そっちこそケーキ屋にハヤトはいないけど」
「誤算だったわ。まさか引き抜かれたアルバイトがユキ君だったなんて。でもいいわ。向かい側にはいるもの。それに……これからも美味しいって言ってもらいたいもの。まだまだ腕を上げるわ」
「そっか。私も今日ケーキを作って改めて思った。作るのは好きみたい」
それに……料理上手になって、フータローに好きになってもらえる私になるんだ。
◇◇◇◆◆◆
「ということがあった」
「俺もパン屋の店長から連絡きたよ。三玖ちゃん、なんかやる気満々って感じみたいだよ」
過ごしやすくなってきた今日この頃。3年生一発目の授業の日、俺と風太郎、そして一花ちゃんは3人で学校に向かっていた。
「みんなには困らせること言っちゃったかな。でも仕方ないんだ。今日までは家賃のために必要な仕事だけをしてきたけど、そろそろ私もやりたいことに挑戦しようかなって」
「…そういうことか」
「五月ちゃんと四葉ちゃんは?」
「四葉もお掃除のアルバイト見つけたみたい。元々私の部屋も掃除してくれてたしお手のものだよね。五月ちゃんはまだ踏み出せてないみたいだけど……君がいるなら大丈夫かな?」
「お兄さんに期待しないの。こればっかりは五月ちゃんのやりたいことをやってもらわないと」
多分、彼女自身それが分かっているから俺には何も言わなかったんだろう。分かっているのはいいんだけど抱えがちなのが難点だ。少し気にかけたほうがいいのかも。
「何してくれたっていいさ。成績さえ落ちなきゃな」
「あはは。ここまで来たらみんな揃って卒業したいからね。頼りにしてるよ2人とも」
これからはアルバイトもあってみんな揃うことが少なくなるのだろう。それに3年生なんだ。きっと去年よりもっと忙しくなる。たくさん気合い入れないとね。
◇ーーーーー◇
新学期のお楽しみ、そして不安となるとやはりクラス発表だろう。誰と一緒になるのか、誰と離れてしまうのか。俺だって少しばかり不安がある。このドキドキは少し慣れないな。
「風太郎何組だった?」
「1組だ。お前も1組だな」
「そうなんだよー!よかった〜知り合いがいてくれて」
「お前は割と誰とでも仲良くしてるだろ…」
「ね!フータロー君!ハヤト君!あれ見て!」
「あ?」「ん?」
一花ちゃんの指差す方を見た時はほんと驚いたね。そんでもってクラスに行くと実感しつつもやっぱりビックリ感があった。
まさか五つ子みんな同じクラスになるなんてね。
やはりと言うべきかなんと言うべきか。双子でもそれなりに珍しがられるというのに、彼女たちは五つ子だ。その五つ子が全員同じクラスとなればすぐにクラスの注目の的になった。
「苗字だと分かりづらいから名前で呼んでいい?」
「うん、そのほうが私たちもありがたいかも」
「あれやってよ!同じカード当てるやつ!」
「ごめんねーテレパシーとかないからー」
「三玖ちゃんも似てるんでしょ?もっと顔見せてよ!」
「………」
「わわっ、皆さん落ち着いて!幸村さん助けてください!!」
「え、ああはいはい。はーい皆さん一列に並んでお触りは禁止ですよー」
まるで動物園のパンダ、アイドルの握手会のような賑わいだ。もう少し鶴の一声でもあればいいんだけど。
「退いてくれ。通行の邪魔だ」
鶴の一声ならぬ風太郎の一声。風太郎は自分では気がついてないかもしれないが声に圧がある。だからこうして眼力強め語気強めで一声放てばモーセのように人の波をかき分けることができるのだ。
「何あの人、感じ悪」
まあ印象は悪くなるけど。
「上杉君は2年の時からあんな感じなんです。クラスの人とは極力関わらないようにしているというか」
「根はいい子なんだけどね」
「あれはあんな態度とってるあいつが悪いわよ…」
五月ちゃんたちのフォローが入るが、正直どうなることやら。でも風太郎も少しずつ変わってきている。クラスメイトとの関わり方も変わればいいんだけど。
「ねぇ中野さん、あれやったことあるでしょ。幽体離脱〜ってやつ!」
「……いい加減に「みんな、やめよう。ね?」
二乃ちゃんが限界を迎えようとしたその時、今度は別の鶴の一声が轟いた。見た目爽やかイケメンって感じの男子。んー、見たことはあるんだけど名前が思い出せないな。
「そんなに一気に捲し立てたら中野さんたちも困っちゃうよ。ね?」
「武田君!」
「確かに武田の言う通りだな」
「はしゃぎすぎちゃった。ごめんね」
「だけど気持ちは分かるよ。みんな君たちのことを知りたいんだよ。ね?」
爽やかスマイルに一花ちゃんは営業スマイル、二乃ちゃんは半分呆れ顔で対応する。
「んー、名前聞いて思い出した」
「彼は誰なのですか?」
「武田っていう頭のいい奴だ。どれくらいかって言えば風太郎と同じぐらいのね」
それを聞いた五つ子は驚いていた。俺も正直武田の存在を知るまでは風太郎が独走してるのかと思っていた。だけどちゃんと同レベルの人間はいたのだ。
「まあ悪い奴じゃないと思うよ。話したことないけど」
「確かに!親切な人です!」
「そう?胡散臭いだけじゃない」
「席につけー。オリエンテーション始めるぞー」
先生がやってきて授業という名前の新学期一発目のオリエンテーションが始まる。新学期一発目とか長期休み前は授業が楽だから嬉しいよね。
「今日からお前たちは3年生だ。最高学年になった自覚を持ち、後輩たちの示しに……なんだ中野…えーっと、四葉」
「このクラスの学級長に立候補します!!」
四葉ちゃんが勢いよく手を上げ、そのまま学級長に立候補した。突然の出来事に先生も周りも唖然としている。
「……まぁ、他にやりたい人がいないなら…」
「皆さん!困ったら私になんでも言ってくださいね!!」
「じゃあついでに男子の方も決めるか。立候補する奴はいるか?推薦でもいいぞー」
クラスの学級長かぁ。一年の時に内申点気にして立候補したことはあるけど、やることたくさんあって結局辞退したんだよなぁ。
リベンジしてもいいんだけど…どうやら周りは武田が推薦されると思ってるみたいだ。愛想良くて頭も良いならそりゃ選ばれるよねって。
「先生!学級長にピッタリな人、私知っています!!」
おや、これはもしかして。
「上杉風太郎さんです!!!」
ガコンッ!ガタタタタッ!
