◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい? 作:電脳図書館
あれは今から十一年前・・・私がまだ"鳶一折紙/■■■■■"だったころ、あの事件が起こった六年前より以前の話。今年で十八歳、十五歳になるカリヤと私が六歳、四歳だったときの出会いの記憶・・・そして私の罪の始まり。
「・・・」
私は人間であって人間ではない。それは物心が付いたとき、とはいっても通常の人間がニ~三歳の間なのに対して私は赤子の頃首が座ったときだから生後三ヶ月程のときから私は私の全てを把握していた。当時は自分の力を隠すことに頭を悩ませていた。結界などを駆使しても強すぎる天使の力を隠すのは無理があり、それなりの格の天使なら目視すれば見破られる程度のものだった。この問題は後々真名封印で解決することになるのだが、その時はなるべく人目を引く行動は避けるように平凡で消極的な生活をしていた。そのせいで友達と言える人間は居らず両親と一緒にいる間以外では一人で過ごしていたが・・・特にそれに不満がある訳では無かった。単純に友達の温かさを知らなかったということもあるが、私の周りにいることで一般人を危険に晒す可能性も考えてのことだ。とはいえ
「く、クリスマスイブに幼女が真顔で一人公園のブランコに乗っている・・・え、ナニコレ?怖いんだけど」
「公園で遊ぶのは普通」
「そりゃそうだが表情と状況で台無しだよ!」
ただ偶に普通の人間と感性がズレていることがあって目立ってしまう事はあったけど。私は表情の変化が少ないので初対面であったこともあってかカリヤはコミュニケーションを取るのに苦労していたが如何にか自己紹介を終えるとブランコを後ろから押してくれるようになった。
「折紙はまだ四歳なんだろ?クリスマスイブに一人で公園にいるって何かあったのか?」
「特に何も。両親が共働きで今日は帰れないから一人でいるだけ、明日には帰ると言っていたけど。所で貴方も一人の様だけど」
「あ、折紙もか。俺の両親も共働きでさ、明日には何とか帰るらしいから家族ぐるみで付き合いのある友人とのクリパも今日じゃなくて明日に延期されてな・・・まぁでも今日はイブだしちょっと豪華な夕食にしようと思って家に足りない食材を買い出しにいく途中だったんだよ」
「そう、カリヤも一人ということ?」
「だな」
聖夜に一人っきりだった子供が巡り合うという設定だけ見たらドラマの導入の様にも見える偶然だが、私は特にカリヤに関心がある訳では無かったのだが・・・。
「折紙はこのまま今日は一人で過ごすのか?」
「その予定」
「ふむ・・・なら今日一日街で俺と遊ばないか?一人よりも二人の方が楽しいって!」
「それは・・・」
そう言われても私には一人でいることと誰かといることの差異を私は理解していない。両親に対しても彼らがメシア教では無いとはいえ一神教徒なので他の天使達から逃亡中の私は一定の距離を保ち常に警戒しているのでそんなことを思う事は無かった。しかし息が合えば一人では不可能なことも可能に出来るというのは知っているので判断に迷う所だ。見た感じ一神教に染まっている様子は無さそうだ・・・そして顔を合わせたときの態度からして聖夜に子供が一人でいるのは非常識で目立ってしまう。ならカリヤと一緒にいる方が自然に見えるはず。危険に関しても今日一日だけ過ごすだけなら問題はないだろう。
「いや、分かった一緒に居る」
「よし!だったら早速街に繰り出すと!お小遣いは余りないけど!!」
カリヤが先ほど前押していたブランコを止めると手を伸ばしてくる。私はいつの間にか冷え切っていた手で握った・・・カリヤの手は反対にとても暖かかな手で私の手を暖めてくれた。
「やっぱクリスマスイブだから屋台とかも結構出ているな。少し冷やかしてみるか」
「買わないの?」
