五等分の花嫁と約束と   作:無限の槍製

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中野五月の秘密 

お腹周り『は』あまりキツくなったことがない


第38話 とびっきりの修学&旅行④

 

修学旅行最終日。映画村にて。

 

「あ!着付け体験だって!みんなで入ってみようよ!」

 

「へー、結構本格的なのね…って!6000円もするじゃない!!」

 

「着物レンタルだったら2,500だって」

 

「せっかくだしみんなで着替えてみる?」

 

「それはいいかもしれませんが……上杉君は…」

 

「俺に着物を着ろってか。ハンッ!!せっかくの映画村だぞ。着付け体験なんて興味は無かったが、店に入ったなら仕方ない。俺は、奮発するぞ!!」

 

財布から一万円札を取り出す上杉。こういう時に変に奮発するわねコイツ……絶対ハワイとかに旅行行ったら現地の変なお土産買ってくるわね。

 

私達は結局5人揃ってEコースに来ることができた。

映画村に出発前、Eコースって書いたのに他のコースにされていた問題はユキ君が

 

『そんなの無視無視、バレないバレない』

 

なんて言って無理やり五つ子をバスに乗せた。無理やりすぎてユキ君自身がバスに乗れなくなってしまったのは彼自身も計算外だったかもしれない。

 

「くっくっく…着替えるのはいいが1人で歩く勇気は無い」

 

「やっぱり旅行でテンションがおかしくなるタイプ確定ね」

 

 

 

着替えは思ったより時間はかからなかった。私たち五つ子は着物、上杉は新撰組のコスプレ。上杉、顔は良いからこういうの似合ってるわね……ユキ君もこういうの似合いそうなのよねぇ……

 

「あれ、フータローのお友達は」

 

「ん?そういやアイツらどこ行きやがったんだ?」

 

「武田君達ならフータロー君が着替えてる間にどこか行っちゃったよ?あ、引き留めておいた方がよかったかな?」

 

「いや、最終日ぐらいは好きにするべきなのかもな。ま、最悪迷子センターにでも行けば会えるだろ」

 

「迷子前提なのですね…というより電話番号は知らないのですか?」

 

「知らん」

 

「本当にお友達なのですか…?」

 

流石に高校生で迷子にはならないでしょ……いや花火の時に迷子になったわね……

 

「ねぇねぇ!早く行こうよ!!いろんなアトラクションがあるんだって!!」

 

「でも私達着物だから出来るのは限られそうだね」

 

「それならそれで時間配分が楽になるだろ。あれもこれもってなると一つ一つの時間が短くなるからな」

 

「それじゃあ、とりあえずオープンセットにでも行く?」

 

「楽しそう!!」「問題ない」「私も大丈夫です」

 

「二乃もそれでいい?」

 

「いいわよ。というより、一花が一番行きたいんじゃない?役の参考にしたいとか」

 

「まだ時代劇の予定は無いけどね」

 

「一花が時代劇……またすぐ死にそう…」

 

確かに、今のところ一花の役はすぐに死ぬのが多いけど……私の予想だと間違いなくブレイクするわ。だって可愛いんだもの。

 

なんて絶対本人の前では言えないわ。

 

 

 

歩き出してから数分後、四葉が何かを見つけたみたいで港町の方へ走っていく。

 

「ねぇ!恐竜だよ!!」

 

「恐竜?四葉、ここは映画村ですから恐竜なんていませんよ」

 

大人な余裕を見せる五月。でもここって確か水辺から……

なんて考えてると首の長い恐竜が水中から姿を現した。恐竜が吠えると、

 

「ギャーーーーーー!!!!」

 

五月も負けじと叫び声を上げた。そんなにいきなり姿を現したわけじゃないと思うのだけれど、やっぱり五月はこの手のものに弱いわね。

 

「恐竜より五月ちゃんの叫び声の方がビックリしたよ」

 

「ネッシーかな。フータロー写真撮って」

 

「引っ込んじゃいますよ上杉さん!!」

 

「ったくしょうがねぇな…」

 

五つ子&恐竜。きっとこれから先こんな写真は撮られることはないでしょうね。修学旅行ならではってやつかしら。

 

「上杉さんも写真撮りましょう!さあさあこちらへ!」

 