突然の推薦に風太郎が新喜劇のようなずっこけ方をしてしまった。
慌てて風太郎がやらないと言うも時すでに遅しと言うかなんと言うか。事はトントン拍子に進んでいき無事風太郎は3年1組の学級長になったのだった。
◇ーーーーー◇
「上杉風太郎くん、学級長おめでとう〜」
「すぐにお前を推薦しなかったのを後悔しているところだ。ったく四葉の奴余計なことを…」
「クラスの人を自分の思い通りに動かせると思うと楽しくない?」
「学級長最高だな」
まあそんな風に動かせるとは思えないけどね。なってしまったものは仕方ないんだし、少しでもモチベーションになればいいけど。
「フータローとハヤト、ちょっといい?聞きたいことがある」
「三玖?どうした」
「ここに魔法のランプがあります」
「無いが?」
「心理テストじゃない?」
「五つの願いを叶えてくれるとしたら何をお願いする?」
神龍より気前のいいランプだ。5つかぁ、何をお願いするかなぁ。
「そんなの金持ちになる以外を答える奴いないんじゃないか?」
「確かに、俺もお金は欲しいかな〜」
「お金……あと4つ」
「んー、体力が上がったらと考えたことはあるが…おかげで疲れは溜まる一方だから疲労回復もありだな。最近寝つきも悪いし…ついでに運気も上げてもらおうか」
「……わかった。ハヤトは」
「迷うなぁ。やっぱりお願いを保留できるお願いはするよね。それからかめはめ波は撃ちたいし、卍解もしてみたいし。あとあと頭良くなりたいな」
「最後だけ普通……うん、分かった」
え、あれでいいの?確かにかめはめ波とか卍解はしたいけどさ。
「あー!見つけた!こんな所にいたんだ!」
「先生が呼んでたよ四葉ちゃん」
四葉ちゃんを呼びにきたクラスメイト2人が三玖ちゃんに声をかけてきた。確かに最初のうちは間違えるよね。仕方ない。
「そいつは四葉じゃないぞ。三女の三玖だ」
ここで助け舟を出したのは意外にも風太郎だった。流石に半年の付き合いがあるんだ。旅館の時みたいなことにならない限り風太郎は誰だ誰なのかはっきり分かるだろう。
「ごめんねー、まだ覚え切れてなくて」
「問題ない。慣れてる」
「あ!今度こそ四葉ちゃんだ!」
そう言って声をかけたの相手は五月ちゃんだった。
「ニヤピンで外すな!!いいか、見分けがつかないなら身につけてるアイテムを覚えろ。この星のヘヤピンが五月でヘッドホンが三玖。お前らの探してる四葉はバカデカリボンだ!!」
「他にも髪型とか髪色とかね。まあゆっくり覚えていったらいいと思うよ」
俺も風太郎も時間かかったもんね〜なんて言えば風太郎にどつかれかねない。
「上杉君凄いね!ちゃんと中野さんのこと見てるんだ!さすが学級長だね!」
「幸村君もありがとう!そうだ、5人のこともっと教えて!」
「「え」」
「向こうにもう1人いたんだ。おーい四葉ちゃん!」
「いやあれ二乃!!」
風太郎も変わってきてる。四葉ちゃんが推薦したのも間違いじゃなかったのかもしれないねぇ。
そういえば心理テストの診断結果聞いてないな……ま、あとで聞けばいいか。これからも付き合いは長そうだしね。
◆◆◆◇◇◇
「聞けたよ。フータローとハヤトのお願い5つ」
「お金持ちになりたい。体力の向上。寝つきをよくして疲労回復…運気アップとかどうしろって言うのよ」
「ハヤト君も中々だよこれ」
「お金持ちになりたい。願いを一つ保留。かめはめ波?を撃ちたい。ま、まんじかい?「卍解だよ五月」をしたいですか……あと頭が良くなりたい…今以上に頭が良くなりたいのですが幸村君は……」
「やー、上杉さんは現実的で、幸村さんは男の子って感じですね!」
「所々どうすんのよこれ…運気とかかめはめ波とか」
「いずれにしても急いだ方がいいかもね」
「うん、もうすぐだもんね。フータローの誕生日」
「それと幸村君の誕生日……思いっきり過ぎているとは………」
迫る4月15日は風太郎の誕生日。そして過ぎ去ってしまった3月10日は隼人の誕生日。
いつもお世話になっている2人にプレゼントを贈るため各々準備を進め始める五つ子であった。
勢いに乗って進めていきます。風太郎や隼人と五つ子達の絡みにもバランスを持たせたいので隼人には隣のパン屋に行ってもらいました。
一、二話書いたあとはいよいよ修学旅行です。原作とは違うシスターズウォー、そしてもう一つの戦争も?