魔法戦記リリカルなのはBLAZBLUE   作:生粋の名無し

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どうも、生粋の名無しです。

タイトルから何となく察していらっしゃるでしょうが、今回はラグナ達が『あの店』に行く話です。

それと前回書き忘れていましたが、ラグナ達の格好については、ラグナ・ジン・サヤは家庭用『BLAZBLUE CENTRALFICTION』のストーリーでラグナの幼少期の回想に出てきていた服装で、ラムダとニューはサヤの服の色違い(ラムダが黄色でニューが白)、シスターことセリカは修道服です。
…そう、修道服。セリカについては、修道服か魔道協会の制服姿しか思い付きませんでした。

それと、前回の後書きに書いてたラグナとジンの年齢を少し変更しました。

※2023/7/3:なのはの年齢を変更しました。


第二話 喫茶店

「──あっ!見えてきたよ!この間見つけた喫茶店!」

「やっとか…」

「疲れたよ…」

 

 笑顔を浮かべるセリカの後ろで、ラグナとジンが荒い息を吐く。そんな彼らの背中には、ぐったりした表情の妹達の姿が。

 それも仕方がない──山を降りてからここにいたるまで、既に一時間もたっているのだから。

──そう、一時間だ。本来であれば、30分もあれば普通にたどり着けるはずの距離だったのだが…

 

 

 

 

 

 街中に入ってすぐに「あ、こっちの道が近道な気がする!」といって全く関係のない方向に歩き出したり、食べ物の匂いにつられて向かう先とは真逆の方へフラフラ歩いていったりと、シスターがとにかく寄り道をするせいで、予定の時間より大幅に遅れてしまったのだ。

 

 ちなみに妹三人は、まだ幼いこともあり、10分経った頃には既に疲れきってしまって、それからずっとラグナ(ニュー)・ジン(サヤ)・シスター(ラムダ)に背負ってもらっていた。

 

 

 

 

 

(クソッ!山を降りる時は問題なかったからって、完全に油断した!やっぱシスター(こいつ)、俺の知ってるセリカと全く同じじゃねぇか!)

 

 自分が方向音痴であるとは1ミリも思っていないであろう満面の笑みを見せるシスター。

 そんな呆れるほどポジティブ思考の彼女に、思わず内心で怒声を上げたラグナだったが、すぐに落ち着くと、シスターの後ろを歩きながら店の看板に目をやる。

 

 今の世界に転生したことで、自身も気づかぬうちに日本語を理解できるようになっていたラグナだが、流石に漢字を読むことはできなかった。

 しかし、その下にはローマ字も記入されており、そちらの方はラグナでも読むことができた。

 

("MIDORIYA"──『ミドリヤ』で、いいんだよな?)

 

 ラグナが一人、その店の名前を頭で復唱している間に、シスターがそのお店──喫茶店『翠屋』のドアに手を掛ける。

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

 店に入ると、まず最初に店員の元気な声がラグナ達を出迎えた。

 翠屋の内装はいたってシンプルで、席はテーブルとカウンターの二種類があり、木製のカウンターに挟まれるようにおかれたショーケースの中には、ショートケーキやシュークリーム等のメジャーな物から、ラグナの知らないスイーツまで複数並んでいる。店内は平日ということもあってか、そこまで人気(ひとけ)はないものの、各々が注文した料理に舌鼓をうっていた。

 

「綺麗なお店…」

 

 テーブル席に案内されたシスターが一人呟くと、渡されたメニュー表をテーブルに広げてラグナ達にも見えるようにする。

 ジンとサヤ達三姉妹、それとセリカがメニュー表に見いる中、ラグナだけはそちらに集中することができなかった。

 

 

 

 

 

 前世の彼は、とある事情から『世界虚空情報統制機構』──通称『図書館』──と呼ばれる組織にSS級犯罪者「死神」として指名手配されており、統制機構の衛士やら、「咎追い」と呼ばれる賞金首の捕縛・撃退を主とする者達やらに追われる日々を過ごしていたため、人の視線や気配には敏感になっていた。

 

 

 

 

 

