◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい?   作:電脳図書館

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外伝ですが今回は前後編で、戦闘は後編になります。後編の更新は狩谷達の本編更新の後になります。


悪運の強い転生者と不運すぎる相棒の場合 前編

いつもの日課である報告書代わりの日記を今日も記す。今日も平穏な日常が続いている。この時代での仕事である探偵業も大半が浮気調査や迷子のペットの捜索で平和なものだ・・・まぁそのペットがカメレオンや子供ライオン、ナイルワニなど明らかに一般的なペットではない動物達なのがこの横浜の面白い所なのだけど。だがこんな街でも誘拐事件や殺害事件などは割と起こっている。大抵は警察が対処するのだがそこからこぼれ出た事件がこの探偵事務所に持ち込まれる。勿論経緯が経緯なので碌でもない案件だったりするのだけどね。とはいえそんな事件を解決するのがこの時代に派遣された私・・・偉大なる種族であるイス人の今の役割だ。

 

 

 

 

 

「いや、『私』の前にポンコツ付けとけよ」

 

『少し黙っててくれる?』

 

俺の腕を動かして日記を書いているイス人にツッコミを入れると黙れと言われた。やれやれこちとら第二の人生だからとあいつが希望した探偵業で飯食ってやってるっていうのにな。自分の身体を他人が動かしていることにもすっかり慣れてしまっているが傍から見たらヤバいと思うし5年前イス人を宿した当初、17歳の高校二年生だった俺も同じことを思っただろうな。

 

【五年前】

 

『・・・きな・・・い・・・起きなさい!綾辻智也(あやつじともや)!』

 

「うお!?びっくりした!まだ朝には早いぜ・・・あれ?」

 

気持ち良く眠っていた所を叩き起こされ、起こしたであろう母さんに文句を言おうとして・・・自分が今まで聞いたことが無い声だと、というより声では無く思念が自分に流れ込んでいることに気付く。

 

『漸く起きたわね。まぁ現実での貴方は寝ているけど』

 

「いや、まずアンタ誰だよ。光球っぽい見た目なんだけど?」

 

『私は精神生命体だから固有の姿というものはないわ。光球に見えるのは貴方に私に対する具体的なイメージがないからでしょうね』

 

「なるほど・・・で、その精神生命体様はどうして俺に接触を?」

 

『一から話すのも時間が掛かるから読み取った貴方の記憶と知識を元に簡単説明してあげる』

 

「え、記憶を勝手に見たのか!?」

 

『ええ、中々興味深かったわよ。転生者さん?』

 

あの野郎精神生命体だからって勝手に取り憑いて記憶を勝手に閲覧しやがって!こちとら前世では黒歴史は結構あるんだぞ!お前は何処のどいつだ!

 

『クトゥルフ神話ではイスの偉大なる種族、或いはイス人と行った方が早いかしら?』

 

「あ、すみません。色々謝るんで帰ってくれません?」

 

イス人、はるか未来過去から精神交換でこの時代を訪れる時間の征服者。クトゥルフ神話やそこから作られたクトゥルフ神話trpgというゲームでも度々登場する種族だ。神話生物の一種にも数えられるがまだ人間と温厚に交流できる存在と言えるだろう・・・厄介事には変わりないがな!

 

『嫌よ、私にも任務があるんだから』

 

「というか精神交換なのに何で交換されてないんだよ。精神交換の装置が故障でもしたのか?」

 

『私達の科学力は知っているでしょう?理論は勿論機材に置いても瑕疵があるなんてありえないわ』

 

「それはそうだけど、それじゃなんで?」

 

『そ、それは・・・その・・・精神交換用の装置を起動する時に』

 

「時に?」

 

『床が清掃したばっかりだったのかつい滑って・・・貴方が想像するイス人の姿をしていたから転びはしなかったけどつい目の前の装置にがしゃんと手をついて・・・関係ないボタンを押しまくってしまっただけよ!!』

 

「まさかの人的ミス!こいつイス人の癖にポンコツじゃねーか!?」

 

【現在】

 

とまぁこんな感じでイス人と一心同体生活を送ることになった。それから早五年偶に身体を貸したりするのはいいとして、高校生探偵みたいなフィクション染みた活動を強制させられた。何で今世でも黒歴史が増えてるんです?・・・まぁ肉体の主導権はこちらにあるので最終的には言葉で丸め込まれたり、対価(主にイス人の知識)を貰っているので表立って抗議が出来ないのが不満だけど。幸いなのは彼女の知識からここがクトゥルフ神話世界では無く、メガテン世界だということが分かったことくらいだろうか?・・・どちらも大差ない気がする。

