五等分の花嫁と約束と   作:無限の槍製

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幸村隼人の秘密

好きな飲み物はリンゴジュース。最近飲んでいるのは抹茶ソーダ。


第7話 中間試験・中間試練①

 

「来週から中間試験が始まります。念のために言っておきますが、今回も30点以下は赤点とします。各自復習を怠らないように」

 

いよいよ中間試験が始まろうとしている。この時期になると部活もいくつかは活動を自粛したり図書室の利用者なども増える。

 

俺としては数学と英語だけ重点を置けばなんとかなるけど、例の五つ子はそうはいかないだろう。現に風太郎も試験モード発動中だ。

 

「五月」

 

「なんですか?今予習中なのですが」

 

「いやー頑張ってるなーと思って。休み時間なのに予習してるなんて偉い!」

 

「……」

 

「家でも自習をしていると聞いているぞ。無遅刻無欠席で忘れ物も無し。同じクラスだからわかる。お前は姉妹の中で1番真面目だ!」

 

「そ、そうでしょうか…」

 

「ああ!ただ馬k「ちょちょちょーい!!わーわー!!」な、なんだよ隼人」

 

なんなの?途中までいい雰囲気だったのにそれをぶち壊すような台詞をなんでそうポンポン吐けるかな君!?

 

「お前、もっとこう手心というかさ」

 

「手心?俺としては五月に勉強会に参加してもらいたいと」

 

「言い方にトゲが微妙に含まれてるの!」

 

ヒソヒソと風太郎にアドバイスを送るも風太郎としてはあまり納得が行ってないみたいだ。思ったことを直球で投げすぎなんだ、それで何回痛い目にあったんだまったく。

 

「ちょうどよかった幸村君。この問題を教えてもらってもいいですか?」

 

「え?ああ、勿論いいけど」

 

「あ、あのー俺は…」

 

「ストレートに馬鹿と言われかけた人の気持ちを少しは考えたらどうですか」

 

「…………」

 

上杉風太郎!正論で撃沈!!!

 

◇ーーーーー◇

 

「あらあら、どうしたのその紅葉」

 

「二乃にビンタされた。俺は普通に勉強会に誘っただけなのに」

 

放課後の図書室。流石にまだ中間試験まで時間があるためか今日は人はまばらだ。これがだんだん増えてくるんだよねぇ。

 

「上杉さん!幸村さん!問題です、今日の私はいつもとどこが違うでしょーか!」

 

「お前らもうすぐ何があるか知ってるのか?」

 

「無視!!幸村さ〜ん!」

 

「うーん、どこだろーなー」

 

「見てください上杉さん!幸村さんはちゃんと真剣に考えてくれてるんですよ!少しは見習ってください!!」

 

そりゃ俺まで無視したら可哀想だし……それにどこが違うかなんて聞かれたら探したくなるのがお兄さんの性なんだよね。

 

「あ、林間学校だ!」

 

「楽しみ」

 

「試験は眼中にないってか?頼もしいな」

 

「あはは、わかってるってー」

 

中間試験が終われば次は林間学校だ。まあその林間学校が終われば今度は期末試験なんだけどね。

 

「あ、リボンの柄かな」

 

「正解です!今はチェックがトレンドらしいので取り入れてみました!!」

 

「お前の答案用紙もチェックが流行中だよかったな」

 

「わーお最先端〜〜」

 

風太郎が焦るのも分かる。確かにこのままじゃ試験は乗り切れない。林間学校など夢のまた夢だろう。いやまあ行けるっちゃ行けるけどさ、焦っても仕方ないだろうし。

 

「中間試験は国数英社理の5科目!これから1週間徹底的に対策していくぞ!」

 

「「「え〜」」」

 

「なんで隼人まで嫌がるんだよ!お前もやるんだよ!」

 

「でもそんなに焦っても仕方ないでしょ?言い方キツくなるけど、みんな点数はあんまり変わってないんだ。無理に急かすのも良くないんじゃない?」

 

「そーそー。私たちも頑張るからさっ、じっくり付き合ってよ。ご褒美くれるんだったらもっと頑張るんだけどね」

 

「駅前のフルーツパフェがいいです!」

 

「私は抹茶パフェ」

 

「俺が奢るみたいな流れやめろ!それより手を動かせ!」

 

ガミガミ怒りながらも風太郎は三玖ちゃんに英語を教える。苦手な科目にも積極的に取り組むようになってよかったじゃないの風太郎。お前の頑張りがこうやって一歩ずつ成績に繋がっていくんだ。

 

◇ーーーーー◇

 

「うーん、まさか五月が来ないなんて…」

 

「案外ハヤト君の名前出せば来たかもよ?」

 

「やっぱり五月はハヤトのことが」

 

「本人の前でそういうお話はお控えなすってお嬢様がた」

 

駅前のお店でパフェを頬張るお嬢様3人と俺。今日は勉強頑張ってたしこれがそのご褒美になるのならお兄さんも財布の紐を緩めるけど、色恋沙汰の話となるとまた変わってくるよ?