 だからこそ、現在進行形で自分達に向けられている周囲の視線はラグナにとって煩わしかった。

 この翠屋に向かっている時にも感じていたソレは好奇の目。

 白髪にヘテロクロミアという浮世離れした容姿のラグナにも何人かは視線を向けていたが、ほとんどの人はシスターに向けていた。

 それもそうだ。何せラグナ達や周囲の人々が多彩な洋服を着ているのに対し、彼女一人だけ黒と白を基調とした修道服を着ているのだから。

 

 

 

 

 

「この店にいらっしゃるのは初めてですよね?」

 

 

 

 

 

 周囲の目にラグナがうんざりしていると、茶髪のロングヘアの女性がシスター達に話しかけてくる。

 

「はい、そうですけど…」

「やっぱり!このお店、つい最近出来たばかりなんです。それに、修道服を着たお客さんなんて、一度来てたら忘れられませんから」

 

 不思議そうにしていたシスターだったが、女性にそう言われ、同時にようやく周囲の視線にも気づく。

 

「…今の今まで黙っちゃいたが、この人が言ったから俺からも言わせてもらうけどよ──アンタ、俺達にはお洒落しろとか言っときながら、自分はそのままって、一体どーゆーことだよ」

 

 ラグナもその女性店員に便乗する形で小言を溢すと、シスターは困ったような笑みを浮かべた。

 

「あ、アハハ…実は──教会(あそこ)に住みはじめてから、街に来たことがなかったの。食料は教会の裏にある森の中で採れたものとか、畑で栽培した分で十分足りてたし…何度か降りようとしたこともあったけど、『お姉ちゃん達』が心配だからって代わりに行ってくれたりして…それでクローゼットに残ってたの、学生時代の制服か、この修道服のスペアだけだったんだよね」

 

 修道服で来た理由を話して苦笑いをするシスターに、ラグナはついため息を溢してしまう。

 そんな二人を見て、女性が可笑しそうに笑った。

 

「すみません。お二人のやり取りが微笑ましかったものだから、つい…そういえば、自己紹介がまだでしたね。──私はこの喫茶店『翠屋』のパティシエ兼店長代理を勤めさせていただいてる『高町桃子』といいます」

 

 そう言って、桃子と名乗った女性が礼儀よく頭を下げると、シスターが慌てて立ち上がり、同じように礼をする。

 

「ご丁寧にありがとうございます!私はすぐそこの教会に住んでる『セリカ=A=マーキュリー』です。この子達は、その教会で私が育ててる養子さんで、名前は『ラグナ』、『ジン』、『ラムダ』、『サヤ』、『ニュー』っていいます」

 

 頭を上げたシスターがラグナ達を順に紹介し、それぞれが桃子に頭を下げていると、桃子の側に彼女と同じ髪色の少女が歩み寄ってきた。

 

「お母さん。これ、テーブル席1番さんのオーダーだよ」

 

 少女がオーダーシートを挟んだクリップボードを差し出すと、桃子はそれを受け取り少女の頭を優しく撫でる。

 

「ありがとう、『なのは』」

「エヘヘ…」

「──もしかしてその子、高町さんの娘さんですか?」

「ええ、そうですよ。なのは、ご挨拶できる?」

 

 桃子が『なのは』と呼ばれた少女に問いかけると、少女は元気よく頷き、桃子の横に並ぶようにして前に出る。

 

「高町なのは、4歳です!」

 

 少女──『高町なのは』が、簡素な自己紹介をして頭を下げると、ピンクのリボンで束ねられた茶髪のピッグテールが揺れる。

 

「なのはちゃんっていうんだ!ジンと同い年なのに、もうお母さんのお手伝いをしてるなんて、よく頑張ってるね!えらいえらい♪」

 

 礼儀正しいなのはを見て、感心したシスターが頭を撫でてあげると、なのはは満更でもない表情を浮かべる。

 

「なのはちゃんって一人っ子なんですか?」

「いえ、なのはは次女なんです。上に二人、長男と長女がいて、長女の『美由希』は小学六年生、長男の『恭也』が中学二年生なんですよ」

 

 なのはの頭を撫でながら質問したシスターは、桃子の返答を聞いて心底驚いた顔をした。

 それはラグナも同じで、信じられないものを見たような顔をしている。

 