「いや俺はいいって」

 

「でも修学旅行の恐竜は今だけなんですよ?」

 

「………それもそうか」

 

(キメ顔だ)(キメ顔ね)(キメ顔してる…)(キメ顔だぁ)(キメ顔ですね)

 

「いいじゃねぇか。らいはにいい土産話ができた。ありがとよ」

 

上杉、きっとらいはちゃんは『うわぁ…キメ顔してる』って口に出すわよ。アンタに耐えられるのかしら。

 

「よし、それじゃあ次行くぞ」

 

◇◇◇◆◆◆

 

「よし、それじゃあ映画村いくかぁ」

 

映画村近くの川、桂川の河川敷。そこで俺と真田、近藤の3人で近江隊の連中とドンパチ繰り広げていた。いや繰り広げ終わったって言うべきなのかな?

 

結果から言って喧嘩はもう終わった。五つ子のコースを変えたのは案の定ウチの学校の生徒だった。多分先生が普通にしてたってことは……考えたくはないけど先生側にも近江隊の人間がいるんだろうね。

 

向こうは五つ子を分散させて俺が困る様でも見たかったんだろうけど、Eコースに無理矢理五つ子を押し込むことぐらいは予想するべきだったな。

ケケケ…五つ子が関わってるってなったら俺が大人しくするわけねぇっての。

 

「クソッ…なんで真田と近藤が…」

 

「テメェらと喧嘩するためって言ったら喜んでくれっか?」

 

「お前らにやられた分のお返しだ。痛いのしっかりもらったからなぁ……その分は返さないと失礼だろぉ?」

 

「にしても助かったわ〜。こんなのまで用意してくれて」

 

俺達は今顔がバレないように服を着替えて顔も紙袋を被って学校の生徒だとわからないようにしている。まあ紙袋被って喧嘩してるのもだいぶ怪しいケド。

ハッキリ言って今俺たちがやってること結構大問題だから。いやホント。美談になんか出来ないよこんなの。

 

「おら、さっさと行けよ。映画村入る時はその変なの外せよ」

 

「その変なのもお前が持ってきたものだけどね?まあ助かったよのは事実だし、お兄さんのポケットマネーでお土産買っておくよ」

 

「おう、俺には?」

 

「なんで京都人に京都の土産買わないといけないのよ。お前はいつでも買えるでしょうが」

 

とはいえ助かったのは事実だ。映画村を含めたそれぞれの体験教室先に近江隊は待ち構えていた。それらを全てこの桂川に集めたのは真田と近藤だ。

ホント何から何まで頭が上がらないとはこのことだ。

 

「いいからさっさと行けよ。帰りはバイクに乗せねぇからな」

 

「そもそもそのバイクも俺のだけどな!」

 

「分かってるよ。二人ともホントありがとな」

 

二人に礼を言ってその場を後にする。

 

 

 

その場を後にできればよかった。

 

 

 

 

「おっと〜それ以上は行かせねぇよ?」

 

俺の前に男が立ちはだかった。その後ろにぞろぞろといかにも喧嘩をやりに来ました〜って感じの人達。これはもしかしなくても近江隊の人達かなぁ?

 

「えっと〜ここって〜実は釣りには向いてなくて」

 

「おいおいケチくさいこと言うなよ。それに釣りならもう釣れただろ?幸村隼人っていう大物がな」

 

「そいつ、近江隊の頭、岡田誉(おかだほまれ)だ」

 

なんということでしょう。まさかまさかの近江隊のトップを引き摺り出してしまうとは。

 

「大胆なことしてくれたよなお前ら。まさかウチの中でもそれなりに強い奴らをボコっちまうんだから」

 

「大胆なことしたのはアンタらもでしょ。幼気な女の子達を巻き込んでさ。喧嘩に関係ない人を巻き込まないのってそれなりに常識だと思うけど?」

 

「ああ、アレ?アレは俺にお前と喧嘩をさせてあげようってコイツらが勝手にやったことだからさ、許してくれよ。下の奴らがご機嫌取りも兼ねてこうやって喧嘩相手連れてくるようになったんだよ」

 

「連れてこなかったらお前にボコボコにされるからだろ?」

 

「近藤、お前とは話してねぇよ」

 