 

「三玖としてフータロー君に来てほしかったんじゃない?」

 

「そ、そんなことは」

 

「上杉さん普通に『勉強するから帰る』って帰っちゃいましたもんね」

 

「風太郎はそういう奴だもんねぇ。なんとなく予想はしてたよ」

 

「そういえばハヤト君ってフータロー君と仲良いけど、いつからの付き合いなの?」

 

「確かに!」「気になる」

 

俺と風太郎の馴れ初めねぇ。そんな大したもんじゃないけど、この子達も興味津々だしなぁ。

 

「知り合ったのは高一の時、同じクラスだったんだよ。そんでまぁ、色々あって今に至る」

 

「その色々を聞きたいんですよ!!」

 

「色々は色々だよ……そうだ、今度の中間試験で赤点取らなかったら教えてあげる」

 

「フータローみたいなこと言ってる」

 

「その約束忘れないでよ〜?赤点回避ならなんとかなるもんね」

 

「そうですよ!私たちだってレベルアップしてるんですから!!」

 

俺としては赤点回避してほしいけど、もし話すとなると何処まで話をすればいいか分からないなぁ。

 

「あ、幸村さん携帯鳴ってますよ」

 

「風太郎からだ。ちょっと席外すね」

 

「フータロー君だったら別にいいのに」

 

「そういうわけにはいかないのよ。あい幸村ですよー」

 

『隼人、助けてくれ………』

 

◇ーーーーー◇

 

「私結婚しました!ご祝儀ください!」

 

翌日。中野家で人生ゲームをする俺、風太郎、一花ちゃん、三玖ちゃん、四葉ちゃん。今は四葉ちゃんが結婚して三玖ちゃんのターンだ。

 

「スカウトされて女優になるだって」

 

「もーそれ私が狙ってたのにー!」

 

「ゲームでも貧乏な俺…ハハ………ってエンジョイしてる場合かー!自分の人生をどうにかしろ!!」

 

爆発する風太郎。言ってることはごもっともなんだがな……

 

 

 

 

 

「はぁ!?お前…それホントか?」

 

『中野父に言われた……次の中間試験、誰か1人でも赤点を取ったら解雇だって』

 

あの時電話で風太郎から伝えられたのは中野父からの試練とも言える内容だった。確かに自分の子供に赤点を取らすような教え方をする家庭教師なら解雇するだろう。分からなくもないが…

 

「いくらなんでも……厳しくないか?」

 

『厳しいどころの話じゃない!このままだと全員赤点で俺は解雇される……そこでだ』

 

「まさか……」

 

『頼む!中間試験の期間中、五月のことを見てやってくれ!この期間中に五月との関係を修復するのは難しい。俺も出来る限りのサポートはする!だから』

 

「……分かった。高くつくぞこれは」

 

『すまん!』

 

 

 

 

 

こうしてテストまでの家庭教師補佐として中野家にお邪魔しているのだが、担当の中野ちゃんが二乃ちゃんと出かけていていない!これは困ったぞ!

 

「でも今日はたくさん勉強したし休憩しようよ」

 

「もう頭がパンクしそうです〜」

 

「そうだが…」

 

「フータロー、なんかいつもより焦ってる…私たちそんなに危ない?」

 

家庭教師生活がかかっている。それはつまり上杉家の運命がかかっていると言っても過言ではない。風太郎としてはなんとしても彼女達に赤点を回避してもらいたい。だけど今日はもう集中力も切れてるしこれ以上は、

 

「あ、それなら私から提案があるんだけど「あー!なんだ勉強サボって遊んでるじゃない」

 

「幸村君!?今日は何故こちらに!?」

 

あーだこーだ考えてるうちに中野ちゃんと二乃ちゃんが帰ってきた。さあさあどうしたもんか。

 

「私もやるーあんた代わりなさいよ」

 

「お、おい「うわお金少なっ!あんたも混ざる五月?」

 

「五月…昨日は「これから自習をがあるので失礼します」

 

風太郎のやつまた何かやったのか?この2人は喧嘩しないと気が済まないのだろうか。そんな関係はよろしくない。今後のためにも。

 

「あんたは今日のカテキョー終わったんでしょ!ほら帰んなさいよ!」

 

「待って二乃。今日は泊まりこみで2人が勉強教えてくれるんだよ」

 

「え?」「えっ」「「「「ええっー!!?」」」」

 

二乃ちゃんを引き止めた一花ちゃんからの爆弾発言。ちょっとお兄さん聞いてないなーそれは!!

