◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい?   作:電脳図書館

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第六話です・・・ついつい長く書いてしまった!2話でいいだろこれ

※本条二亜の存在忘れてた!?多少描写を増やしました。


ボス戦が終わったと思ったら負けイベント的なボス戦が始まって今にも死にそうなんだがどうすればいい?

「・・・あちゃー」

 

「えーと・・・何かごめん」

 

瓦礫から這い出て来てフリードは頭に手を置いて、狩谷も穂先に刺さったトランプを見ながら何処となく申し訳なさそうにする。

 

「おお・・・!!」

 

「やっぱこれ大事なもんなん?」

 

「さっき言ってた研究成果の今のとこ唯一の成功例っすね」

 

「あ(察し)」

 

項垂れているバルパーを見ていると物が物なので壊したことに後悔はあるはずもないが、それにしたってせめてもうちょっとちゃんとした壊し方があるというものだろう。

 

「・・・フリード」

 

「はいにゃ?」

 

「殺せ、その男を、殺せー--!!!!!」

 

血走った目でバルパーが叫び声を上げる。

 

「ぶちぎれた!?」

 

「はいにゃ!って言いたい所なんですけど」

 

「そうはさせんよ」

 

あ、スパルトイ!戻って来たんだな、気づかなかったよ。

 

「その顔気づいていなかったな?」

 

「いやー、そのほれ、さぁ戦おうぜ!!・・・あれ、お前聖剣は?」

 

目を逸らしながら露骨に話題を変えようとするが

 

「ここに飛び込んだときにいつの間にかなくなってまして!」

 

「「「はぁ!?」」」

 

マジでか!?思わずバルパー、スパルトイと共に驚いてしまうだが確かに辺りを見渡しても確かに欠片もその姿がない。

 

「く、使えん!だが私とお前が組めば問題はあるまい」

 

「ま、そうっすね。バルパーのじいさんは魔法攻撃手段豊富だし?・・・まぁちと遅かったみたいですがね!」

 

と言うや否やバルパーを抱え上げ逃走を図った・・・はい!?

 

「おい、お前何逃げてんじゃコラ!!」

 

「フリード!?」

 

「流石に援軍があったら厳しそうなんでね!」

 

「援軍だと?」

 

え、援軍?と首を傾げているとまだ壊されていなかった壁が破砕音を響かせる。

 

「おお、いたぞイリナ!」

 

「うん、狩谷君ー!ってフリード・セルゼン、バルパー・ガリレイ!」

 

「ゼノヴィアとイリナか!援軍ありがとよ!」

 

「やっぱりいらっしゃいましたか!聖剣の気配で分かってましてよ?本当なら組み伏せて楽しんだあと切り刻むんですけど流石に獲物がない中で数的不利、エクスカリバー持ち二人のお相手はごめんでっせ!あとのことはあの方に任せるとして、撤退する詫びに置き土産をどーぞ!」

 

あ、あいつ撤退のついで天使を大量に召喚しやがった!!低レベルのエンジェル共だが数が多いわ!三桁くらいいない?

 

「どうせ逃げるからと大判ぶるまいか!」

 

「数は多いがそれだけだ!一気にいくぞ、【チャージ】からの【冥界破】!」

 

「了解!あんな天使擬きの悪魔切り刻んでやるわ!!」

 

「あ、お前達もそういう認識なのね?」

 

「人間とは単純なものよ」

 

取り敢えず数を減らす為に俺は【冥界破】と【メギド】、ゼノヴィアは【金剛発破】、イリナは【バインドクロー】、スパルトイも【突撃】での突進で複数人を巻き込む様に動いてくれている。

 

「毎度思うがエクスカリバーズルくねぇ?」

 

「破壊の聖剣は持っているだけで貫通と物理プレロマを付加させ加えて本人がその2つのスキルを持っていた場合効果が重複する。擬態の聖剣はその変幻自在な刃や擬態能力など使い手の技量しだいで化けるか、確かに霊装としては破格だな」

 

「俺も何も聖槍、魔槍とか贅沢は言わないけどもうちょい上位の槍が欲しい」

 

「ネオベテルも上位の武器型霊装は剣が多いようだからな。羨ましいか?」

 

「多少はな。だがあいつらもそんな聖剣に見合うように努力はしているさ、性格はちょっとズレてるけど」

 

「…ズレているのはあの二人だけでは無いと思うがな」

 

