◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい? 作:電脳図書館
※投稿をミスったので再度投稿しました。
先手はカナリアに譲ると先ほどとは数段違う速さで狩谷に迫る。先ほどよりも上位のガーディアンが憑いたことで元々の持ち味であるスピードを更に伸ばすことになった。
「(まずは動き回って相手に狙いを絞らせない!)」
狩谷から習ったことを活かす様に一直線では無く不規則に走りながら訓練用の弾を詰めている拳銃で銃撃を行う。とはいえこれで倒せるのなら苦労はしない。あくまで狩谷の動きを止める為の牽制だが先ほどとは違い手が届かない場所も狙って弾をバラまく。
「そうそう、銃がサブ武器ならそう使わないとな」
銃弾を避ける狩谷だがカナリアに立ち位置を誘導される形となった。そのまま距離を詰めたカナリアは【スラッシュ】のスキルを発動させ短剣(実は狩谷が送った品でありネオベテル製)で斬り掛かる。
「いやーー!!!」
「っとあぶね!」
「ここ!」
狩谷は擦れ擦れのタイミングで躱そうとするがそのタイミングで短剣の特殊効果により刀身が炎に包まれその炎が狩谷に燃え移る。
「あっち!?いやらしい使い方だなおい!」
「肌がちょっと赤くなってる人に言われたくない!」
「耐性持ちだからね!でも・・・だけどまだ異能に振り回されてるな重心がぶれてるぞ!」
いきなり身体能力が上がったのでまだ身体の感覚が追いついていない為か重心がぶれている。急なパラメーターの上昇に身体が付いて行けていない証拠だ。だがガーディアンシステムの特性上斬撃の合間を縫って拳を腹にねじ込んで、膝を突かせる。
「うう!やっぱり新しいガーディアンの力を借りても届かないか」
「そりゃ流石に新しい異能に目覚めたからって楽勝で勝てるなんてこともないしな」
「やっぱり感覚を慣らさないとダメか、でももう一本「はい、ここまでお昼ご飯の時間よ」ええ!?」
「おっとそんじゃ飯食いに食堂に行くか」
「もうちょっと訓練して欲しいんだけど・・・」
「ダメダメ、ようやっとまともに飯が食えるようになったんだからキチンと喰う!身体ができないぞ?」
訓練よりも美味いご飯が優先、特に転生者に見受けられる傾向にある。博麗の巫女直々の短縮覚醒修行でも断食が入るほど「俺ら」に取っては常識である。
「それはそうとガーディアン云々は私にも一言言っときなさい!【メギド】!」
「いやだってお前絶対拒否ぐは!?」
「うわ・・・」
顔を爆撃された俺だが幸い頭はアフロにならず斑鳩から聖槍を受け取ると彼女と共にまだ訓練をしたいとぐずっているカナリアを引っ張っていく。
カナリアは今まで斑鳩と伊砂の計らいでギリギリ実験動物扱いで生きていたという生活環境だったので食べ物も必要最低限だったのだが今現在はそんな制限をとっぱらっているのでお腹いっぱい食えるのだ!実際寄せ気味だった身体の肉付きは良くなり肌の血色も良くなっているのでヨシ!
「まぁ狩谷が来る前はここの食事は不味かったからどの道あまり食べなかったと思うけど。今日はカレーにしょ」
「だからって大天使のフォルマ以外で真っ先にこの会社に口出したのが食環境の悪さなのはどうかと思うけどね。私はうどんで」
「そういって今の体勢になってからは毎回美味しそうに食ってる癖に。美味い飯は高いパフォーマンスを発揮するのには必須です!あ、俺はラーメンで」
それぞれ食堂の受付で料理を頼み同じテーブルについて食べ始める。うむ、麺だけじゃなくてスープもコクがあって美味いな。互いによく絡んでるし
「ズルズル~!よし、ちゃんと美味いな!」
「設備だけじゃなくて調理担当も鍛えてたし、それに狩谷の固有スキルが戦闘の鍛錬じゃなくて調理とかの生活面の鍛錬でも有効ってどういうことよ?」
「それは知らんし第一一番驚いたのは俺だ。」
「狩谷が教えてくれると良く分からなかった数学の公式から戦闘技術まですっと頭に入るんだよね。戦闘技術の感覚的な部分も自然と出来る様になるからある意味怖いよね。直感的に「あ、こうすればいんだ!」って分かるんだもん。更に成長率やら限界突破やらスキル、レアスキルの発現率上昇とかもあるんだから色々とおかしいと思う(白目)」
どうやら俺の固有スキルも一つである【試す者】は色々汎用性が高く、自身が習熟しているものなら特に制限なく効果の対象内だったりする。
