◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい? 作:電脳図書館
あの【実はデキコンだった事件】から時間が経ち何ともう結婚式当日だ。あの後優里さんの取り成しもあり再び話し合った(弟は怒りの感情自体は直ぐ冷める。その代わりずっと覚えていてネチネチと年単位で言ってくるけど)のだが結局弟は意見を変えることは無かった。
「昔から頑固だからな・・・一応手は打ってはいるけど」
万が一デキコンがバレたときの為に「互いに勢い余ってやっちゃった」という風になるように優里さんの了承もあり口裏合わせや多少の隠蔽工作も行わせて貰った。プロが調べれば分かるだろうが、流石に二人がバレた時にキチンと謝ればそこまですることはないだろう。弟が少し心配だが恐らく八方美人モードで対処してくれるはずだ。
「あと懸念材料はストーカーがまだ見つかっていない点と例の違和感か」
前者に関しては式場周囲を警官がそれとなく警備してくれるそうなので何とかなりそうだが・・・後者に関しては残念ながら何処に違和感を持ったのか分からなかった。というより隠蔽工作や仕事や結婚式の準備などで確かめる時間が無かったのだが。
「にしても本当にいい子だな優里さん」
俺と弟を取り成してくれた優里さんだが如何やら電話の件を聞いていたのか派手に喧嘩したそうだが、それでも嫌いになれなかったらしい・・・あの姿を見てもそう言えるならイメージと違う事で別れることはないだろう。俺も大人になってからそれぞれ自立したことで機会は減ったが子供の頃は癇癪を起す弟を諫めながら一緒にお笑い番組で笑ったり、一緒に飯食ったりと日常を共に過ごしていて良いところもあるところを知っている。あの心根を如何にかすれば普通に好かれる方だと思うんだがな、寝顔とか大人になっても可愛いし。
「あ、もう時間か。結婚式場がある町の駅前で花は買うとして準備しないと」
家を出る時間になったのでスーツに着替え始める。懸念材料はあるがもうどうにも出来ない・・・何処か嫌な予感を覚えつつ結婚式場に向かった。
「うおおおおお!!なぜどの花屋も花がねぇんだよ!?」
もうとっくに結婚式場の着いているはずの時間だが今現在俺は花屋を渡り歩いていた。それもこれもどの花屋も花が売り切れていたからだ。
「仕方ないさね。今日だけで葬式が5件、結婚式が10件あるんだ花も足りなくなるさ」
「式が多すぎるわ!?おめでたいのかそうじゃないのか分からねぇじゃねーか!!」
遅刻を覚悟して入った最後の花屋の店主のおばあちゃんにツッコミを入れながら漸く花を見繕って貰っている。
「なるはやで頼みたいんだけど!」
「なるはやってもうそれ死語に近いんじゃないかい?・・・これとかどうたい?」
「おお、綺麗な形の鬼灯ですねってこれ墓参りするときに持ってく奴じゃねーか!!」
「冗談だよ・・・はいこれ」
「おお、真っ白な綺麗な薔薇・・・ってもうボケは良いんだよボケは!」
「ボケじゃないよ」
「…マジで?」
白薔薇
花言葉:心からの尊敬、無邪気、純潔、相思相愛、約束を守る、私はあなたにふさわしい、あなたの色に染まるなど
え、これを新郎の兄が持っていくの?控えめに言ってキモいんだけど…
「あ、あのー出来ればこれ以外のものが「あと赤薔薇もあるけど」これ買います!」
赤より白の方がマシだ。二人の為に買って来たということにしよう…これ俺の弟じゃなくても嫌われそうなんだなと何本か束ねて貰い店を出ると式場までダッシュで駆けていく。
「あ、待ちな棘を抜いてないよ!」
何か花屋のおばあちゃんから声を掛けられた気がしたが、急いでいるので振り返ること無く結婚式場に向かう。
「く、時間的にスピーチには間に合わないか!?すまん親父!」