「今日の夕食分の金は両親から貰ってるけどこれ使ったら夕食が無くなるし、お小遣いもそんなある訳じゃないし。でもこういう時の店は傍から見ても楽しいからな!」
カリヤに連れられて街を巡る。やはりというか先日この街に越して来た私よりもカリヤの方がこの街を熟知している様で迷う様子もなく街を進む。時折知り合いに声を掛けられ挨拶を返す所を見るに社交性もあるようだ。そして私達が子供で今日が聖夜ということも関係してか、カリヤの知り合いがやっている店や屋台などからクリスマスプレゼントと称して物を貰うこともあった。飴玉からちょっとした玩具まで色々貰ってしまい困惑していると「こういうのが子供の特権だから気にすんな・・・もしそれでも気になるなら大人になったら彼らに恩を返すか、子供に同じことをしてやればいいのさ」というアドバイスを貰った。考慮するとしよう。
「そう言えば折紙が好きなものや嫌いなものを教えてくれよ。それを考慮して回るから」
「・・・特に意識したことはない」
「えぇ・・・擦れてる4歳児だな。俺は食べ物だったらラーメンやカレー、娯楽だったらアニメや漫画、ラノベとかも好きなんだけど」
「なるほど、嫌いなものは?」
「ストーカー(真顔)」
「それは嫌いなものではなくただの犯罪だと思う」
街を回る間私達の会話は以外にも途切れることは無かった。私というよりカリヤがいっぱい話しかけてくれるから話題が尽きないことが大きいがこちらとしても流石に無視するのは気が引けるので律儀に応えているせいでもある。
「出会ったのが昼過ぎなこともあってもう日が沈んでるな。子供二人で出歩けるのもあとちょっと出しな・・・よしちょっと店前で待っててくれ」
「?分かった」
スーパー前でしばらく待っていると買い物袋を複数持った狩谷が出て来た。重そうだがこのまま帰る訳ではないらしい。
「見せたい物があってな。はいこれココア」
「ありがとう」
缶のココアを受け取り大通りに出る。丁度ベンチが空いていたので座るとカリヤも缶を取り出す
「ブラックコーヒー?」
「ん、ああ・・・長い間相棒みたいな感じで飲んでるからこういう時でもつい選んじゃうんだよな」
缶コヒーを見て首を傾げるとカリヤが苦笑交じりに応えてくれたが味は考慮しないにしても7歳でカフェイン常飲って大丈夫なの?
「うーんやっぱこれよ。まぁいよいよってなったらエナドリ飲んでたけど」
「・・・美味しいの?」
「飲んで見るか?飲み掛けだから新しいの買ってきてもいいけど」
「気にしないから大丈夫。一口飲むだけだから」
「分かったよ、ほれ」
缶コーヒーを渡され独特の臭いを嗅ぎながら一口分飲んだ・・・うん
「・・・苦い」
「はは、そりゃそうさ!ココアで口直ししな」
「うん」
流石に吐くほどではないが結構な苦さに顔顰める。言われた通りココアを飲んで苦みを甘みで洗い流すと口の中には仄かな甘味が残る・・・それはそうと貰ってばかりは少し気が咎める。
「これ」
「お、ココア。なるほど一口飲めと」
「うん、お返し」
「ではお言葉に甘えまして・・・うん、甘い!」
甘いものいける口なのか受け取ると躊躇する様子もなく一口飲んでカリヤはその甘さに笑みを浮かべる。そうしているとカリヤが腕時計を確認し始めた。
「そろそろだな」
「そろそろ?」
「5、4、3、2、1、0!」
カリヤはこちらの疑問には答えずカウントを行い0になると街路樹や一部の建物が光輝く。
「これは・・・」
「凄いだろ?REDとはまだいかないが、それでもクリスマスのイルミネーションやライトアップは良いもんだな」
「・・・」
元天使の私が言うのもあれだが光り輝くその空間は幻想的な雰囲気が醸し出されていた。嘗て見たかの神の光とは違い、人工的な光とはいえ目の前の光景は人間達の賑わいも合わせて私の目を奪うものだった。他の天使はこの光景を見たことがあるのだろうか?