「この前ヤタガラスの友人と近況を報告してたら新人の子の武術の肩をテレビ電話で見る流れになってな。試しに色々アドバイスしたんだけど後日異界の攻略で活躍出来てレベルアップ&レアスキルを獲得することが出来ました!って報告されたときは「あ、距離の制限ないってこれ別に一度も相手に直接会う必要すらないのか」と内心戦慄したね(白目)!」
「「えぇ…」」
因みに俺の固有スキルのことを知っているのはネオベテルメンバーと中野区メンバーを除けばこのアルケミスト社だけだ。まぁ中野区メンバーには別組織の者もいるが俺が鍛えてもいるのでほぼ身内みたいなものだし、そもそもヤタガラスの例は異界攻略というイベントと指導を受けたことが初めてだったこともあり誤魔化せたが長く指導していると明らかに以前との成長スピードの差やスキル獲得率の上昇、昨日限界レベルまで上がったと思ったら今日もう限界突破してた等々などがあり流石に誤魔化せないのだ。
「教育本やビデオでも売ってみる?」
「いやー相手個々人にそれぞれ専用のものを用意しないと多分意味ないと思うわ…恐らく、きっと」
「ちゃんと言い切りなさいよ」
「試してないことは言い切れなからね。まぁ試してマジで効果あったら色々やばいんだけど」
「もしそうだったら狩谷の影響力が凄いことになりそうだけど」
「例えそうだったとしてもメシア教過激派を筆頭に色々な奴らから狙われそうだからやらないけどな!」
「「でしょうね(だよね)」」
固有スキルのことを知るネオベテル内でも俺の身内の現地人らしからぬレベルのインフレ具合が話題に上がることがあるのに外部に漏れようものなら前回の事件よりも大規模な戦火が中野区に襲い掛かることだろう。というかアックアクラスが他にも来るとか怖いんですけど!
「狙われそうと言えば貴方、結婚話とかはないの?ネオベテルの構成員にはそういう話が多いって聞くけど?」
「あーそれな?メシア教穏健派や他の一神教の縁談はイリナ達教会組がシャットアウトしてくれてるし、繋がりのある魔術協会側も落ち目とはいえロードの家系であるライネスがいるし、その他地方霊能組織の依頼のときは折紙とアズールが常に近くにいるから縁談を持ちかけられるのを防いでくれるんだ!本当ありがたい。やっぱ持つべきものは友達だな!」
「「(それは多分囲われてるだけでは・・・)」」
彼女達の頑張りで幸いにもそう言った面倒事には巻き込まれていない!その代わり戦闘での厄介事は多いけどね(白目)!・・・二人に生暖かい視線を向けられているのがよく分からないけど。
「所でこの後は予定はどうするの?」
「ああ、ちょっと朱雀に頼んで実験室を一つ借りさせてもらってな。そこでちょっと調べることのある奴が居るんだ」
【第十実験室】
実験室前には事前に連絡し、用事を頼んだ折紙と連れて来てもらった十香が待っていた。
「折紙ー、悪いな本部の帰りにこっちに寄らせて」
「気にしてない。言われた通りトオカを連れて来た」
「うむ、私に用とはなんなのだ?」
「十香のペルソナについて少しな・・・あ、紹介するよ斑鳩とお前の妹弟子のカナリアだ」
「よろしく」
「え、えーとカナ「おお!!シショーが言っていたのはこの子のことか!よろしくなカナリア!」手をブンブン振らないで―!?」
この前話したときから会いたがっていたので嬉しそうにカナリアの手を握って激しく上下に揺らして困らせている。カナリアは困っているが斑鳩が微笑まし気に見ている様子から本当に嫌がっている訳ではないのだろう。今回はペルソナの件で呼んだが元々カナリアに年の近い同性の友人候補として紹介するつもりだったが、俺の目に狂いはなかったようで何よりだ。
「それからカナリアこれを」
「ん、カード?ってこれ斑鳩と同じ奴だ!色は違うけど」
「それはブロンズカードだ。カナリアの場合斑鳩達と違ってまだレベルや依頼の条件を達成していないからな」
「へー、あれでも朱雀は兎も角斑鳩と伊砂はレベルが足りなくない?ゴールドは30以上とかだよね?」
「二人のレベルは確かにまだ足りないけどマジックアイテム作成の腕と研究者としての脳みそでクリアしている。作成したアイテムや研究の内容が30レベル相応以上の場合に認められる特例だな、一応オカルト系の作成作業や研究でもレベルは上がるけど効率は悪いから」
「因みに私は正確には魔術協会所属になっているから最上位のゲストパスを持っているぞ!一部権限以外はシルバーカードと同等だな。半年ごとに更新の必要はあるけど便利だぞ!」
「色々決まりがあるんだね」
因みに我ら中野区のネオベテル所属カードやゲストパスの割合は
ブラックカード:狩谷、折紙、二亜、白織、エイナ