「なんだとぉ!?テメこの野郎ッ!!」

 

「ああ、真田。お前は別だ。後で相手してくれよ」

 

「岡田、テメェとは話すことはねぇよ」

 

バチバチだ。一触即発。触った時点で爆発する爆弾を相手にしてるようなもんだ。

 

「できれば喧嘩したくないんだけど」

 

「連れねぇこと言うなよ幸村。この喧嘩俺とお前どっちかが倒れるまで終わんねぇぞ?」

 

「聞いてた?喧嘩したくないって言ってんの。喧嘩する前提で話進めんなよ」

 

「『できれば』だろ?」

 

「………分かった、ならタイマンだ。そんで俺が勝ったら五つ子に金輪際ちょっかい出すな」

 

「ハハッ!いいぜ。おうお前ら!!誰も手出すんじゃねぇぞ!」

 

そう言って岡田が飛びかかってきた。そりゃそうだ。喧嘩には陸上みたいなよーいドンはないもん。

岡田の攻撃はなんというかヤバい攻撃だ。『喧嘩』ってなるとだいたいは『勝ちたい』『負けたくない』って考えると思うけど、コイツの場合『楽しみたい』って考えるヤバい奴だ。なんでそんな奴が京都にいるんだよ、侘び寂びを感じてなさいよ。

 

「ハッ!オラァ!!!」

 

「チッ!ハァァッ!!!」

 

岡田が飛びかかってくるのを避けながら右フックを繰り出すもしゃがんで避けられる。そんな感じで避けて避けられての繰り返し。時間かけてらんないのにさ。

 

「いいなお前!そろそろその紙袋取って顔見せてくれよ」

 

「お生憎様、パパラッチに撮らせる顔は無いよ!」

 

「ツレねぇな!」

 

岡田の頭突きをモロに食らってしまった。鼻血が流れるのが分かる。目の前がチカチカするし血の匂いも濃くて最悪だ。

 

「いってぇ……絶対箱テッシュ買いに行かせてやる」

 

「鼻に優しいヤツでも買ってやろうか?」

 

岡田の拳が飛んでくる。コイツの攻撃こんなに早かった?喧嘩してると元気出るタイプ?それに対して俺は、

 

「こんにゃろ!!」

 

喧嘩してると、いや勝負事になるとだんだんヤケになってムキなるのが俺だ。勉強は若干仕方ないよね〜ってなってる部分あるけど、正直負けるのは好きじゃない。

 

「!?ッ……ってぇ。おいおいお前、無茶苦茶だな」

 

「鼻血が結構出てんだ。今更デコから血が出ようが大して変わんないってーの!」

 

岡田の拳をおでこでガード、いやほぼ頭突きみたいな形で防いだ。まあ血が出てる時点で防いだも何も無いと思うけど、岡田にもそれなりにダメージが入ったのか手を押さえている。

 

「喧嘩、というより勝負は頭使わないと」

 

「ああ、そうかもなぁ!」

 

「岡田さん!!」

 

喧嘩再開!ってなる前に岡田の舎弟だと思う男が岡田に声をかけた。すると岡田の顔がだんだんイラつきモードになっていった。

 

「チッ、ここまでだ。警察が近くに来てるってよ」

 

「はぁ……もう無理限界」

 

体はアドレナリンドバドバでまだ元気だけど、気力はちょっとダメかもしんない。膝を突いてる状態でなんとか息を整えるのが精一杯だ。

 

「またやろうぜ。お前が元気な状態でな。その時は箱テッシュをダンボールで用意しといてやる」

 

「いーやーだ!てか今テッシュ頂戴よ!ちょっとー!!」

 

「何やってんだバカ。さっさと行くぞ!」

 

岡田達は手際よく離れていった。そして俺は真田と近藤に引きずられながらその場を後にした。

何はともあれこれでなんとかなったって感じかな。変なのに目つけられちゃったけど。

 

 

「いったぁ……おでこの傷はまあ目立たないし髪で隠れるだろ…他に怪我も無いし、よし行くか」

 

真田と近藤と別れ、俺はそのまま映画村へ向かった。変装グッズは全部真田に押し付け、トイレの鏡で顔に目立つ傷が無いのを確認し、映画村内へと入場する。

 