「折紙?気に入らなかったか?」
「いや、少し見とれていただけ」
素直に気持ちを伝えるとカリヤが一瞬驚いた顔をするとすぐに笑みを作る。
「初めて笑ってくれたな、良い顔してる」
「笑っていたの・・・?覚えはないけどこう?」
「うわ意識した笑顔めっちゃぎこちないな!?」
笑顔は要練習のようだ。いい笑顔と言ってカリヤを引かせるほどなのだから相当不味いのだろう目立たない為にも普通に笑える様になった方がいい。
「練習する」
「そうしとけ・・・時間も時間だし良ければ俺の家で飯食っていかないか?勿論帰りは送るからさ」
「いいの?」
「正直年齢一桁でクリぼっちはキツいからな・・・友人達も明日にならないと予定が空かないらしいし」
「・・・それなら両親が夕食用に作ってくれた料理が冷蔵庫にあるから持って行く」
「お、いいね!なら折紙の家によって行くか!運ぶの手伝うぜ」
夕食の話が決まるとまずは私の家に向かう為に手に持った飲み物を二人揃って飲み切り向かう。
「「苦(甘)い!?」」
缶を交換していたのを忘れていた。
「え、ここなの?」
「そうだけど?」
「いやその・・・隣の家が俺の家なんだけど」
「え?」
「最近引っ越して来たの折紙の家だったんだな」
まさか隣の家がカリヤの家だと思わなかった。両親が挨拶に行っていたけど私は留守番していたから会う事は無かったけど以外に世間は狭いのかしれない。
「よし、折紙は持って来た料理をチンしたりその料理や皿をテーブルに並べてくれ」
「了解」
その後カリヤの家に料理を持って行くと早速カリヤが調理を始める。元々家にある食材は下処理を済ませていたのか手際よく包丁やフライパンを操る。調理中は暇になるかと思っていたが食材が調理されて料理になる様子を見るだけでも興味深い。私も料理が出来た方がいいのだろうか?
「悪い悪い待たせたな」
「問題ない。調理というのも興味深かった」
「うん?ご両親も料理してるんじゃないか?珍しくもないと思うが」
「そういえばそう」
「まぁいいかテーブルに並べるから座っててくれ!」
確かに不思議だ。両親とは違い三歳差とは同じ子供が調理している様子が珍しかったのか、あるいはカリヤ自身に興味を持ったのかは分からない。でもそんな疑問は美味しそうな匂いを放つ料理達を前にすれば消えてしまう程度のものだ。
「取り敢えず定番は抑えたぞ。ローストチキン、ポテトサラダ、ミートパスタ、コーンスープ、グラタンなどなど・・・ちょっと作り過ぎた感はあるが。飲み物はどうする?」
「紅茶で」
「了解、俺はいつもは牛乳だが今夜はコーラにでもするかな」
それぞれの飲み物を注ぐとカリヤが席に座りコップを掲げ乾杯の音頭を取る。
「そんじゃまぁいつもは頂きますが今夜はイブということで・・・メリークリマス!」
「メリークリスマス」
乾杯すると手近な料理から手を付けていく。両親が作ってくれていた料理はいつも通り美味いがそれ以上にカリヤの料理が印象的だった。特に肉料理や香辛料を使った料理が得意なのか肉の下処理や焼き方、香辛料の使い方(質問したら教えてくれた)が一般の食卓とちょっとレベルが違うような気がする。
「ケーキは簡単なパウンドケーキですまないな。明日友人家に持って行こうと焼いた奴だがまぁ少しくらいなら食っても大丈夫だろう。あ、良ければ明日のクリパにも来るか?」
「その友人って?」
「近所に住んでる同い年の子だよ。確か家が一神教を信仰してるとも言ってたかな?宗派までは分からんけど」
「そう。パウンドケーキは頂くけど・・・明日は両親と外食の予定」
「ああ、なるほど。ならドタキャンはダメだよな」
嘘は言ってない。実際そういう予定はあるが一番の理由は今は一神教関係者に近づきたくないのが理由はカリヤはまだセーフだが、件の友人というよりその親でもしもがあるからだ。
「だったら今渡しておこうか」
「渡す?」
「これこれメリークリスマス!」
それは綺麗にラッピングされリボンが付いた小箱だった。先ほどの言葉からクリスマスプレゼントだと思われる。
「いつの間に・・・あのスーパーで?」
「そうそう。まぁスーパーだから別に高価なもんじゃないよ、小遣いも足りなかっただろうしなそれだと」
「ごめん、気を使わせた」
「いいって!いいいって!両親から貰った金はあくまで夕食用だしプレゼントは自分の金で買うもんだからな。それにこういう時はごめんじゃなくて、ありがとうでいいのよ」
「・・・分かった。ありがとうカリヤ」
「おう!それより早く開けて見ろよ?」
カリヤの言葉を受け早速丁寧にラッピングを外して硬めのプラスチックの小箱を開ける。中身は同じ形だがさまざまな色が綺麗に並べられた数多くのヘアピンというアクセサリーが入っていた。