 

◇ーーーーー◇

 

結局泊まることになった。正直に話すと俺としては泊まるのは賛成だ。こんなこと滅多にあるものじゃないから。でも女の子たちはいいのか?五月ちゃんと付き合ってた頃も泊まったことはあるけど、今は正直彼女たちとの関係も状況も全然違う。

 

「上杉さんお風呂長いね」

 

「きっと美少女たちの残り湯を堪能してるんだよ。幸村君は堪能できた?」

 

「ノーコメントで」

 

「あ、帰ってきた。おかえりなさーい」

 

「ああ…おあとー…」

 

風呂に入った後なのに顔色悪すぎる。さっき二乃ちゃんが風呂場の方から帰ってきたのと関係あるのか?

 

「どうした風太郎」

 

「二乃に赤点解雇がバレた…」

 

「マジかぁ……絶対勉強に勤しまないよ…勤しまないことに勤しむよあの子」

 

二乃ちゃんにとって赤点解雇は好都合。このチャンスをモノにするために全力で妨害してくる可能性もある。いや勉強しないことが妨害にはなってるけども!

 

「フータロー君、そろそろ初めない?三玖も分からないところがあるって」

 

「そうですね。幸村君、今日はよろしくお願いします。二乃、勉強するので少し教材を広げますよ」

 

「どうぞご自由にー」

 

「ったく…ああ!答えてやるぞ!分からないことがあったらなんでも聞いてくれ!五月も質問してくれてもいいからな!」

 

「幸村君に聞くので問題ありません」

 

これは相当ですね!確かに今回ばかりは俺に任せるのも頷ける。

 

「教えてほしいこと……好きな女子のタイプは」

 

「ブッ!?」

 

そして向こうの机では三玖ちゃんの更なる爆弾が投下された。ほら風太郎もそれ今関係ある?みたいな顔してるよ。

 

「私も興味あります!あ、幸村さんのも興味あります!」

 

「え、俺も!?」

 

「ゆ、幸村君!こ、こここここの問題なんでですが!!!」

 

「中野ちゃんも一旦落ち着こうか!」

 

「よし!そんなに知りたいなら教えてやる!俺と隼人の好きな女子の要素トップ3を!!ただしノートを1ページ埋めるごとに発表します」

 

「おい!俺を巻き込むな!中野ちゃんも必死にならないで!?」

 

いや、これでやる気に火がついたならある意味で風太郎の作戦勝ちだろう。彼女たちの興味を利用して悪い気がちょっとするけど、背に腹はかえられないか。

 

それから大体1時間。

 

「3ページ埋めました!」

 

「3ページ埋めた」

 

「3ページ埋めたよ」

 

「3ページ埋めました」

 

4人はそれぞれノートを埋め終わったようだ。中野ちゃんもそれなりに集中出来てたし、ノートも綺麗にまとめられている。真面目なんだから本当は風太郎と相性いいと思うんだけどなぁ。

 

「よし、言い出しっぺだ。俺から発表するぞ」

 

「お願いします!」

 

「第3位!いつも元気!」

 

「次…」

 

「第2位!料理上手!」

 

「1位はなにかな〜?」

 

「第1位!お兄ちゃん想いだ!」

 

「それあんたの妹ちゃん!!」

 

まさかの二乃ちゃんからのツッコミだ。これは貴重だ。

まあ風太郎の恋愛に対するスタンスは前々から知ってたからなんとなくの予想はできたけど。

 

「隼人、次頼む」

 

「俺かぁ……第3位は明るい子、第2位はよく食べる子、第1位は………」

 

「1位は……」

 

「みんなが赤点を回避したら教えます」

 

「「「「「えぇぇー!!!」」」」」

 

「その手があったか……この手の話題はお前が一枚上手だったな…」

 

 

 

 

 

それからまた1時間。意外にも勉強会は滞りなく進み、そろそろお開きになろうとしていた。

 