家族のスピーチは俺が担当だったが、俺が来ていないことによる台本なしのピンチヒッターは多分親父に振られることを思うと心苦しいがどうにか場を繋いでくれ!!そう祈りながらひたすら走り、周りを警備してくれている警官さんに会釈もしつつどうにか結婚式場がる場所の階段前広場に辿り着いた。無駄に段数が多いが行くしか無い!そう思っていたときに同じく遅れたのか今頃になって結婚式場に向かっている一人の男性の肩にぶつかってしまった。
「あ、すみませ…!?」
謝るために相手の顔を見ようとする…その瞬間目を見開いて驚いた。思考が一瞬止まるが、幸いいつも通り俺の身体はその場に置いての最適な行動を取る。
「な!?ぐぅ!!」
今度は相手が驚いた。まぁ急に顔面パンチをされたら驚くのは当たり前だが驚くのはこっちだ。
「何でいやがる大原仁志!」
「ああ、そういえばお兄さんがいるんだったな。ムカつく顔がそっくりだよ!!」
懐から果物ナイフを取り出してこちらに突進してくる。幸いだがナイフの穂先はブレ、突進自体も安定していない・・・どうやら武術やケンカは素人だな。あとな
「俺は弟と違って母親じゃなくと父親似だボケー!!」
相手の突進が届く直前に避けて、その顔面に拳をめり込ませる。
因みに言っておくが俺もストーカー野郎と同じ様に武術とかの技術は無い。精々中高のときに授業で空手の基本の型をやっただけだ。だが祖父やその仲間達と共に動物の狩猟を何度かしたことがある。そのときに見た猪の突進に比べれば脅威に感じない。相手の突進や斬り付けを直前で避け続けスタミナが切れ動きが鈍ったところを殴る。この繰り返しを淡々と行う。もし相手が武術の心得があればフェイントなどで素人の先読みくらい軽く外して刺してくるなりしただろう・・・ただ同時に不審に思う。この繰り返しをして既に数分は経っている。なのに何故警備する警官が来ないのだろうか?ただの聴衆ならこの結構式場が郊外にあるから元々通り掛かる人達が少ないからだで納得できるのだが
「避けんじゃねぇ!!」
「避けるわ。というかお前どっから来た?警察の警備を無理やり突破した訳じゃないだろ!」
「さぁなぁ!!」
はぐらかされたが取り敢えず警察が来るまで時間を稼ぐ必要がある。こちらのスタミナも有限だからな
「もう優里さんは相手を決めたんだ。なんでそれが分からねぇ!!」
「煩い!・・・ずっとずっと好きだったんだ!なのにあんな八方美人野郎と・・・!」
「八方美人野郎は否定しないがそれも彼女は受け入れている。大体彼女が会社入ってまだ数年だろ?なのにずっとか宣いやがって!!」
彼女曰くストーカー野郎とはあまり話したことはないらしい。恐らく顔や身体、親の地位が目的なのだろう。ふざけた話だ。確かに弟もそう言った目的があったのかもしれない、だがあの弟も過去に好きな子が出来た時に告白して断られたことがあったが俺達に当たることはあっても本人を困らせることはしなかった。曲がりなりにも好きだった相手を思う気持ちくらいはあるのだ。今回取り成しにも応じたしな・・・弟も問題児だったがまさかそれ以上の奴が近場に存在するとか想定なんて出来る訳がない
「元々両思いでもなく告白もせずに取られたとか抜かすんじゃねぇ!!」
伸ばして来た腕を抑えつけ足蹴りでナイフを落とす。取っ組み合いが始まるが時間を稼ぎたい俺にとっては望む所だ。このまま時間を稼ぐ、或いはスタミナの消耗具合によっては取り押さえることも出来るかもしれないと思った。もしかするとその勝ったという考え自体が油断に繋がったのかもしれない
「今だとっととやっちまえ!!」
「何を・・・!?」
突然背中の一部が熱を持った。何か冷たい異物が身体に入りこんだ。少し振り返る・・・如何やら刺されたらしい。後ろにいつの間にかいた一人の女性に。