え、任務を優先するなら精神を離脱するのが最善なんじゃないかって?"彼女"曰く俺に入った直後に俺自身が覚醒していたようで覚醒時に手に入れたスキルが【精神干渉無効】というものらしい。これは通常の【精神無効】とは違い属性やカテゴリーの精神では無く、相手のスキルなどの属性によってではなく俺の精神に直接干渉すると判断されたものを無効化するとのこと。そして身体の貸し出しは俺が許可を出している形なのでこちらから干渉していることになる為無効化はされない、彼女が俺に思念で語り掛けることが出来るのも同様だ(一番最初に思念のやり取りが出来たのは俺が無意識に彼女の存在に気付いて興味を持っていたかららしい)。俺から身体を無理やり奪おうとしたり、俺の精神と合わさっている彼女の精神を離脱させようとすると合わさっているのを分断する過程が必要な為俺の精神に直接干渉することになってしまう。更に【精神干渉無効】は対象となるスキル、状態異常などが多いので個別にオンオフをするのが難しくこのパッシブスキルそのものをオンオフすることしか出来ないのだが。

 

『それはやめて置いた方がいいわね。貴方と私じゃレベル差があり過ぎるわ・・・通常そんな相手と一心同体なんてやったら例え私にその気が無くても人格の変容や浸蝕が起こってしまうものよ?貴方が何とも無いのはそのパッシブスキルのお陰ね』

 

「マジか」

 

【覚醒者 綾辻智也 Lv5(覚醒当時)】

 

【時の征服者 イス人 Lv60(智也覚醒当時)】

 

ということもあり彼女は俺から精神を離脱出来ないでいるのだが、任務のこともあり当座は気にしていないように見える。しかしイス人とはいえ精神が入ったまま肉体が死んでしまえば普通に死んでしまうのでいずれ俺が寿命を迎えて死ぬ前に如何にか方法を見つけてやらないとな。

 

 

『日記は今日の分はこれで終わりね・・・どうしたの急に昔の事なんて思い出して』

 

「毎度思うけど毎度思考を覗かないで貰います?幾ら俺がお前と思念の伝達の調整が伝達そのもののオンオフしか出来ないからってそっちが覗こうと思わなければ覗けないだろ!?俺は覗けないのに!いっそオフにしてやろうか!」

 

『そう?でも前に私が失神するクラスの痛みを肩代わりして一時的に意識を失った時「お前がいないと安心出来ない」とか言っていた様な気がするのだけど?』

 

「う・・・」

 

さっきまで俺の身体を使っていた彼女が俺のすぐ横に立っている。まぁ俺にしか見えない言わば思念体に近く、物理的な干渉は双方行えず本体の精神は俺の中に変わらずある。あれだ遊戯王の某ファラオ、某ヤンデレモンスター、某遊馬!の人のような感じの状態と思ってくれ、この世界じゃ高レベルの霊視やアナライズ系のスキルの使い手とかだと見える所か俺の中に本体がいることが分かってしまうらしいのだけど。そして先ほどから何故俺がイス人を彼女と呼称しているのは彼女の思念体がとある女性を模しているからだ。というのも

 

『私の思念体の姿はこっちが貴方のアニメやゲーム知識から私に合いそうなキャラクターのものにするわ。そうすればこの意識の世界でも私の本体もその姿に見えるはずよ』

 

「えぇ・・・いいのかそれ?」

 

『嫌なら貴方のイス人のイメージのままでもいいわよ?元はその身体に入っていた訳だし』

 

「真夜中に見たらちびりそうだからそれだけはやめてくれ」

 

という感じで決まったのが・・・

 

 

ダンガンロンパの霧切響子というキャラクターだ。

 

『中々に頭が切れる子のようね。貴方も近い歳の方がいいでしょう?』

 

「いや、お前のポンコツさから同じ声優さんの某アイドル大統領の方がイメージは近『何ですって!?』ほら」

 

その後互いに論争が巻き起こったが彼女は意地でも意見を曲げなかったのでこちらが折れることになる。そしてそのキャラクターを模して事で口調や性格などもそちらに少し寄っている・・・偶に見せるポンコツさ以外は。一応呼び名はキャラクターの名前を使ってやっているが。

 

 

『ポンコツな所なんてないわ。全て事故よ智也君』

 

「それはそれでヤバくないか?」

 

元のキャラクターと違い、俺だけ名前呼びなのは文字通り互いの距離感がゼロ距離だから遠慮するのもバカバカしいと思っているのだろう。

 

『そんなことを思い出している暇があるなら明日以降のことを考えなさい』

 

「・・・だよな」

 

俺の目の前には商店街のくじ引きで当たった豪華客船での海外クルージングのチケットがある。

 

『智也君、貴方こういうのに当たる時って大抵碌でもない事件に巻き込まれる時よね?悪霊や怪奇関係の事件だったこともあったり』

 

「大概は響子が作ってくれた【対悪魔レーダー】で躱せるけどこういう時に限ってレーダーが役に立たない事態になるんだよな。そして何より」

 

『智也君の前世の死因だったかしら?確か沈没事故だったはずだけど』

 

「正確には沈没した後水中で藻掻いている時にホオジロザメに貪り喰われたが正解だけどな。ふふ、会社のデカいプロジェクトが成功してボーナスが出たから『一度豪華客船乗って見たかったんだよな!』とか言って勢いで豪華客船ツアーに参加したらこれだもんな。笑っちゃうよ本当(白目)」

 

