フリーイズフリー! 自由に世界を駆け抜けろ! 作:雑ゆえ隔離
数週間という、体感的にはもう2ヶ月以上経ってるんじゃないかと思うくらい長い時間を待った後。
ついにオールフリーダムのβテストが開始される。
この時代、一定水準以下の知識は頭の中に強制的にぶち込まれるので、昔のように勉強をする必要はない。
今では勉強する必要がないのが当たり前なので、興味もないことを知らなければならない勉強とはどれだけ苦行なのか、とある意味興味も湧いてくるものだがそれは置いておいて。
「今日からだ……! さぁ、どんなゲームなんだ!?」
未知のゲームに興奮する俺。
どんなことでもできるというのがこのゲームの売り文句だが、実際のところそんなことはないだろう、と諦観している部分もあるが。
PVもどことなく雑だが、その雑さの中にも僅かに見える素晴らしさがあった。
だからこそ、もしかしたらそんな諦観すら打ち破ってくれるんじゃないかという期待もあった。
「3、2、1! よし、スタート!」
早速ダイブギアを装着する。
ダイブギア、通称ヘッドギアとも呼ばれるそれは、ヘルメット型のVRダイブ用装置。
右耳部分にあるそれなりに大きなボタンを押し、軽く回すことでダイブできる。
それを早速実行し、仮想世界へとダイブした。
一瞬の浮遊感の後、世界が白に染まる。
とはいえ、ダイブしたからといって即座にゲームの起動ができるわけではない。
一昔前のゲームでもそうだったように、ホーム画面というものが存在する。
つまり、仮想世界に入った後にどのゲームをプレイするか選ぶというわけだ。
「どこだどこだ、あった!」
俺は素早くフルフリーダムのアイコンを探し、タップ。
ゲーム開始の確認が入り、許可。
そこでようやくゲームが開始されるのだ。
──フルフリーダムβ版、スタート──
そんな音声を聞きつつ、俺の意識は暗闇の中へ一瞬沈んだ。
***
「……さて、キャラメイクからか」
『はい、正解です。マスター薫』
「うおっ!?」
意識が戻った俺は、ゲームの最初だからキャラメイクがあるだろうと思いそれを口にする。
直後、俺の言葉に何かが反応した。
女の声、なかなかに可愛い感じの声だ。
「だれだ?」
『私はマスター薫の
「え、えーいち?」
えーいち、えーいち……A1か。
なるほど、個体識別番号みたいなものか。
つまり俺のプレイをアシストするためのAI、ということだろうか?
『その認識で間違っておりません』
「し、思考も読むのか」
俺の思考をそのまま読み取ってきたA1。
驚いて声を出してしまう。
それをA1は不快であると勘違いしたのだろうか。
『不快でしたら思考リーダーを停止いたします』
「いや、いい」
そんな提案をしてきたが、すぐに却下する。
これからキャラメイクなのだから、思考を読み取れるのが一番いい。
そう思いつつ、早速キャラメイクをしてもらう為に頼む、わけなのだが。
「A1、キャラメイクを頼む」
『……オートでキャラメイクをするのですか?』
「うん?」
どういうことだろうか、と一瞬困惑した
キャラメイクをする、というのはAIにキャラメイクを任せるのが当たり前なのではないだろうか。
というのも、最近のゲームでは現実と仮想世界の肉体乖離が行われないよう、AIがある程度形状を決めていたのだ。
そう思ったのが功をなしたのだろう。
A1は即座にそれを読み取った。
『フルフリーダムというゲームのキャラメイクでは、多彩なパーツを使用することが可能です。人形から人外まで、多彩なアバターを作成することができます。AIに任せる事もできますが、自身でアバターを作成することもできますよ』
「……は?」
衝撃の事実である。
確かに昔はそうだったらしいが、今ではもうそんな機能はほとんど見ない。
これはすごい当たりを引いたぞ、と思うのだが。
『フルフリーダムのβテスターはマスター薫を含め2名しかいらっしゃいませんよ?』
「は? え、すくなくね?」