「あ、幸村君!」

 

「五月ちゃん。なになにお出迎えしてくれたの?ありがとう」

 

「いえそんな。それより私たち姉妹のために奔走してくださったみたいで。色々とご迷惑をおかけました。申し訳ございません…」

 

どっちかと言うと巻き込んでしまった側だから謝るべきなのは俺の方なんだわ。

 

「謝らないでよ。みんなが無事に遊べてるならそれでいいよ」

 

「そのみんなの中には幸村君も入ってることを忘れないでくださいよ?」

 

「肝に銘じておきます。それで、他のみんなは?」

 

「上杉君は分かりませんけど、他のみんなはお化け屋敷に行くとは言ってましたね。幸村君からもうすぐ着くと連絡が来たので、私が来たんです。二乃も一緒に来ると思ったのですが、『今回は譲ってあげるわ』と」

 

「中々強者のセリフだね…」

 

「ですが、今思えばこうして2人っきりになれたほうが良かったです」

 

「ん?それどういう」

 

「幸村君、喧嘩してきましたね?」

 

五月ちゃんはまっすぐ、俺の目を見ながらそう言った。何かに取り組む時に見せる真っ直ぐな瞳。真剣な問いには俺も正直に答えるしかない。

 

「……はい」

 

「……はぁ。幸村君のことですから、何か理由があるとは思いますが……一応聞きますけど、喧嘩した理由は教えてくれますか?」

 

「……まあいつまでも隠せるものじゃないか。クリスマスのこと覚えてる?」

 

「忘れるはずがありません。あんな体験初めてだったんですから」

 

「アレの仲間がちょっかいかけてきたんだよ。五つ子の体験教室が変えられてたのもそいつらの仕業。全部俺を誘き出すためのね」

 

「……それで幸村君は1人で喧嘩を?」

 

「いや、真田もこっちに来てたから手伝ってくれた。あと近藤も。勝てば五つ子に手を出すなって話だったけど……残念なことに勝ったとは言えないから、また何かしてくる可能性は………あの、五月ちゃん?」

 

話をするにつれて五月ちゃんの表情が険しくなる。

 

「幸村君」

 

「は、はい」

 

「一度、私と喧嘩をしましょう」

 

「はい。はい?」

 

 

「それでは、喧嘩をしましょう」

 

「あの五月ちゃん。フードコートでその発言はちょっと周りの目が痛いというか」

 

五月ちゃんとフードコートにやってきた。幸い…と言っていいかどうか分からないが、周りに同じ学校の生徒はいない。普通のお客さんはいっぱいいるけど。

 

「むぅ…確かに喧嘩は少し言いすぎました。ですが一度お互いに本心を打ち明けるべきかと」

 

「だからって修学旅行中じゃなくてもよくない?」

 

「それは少し思いましたが、もうこうして席に座ったのですから喧嘩をするべきです!」

 

「結局喧嘩なのね…」

 

でもこうなった以上俺も腹を括るしかない。五月ちゃんに対して思ってることか…

 

「では早速ですが、幸村君は1人で抱えすぎです。これは再三言っていますがわかっているのですか!」

 

「最近はちゃんとみんなに頼ってるよ。流石に俺にも限界はあるし」

 

「ですが今回は何も言ってくれなかったではないですか」

 

「そりゃあ、あんな思いした子には言えないってば!」

 

「だと思いました!お気遣いありがとうございます!でも、それで貴方が怪我するのは嫌なんです!」

 

「そうは言っても……もしものことを考えたら」

 

「知らないうちに一人で怪我して帰って来られるのも怖いんですよ?」

 

五月ちゃんの言うこともわかる。確かに俺が五月ちゃんの立場なら同じことを言うかもしれない。

 

「一人より二人、二人より七人の方が出来ることもあるんです。きっと君が怪我をしないトラブルの解決方法もあるはずです」

 

「七人だから、か」

 

「私たちは当然ですが、上杉さんもきっと荒事には向いていません。だからこそ別の側面から見ることもできると思うんです。だから私たちにもお話をしてくれませんか」

 

約束を守れないなら、せめて風太郎や五つ子のみんなは巻き込まないようにしようって思ってた。それが余計に心配かけてたか。笑えないジョークだ。

 

