五等分の花嫁と約束と   作:無限の槍製

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中野五月の秘密?

実は隼人に苦手科目があることを知って内心ホッとしている?


第6話 私たち、今日はお休みです

 

こんばんは。中野五月です。

 

今私は花火が打ち上がって夜空を照らす様をを1人で見ています。

 

みんなとはぐれてしまったから。

 

「もう…みんな何処に……」

 

今日は毎年行われている花火大会です。私たち中野家は毎年姉妹揃ってこの花火大会を見に来ます。それは今年も同じ。でも今年は少しだけ違います。家庭教師の上杉風太郎君とその妹のらいはちゃんも一緒なのです。

 

「あれだけ人数がいて私1人孤立するなんて……自分の方向音痴が嫌になります…」

 

花火が始まる少し前に人の流れによって私たちははぐれてしまいました。こんな時に幸村君がいてくれたら………いやいや!私は何を考えて!

 

「あれは……幸村君?」

 

そんな中、人混みの中に見知った顔を見つけました。最近私に勉強を教えてくれている幸村隼人君。上杉君と違って優しく丁寧な人です。

 

「幸村君!」

 

「ん?中野ちゃんじゃない。花火見に来たの?浴衣似合ってるね」

 

彼は私のことを『中野』と苗字で呼びます。他の姉妹は名前で呼ぶのにそこだけは少し複雑です。今度何故私だけ苗字なのか聞いて見ましょう。

 

「幸村君は1人で来られてるのですか?」

 

「いや、待ち合わせしてるんだけど……中野ちゃんこそ1人?」

 

「私は他の姉妹と上杉君とらいはちゃんの7人で見に来たのですが、はぐれてしまって」

 

「この人だかりだからなぁ。携帯は?」

 

「それが…実はお昼から出掛けていて携帯の充電が無くて……」

 

今日はお昼に上杉君に家庭教師の給料を持って行ってました。上杉君としては『俺はまだ何もしてねぇ』と受け取りを拒否しましたが私も返金は拒否しました。

 

そして上杉君はらいはちゃんに何かしたいことはないかと尋ねると『ゲームセンターに行ってみたい』と、給料のお金を使って3人でゲームセンターに行きました。

 

その後他の姉妹と合流、一度家に戻され宿題を終わらせてから花火大会に来ました。

宿題の合間に携帯を充電するべきでした……

 

「そうだ。俺の携帯に四葉ちゃんのアドレスあるから電話してみるよ」

 

「すみません、お願いします…」

 

休みの日にまで彼に迷惑をかけるハメになるとは。一度幸村君にも何かお礼をしなくては。

 

「うーん、繋がらないなぁ。こうなりゃ風太郎に電話して」

 

「あれ、隼人?おーい!」

 

四葉に電話が繋がらないと判断した幸村君は上杉君に電話をかけようとしました。

そんな時、幸村君に声をかける浴衣の女性が現れました。

 

「……五月ちゃん?」

 

「え?」

 

「やっぱり隼人だ!ヤッホー!元気してた?」

 

どういうことでしょう。彼は今確かに私の名前を言ったはずなのに、何故この女性が反応しているのでしょうか。

 

「ああ、高梨五月………えーっと、元カノです」

 

「え!?」

 

「こんばんは!アタシ高梨五月って言います!もしかして貴女が今の彼女?」

 

「え!?!?!?」

 

「違うって…この子はクラスメイト。友達だっての」

 

「アハハハ、ごめんごめん」

 

元カノ?今幸村君は元カノと言いましたか?元カノ?もとかの?モトカノ?MOTOKANO?????

 

いやいや、落ち着きなさい中野五月!人間生きてるなら恋愛の一つや二つあるかもしれません!いや、どうなのでしょう……ちょっと不安になってきました…。

 

「え、えっと。もしかして幸村君が今日待ち合わせをしていた方は……」

 

「ああ、違う違う。今日は後輩と遊ぶ約束しててね」

 

「そ、そうですか……」

 

 

あれ…私は何故ホッとしてるのでしょう……

 

 

「もしかしてまだ猿ちゃんと遊んでるの?もうそのせいで大変なことになったのに」

 

「それでも貴重な友達なんだわ。俺にとってもアイツらにとってもね」

 

「お友達ですか?」

 

「うん、みんな後輩なんだけど、中学から遊んでたから。10人くらいだからすぐに見つかると思ったんだけどなぁ」

 

「あ、隼人あれ猿ちゃんじゃない?ほら行ってきなよ」

 

「え、いや中野ちゃんがはぐれたままだし「そうなの?じゃあアタシが探すの手伝うから、ほら行った行った」

 

「私は大丈夫ですので、幸村君は行ってください」

 

幸村君は申し訳なさそうな顔で『ごめん』とだけ私に伝え、そのまま人混みの中に消えていきました。

何故でしょう。なんだか少し寂しい気持ちが。

 

「ふふーん、その顔、隼人のこと好きなのかな?」

 

「え、えぇ!?と、突然何を言うのですか!不純です!ハレンチです!」

 

「キャー!可愛いー!私が貰いたいぐらい!!」

 

そう言って私に抱きついてくる高梨さん。初対面なのに距離がかなり近い気がします!!

