不屈の王は守りたい   作:霜月優斗

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不屈の王は守りたい③

 ゲームセンターを楽しんだ後、私とトレーナーは近くの喫茶店で少し休息を取ることにした。

 私は何時もこの店に来るたびに頼んでいるパンケーキセットを、トレーナーは空腹だったらしくカツサンドのセットを瞳をキラキラさせながら頼んでいて少しほっこりしたわ。

 

 それから私のデビュー戦までの間のトレーニングをどうするのかとトレーナーに尋ねた。

「ねぇトレーナー、私のデビュー戦は何時なのかしら?」

 トレーナーがおもむろにスマホを取り出しスケジュールを確認して言う。

「キングのデビュー戦は今年の十月五日だよ」

「あら、結構時間があるのね。それまではどんなトレーニングにする予定かしら?」

「そうだな……それを決めるにはまずキングの目指すレースを聞いておかないと確定はできない」

 彼はどの距離のレースに出るかさえ解れば直ぐにそれに合ったトレーニングを設定してくれるだろうし、どうせなら思い切って結って差し上げましょう。

 この私が目指す先、貴方が胸を張って立派なトレーナーと言える為の願いを。

「目指すは勿論クラシック三冠。ここを勝って私は()()()()()ではなく()()()()()()()()()()()()だと言わせてやることよ!」

「それは良い目標だ、となるとまずは2000mに耐えきる体力とキングの脚質に合ったメニューにしよう」

 そう言って彼は直ぐにメニューを組み始めた。

 まったく……やる気があるのは嬉しいのけれどね。

「それはまた明日詳しく決めればいいわ。今日はゆっくりする日なのだし、丁度頼んでた品も来たのだから頂きましょう?」

「おっとと……お言葉に甘えます」

 

 もぐもぐとふわふわのパンケーキを口に放り込むと柔らかい食感とメープルシロップの甘味がなだれ込む。

 ……私が小さい頃にお母様がおやつに作ってくれたパンケーキの味と似てて好きなのよ。

「ん~、やっぱりここのパンケーキは美味しいわ!」

「そんなに美味しいのか?」

 カツサンドを食べる手を止め、一口欲しそうにトレーナーがソワソワしている姿に何故か悪戯心が沸いたので少し揶揄ってみようかしら。

「貴方も食べてみれば分かるわ。ほら、あーん」

「っ……んむっ……モグモグ」

 彼がゆっくりパンケーキを一口食べた途端、すごく驚いた顔をして言う。

「うんまっ……いっちゃん美味いぞ……」

 もしウマ娘な耳がぴょこぴょこするぐらいの勢いでニコニコしていて……ちょっと可愛いわね。

「ふふっ、キングは味覚も一流なのよ! 次は貴方のを一口頂いてもいいかしら?」

「お、おう……あーん」

「あーん……」

 差し出されたカツサンドを一口かじるとカツのサクサクといい音が木霊し、旨味が一拍遅れてなだれ込んでくる。

「流石、()()トレーナーね。とても美味しいわ」

「それは良かったよ」

「ええ」

 それからしばらくして、私達は美味しいパンケーキとカツサンドを完食したわ。

 ……また今度スカイさんやスペシャルウィークさんたちと行こうかしら、なんて考えながら私たちは帰路に就いた。わ

「それじゃ、また明日、トレーナー」

「うん、また明日、キング」

「それと、彼女さんがなんかしてきても夜更かしはしないこと!」

「あはは……気を付けるよ」

 

 そうして私は寮へ、トレーナーはトレーナー寮に帰った。

 

 

「あれ? 今日のキングちゃんなんか楽しそう?」

 私の同室のウララさんが不思議そうな表情をしながら訪ねてくる。

「ええ、楽しかったわ」

 ウララさんの髪を梳かしながら返す。

「そうなんだ! よかったね~!」

「ふふっ、ええ」

 それからすぐにウララさんは先に布団ですぅすぅと寝息をこぼしているのを横目に、私は横で寝ているウララさんを起こさないように()()()に電話を掛ける。

 

「……もしもし? こんな時間に悪いのだけど……お母様」

「……いいわよ別に。それで、何か用があるんでしょう?」

「っ……ええ、そうよ。すこし聞きたいことがあるのだけど」

「なにかしら?」

「……トレーナーが傷心している時ってどうすればいいのかしら」

 私がそう言うと電話越しにむせる声が聞こえてきた。

「……貴女にもちゃんとトレーナーが付いたのなら良かったわ。……それで、傷心中のトレーナーのケアの仕方を知りたいのね」

「ええ……実は……」

 私は彼が置かれて居る状況をお母様に説明した……

 

「なるほどね……今年()()()()()トレーナーになったばかりの新人さんにそんなことを言うなんて、酷い方もいるのね。そりゃあ傷心するのも分かるわ……」

「ええ……、ねぇお母様。私はあの人を、トレーナーが胸を張って自由にいられる様にしたいの。」

「分かっているわキング。私から言えるのは()()()()()()()()と言う事……ただし、一つ聞くわキング。貴女は()()()()()()()()()()()()()()()()()って約束出来るかしら?」

 そんな事……とうに決めていますわお母様。

「当たり前でしょう?私は……一流のキングヘイローなのだから!」

「……いいでしょう。貴女がデビューしてからのトゥインクルシリーズで()()()()G()1()()()()()()()、……そうすれば誰もが貴女とトレーナーを認めるわ。これが第一段階」

「いきなりとんでもないお題ねぇ!?いいわ、やってやるわ!」

 私はそれから五分ほどお母様と話した後に布団に入った。

 

 

 

 




評価をくださった猫船さん、雅媛さん、hmr442さん、誠にありがとうございます。
今後とも、本作を楽しんでいただけると幸いです。

今後深堀りしてほしい話は?

  • 勇の親父の現役時代の話
  • 勇の幼少期
  • 砥山トレーナーとミホノブルボンのお話
  • 勇のトレーナー養成学校時代
  • サンちゃん(サンデー)の話
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