Sideサイガ
「それで…明日の放課後にプラモ部の現部長であるあのキノコヘッド野郎を含む部員達と部の存続を賭けてガンプラバトルをする事になったと」
「そういう事です…あの本当にバトル部に入部してくれるんですか?」
「ああ、俺を含む九人がな。だがまずはプラモ部との賭けを乗り越えないとな」
「あんなカマキリみたいなヘンテコ頭野郎なんかいっちょ軽ーくのしてやりますよ!俺の次元覇王流の奥義で!」
「ぶふうっ!?」
見覚えの無い顔が居ると思ったら彼も編入生だったか。
しかも扱うガンプラがイオリ・セイが使っていたビルドバーニングガンダムの改修機とは…しかも何故かドムの中に入っていたらしい…ホワイ?…一瞬頭が混乱しそうになったがイオリOBそこで変な遊び心発揮しなくても…。
「それじゃあ公式戦と同じ3on3の様だからあやさんに出てもらおうか」
「助かるわ」
「は、はい!頑張ります!」
今回の賭けバトルに必要な残りのメンバーには一番操縦訓練をレクチャー出来ている日渡さんに出てもらう事にした。
そして翌日の放課後 Sideあや
「なっ!?…人数が揃っているだと!?…」
プラモ部部長であるミヤガ・ダイキ先輩は予想外だと驚いていました。
そんなに気に入らないのでしょうか?
「怖気づいたんですか?」
「そんな馬鹿な…人数が揃っているといえど加わったのは明らかに素人の女生徒、恐れる事はないね!」
「それはどうかしらね?」
「あ、あのあんまり喧嘩は良くないですよ?」
喧嘩腰になるホシノ先輩とミヤガ先輩を私はなだめる。
ミヤガはあまりガンプラバトルに執着していないせいか日渡あやという少女を過小評価しているようだがそれは大いに間違いである事に彼は気が付かない。
「カミキ・セカイ、ビルドバーニングガンダムいくぜ!」
「ホシノ・フミナ、パワードジムカーディガンいきます!」
「日渡あや、陸戦型ガンダムブラウンハートいきます!」
出撃シークエンスを経て広大な荒野フィールドに私達は降り立った。
「『へえ、日渡さんのガンプラは陸戦型ガンダムのカスタム機なのね!』」
「えへへ、カガミマネージャーに教えてもらって作り込みましたから」
ホシノ先輩は私のブラウンハートを見て褒めてくれる。
「『先輩達、お喋りはそこまでに!奴等が向かって来ています!』」
カミキ君の警告で私達は気を取り直す。
「『敵はミヤガ部長のAEUイナクトに副部長さんであるシノダ・エリさんのホビーハイザック、ユウ君のライトニングガンダムか…』」
「なら私が副部長さんをやります!」
「『だったら俺がユウマを、先輩はあのカマキリ野郎を!』」
「『分かったわ!』」
戦闘の分担が決まり私は副部長さんのホビーハイザックの下へと向かう。
「『バトル部…潔く負けを認めてはくれないのね…』」
「こっちにだって負けられない理由がありますから!」
私はビームサーベルを取り出してホビーハイザックが繰り出してきたヒートホークと斬り合う。
「『くうっ!?…』」
「はああああ!」
私はビームサーベルの出力を上げてヒートホークを弾き飛ばそうと試みる。
が
「『そうはいかないわ!』」
「!?」
対する副部長さんはヒートホークをわざと押し下げてバルカンを放ってきた。
私は慌てて回避し距離を取ってビームサーベルを仕舞い、今度はビームライフルを取り出して牽制する。
「『そんなモノには当たらないわ!』」
副部長さんは牽制ライフルを回避し今度はヒートホークを二丁構えながらハイスピードでブラウンハートへと迫ってきた。
だけど…
「甘いのはそちらみたいですがね」
「『え?…』」
私はダブルヒートホークを回避しホビーハイザックの懐へと潜り込む。
真逆あのスピードで急接近したにも関わらずに回避されるなんて微塵も思っていなかったのか副部長さんは驚愕していた。
「これで終わりですね」
構わず私は180mmキャノンを改造したブラウンハートキャノンを取り出してガラ空きになったホビーハイザックのボディにゼロ距離で撃ち込んだ事でホビーハイザックは爆散した。
「『そ、そんなあ~!?…』」
さてとカミキ君の方は…大丈夫そうですね。
私が味方の様子を確認した時だった。
ズーン!