 

「隼人のやつもこんな可愛い子がいるのに手を出さないなんて。奥手になったねーアイツ」

 

「えっと……昔は違ったのですか?」

 

「うん、昔はもっと凄かったよ。中学の頃から付き合ってたんだ。別れたのは去年の……夏頃だったかな。向こうから別れようって言われたんだ」

 

意外にも別れを切り出したのは幸村君だという。なんだかあまりイメージが湧きませんね。

 

「中野ちゃん、だっけ。アタシ中野ちゃんの恋応援するから!!」

 

「え、ええ!?高梨さんはその…まだ幸村君のことを」

 

「え?ああ、別れた頃は友達としての付き合いは多少あったけど、今は全然。それにアタシも最近彼氏出来たからね。つまり中野ちゃんの恋を応援するのに変な障害は無いからね!」

 

何故でしょう。この人は私が恋をしていると思い込んでおり、それに対する勢いと圧が凄いです。確かに幸村君には勉強を教えてもらってる手前、何か恩返しはしたいと考えてはいますがそれ以上のことは、

 

「ま、いきなり言われても困るよね。たまにでいいから会わない?アタシのアドレス送るね」

 

「あ、すみません。今携帯の充電が無くて」

 

「え、マジ?じゃあ紙に書いとくね」

 

鞄からメモ帳を取り出してスラスラとアドレスを書いていく高梨さん。鞄にメモ帳常備とは備えが凄いですね……

 

「五月!」

 

「!………なんだあなたですか」

 

「残念さを少しは隠しなさい」

 

私の名前を呼ぶ声がしたので振り向くとそこには上杉君の顔がありました。知り合いに再び会えて少しだけ安心しました。

 

「ん?五月の友達……あんた高梨か!」

 

「お、誰かと思えば風太郎君じゃん!やー元気そうだね!」

 

「上杉君も知っているのですか?」

 

「あ、ああ。俺も数回顔を合わせた程度だけだし、今も久々の顔合わせだ」

 

確かに幸村君の友達の上杉君なら会っていてもおかしくはありませんね。

 

「中野ちゃんとはどういう関係なの風太郎?」

 

「関係?……俺たちってどういう関係?」

 

「逆に私に質問しないでください。そうですね…百歩譲って知人でしょうか」

 

赤の他人、と口にしそうになりましたが……まあ今は知人がちょうどいいかもしれませんね。

 

「あなたなら幸村君みたいにもう少し頭を柔らかくすれば答えは自ずと分かるはずですが」

 

「なんでそこで隼人の名前が出てくるんだよ……」

 

「お?やっぱり隼人のことが「違います!違います!違いますー!!」

 

「アハハハ!やっぱり中野ちゃんは面白いなー!とにかく、風太郎と知り合いみたいだし後は任せていい?」

 

「ああ、俺もコイツを探してたんだ。お前が捕まえてくれて助かったぜ」

 

人を犬猫みたいに言わないでほしいのですが、今ばかりは確かに高梨さんと出会って助かったと思っています。

 

「それじゃあね!花火楽しんでー!」

 

「まったく……とにかく、脇道で三玖が休んでるから合流しよう。三玖が動けそうなら2人で二乃と合流してくれ」

 

「あと見つかっていないのは?」

 

「あとは一花だけだ」

 

「まったく、何処に行ったのでしょうか……そういえば、上杉君は二乃が予約しているお店を知って……え!?上杉君!?何処行ったのですか!!?」

 

なんということでしょう。上杉君の姿が消えてしまいまたしても1人になってしまいました。これも私の方向音痴のせいでしょうか……とにかく脇道に三玖がいるというのでそこに向かいましょう。

 

◇◇◇◆◆◆

 

「わぁぁぁん、二乃〜!四葉〜!」

 

「い、五月!?ちょ、あんた何半ベソ「やっと会えました〜!脇道に三玖はいないし上杉君も何処かに行ってしまいましたし!」

 

時計塔でらいはちゃんと一緒に二乃と合流して私たちの元に五月が泣きながらやってきました。これであとは一花と三玖だけですね。

 

「一花は上杉が連れてくるから、あとは三玖ね。まったく何処に行ったのかしらあの子は」

 

「私ちょっと周り見てくるよ!」

 

「また迷子になるんだからあんまり遠くに行くんじゃないわよ!」

 

二乃は家族思いで心配性です。でも私なんかのことを心配してくれて嬉しいです。花火大会が終わるまであと10分ぐらい。なんとしても見つけて見せます!

 

「あれ、上杉さんと三玖?」

 

「だが、ここでお前を1人にするわけには…」

 

「私はもう大丈夫だから」

 

2人で何か話をしているようですが、上杉さんはなんだか焦っているみたいです。それはつまり困っている!!