「……うん、分かった。でも一つ約束してほしい。俺の話を聞いたら無茶なことはしないでほしい」

 

「無茶なことをしているのは幸村君ですよまったく…」

 

「これに関しては一言言わせてもらうけど!五月ちゃんだって結構無茶してるからね!?みんな勉強頑張ってるけど、特に度が過ぎて頑張ってるのは五月ちゃんだよ!?」

 

「そ、そんなことは……あるかもしれませんけど、それでも前よりはマシなはずです!」

 

「一人で抱え込むなって言うわりに五月ちゃんも一人で無茶するんだから。人のこと言えないんだからね!」

 

「そ、それを幸村君に言われたくは!………いえ、お互いに反省すべきですね…」

 

「ハハハ……ハァ、ごもっともで…」

 

俺たちの間に微妙な沈黙が訪れる。今思えばこうやって言い合うのは初めてかもしれない。もうそろそろ出会って一年になるのに。

 

「で、五月ちゃんは何か他に言うことはある?」

 

「あるにはありますが、このままでは日が暮れそうです。今日はここまでにしましょう。さあ!喧嘩をした後は仲直りです!」

 

「喧嘩ってほどでもないけどね」

 

「そういうところですよ私が言うと思ってたのは。幸村君は上杉君ほどではありませんが一言余計なところがありますよ」

 

「うっ…ごめんなさい…」

 

「ふふっ。幸村君のそういうお顔、可愛いですね」

 

「ちょっと、流石に恥ずかしいって……ほら、仲直りするんでしょ」

 

「そうですね。では何か食事をして仲直りしましょう」

 

お腹すいただけじゃない?と口に出そうになった。こういうところが一言余計なんだろう。以後気をつけねば。

 

「………幸村君の軽口が無いと、なんだか変な感じがしますね…」

 

「えぇ?まあ言うなとは言われてないけど」

 

「もう、幸村君のせいなんですからね」

 

「俺のせい!?……俺のせいか」

 

理不尽だなと思いつつ、じゃあいつも通りでいいかとも思いつつ。願わくばずっといつも通りで過ごせますように。

 

その後風太郎達が迎えに来るまで、俺と五月ちゃんはカレーを食べていた。風太郎はここまで来てカレーかよとぼやいていた。そういう一言が余計らしいぞ風太郎。

 

 

『本日はご乗車いただきありがとうございます。まもなく京都駅に到着いたします』

 

「で、三玖ちゃんに自意識過剰くんって言われたんだ。くあー!それ見たかったなぁ〜」

 

「お前の反応見てお前がいなくてまだ良かったよ」

 

映画村から京都駅へ向かうバスの中。行きのバスには乗ってないがちゃっかり俺も乗せてもらった。先生はなんか多いなとこぼしていたが、まあ誤差だよ誤差。

 

「上杉君、幸村君。聞いたかい例の盗撮騒動」

 

「悪ィ、ミスった。つい気合を入れすぎちまった」

 

「やっぱりお前か」

 

「まったく、空気を読みたまえ」

 

「まあいい。俺が頼んだんだからな」

 

「??なんの話だ?」

 

風太郎、武田、前田で話がポンポン進んでいく。盗撮云々は近江の奴がやったんじゃ……

 

「忘れたのか?五つ子(あいつら)の誕生日のお返しにアルバムを作るって話。五人分も用意するのが大変だからお前らにも手伝ってもらうって……お前まさか」

 

「……………起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる」

 

「おい!!!」

 

やっば〜完全に忘れてた。初日あたりは覚えてたかもしれないけど、近江云々が頭に入ってからは完全に忘れてた。

 

「ったく、お前はお前でバタバタしてただろうが………一枚も無いのか?」

 

「んー、あるにはあるけど……」

 

「……五月とのツーショットだけか?」

 

「……うん」

 

「……そいつはお前が持っとけ」

 

こうして人生最後の修学旅行は終わりを迎えた。

 

こうなると次に迎えるのは期末テスト、そして夏休みだ!




これにて修学旅行編は終わりになります。五月との喧嘩?はもう少し白熱したものを書きたかったのですが……予定が空けば第二回戦をやりたいところです。

次回からは夏休みに突入します!
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