スパルトイと多少の愚痴を言い合う余裕もあり、また四人とも増援への警戒も忘れていなかった…ただ。

 

「ほう、あの量のエンジェル達を全滅させましたか。聖剣を紛失したとはいえバルパー神父達が撤退を決める訳ですね」

 

「な…に?」

 

ただその増援が、想定していた格上どころの騒ぎではなかった。というだけの話だ

 

突如現れた一体の天使に俺達四人の目は釘付けになる。教会組は別物と割り切っているとは言え信仰対象である神に親しい存在であったが故に、スパルトイは戦士としての直感で感じた力量差に、俺はなぜお前がここにいるのだという驚愕に支配され身体を動かせなかった。

 

「お見事でした人の子とその仲魔よ…その褒美です。せめて苦しまず滅して上げましょう」

 

忌々しいという気持ちを微笑みで隠し、黒い羽を広げた"大天使"マンセマットは己のオーラを攻撃的なオーラに変えていく。

 

「「!!」」

 

その言葉を聞いて真っ先に動いたのはスパルトイ、戦士としての本能が即座に天使と俺達三人の間に割り込み【ラクカジャ】を全員に掛けて盾を構える。やや遅れて他の二人と違い一神教を信仰していない狩谷も動く。ゼノヴィア、イリナの前に立ち【マカラカーン】をスパルトイの前に貼ると二人を守るために受けの体勢を整える。

 

「【マハザインダイン】」

 

あのぺ天使が両手から放つハリケーンに匹敵する暴風、一発目は【マカラカーン】によって反射するが向こうの耐性も反射なため対消滅。しかしもう片方の手から生まれた二発目のハリケーンは耐えなければならない。その暴風にスパルトイと耐性を持つ狩谷が抵抗体となり威力を幾分か削ぐが完全には殺しきれずゼノヴィアとイリナにも襲い掛かかっていく。

 

 

私はつくづく恵まれている人間だと思う。

 

両親を早くに無くし教会で育てられた身だが親代わりになってくれる方とも出会え、恩返しと信仰の為にエクソシストになったがイリナとは違い稀な"生まれながら"の聖剣を扱えるほどの因子に恵まれ破壊の聖剣ともう一振りの聖剣を授かり、イリナと言う頼りになる相棒にも巡り合えた。メシア教の勢力に押されイリナの故郷に身を寄せることになったが・・・ここでも私は人の縁に恵まれた。神木兄妹と出会い特にイリナの幼馴染である狩谷には公私共々助けられたな。

 

『狩谷、イリナこの漢字はどう書くのだ?』

 

『外国人には難しいものね。ここはこう書くの!』

 

『いや、イリナお前書き順間違えてるぞ。正しくはこうだ』

 

『え、嘘!?』

 

 

『学校でも裏の活動が出来るように部活を立ち上げるべきだと思うの!』

 

『おお、イリナにしてはまともな提案』

 

『それどういう意味よ!?』

 

『部活の目的はどうする?』

 

『主な仕事は学内のボランティア活動ね。色々な所を回れるでしょう?』

 

『ふむふむ、因みに部活名は?』

 

『良くぞ聞いてくれました!私達の部活の名前は『紫藤イリナの愛の救済クラブ』よ!』

 

『え?』

 

『む、イリナそれではダメだぞ』

 

『・・・は!?ゼノヴィア、やっぱお前まと『『紫藤イリナ、ゼノヴィア・クァルタ、神木狩谷、神木折紙の愛の救済クラブ』にしなくては!』も・・・』

 

『あ、そっか!』

 

『あ、そっかじゃねー----!!!!』

 

学生生活など初めてだったから色々迷惑も掛けただろうが、それでも一度は殺し合った私達と友人になってくれたことには感謝している。だからこそ

 

「・・・ん、ぐ!」

 

だからこそ、今、立ち上がらなければ!