ゴールドカード:ワシリーサ、イリナ、ゼノヴィア、ルフェイ
シルバーカード:ジャンヌ、トキ
最上位ゲストパス:ライネス、ルヴィア、十香
という感じになっている。白織は悪魔ではあるがスライムニキと似たような例ということでブラックカードを持っているのはいいとして多少揉めたのは折紙の方だ。転生と言っても「俺ら」では無いので良くてもプラチナカードだろという意見があったのだがブラックカードには常時では無いものの位置情報が本部に送られる仕組みがあるので、折紙自身がそちらが監視するのに都合がいいはずと主張したことで一部権限の使用不可並びに非常時を除きブラックカードから一定距離離れると本部に通報されるというアラート機能を付けるという条件で所持が許されている。ジャンヌとトキに関してはレベルは十分だが元々敵対組織に所属していたこともあって必要依頼数がマイナスからのブロンズスタートだったが割とすぐシルバーに上がれたのだから流石と言った所だ。そしてここにアルケミスト社社員が入って来る。
ゴールドカード:朱雀、斑鳩、伊砂
ブロンズカード:カナリア、戦闘員五名(ドラグーン部隊)、研究員三十名、製造部門百名
アイアンカード:営業、広報、人事、警備部門などの一般社員(オカルトの知識あり)が二百名
この会社は全社員オカルトの知識はある(入社試験の段階で適正を見られ入社後研修が行われる)ということなので元々規模の割に社員数は少なめだったそうだが件のメシア教過激派襲撃後死亡者や行方不明者、退社した者(流石にアメリカには居られないので日本で別の仕事に付いているらしい)がいる為更に減ってるとのこと。特に戦闘員はレベル一桁が大半とはいえ覚醒者が数十人は在籍していたらしいが現在は各部隊の生き残りを集めてギリギリ一部隊出来る程度なので当時の戦闘の激しさが分かるだろう。せめてもの救いはその戦闘を生き残っただけあって平均が十数レベルであったりドラグーンなどの装備が現地人の霊能組織にしては整っているので人数の割に優秀な部隊だということだ。
「そんじゃさっき言った通り斑鳩と折紙は計器のチェックを頼む。カナリアは見学しとけ」
『はーい!』
『任せて』
『ペルソナ使いのデータは貴重だから心配せずともデータは取るわよ』
実験室内、取り敢えずデータは外から取って貰うとして部屋の中には俺と十香のみが入室している。
「今回は簡単に言えば十香のペルソナのリミッターを上げることが目的だ」
「リミッター?・・・ああ、確かあのとき固有スキルで出力制限をしたとか言ってたな」
「そうそう、あの後巫女さんや周回ネキにも話を聞いたんだがやっぱ解決の仕方があれだったみたいでな」
「自分で言うのもあれだがかなり力技だったからな・・・」
何でも十香のパレスに発現時に丁度十香と合流しようとしていたライネス、トリムマウ、ルヴィアが巻き込まれた。ライネス曰く「魔術で対応出来なくはないけどやっぱりペルソナじゃないと肝心のシャドウは倒せない、せいぜい体力を削る程度であとは説得と十香の霊的才能によるパレスごと封じ込めのゴリ押しで対処したよ」とのことだったのだが、まぁそんな結末をシャドウが納得する訳もなくあくまで手に入れられたのはペルソナの力の欠片みたいなものなのだそうだ。しかしシャドウの嫌がらせか出せる出力は完全なペルソナ状態で漸くコントロール出来る100%オンリーというクソ仕様になったのではとのこと。そんなときに俺の固有スキル【■■■】の効果で20%くらいまで出力制限が掛かっているらしい。
「という訳で出力制限を40%まで上げるぞ。技術的にもそれくらいなら身に付かせたし、レベルもある。ネオベテルの依頼もこなして実績も十分だしな」
【ペルソナ使い 夜神刀十香 Lv33】
「ふむふむ、火力が上がるのはいいな!でもどうやるのだ?」
「俺の【神殺し】の認識干渉能力で十香が封じ込めたパレスを再度展開させシャドウをぶん殴ゲフンゲフン交渉しに行く。後俺の固有スキルの実態も掴めるなら掴む」
「でもそれならいっそ攻略をしてしまうのはどうだ?」
「いや、多分お前のシャドウ絶対拗らせてるから無理だぞ(前世での体験談)」
「・・・きな粉パンでもダメか?」
「ダメだと思う。何度も交渉するしかないな」
「そうか・・・」
「うん、一緒に頑張ろうぜ」
残念そうに肩を落とす十香を励ましつつ互いに準備を済ませいよいよ実験開始である。
「行くぞ・・・来いペルソナ!!【戦車 ナへマー】!!」
「よしよし、それじゃやるか」
