悪役は敵足りうるか 作:プロポリパレン
「イーいよなぁ、世間様はヒーローを持て囃すだけでヒーロー様から守られて」
10年前、人間は遺伝子内に[因子]と呼ばれるものを発見した、全人口の内数パーセントのみが持つ物を
「いーイよなぁ、ヒーロー様はヒーローってだけで世間様から持て囃されて」
[因子]は特定の条件で活性化し、人間を超人化した。人は空を飛び、海を走り、超常の力を扱った
「知ってるかァ? 下水で食べる鼠の味をさァ……ン?」
しかし[因子]は二種類あった、片方は人の善性を強化し、もう片方は人の悪性を強化すると言われている
「知るわけねえよなァ? カビの生えた、むしろカビの塊になったパンの味なんてよォ? それで腹を下してもよォ、助けてくれる奴なんざ居ねェんだよ」
[因子]の発見は世界を変えた、善性[ヒーロー]が世界を救った。
「この世界じゃよォ、ヴィランなんて"まとも"に育てやしねェ」
戦争が終わった、国境を超えた恋人たちは結婚すら許された。
「ヴィランだから育たないなんて意味じゃあねェ、まともに、善人として育てる土壌がねェって話だ」
万人の兵士を作るより、一人のヒーローを作る方が容易い環境だった
「俺もそうだった。あの検査の日、医者はまるで罪人でも見るかのように俺を見たンだぜ?」
医療を発展させた、難病に苛まれる子供たちは外で駆け回れるようになった
「しかもよぉ、ッハハ 悪性因子[ヴィラン]の人間は今後! どんな人生を歩もうと悪人となる可能性が高いからァ! 判明し次第人権を剥奪するんだってなァ?」
十人のヒーローが産まれるより先に、百人のヴィランが産まれてしまう
「人間だって、更正できる悪人だって居るってのになァ? ヴィラン因子を持ってるってだけで、今までのヴィランが悪人だったからって、虐げてもいいと思ってやがる」
人々は救われ、ヒーローは救った
ヒーローは求められ、人々は求めた
じゃあ……ヴィラン[俺たち]は?
「だからお前ら[世間様]はこうやって! 俺に! 俺たち[ヴィラン]に! ……叛逆されるんだぜ?」
人はヒーローになることが出来る……これは可能性じゃなくて事実としてだ
「俺たちは悪性因子[ヴィラン]かもしれねぇ……でも、生まれつきの悪じゃなかった」
でも……ヴィランはヴィランでしかねぇ、産まれ方ってもんが違うからな? ……それでも
「そう[悪]であれと! 俺たちに願ったのは、お前らだろうが! 正当化する気なんざねぇ、これはただの復讐さ……ハ、ハ、ハ!」
これは、ヒーローとヴィランのお話