 

「い、イリナ!」

 

「まだ大丈夫・・・二人は!?」

 

私達が正面を見ると悠然と佇むマンセマットが見下ろしている場所に二人はいた。私達の文字通りの盾になったスパルトイは前のめりに倒れてピクリとも動かない。しかし消滅する様子が見えないことから【食いしばり】で九死に一生を得たようだ。二つのハリケーンのうち片方を反射した狩谷はスパルトイの盾と持ち前の耐性のお陰で片膝をついているが、意識は辛うじてあるようだ。

 

「ほう、耐えて見せましたか。素直に称賛を送りましょう」

 

「よく・・・言う。そもそも今のお前は劣化分霊だろ?大天使が今程度のGPで現界出来る訳がない」

 

「ええ、本来の私なら全員纏めて今ので終わっていたでしょうね」

 

まるで私達のことはものの数に入っていないかの様に扱われている。無理もないと思う。先ほど私達は動けなかった。大天使の気配と威圧だけで動けなくなってしまった私達など警戒する必要もない。あの大天使にはエクスカリバーの欠片だけでは足りない、周りを巻き込む可能性、暴走などの危険性を一旦忘却し覚悟を決める。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウ、そして聖母マリアよ」

 

「っ!!やるのねゼノヴィア」

 

聖言紡ぐ私を守るようにイリナが前に出る。あの大天使はありがたいことにまだこちらに興味を持っていない。いや、狩谷は何かする気だと気づいて話を長引かせているのか

 

「我が声に耳を傾けてくれ!」

 

マンセマットが私を見て訝しむ、流石に怪しまれて来たようだ。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において我は解放する!」

 

手元の空間が歪むそこに躊躇いなく手を入れる。何かする気だと漸く気づいたマンセマットは再び魔法を放つ構えを取るが

 

「やらせないわよ!!」

 

イリナの擬態の聖剣が魔法を放つ手を一時的に拘束して時間を稼いでくれる。そして私は歪みの先にある二本目の聖剣を手に取り引き抜いた!

 

「デュランダル!!」

 

 

その剣の刀身は青く、刃は黄金に染まっている。その力はエクスカリバーの欠片程度軽く凌ぐ数少ない上位聖剣の一振り。

 

「デュランダルだと!?」

 

あのぺ天使の声が響く。以前からゼノヴィアが持つ切り札の存在は知っていたがまさかかのシャルルマーニュ十二勇士伝説に連なる英雄が持っていた聖剣だったとは思わなかった。

 

「これが私の、いやカトリック教の数少ない切り札の一つさ」

 

「・・・かっこいいじゃないの」

 

「ありがとう、さて反撃と行こうか」

 

笑顔で礼を言いながら俺のすぐ隣に陣取るゼノヴィア。聖剣の二刀流は実に様になっていた。

 

「バルパー神父の研究ではデュランダルを使える領域まで達していなかったはず・・・まさか」

 

「ああ、私は生まれつきの聖剣使いだ」

 

「やはりそうですか、残念です。我が主に祝福されこの世に生を受けたあなたが私達と主の敵になるとは」

 

「生憎だが私が崇める神とそちらの神は別物だ。少なくともこんなバカげたことをする天使を容認するような神はな」

 

「おー辛辣」

 

「いいいでしょう・・・たかが人間の分際でこの私を愚弄したことを後悔させてあげましょう!」

 

そこで神では無く自分のことが先に出る辺り程度が知れるのだが、イリナの拘束を無理やり破り再び二連【マハザインダイン】を放つ。しかしゼノヴィアは微塵も慌てず

 

「狩谷、片方を頼む」

 

「了解、【マカラカーン】!」

 

片方を【マカラカーン】で反射するとゼノヴィアはデュランダルで一閃、魔法を切り裂き無効化してしまった。

 

「いや、何でもありかよ!?」

 

「まだ未熟な私でもこれくらいは出来るさ」

 

「な!?・・・ですがいくら強力な聖剣でも力量差を覆せるほどではない!」

 

「そうだな、さっきアナライズ機材で測って見たら壊れたから最低でもレベル40代はあるぞ?」

 

「なに、手はあるさ。イリナ!」

 

「分かったわ!」

 

イリナはその声に答えるように擬態の聖剣を掲げ、ゼノヴィアもデュランダルと破壊の聖剣を掲げる。するとまるで三本の聖剣が互いに共鳴して力を増幅させている。

 

「聖剣の共鳴現象!?これが狙いか、舐めるな人間風情が!!!」

 

そう吠えるとマンセマットは即座に結界を張る。おそらくだが【貫通】の力を持っているだろうデュランダルの攻撃を防ぐのではなく逸らす為の結界のようだ。

 

「面白い、デュランダル!!」

 

元の大きさから数倍大きくなったデュランダルを振り下ろし、光の斬撃がマンセマットに叩きつける。結界の攻撃を逸らす力と拮抗する斬撃、しかしその均衡はすぐにでも崩れ去る。