「ええ!?高町さん、若そうなのにお子さんが三人もいるんですか!?」

「フフッ…『高町さん』なんて堅苦しい呼び方じゃなくて、名前で呼んでいただいて構いませんよ。私も『セリカさん』と呼ばせてもらいますから。それにセリカさんこそ、私よりまだ断然お若いのに、五人も子育てをしてるなんて──立派じゃないですか」

 

 桃子が微笑みながらシスターのことを誉める中、ラグナは目の前の女性が三人の子持ちという事実の衝撃が強すぎたのか完全に上の空となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、後のラグナはこのときの会話を振り返り、こう語ったと言われている。

 

 

 

 

 

『俺って前世じゃ、義務教育なんてモンは全くと言っていいほど受けてなくてさ…後から知ったことなんだけどよ──中二って、だいたい14歳ぐらいだろ?そんで"あの人"──モモコは、ナノハから聞いた話じゃ、あの時まだ28歳だったっていうじゃねぇか。もしそれが本当だったなら、妊娠期間からも考えて、モモコはキョウヤを13歳の時に身籠ったっつーことに──いや、やめとくわ。これ以上勘繰ったら、なんかヤベー気がする…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん?」

「──ハッ!」

 

 一瞬、未来からの電波を受信しかけていたラグナだったが、隣に座っていたジンが心配して話しかけたことにより、どうにか気を取り戻した。

 なお、彼が電波を受信している間に、シスターと桃子の二人の間で話が進んでいたらしく…

 

「本来なら、私は経理担当なんだけど、この店の店長で私の夫の『士郎』さんが今、別の仕事で海外を飛び回ってて…」

「それじゃあ、この翠屋は親子で経営してるんですね!」

「ええ、そういうことになるわね。でも、まだ出来てすぐだからそこまで名前は売れてないし、休日とか学校が終わった後とかは恭也と美由希も手伝ってはくれてるけれど、人手が足りないのよね──それに本当は、今日はなのはに手伝ってもらうはずじゃなかったんだけど、アルバイトの子が急に体調を崩して来れなくなっちゃって…」

 

 シスターからは余所余所しい雰囲気が消え、桃子にいたっては少し砕けた口調で話しており、見るからにすっかり仲良くなっていた。

 その光景にどこか微笑ましく思っていたラグナだったが、すぐに自分の側にいる者達の異変に気づく。

 

 ジン・サヤ・ニューの三人は明らかに不満そうな顔を浮かべ、ラムダは表情からは読み取れないが彼女の纏っているオーラが不満さを物語っており、なのはにおいては、オーダーを忘れて話に耽る母に物珍しそうな、それでいて困った顔をしていた。

 

「シスター、そこまでだ。ニュー達が待ちくたびれちまってる」

「え?──あ!ご、ごめん!」

 

 ラグナの声に、一瞬気の抜けた顔をした二人はすぐに我に返ると、シスターはすぐ隣で不満げにうつむくニューに謝り、桃子は誤魔化すように一度、咳払いをする。

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 

 そしてすぐに営業スマイルへと切り替える(シフトする)と、何事もなかったように注文を尋ねてきた。

 

「えっと…皆、どれにするか決まった?」

 

 改めて、シスターが子供達にそう尋ねる。すると──

 

「──あっ」

 

 一人、間抜けな声をこぼした者がいた。──今の今まで、まともにメニュー表を見ていなかったラグナだ。

 

「あー、すまねぇ。俺が決まってねぇわ」

「兄さま!」

(わり)(わり)い。すぐに決めるから、もう少しだけ待ってくれ」

 

 膨れるサヤ達に頭を下げたラグナは慌ててメニュー表を見ると、どれを頼むか考え始めた。




そういえば、よくリリカルなのはの二次創作で、アリサとすずかが誘拐される話が出てきますけど、あれって公式のストーリーなんですかね?知ってる方がいらっしゃれば、感想欄やメッセージで教えて下さい。

追記

アニメを見て、まだこの頃は翠屋の人気がいまいちだとわかったので、内容変更しました。
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