「そうか、そういうことか」
前に持った違和感、それが氷解していくような感覚がした。弟が情報集の報告の際几帳面なあいつはその前後で行なった雑談の会話まで文章で送って来てくれた。そのとき一人の社員の言葉が気になった。弟について話す内容がやけに詳細で、他の社員が気づいていないことにまで気づいていたことだった。これだけならただそういう観察眼が優れている人という印象だったのだが他の社員の話に話題が移るとそこまででは無かった。この違いは何なのだろう?違和感というより疑問を持っていた。特に親しい人間という訳でもないというのもその要因の一つだ。その社員の名前は
「関口萌恵・・・さん」
「・・・名前を知っているのね?あの人から聞いたのかしら。私のことを見てくれていたのね」
弟を通して知ったことを察すると彼女は笑顔になった。とはいえ歪んだが枕詞に付くほど碌な物では無かったが。弟は八方美人だったのだ会社内で弟に好意を抱いている人間はいるかもしれないとは思っていたが・・・大して親しくもしていなくて告白もしていない癖に誰かと一緒になるのを寝取られたと思って結婚式場にナイフを持ってカチコミ掛けるなんて弟でも考えもしない暴挙をやらかす人間が同じ職場に二人もいるとか普通考えるかバカ。
「ストーカー野郎ならぬ女郎とか、想定してねぇよ・・・!」
ナイフは既に抜かれている。傷口を抑え倒れ込む。夫婦それぞれにヤバイストーカーがいるとかどんな偶然だ。幸い内臓は刃から逃れ致命傷ではない、しかし太い血管を切られたのか血が止まらない。ストーカー野郎が落としたナイフを拾い反撃かと覚悟したがそのまま結婚式場に向かう用だ・・・目標優先とは聞こえはいいが俺が通報することが頭にないのか?ここまで逃げ延びたり、ここに入りこめたのはストーカー女郎の手引きだと思うが
「いいのか?俺を生かしたままで!」
「別に貴方はもう動けないでしょう?それに通報されたとしてもどうでもいいわ」
「あの女と生意気な男をぶっ殺せればそれでいいんだよ!」
それらの言葉だけ述べて階段に向かって二人は歩き出す。あいつらは八方美人の弟しか知らないはずだ。弟の悪意が他者に向いていないのは昔から分かっていた。だが愛していないという訳ではない、弟は生まれながらに
「・・・」
本能が死なない様に痛みを発し、理性が身体を動かさない言い訳を無限に作り出す。だがそれとは無関係に俺の身体は動く。先ほどストーカー野郎を出合い頭に殴った様に俺の身体は思考と本能と理性とは関係なく身体を動かして行く。出血多量の死の警告さえも関係なく動く・・・ふと数年前に亡くなった祖父のことを思い出す。生前から何故俺だけを狩りに連れ出すのか不思議だった。弟もそこまで嫌がっていなかった。その理由を聞いても教えてはくれなかったが、遺品整理をしているときに祖父の日記を見つけ読んでみたことで分かった。祖父曰く俺はことを起こす前後で悩み、引きずることはあるがことを起こすときはそういったことを考えずに迷いなく実行できるらしい。そして起こった出来事に思う事はあっても後悔することはないのだそうだ。そして祖父は・・・かつて第二次世界大戦時に日本軍に従軍していた祖父は気づいていた。それが"殺し"の才能に繋がることであると。だから否定したかったのだろう。自分の孫が、この平和な世の中でそんな才能を持って生れて来たのだと認めたくなかったのだ。
もっともその希望は狩りの前に多少は渋っていた動物を殺すという行為を実行する段階になったときに猪の首に迷いなく鉈を振り下ろし、仕留めその後初めて気分が悪くなった自分を見て潰えた様だ。その日記の最後には締めくくりにはこう書かれていた。