「俺が買える範囲で普段から使えるものを考えたらこれかなって。まぁ金あってもピンポイントのアクセ以外のファッションアイテム、例えば服とか送っても女性のセンスと合わなかっただろうけどな」
「これは・・・同時に幾つ使えばいいの?」
「困り方が独特だな折紙は。二、三個でいいんじゃないか?」
「なるほど、参考にする」
世界一有名なクリマスソングを歌って柔らかなパウンドケーキを食べているとふととある考えが浮かぶ。
「私もプレゼントを贈る必要がある?」
「え・・・流石に四歳に金払わせるのは・・・あ、そうだ」
プレゼントを贈る話をしたら何故か顔を引き攣らせたが何か思いついたのか私に手を伸ばす。
「プレゼントの代わりにさ、俺の新しい友人になってくれよ!」
「友人?」
「ああ、折角のお隣さんだしな。また二人で遊びに行ったりしようぜ!」
笑顔を向けて来るカリヤを見ながら私は悩んでいた。もし私の正体が露見した場合カリヤに危害が及ぶ可能が高いなら距離を置いた方がいい、しかしプレゼントの対価として提示された以上これは一種の契約だ。元天使の私に取っては軽んじることは出来ない。
「・・・ダメか?」
「そう、いうわけじゃないけど」
「これでさよならは寂しんだよ。まぁお隣さんだしさよならとかはないかも知れんが」
「お隣さん・・・そうかどの道そうなったとき巻き込まれる可能性が高いなら・・・」
「ん?どうした?」
「何でもない・・・分かった。なら今日から私達は友人ということで」
「ああ!」
私はカリヤの手を取り握手を交わす。どの道お隣さんな以上バレた時に被害を被る可能性は元から高いのだ。もしもの時は私が守ればいいとこの時私は契約故に仕方ないと受け入れていた・・・もっとも既にカリヤへの執着は芽生えていたのかもしれないけど。
「カリヤ、コンゴトモヨロシク」
「こちらこそよろしく頼む!」
このことが私の今世で初めての
「とまぁそんな馴れ初めよ。因みに今折紙がしてる三本のヘアピンがプレゼントした奴の一部だな」
「その日の気分とラッキーカラーとかで毎日変えている」
私達の馴れ初めを語り終える。教会でイリナとカリヤが昔話をしていたときにイリナから聞かれたのだがゼノヴィア達も喰いついて来たのでカリヤが語り手、私が補足を入れる形で話したので私が故意に隠した私の一部心情以外のことは正確に伝えられた。ただ何故か周りが静かだ。
「ど、どうした?別に日常の延長戦だったと思うんだが」
「「いや、知り合って初日でデートしてるのは全然日常でも普通でもないからね!?」」
「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!私達はシスコンブラコン義兄妹の馴れ初めを聞こうとしたら何故か好感度が上がるイベントや期間を挟まずに色々過程を飛ばして知り合って初日からお泊りデートをしていたことを聞かされた!な・・・何を言っているのかわからねーと思うが私も何をされたのかわからなかった・・・頭がどうにかなりそうだった・・・ラノベだとかエロゲだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
「知り合ってから当たり前の様にデートからお泊りに話が流れて言ったわね・・・これがW天然の恐ろしさなのね」
「「???」」
何故か教会組全員からビビられた。ニアに至ってはJOJOネタに例えられてしまった・・・私とカリヤは揃って疑問符を浮かべながらそういった反応をする理由が分からず頭を傾げるのだった。
私は罪を犯し続けてもカリヤと共にいる道を選んだ。これが正しい道は分からない、多分九分九厘間違っているのだろう。でもそれでもいい。この道は私が初めて自身で決めて道であり、自身の全てを賭けた道なのだから。この話を正しく記憶し、認識していながら他の記憶との
読了ありがとうございます!・・・俺は聖夜の二人の邂逅を書いていたのにいつの間にかお泊りデート回を書いていた何を言って(以下略)・・・筆が乗るって怖いですね。でも自分的には二人は意識してイチャイチャするよりも自然な形で当たり前の様にイチャイチャしているイメージなので設定通りと言えば設定通りなんですよね。不思議だなぁ。因みにイリナが狩谷と再開するまで折紙と面識がなかったのは折紙が一神教全体を避けていたので接触を避けていたからだったりします。ヘアピンは原作でもしていたのでネタの一つとして使いました。この作品の折紙は三本のヘアピンの色の組み合わせは毎日違う設定です。