「頼むぞシショー!」
自身の聖槍を十香の胸に突き刺し意識を集中させる。この聖槍ライトスピードはこの前手に入れた祝福の聖剣も強化素材として使用しているので聖槍の力が増している。これなら十香の奥にまで聖槍の力を浸透させることが出来る後は聖槍の力に神殺しの力を合わせるのだが【ゴルゴタの突き】を行使するときのロンギヌスの槍のレプリカを顕現させる原理とほぼ同じな為問題無く力同士を掛け合わせて浸透させることが出来た。そして心の中に封じられているパレスと心其のものと集団的無意識に干渉し、封印を解除していく。神殺しとて万能ではなく認識や心に干渉する程度でパレスを生み出したりすることは出来ないが、封印の解除くらいは行える。
「お、開けた」
『こちらも認知異界の反応を感知したわ、ただ反応は少し弱いみたいだけど』
「一度攻略されているからか?まぁ展開させて見れば分かることか、行くぞ十香!」
「いつでもいいぞ、今度こそもう一人の私と仲良くなるのだ!」
「その意気だ!」
十香もやる気を漲らせている。俺も負けない様にサポートしないとな!と思いながらパレスを展開させる。
【十香のパレス内】
「・・・これは城か?にしても色々壊れているが」
「あれは最初の攻略の時の戦闘跡だな。それより雑魚シャドウも湧いて・・・いないな?」
十香のパレスは古城の様な場所で全体的に寂しげで破損や風化が目立っているのが印象的だ・・・まぁきな粉パンだらけじゃないだけいいけど。
「罠の類も解除或いは作動し終えて無効化されているな。十香道は分かるか?」
「ここは私の心の中で攻略済みだからな、まかせるのだ!」
得意げに胸を叩く十香に和みながら古城の内部を進み問題無く最深部のボス部屋に辿り付けたのだが。
『ほう・・・パレスが再度展開されたのは感じてもしやと思ったがまたここに来たかもう一人の私よ』
「「・・・」」
『・・・どうした。何故黙っている?』
「「・・・趣味ですか?」」
『ちっがーう!?!?この姿は神殺しの仕業であろう!!』
「え、そうなの?」
遭遇したナへマ―は体中を黒い鎖で雁字搦めにされて動けない様だ。どうやら俺のせいらしいが固有スキルのことだろうか?
『ごほん・・・それはそうと男連れとは私に似て来た様だな?』
「露骨に話を変えたな・・・似て来たとはどういうことなのだシショー?」
「ああ、目の前のナヘマーことナアマって悪魔はなイブと喧嘩して別れたアダムとイチャイチャしたり、あのシェムハザとアザゼルを堕落させたり・・・要するにビッチだ」
「び、ビッチ!?ライネスから聞いたことがあるぞ!心の底から愛している訳でもなく、そうしなければならない理由や必要性もないのに多数の男性と関係を持つ女性のことだと!」
「あいつ何教えてんだ。間違ってはいないけど」
ボス部屋で遭遇した自身のシャドウであるナヘマーの実態を聞いてドン引きする十香。後日ライネスにこのことで問い詰めて見るとしよう。
「うう・・・【終焉の剣】というスキルやこの鎧や魔剣から考えてもっとカッコいい悪魔かと思っていたのに!」
「あーよしよし、お前コントロール出来なくても魔剣や鎧がカッコいいって言ってたもんな」
『勝手に失望するな!高位の悪魔なことに違いはないであろう!!』
「いや、でも自分の姿と似ている奴がビッチとか普通に泣きたくなるだろ」
ナへマ―の姿は十香をより大人っぽくした姿で十香の鎧とデザインが似ていることもありぼっきゅぼんのセクシーで綺麗な大人の女性・・・なのだがビッチだと思うと何となく不純にしか見えなくなってしまう。俺でさえがっかりしているのだから姿が似ている十香のショックの大きさが良く分かるというものだと胸元で泣いている彼女の頭を撫でながら溜息を付く。例えあいつの言った通りリリスと同様に悪魔の母と言ってもいい存在だとしても受け入れられないだろうな。
『ぐうう・・・!そこの男とて周囲に多くの女性がいる気配を感じるぞ!』
「む、シショーのことを悪く言うな!確かに回りに女性が多いがまだ誰ともそういう関係を結んでいないし折紙が「カリヤなら複数人でも愛を持って養ってくれる」と言っていたぞ!」
「おい、それ初耳なんですけど!?変な事言わないでくれ折紙ーーーー!!!」
十香のパレスに俺の切実な叫び声が響き渡った。
読了ありがとうございます!因みに本編の十香は両親がちゃんといるのと狩谷、ライネス、ルヴィアの教育のお陰で原作より名前をちゃんと言えたりちょっと賢くなってます。え、天然度?多分より酷くなってますね。