『どうか、私が愛する孫の一人の才能が日の目を見ないことをただ願う』
「行かせない」
その時俺は人生で初めて"敵"を認識した瞬間だった
「・・・」
空は雲一つない晴天だ。しかしことが終わった後の俺の頭は逆にぐちゃぐちゃで、それでも後悔することだけは出来なくて
悪いな爺ちゃん・・・どうやら最後の最後にその才能が
「花、開いちゃったみたいだよ」
心臓にナイフを突き立てられた身体で、目の前に奪ったナイフでそれぞれ首筋を一度だけ切り付けられ生き物から物体へと変わったものが二つ横たわっているのを見る。
「まぁ・・・俺も、長くは、ないけどな」
苦笑し、ふらつき倒れる。視界が霞む、音が遠のいていく、近くにある白い何かが視界に映る・・・
あれは何だったかと思っていると
「か、ね?・・・!?」
ゴーン、ゴーンと鐘の音が周囲に木霊する。そして景色のピントが僅かに合いその白い何かが白薔薇だと認識した瞬間、遠のく意識が覚醒する。
「だ、め、だ!」
その花束を掴む。元々血を流していた血と掴んだ時に棘で出来た切り傷から漏れた残り少なった血で薔薇が赤く染まって行く。立つ余力はない、地面を這い階段へと向かう。まだ死ねないと俺の魂が叫んでいるのを感じ取る。俺は弟の、家族の、愛した者の幸せの為に戦ったのに…俺が死んでしまったらこの祝福されるべき日が血で汚される。そして俺の為に悲しみ幸せが崩れ去ってしまう。「俺が死んでも悲しむ奴何ていやしない」という台詞を創作物ではよく見るが、そんなの驕りと相手への侮り以外の何物でもないと分かっている。分かっていながら俺はあの戦闘中自身の命を考慮に入れなかった。一瞬弟達の、他所の考えを想像すれば思い出せたことなのに。
「幸せ、を、くず、させ、ない!」
先ほどは肉体が精神を凌駕したが今度は精神が肉体を凌駕する・・・しかしそれが長く持つはずもない
「~~~!?~~~~!!」
後ろで誰かが電話をしている声が聞こえる。声的に女性だろうか?内容は聞こえないがようやっと通行人が通報でもしているのだろう。その後後ろからこちらに走って来る声が聞こえる。
「だ、大丈夫・・・じ、じゃない、です、よね?」
怯えながら、怖がっているというより人と話すことが鳴れていない様子で声を掛けてくれた。目元は前髪が伸びすぎて見えないが・・・優しそうな目をしているのだろうなと直感的に考えてしまう。
「こ、れ、を」
「こ、これは赤薔薇?」
手渡して初めて気が付いたがもうすっかり赤くなってしまっている。自身の血で染まった赤薔薇を送る兄・・・普通に赤薔薇買って送るよりも遥かに気持ち悪いな、全く。
「弟と・・・義妹・・・子供・・・に」
「!?お、おじさん起きて、寝ちゃダメですよ!!」
瞼が重く落ちていく。となりの女性、いや歳的に少女かな?その声も身体を揺らす振動も感じられなくなっていく・・・結局俺は失敗してしまった。爺ちゃんにあの世で怒られることが増えてしまったな・・・いや、うちは仏教だから会う前にお互い輪廻転生しているのかな?それはあの世に行って見ないと分からないだろうけど、もし"次"があるのなら・・・今度こそ必ず・・・愛した者の幸せを・・・守って
ほぼ叶う見込みのない誓いを立てた男は根暗だが心優しい少女に見送られる。少女に家族に向けて渡す様にと頼んだ薔薇は真っ赤に染まっていて、皮肉にもその赤薔薇がこの日が血で穢れた証拠であり、とある男の愛情の深さの証拠になってしまったのだった。
「幸せを守ってハッピーエンドを目指すと誓ったんだがなー」
あとやっぱりあの赤薔薇はキモイと思う。偶然とはいえ重いってアレ!ごめんな弟よ
「よりによってこんな世界に転生する何て運がないわね」
「本当だよ、知った時軽く絶望したもん」