 

「私達も!!」

 

「ブチかませゼノヴィア!!」

 

デュランダルの柄を駆けよって来た俺とイリナがゼノヴィアと共に握る。同じ聖剣使いであるイリナが柄を握ったからかデュランダルの出力が上昇し、結界に食い込んでいく。

 

「よし来た!!」

 

「行けるわよゼノヴィア!」

 

「ああ、行くぞ!!」

 

「ぐうう、人間ごときに!!「ならば人間でなければいいのか?」な、お前は!?」

 

地面に両足で踏ん張っているマンセマットを嘲笑うように動き出したスパルトイが【暗夜剣】による二連撃を同じ足の同じ場所に寸分の狂い無く叩きつけ身体のバランスを崩させた。

 

「しまっ!?」

 

「「「うおおおおー-----!!!!」」」

 

チャンスとばかりに三人沿って声を張り上げて結界をマンセマットの左腕ごと切り裂き、勢いを其のままに光の斬撃は天井に大穴を開ける。

 

「があああ!?」

 

「如何にか一矢は報いたか」

 

「あれ、でもこのあとどうすんのこれ?流石にさっきの一撃もう一発は無理だぞ?」

 

マンセマットは左腕を切り落とされて重傷だがまだ戦える様に見える。

 

「大丈夫!別に倒す為に攻撃したわけじゃないから!」

 

「ああ、大きい破砕音でここの位置を知らせるのと・・・マンセマットがこの地下に行使していた通信阻害の様な結界を破壊するのが目的だ」

 

「おーなるほど・・・ということは」

 

「ええ、あの方が真っ先に来るでしょうね!」

 

「ああ、確かにな」

 

「あの方・・・だと?」

 

痛みにも慣れたのか憤怒の表情を隠さないマンセマットが今の会話の疑問を口にする。それに応えようとしてやめた。もう意味のないことだ。

 

「・・・悪い心配かけた」

 

まるで誰かと会話しているかの様に独り言を呟く俺にマンセマットは眉を顰めるが

 

「迷惑を掛けるのはいい、家族だから。でも心配はさせないで」

 

凛とした声が部屋を響かせる。その声と気配に含まれる聖なる力にハっとしてマンセマットが顔を上に向ける。そこには神々しいオーラを纏いまるで天から降りて来るかの様に大穴から純白のドレスの霊装と羽をはためかせ地上に舞い降りる我が義妹の姿があった。

 

「ほう、それが天使の力を引き出した状態か・・・綺麗だな」

 

「ありがとう」

 

何処となく嬉しそうに笑顔を浮かべて誉め言葉を受け取ると再び固まっている教会コンビとスパルトイの方を向いて

 

「皆ありがとう。お陰でカリヤを見つけられた。あとは任せて」

 

手を掲げると俺とイリナ、ゼノヴィア、スパルトイの真下に【トラポート】の魔法陣が展開され転移が始まる。

 

「全員、これで地上に帰って」

 

「な、行き成りですか!?」

 

「あ、ちょ折紙様!!」

 

「・・・他の者達は?」

 

「地下に一緒に来た人たちは実験の生存者と共に先に【トラポート】で地上に戻している。そこの女性もお願い」

 

「え、あ、はい!」

慌てている二人を他所に折紙はスパルトイの疑問に答え、実験体の女性を拘束する機械を指パッチンで破壊するとふわりと身体を浮かせて引き寄せ、イリナに預けると俺に再び顔を向けて来た。

 

「ここは任せて」

 

「おう、こっちは任せな」

 

その会話を最後に俺達はこの施設の地下から掻き消えた。

 

 

カリヤ達が無事転移したことを確認し、視線をあのゴミに向ける。

 

「な、な・・・なぜあなたが!!」

 

「流石にこの状態だと近しい立場の大天使なら気づくか。私の件は四大天使から聞いているはず、いや聞いていたのを"思い出した"が正確」

 

「っ!?そうだ私はなぜ今まで忘れて・・・!」

 

「無理もない、この身に転生する直前まで私と対峙していた四大天使でさえこの私に関しては漠然とした概要の輪郭を覚えているかという程度のはず。そんなことでは捜索も満足に出来るはずもない」

 

「何を言って?・・・あなたほどの、あの"大天使"■■■■■を四大天使が忘れるな・・・ど?まて、今私は何といった??」

 