「!?アレって!?…」
物凄い地響音が響いたかと思うとホシノ先輩が交戦していたミヤガ先輩のイナクトが最早別物の姿に変化していた。
アレってMA!?元々機能の無いガンプラのMAへの換装って確かルール違反だった筈…私は急いでブラウンハートをホシノ先輩達が戦っている地点まで向かわせるのだった。
Sideサイガ
「いや…可動区域もロクに広げられないネタ機体のホビーザクでバトルに挑むとか…もしかして最初から勝つ気なんて無かったのかな副部長さんは?」
「いや、副部長くんも勝負に勝つ気ではいた。
それをあの陸戦型ガンダムの少女の腕が上回っただけに過ぎんよ」
「お?ラルのおっちゃんも話を聞いて来たのか!」
日渡さんの初のバトルを見て俺はそう呟くと隣からどう見てもファーストのランバ・ラルソックリな最早すっかり聖鳳の名物の謎多き用務員と化しているラルのおっちゃんが現れたので俺は声をかけた。
「しかしカガミ君、君はてっきり部には入らずにソロでガンプラバトルをやるものだと思っていたのだが」
「ああ、ラルさんにはまだ言ってなかったっすね。
俺、この間からガンプラアイドルの専属マネージャーになったんすよ!」
「なんと!?ガンプラアイドルの!…よもやそういう訳だったのか…」
ラルさんは俺の言葉に驚きつつも同時にどこか納得したかのような顔をしていた。
「ええ、ですからこれからじゃんじゃん彼女達らぶドルの魅力をプロデュースしていきますよ!」
「む!?…あの機体は!…」
俺がそう宣言した瞬間、ラルさんが何かに気が付く。
それはあのキノコ野郎がMAに換装した光景だった。
「アグリッサだと!?あの野郎ルール無視してきやがったな!…」
Sideフミナ
「バトル中にMAへ換装するなんて規約違反じゃないですか!」
「『何を言っているんだい君は?このバトルは選手権じゃないんだよ?』」
「くっ!?…減らず口を!…」
「『さあさあ、大人しく負けを認めて僕の部に入るんだよ~!』」
追い詰めたと思った矢先にミヤガ先輩のイナクトはアグリッサへと換装していた。
思いっ切りルール違反だというのにあのカマキリ野郎は開き直って攻撃してくる。
アグリッサの放ってくるレーザーを回避し切れずにジムカーディガンの砲塔と片腕を潰されてしまう。
「しまった!?…」
「『ほらほら!観念するんだよホシノくん!』」
不味い!?…今のジムカーディガンの状態じゃ万全なアグリッサの猛攻に対応し切れない!…こんな所で負けるなんて…ゴメンなさい…バトル部の先輩達の伝統を守り切れなくて…そう諦めかけていたその時だった。
ドゴン!
「!」
「『んなっ!?…今の砲撃一体何処から!?…』」
何処からともなく恐らくキャノン系の砲撃がアグリッサに直撃して転倒した。
「『御無事ですかホシノ先輩!?』」
「日渡さん!」
その砲撃はバトル部に入部予定で今回のバトルに参加してくれた日渡さんの陸戦型ガンダムによるものだった。
Sideあや
「ホシノ先輩、援護します!」
「『日渡さん!副部長に勝ったのね!』」
「『何!?シノダくんが負けたのか!?…だけどあの妙な技を使う男子をコウサカ君が抑えてくれている今なら君達二人ぐらい!』」
援護が間に合い私はほっとする。
一方、ブラウンハートの砲撃を受けて転倒していたアグリッサは体勢を立て直して再び私達に襲いかかってこようとしていた。
だがそこで…
ドヒュン!
「『!?』」
何処からともなくビームライフルによる攻撃がアグリッサを掠っていった。
今のは私じゃない…距離的にホシノ先輩でもない事は確かだ。
だったら他にビームライフルを装備している今この場に居る機体は…
「『どうして僕を攻撃するんだいコウサカ君!?』」
「『え…ユウ君?…』」
そう、敵チームである筈のZガンダムベースのガンプラを操るコウサカ・ユウマ君だったのだ。
「『ミヤガ部長、そのガンプラはレギュレーションに違反しています!
アンフェアなバトルは望んでいないので』」
「『こ、コウサカ君、う、裏切ったのか!?この僕を!…』」
「『裏切るも何もレギュレーション違反をしたのは貴方ですよね』」
「『ユウ君!…』」
ミヤガ部長さんの絶叫を無視しコウサカ君はビームライフルを撃ち続けている。
「『よくも動き回ってくれるな…少しばかり無駄撃ち過ぎたか…だったら!…そっちの陸戦型ガンダム聞こえているな?!』」
「は、はい!」
急にコウサカ君から個人通信が入り私は驚くがすぐに応答する。
「『此方の残弾が残り少ない…だから此方でミヤガ部長を撃墜可能なタイミングを探るから合図したら其方の180mmキャノンを同時に放ってくれ!』」
「はい!」
個人通信が閉じられて私はブラウンハートキャノンを構え直した。
「ホシノ先輩!申し訳無いんですが少しの間だけあのアグリッサの囮になってひき付けておいてもらえませんか?」
「『分かったわ!』」
ホシノ先輩に陽動をお任せして私はその隙にアグリッサの懐へと潜り込む準備をする。
「『糞っくそおっ!?…』」
コウサカ君の突然の裏切りによって彼と囮を買って出たホシノ先輩の対応にミヤガ先輩のアグリッサは追われていて私のブラウンハートの動きには全く気が付いていない。
「『!今だ!撃て!』」
「はい!」
「『な、何!?…何時の間に懐に!?…』」
漸くミヤガ先輩は懐に潜り込んでいたブラウンハートに気が付くがもう遅い。
私のブラウンハートキャノンとコウサカ君の構えたビームライフルが既にアグリッサを捉えているのだから。
「『やっちゃって!』」
「『く、糞おおおおー!?こ、この僕が!?…』」
「『これで終わりだ部長!』」
同時に放たれた砲撃の直撃を受けてアグリッサは爆散した。
<BATTLEENDEAD>
残るコウサカ君が降参した事でバトル終了のアナウンスが鳴りこれで私達の勝利が確定したのだった。
「勝ったー!」
「これで部に昇格出来ますね!」
私としても初の勝利を嚙み締められた瞬間でホシノ先輩達とこの喜びを分かち合ったのだった。
こうして私達らぶドルは部に返り咲く事が出来たバトル部に入部するのだった。
あ!あの後コウサカ君がプラモ部を退部してこっちに入部、ホシノ先輩達と選手権のチームを組む事になったみたいだよ。