過去の俺が死んだことで幻想の世界が静止する。いや、本当ただでさえ普通の世界でもムズイのにメガテン系列の世界で愛する者の幸せを守るって糞大変なんだけど。難易度ルナティックだよ全く
「それにしても中々面白い愛情の価値観ね」
「そうか?愛というのは損得勘定とは別離にあるものだ。そして理論上は愛情はなくても経済や食料を回せれば生きることは出来る。例えば愛情を注いでいる作ったご飯と愛情はないけど親の義務感だけで作ったご飯、どちらも食べれば生きることは出来るだろう」
「だが、肉体は保っても精神はそうは行かない。生物というのは愛情が無くても生きられるのに、それが無ければ生きられないという矛盾を抱えている。だから愛情に義務こそあれど見返り何て存在しない、サービス残業やボランティアと本質は変わらんさ」
「やる義務もないことをやるのだから見返りは無くて当然、しかし手を出した以上義務は負う。なるほど確かに損得勘定と相いれないわね・・・それじゃ愛さない方がいいのかしら?」
「そうした結果どうなるかは自己責任だけどな。大抵碌な末路じゃないだろうけど、どの未来を選びどんな義務や責任、権利を背負うかは選ぶ当人の自由だ」
俺が選んだのがああいう道だっただけだ。例え損しかないことだったとしてもそこに意味を見出して、愛を注ぐ。その愚かしいあり方がこの上無く愛しくて。
「悪意をぶつけられても、裏切られても、愛し続けるの?」
「当然。愛することをやめる理由はあれど、愛してはならないという理由はないからな」
「その上で過ちを犯したら殺してでも止めると、なるほど弟さんとはとある意味反対ね。弟さんは
「異常って言うならお前も似たようなもんだろう?」
先ほどお喋りをしていた存在に振り向く。俺しかいないはずの深層心理に違和感なく入り込める奴は今の所直接パスを通している折紙か、もしくは俺の肉体の一部が使われている存在くらいなものだろう
「喋れるじゃねーかアズール」
「お陰様でねマスター」
この幻想の世界を作り出した黒幕が、以前は見せなかった妖艶な笑みを向けて来た。
読了ありがとうございました!え、内容詰めすぎ?過去編を2話で締めるとこうなってしまった・・・これでも大分削ったんですけどね。特に設定
爺ちゃん
過去編の時間軸時点では既に故人で第一章でも設定だけですが登場済み。元陸軍の中隊長で実は狩猟中には嘗ての部下達も居たりする。主人公の戦いや戦闘指揮の才能は彼からの遺伝と今世の狩谷の肉体の才能と掛け合わさった結果成り立っている。しかし前世では主人公のぶっそう過ぎる才能の開花を恐れて武術を仕込んだりなどはしていない。しかし実は彼が思っている主人公の才能と実際の才能は異なったものであり、誤認している。そして日記を見た主人公自身も多少の違和感は持っているが同様に誤認している。因みに彼が犯した殺人は1対2だったこと、実質相打ちだったこと、相手が本人だけではなく家族を害そうとしていたこと、ダメ押しの通報した少女の証言もあって正当防衛が成立している。武術の心得があれば相打ちになることは無かったがそれは所詮結果論に過ぎないでしょう。
弟夫婦
当然兄がいなくなったことで奥さんの負担が増えることになりますが本人もこんな弟を好きだとかいう変人なのでまだ芽はあります。今は長年兄から言われていたこともあり弟も悪意をぶつけることを堪えていますが、いずれ限界が来てそこからが本番。生まれて来る子供が夫婦のキーマンになるでしょうがこの作品に置いて彼らのその後について語ることはありません。彼らが幸福になりえたかいなかを知ることが出来ないというのが義務を果たせなかった主人公の最も大きな罰なのです。これらが今世に置いても義妹の折紙など組織よりも家族を優先させる理由の一つになっています。