「碌に言えてない、当然というより忘れているのに名の文字数を覚えていただけ大したもの」

 

「・・・バ、カな・・・あなたがどういう存在かは"覚えている"しかしそれを言葉にするほどの内容がない、いや忘れているだと!?名前だけでは無くあなたがして来た活動や役割すら思い出せないなどありえない!!」

 

「名前ならある。神木折紙又は鳶一折紙が今の名だ」

 

心底驚愕している顔を浮かべる愚か者はその言葉で答えに辿り着いたのか呆けた表情になる。曲りなりにも大天使、能力だけは優秀の様だ。

 

「ま・・・さか、真名・・・封印?人間が通常行うような名前だけ同じの紛い物ではなく本当の意味での?」

 

「そういうこと」

 

淡々と答えると有り得ないものを見るような顔をされる。それは同じ天使だからこその驚愕なのだろう。

 

「有り得ない、有り得ない!?あなたは自分が何をしたのか分かっておいでか!!真名封印とは我らが主の大本である"宇宙の大いなる意志"への個の返還!過去、現在、未来に置ける自身そのものの返還に等しいのだぞ!!」

 

「口調が崩れている。しかし責めるつもりもない、この封印は我が神を含めたすべての大本である"宇宙の大いなる意志"へ自身をその過去、現在、未来ごと一時的にとはいえ返却する行為。余程の強い執着が無ければ無に返り、封印の解除も"宇宙の大いなる意志"側以外では特定の条件を満たす必要がある。つまり実質一度行えばその対象は無に返ることと同義」

 

「過去、現在、未来が無くなれば当然文献や人間の記憶からは勿論我らの記憶、神話からすら掻き消える・・・」

 

そう、クルミの言葉を借りるならこの世界線に置いて大天使などごく近い立場にいたか余程強力な存在以外の全ての存在からの記憶、記録、文献、神話から大天使■■■■■は抹消されている。それは転生者といえども例外ではない。つまり転生者が言うこの世界と似たゲームや小説での私の記憶も無くなっている。例外があるとすればカグツチと契約を交わす巫女とクルミは違和感は覚えているかもしれない、特にクルミは別の世界線で元の私と会っていればそこだけ虫食いの様に記憶も消えているはず。

 

「そ、そんなことをしてまで・・・何を成そうと言うのだ!隠れる為だけではないはずだ!!」

 

愚か者がうるさく捲し立てる。能力はあったからゴミから言い方を変えたがもう一度戻すか?そもそもではあるがマンセマット、あなたに

 

「何かを意見する権利はない」

 

【コンセントレイト】を起動し魔力を掲げた手に集め高濃度に圧縮する。急な攻撃に驚くゴミは酷く滑稽だ。今までの会話は私の考察の確認を攻撃で影響が出る可能性のある地上の避難が終わるのを待っているついでに行っただけというのに・・・何よりもボロボロのカリヤを見た時から胸を支配する怒りの感情を我慢できるほど今の私は我慢強くないのだ。相手が防御に入るが無駄な事、自身の感情の赴くがままに鉄槌を下す。

 

「【メギドラ】」

 

地下だけでは無く地上の施設全てが白く染まって・・・消滅した。色々な研究資料や機材ごと

 

 

「・・・あ」

 

視界が晴れると天に上り事態を把握。特に重要な資料や情報の確保、救助対象の救出確認などはしたのだが、元天使故の激しい感情に身を委ねることの経験不足も相まってやり過ぎてしまった。あとで怒られる未来が容易に思い浮かび憂鬱な気分になるが溜息を吐くと直後に真上から自身の真横を真下に向かって落っこちる形で通り過ぎる人影に向けて一言。

 

「ここは終わった」

 

「ああ、こっちも終わらす」

 

先の【トラポート】で一人だけ直上の空に転移させた義兄に最後の締めは任せるとしよう。

 

 

「さて」

 

先ほどの転移の直前まで交わしていた念話の作戦通り槍を構える。折紙がぺ天使と何を話していたかは知らないが向こうが大分劣化しているとはいえ大天使である以上折紙の正体に感づかれ分霊を倒しても本霊にある程度情報が渡る可能性がある・・・ならばどうするか?・・・決まっている。

 

「わざわざ劣化して出て来てくれたんだ。ここで本霊ごと葬る」

 