「うん、解けてる解けてる。お兄さんの教えが生きてるようで嬉しいザマスよ」

 

「これも幸村君が親切に教えてくれたおかげです。二乃も幸村君から教わってはどうです?」

 

「パス。どうせあんたもテストまでの臨時でしょ」

 

「まあね。正直俺も数学と英語は教えられる立場じゃないから」

 

「そうですか?このプリントの数学の問題なんて随分解きやすかったですよ。まるで私のレベルに合わせてくれてるようで」

 

「ああそれね。風太郎が中野ちゃん用に俺に渡したんだよ」

 

「えっ」

 

そりゃ驚くよな。風太郎も風太郎で中野ちゃんのことを完全に諦めたわけじゃない。見捨てたわけじゃない。あいつなりに考えてるんだ。

 

「これは二乃ちゃんの。二乃ちゃんは英語が得意そうだから気持ち難しくなってるって」

 

「いらないわよこんなの……」

 

「ま、煮るなり焼くなり解くなり後で好きにしたらいいよ。だから受け取って」

 

「………くだらないわ」

 

二乃ちゃんはプリントを受け取るとそのまま自分の部屋へと戻っていった。中間試験までの間にあの子が勉強に対して前向きに取り組むとは……申し訳ないが思えない。だけど次の期末試験までは期間がある。その間にケリをつけないとな。

 

「君もね」

 

「え?何がですか?」

 

「風太郎に中野ちゃん、2人揃って意地っぱりなんだから。確かに素直になるのは簡単なことじゃないけどさ…………一度素直になればそんなに苦しむこともないんだから……辛かったでしょ」

 

中野ちゃんの瞳からは涙が溢れかけていた。幸い…なのか、他の姉妹は気づいていないみたいだけど。きっと根が優しいから、風太郎に対して怒っていてもどこか後悔がつきまとって辛い思いをするんだろう。

 

「私だって些細なことでムキになる自分が嫌なんです……でも、上杉君とは馬が合いません…昨日も諍いを起こしてしまいました…」

 

「ホント似た者同士なことで。ちょっと妬けちゃうなぁ」

 

「茶化さないでください…」

 

似た者同士だから謝りたくても謝れない。そんでもってお互いずっと気にしてるんだから。

 

「ま、今日はゆっくり休んで明日また頑張ろう。ね?」

 

「はい……」

 

中野ちゃんは目を擦りながら自室に戻っていった。こっからは俺じゃなくて風太郎の出番だからな。

 

「そういえば上杉さんと幸村さんは何処で寝るんですか?」

 

「そこのソファで…」

 

「なんか敷く物貸してくれるなら床ででも寝れるけど」

 

「お客様を床やソファで寝させられません!」

 

「フータローは私のベッド使っていいよ」

 

「じゃあ幸村さんは私のベッドを使ってください!」

 

それでいいのか花の女子高生よ……お兄さんは先行きが心配だよ。ヨヨヨ…

 

◇ーーーーー◇

 

「風太郎、ちょっといいか?」

 

「どうした隼人」

 

深夜1時を回った頃、明日の準備を終わらせた俺と風太郎はベランダに出た。

 

「ハハッ、流石に冷えるな」

 

「……大事な話か?」

 

「まあな。中野ちゃんはお前と似た者同士なんだよ。どっちも意地っぱりでどっちも不器用でどっちも素直になれない」

 

「……それ一花にも言われた。そんで俺にしか出来ないことがある、とも言われた」

 

「なんだ先に言われてたか。じゃああとは任せてもいいよな?」

 

「………俺だって、いつまでもこの状況でいるわけにはいかないしな」

 

どうやら風太郎は自分にしか出来ないことを分かってるみたいだ。素直になれないからこその解決法だろう。

 

「俺も俺が必要とされる限り、やれることはやり続けるよ」

 

「ああ、これからも頼むぜ隼人」

 

まだまだ問題は山積みだけど、支えあえばきっと問題は解決できる。俺はそう信じてるぞ。

 

 

 

 

 

「………ホントにベッドで寝ていいのかな…」

 

なんだか申し訳ない気持ちになる。大丈夫?俺臭わない?大丈夫?大丈夫?

 

「失礼しまーす……」

 

あ、いい匂い

 

案外布団に潜ってすぐに眠りにつけた。そんな夜だった。

 




1人家庭教師が増えればきっと変わるものもある。ということで臨時家庭教師補佐が爆誕しました。

次回は中間試験当日まで……いけたらいいな!
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