両親
出番は全然ないが、この過去編に置いて最大の被害者。ごく普通の一般家庭で教育や育児、遊びなどを真っ当に行い、育て自立させたのに兄弟の生まれながらの精神性のお陰で大変な苦労をする羽目になった。しかし兄弟がその精神性でありながら一般社会に溶け込めていたのは子供達から逃げずに向き合い続けたこの両親無くしてはあり得ませんでした。あと台本無しのピンチヒッターになった父親は過去に同僚の結婚式に呼ばれ述べた祝辞を脳内で一部内容を編集して述べたことで難を逃れています。
ストーカーコンビ
今回の話の尺を削る際に「この話の主軸は犯人の動機じゃないな」ということで一番動機などの設定を削られた結果弟を超えるヤベー奴らが二人も弟と同じ会社にいたということになり、それすら上回るヤベー奴(兄)の餌食になったというトンデモ話になってしまった。あと語ることがあるとすれば第二章で狩谷が語っていた獲物と敵とそれ以外の交戦対象の認識の違いとして上げた敵は本来前世では出会う事はほぼ無く、敵性悪魔もほぼ獲物としか見ていないのでメシア教信者と対峙してときに出来た認識だと思わせる書き方をしましたが実際は前世の彼らがその認識を作った切っ掛けであり、最初の対象だったりしました。
霧衣と通報した少女
実は霧衣は受付嬢ネキ、通報した少女は女郎ネキ(長いから省略)の前世。霧衣は前に前世のヒロインだったと語ったが彼女が主人公の元に残っていればストーカーに件で相談され、その有能さと物怖じしない性格から事件が起こる前に主人公と共に事前に解決することができ、その結果本編の世界に転生することも無かった可能性が高い。少女の方はこの事件が切っ掛けでさらに外に恐怖心を持つようになりさらに引きこもってしまい、死因の遠因になっている。だが転生後は逆に最後まで生きようと足搔いていた主人公の姿を思い出し、この世界で生きるために奮起するので一概に悪い事ばかりでは無かったが。因みに彼女は弟夫婦や両親とは証言する際に対面しているが、その後さらに引きこもってしまった為受付嬢ネキ同様彼らのその後は知らない。狩谷は受付嬢ネキが残った場合上手くいったかもしれないとは考えているが本人に言うつもり毛頭ない。ただし今は互いに気づいていない女郎ネキの方は前世の繋がりが明らかになれば土下座をすることになるだろう。
殺しの才能(誤認)
祖父は「ことを起こす前後で悩み、引きずることはあるがことを起こすときはそういったことを考えずに実行できる」と見ていたが第二章で実験体相手に気分を悪くしながらも戦っている。つまり主人公の才能は「ことを起こす前後で悩み、引きずることはあり、ことを起こすときも迷うがそれでも淀みなく実行できる」ということだ。とはいえまさか「殺したくないな、可哀そうだなと思いながら一切顔に出さず練習通り全く迷いや淀み無く鉈を猪の首に振り下ろし仕留める」とか傍から見てても分かる訳も無く誤認しても仕方ない状況だった。主人公が抱いた多少の違和感はこのことなのだが祖父の軍歴も知っている為「この手の事に詳しい爺ちゃんがそう言うんならそうなんだな」と深く考えずに納得している。因みこの才能の伏線は第二章だけでは無く第一章時点で敵だと誤認してショックを受けながらも目標は援軍到着までの時間稼ぎとはいえ修行して、悪魔殺しもこなしたとは言っても最近まで前世も含め一般人だったのに普通に幼馴染のイリナを殺しに行ってたりなどで表していました。感想などではエクソシスト二人のぶっ飛び具合に目を奪われて隠れていましたが、狩谷自身もその時から十分ぶっ飛んでるんですよね。
PS.最後の赤薔薇ですが色だけでは無く棘の有無や本数でも花言葉があるそうですよ?是非調べて見て下さい(ニッコリ)。