やりすぎと言いたくなるほど蹂躙された地上と地下を抜けていきほぼ消滅しかかっている胴の半分と頭だけになっているマンセマットを発見。こちらを見て驚いている。まぁこのままでも分霊は死ぬからな。

 

「【チャージ】・・・先輩、力をお借りします」

 

先ほどの共鳴現象、なぜか自分も聖のエネルギーに当てられたのか、胸を中心に身体が温かくなり新たなスキルを獲得した。このスキルが意図するものは何なのだろうか?ただの偶然か、聖エネルギーによるものか、あるいは厳密に違えど同じ業を背負うものとして、力を貸してくれたのか。だがこれ以上今の場面に相応しい力はないだろうと落下する勢いを乗せてマンセマットの胸に槍を突き刺す。

 

「【ゴルゴダの突き】!!!」

 

「そ、その技は!?いえ、そもそもあなたは、グアアアアアア!!」

 

そう、嘗て神の子を貫いた俺のとは意味の違う神殺しという名を背負った猛将の技。ゲームでは敵を「感電」させる強力な突きという程度だった技。しかしゲームが現実であるこの世界に置いてそれは神殺しの技であり、またその技を放つ槍もまた疑似的なロンギヌスの槍という一種の概念、哲学の兵装と化す。

 

「神殺しの技、武器、そして根底、性質は違えど同じ神殺しと呼ばれる力を持つ俺自身、これほど揃って神ですらないその僕であり劣化して現界した大天使風情」

 

加えて俺の神殺しは認識の力。人の認識の代弁者、そんな俺がここまで揃えこう思い認識出来たのなら

 

「殺せない訳がないだろうがあああああああああああ!!!」

 

その槍は分霊の奥にいる本霊の命にさえ届きうる。

 

 

「まさにジャイアントキリングという奴ですわね?」

 

皆から一人別れた狂三は施設の方角を見つめ狩谷を称賛すると、狩谷の影に潜り込ませていた自分の分身と合流してギリメニキからネオベテルに渡された方のオリジナルのCOMPを開き今回の作戦に置いての狩谷の録音録画された記録と遭遇した悪魔のアナライズの情報を見る。

 

「とはいえ"全員"という言い方から折紙さんにはバレていたようですが。戦闘能力をほぼカットして隠密能力を高めましたのに流石ですわね・・・わざと見逃して信用を得ようとしたのか、何を探りたかったのか探る為かあるいは・・・いえいえ」

 

一つあまりにも突拍子のないことを思い付く。しかし流石に荒唐無稽だと頭を振って否定する。

 

「確かに大事なことではありますがそれだけの為にこれだけのことをするなんて、リスキーにも程がありますわね・・・それにこちらの対応が先でしょうし」

 

アナライズの情報を再度確認して目を細める。仲間を疑うという周回で何度経験しても慣れそうにない苦痛を心の底に押し込めながら。

 

【大天使 マンセマット Lv50】

 

【無名天使 神木折紙/■■■■■ Lv78】




読了ありがとうございました。色々設定が出て来ましたがただでさえ本編が長いので解説の殆どはまた次回以降に回します。

折紙の天使化
レベルがぶっ飛んでいるが、肉体の負担やこんな高レベルの天使が急に現れたらGPが一気に増えて霊脈や地脈が乱れるのであまり使いたくない手。今回は元々天使と相性のいい霊地の管理がされていたのと、メシア教側の結界を破壊したあと逃がさない為にネオベテル側が地上で結界を張った為結果的にGPの上昇が抑えられている。少なくとも絶賛色々狂っている恐山でやればもっと面倒になることは間違いない。

大天使マンセマット
多少レベルが落ちても今の戦力なら問題なく対処出ると現界して色々やっていたのだが、ネオベテルが立ち上がるわ幹部以上はマジで強いわ、そこを警戒して幹部がいない戦場で力を示そうとしたら人間に転生した大天使&神殺し&デュランダルという横っ腹に痛いじゃ済まない一撃を喰らいもののみごとに死んだ天使。本霊も消滅したので天界じゃ割とパニックが起こるがまだ疑念段階だが神殺しがいる可能が浮上している。まぁ神殺しだけの対策をしても力を貸している悪魔に横槍をほぼ確実に入れられるのでそこをまず調査しなければならない。まぁ真名封印の影響で折紙を調べても真名はすでに"宇宙の大いなる意志"に預けているのでそっちに喧嘩を売らなければならないというムリゲーが始まる。
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