 

「どうやらお困りのようですね…!」

 

「お、お前は…四葉!!」

 

「お困りごとがあるなら私に話してください!」

 

「えっと……一花がまた迷子になってな!三玖をここで1人にするわけにもいかないからどうしようかって困ってたんだ!お前、三玖を連れて二乃と合流してくれ」

 

「そういうことなら私が一花を探して「いや、俺が行く。俺はお前らとの協力関係にあるパートナーとして、果たすべきことがある」

 

上杉さん…私たちのことをパートナーって…そんな風にに思っててくれたなんて……

 

「……そうだ。四葉お前花火買ってたよな!」

 

「え?ああ、はい。らいはちゃんがまだ持ってますけど」

 

「花火には多分間に合わない。だからお前の買った花火を持って近くの公園に向かってくれ。俺も一花を見つけたらそっちに連れて行く」

 

「え、あ、はい!私に任せてください!」

 

上杉さんはそのまま走り去って行きました。大丈夫、上杉さんならきっと一花を連れてきてくれる。なら私は私のやるべきことをやろう。

 

「行こう三玖!」

 

◆◆◆◇◇◇

 

「おーい、風太郎ー何やってんだー?」

 

「………ッ!!え?寝てないけど!?目を閉じてただけだけだけだけど!?!?」

 

「落ち着け、まずお前は目を閉じてない目を開けてたぞ」

 

花火大会が終わり後輩と別れた帰り道、腕を組んで寝ている風太郎を見つけた。何をやってるのこんなところで……

 

「あれ、ハヤト君?」

 

「一花ちゃ……誰隣の髭おじは?まさかパ、パパパ、パパ活!!?!?」

 

「違うよ落ち着いて!?」

 

「そ、それよりあいつらが待ってる。用事が終わったなら一花借りてくぞ!隼人も時間あるなら来てくれ!」

 

「え?ああ、いいけど」

 

「ま、待ちたまえ!何処へ行くんだ!」

 

風太郎は一花ちゃんの手をとって足早にその場を離れる。髭のおじさんは口では止めようとしたけど距離が離れるに連れて諦めたようだ。

 

「待ってるって…まだみんな会場にいるの?」

 

「いや近くの公園だ。他の奴らも着いてるはずだ」

 

「一花ちゃん、何かあったの?」

 

「えっとね…私の用事でみんなで花火見られなかったからさ……みんなに謝らなくっちゃ」

 

「ま、そうだな…だが花火を諦めるにはまだ早いんじゃないか?」

 

話をしているうちに公園に着いた。公園には人影が四つ。それになんだか花火してるみたいだけど。

 

「あ、一花に上杉さん!それに幸村さんも!」

 

「ゆ、幸村君!?」

 

花火をしていたのは二乃ちゃん、三玖ちゃん、四葉ちゃん、中野ちゃんの4人だった。近くのベンチではらいはちゃんが寝ている。

 

「さあさあ!3人も早く花火始めましょう!」

 

 

 

 

 

「なんか色々あったみたいだな風太郎」

 

「え?ああ、まあな」

 

5人が花火をしている様子を俺と風太郎はベンチに座って眺める。あれから二乃ちゃんが珍しく風太郎に労いの言葉を送ったり、一花ちゃんがみんなに謝ったりと色々あったけど、今では仲良く花火を楽しんでいる。

 

「花火って、コイツら5人にとっては大切なものらしい」

 

「なるほどねぇ。そこで風太郎は迷子になったみんなを集めて花火を……優しいじゃん上杉センセー?」

 

「せ、生徒のモチベーション維持のためだ!………いや…あいつらにとって本当に大事なものってのが伝わったからな」

 

この前の二乃ちゃんの一件から仲が少しは進展したのかなこれは。それだったらお兄さんも嬉しいよ。

 

「幸村君と上杉君もどうです花火」

 

「俺は疲れたから、隼人行ってこいよ」

 

「姉妹水入らずの場にお兄さん行っちゃダメでしょ〜」

 

「せっかく来たんですから!ほら、こっちに来てください!」

 

中野ちゃんに花火を手渡される。二乃ちゃんも三玖ちゃんも四葉ちゃんも楽しそうにしている。一花ちゃんも風太郎と何か話をしている。

 

「ほら、しっかり持ってくださいよ幸村君!」

 

「はいはい、ちゃんと持ってるよ」

 

去年まではこんな日を過ごせるなんて思っても見なかった。悪くないね、こんな日も。

 




簡単なオリキャラ紹介
高梨五月 たかなしいつき
誕生日 2月11日
身長 158
隼人の元カノ。ノリと勢いが強く大体肯定してくれるウーマン。

まさかの元カノ参戦です。隼人と高梨の関係もこの先大事になります。多分。

次回ですが、やはりこれは『幸村隼人の物語』ですので中間試験になります。風太郎、遂に動きます。
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