ホオジロザメさんも喰うなら一撃で喰って欲しかった。生きたまま喰われ続ける感覚とか経験したく無かったなー。そう言えば前世の俺はどういう扱いになったんだろうか。普通に行方不明扱いかな?時間による死亡認定かな?喰い残しの身体の一部でも見つかってちゃんと葬式出来たのかな?いずれにしても家族や会社、関係各所の方々に大変ご迷惑をお掛けした死に様だったのは間違いないだろう。

 

『でもこの手のものを無視すると・・・』

 

「後々になって詰むんだよな」

 

実際に詰んだことはないもののある事件がきっかけで、手に入れた物品やコネなんかが別の事件で重要なカギになるなんてことが良く起こっている。つまり事件から逃げれば別の事件で如何にもならない事が起こってしまうかも知れないのだ。依頼だけでは無く巻き込まれる形で事件に会う場合もあるので普通に死にかねない。これらは俺のパラメータの中で運が一番伸びているからなのだろうか?事件には巻き込まれている以上幸運とかではなく悪運だと思うのだけど。

 

『少し気は進まないけど行くしか無いわね』

 

「そうだなってお前そう言ってさっき女性物の水着のカタログを買わせたじゃないか!絶対楽しみにしてるだろ!」

 

『船上には大きなプールもあるのでしょう?潮風もあって普段着のままだと様にならないわ。所詮思念体だから服は見れば着替えられるからお金は掛からないはずよ』

 

 

「ただでさえ『探偵は流行に敏感で無ければならない』とか良く分からない理由で毎週女性雑誌を買わされるこっちの身にもなれって!遠方の人は兎も角横浜周辺の人達には「腕は確かだけど変態でもある変人探偵」とか思われてんだぞ!後絶対趣味でもあるだろ!」

 

『男性よりも女性の方が流行に敏感よ。ファッションや化粧などは特にね、今の流行を抑えて置けば犯人や被害者が女性だった時の推理の材料としても使えるでしょ?』

 

「く、理論武装だけは立派だな!流石はイス人でも研究職に就いてただけは「趣味でもあるけど」あるんかい!」

 

『というか私は同胞達の中でもエリートの部類に入るのよ?そんな私と頭を使う勝負をするなんてそもそも智也君には無謀な事なのだから頭を使う事は私に全て任せればいいのよ』

 

「真のエリートなら精神交換に失敗して、そもそもこうなっていないと思うんですけど」

 

『黙りなさい』

 

「というか水着なんて来ても俺以外見えないだろお前」

 

『さっきも言ったけど様にならない、要は気分の問題よ。それに五感は同調しているから潮の香りや水の感触も感じられるわ』

 

俺と響子は五感と霊視を同調させて共有している。それらの基準は当然俺のものになるので俺が感知出来ないものは感じ取れないが俺にはない知識と観察眼で別の見方をすることは可能だ。感性とかは原作の霧切響子に似て来たが五感の一つである味覚とかは俺と同じ好みになっている。まぁその日の気分にも依るのでどんな飯を作るか、外食はどうするかとかで意見が分かれることはある。でも好みが合わずどちらかが不味いと感じる料理を食べる羽目に成らずに済んでいるのは言いことだ。因みにこの五感と霊視の同調も俺の方から遮断することは出来き、そうすると響子は外界の情報を取得出来なくなるし俺の身体を借りることも出来なくなる。

 

『智也君も今世でも社会人になって久しく立つのだし、いい加減前世のトラウマを克服する時よ。いつまでもうだうだ言わずにね』

 

「それは・・・そうだな」

 

船と鮫にトラウマがある俺だがこのメガテンの世界に置いては弱点は減らしておいた方が良いだろう。依頼や遭遇する事件も段々と悪魔絡みの事件が増えて来ているなら尚のことだ。

 

「よし、もしかしたら何も起こらない・・・というのは今までのジンクスからして多分無理だけど。手早く解決してバカンスを楽しむぞ!」

 

『その意気よ。私もバカンスは楽しみたいし、多少厚い推理物のシナリオ程度直ぐ解決してあげるわ』

 

 

「頼りにしてるぜ名探偵(相棒)!」

 

良く揉めるが頼りになる相棒に鼓舞されて準備万端整えて豪華客船に乗り込むのだった!

 

 

 

 

 

「我らはダゴン秘密教団。諸君らは我らが神の贄として選ばれた!このことを光栄に思いその命と魂を我が神に捧げるが良い!!」

 

 

「『シナリオはシナリオでもCoCシナリオじゃねーか(じゃない)!?』」

 

尚航海初日でインスマスの奴らにテロられた。




読了ありがとうございます!インスマス達との攻防は次回の後編になります。短編なんでボス戦以外は軽く流しますけどね。

【覚醒者 綾辻智也 Lv15】
22歳高卒の探偵で警察にもある程度顔が効く。とはいえ推理とかは相棒の担当なので役割としてはフィジカル面や被害者のメンタルケアなどを担当している(響子は人間の心を推理することは出来るが癒すことは出来ない為)。戦闘は近距離を得意にしているが遠距離もいけなくはないという感じ。装備はイス人の科学力を用いているので現地人の名家よりは数段良い装備だが、智也個人で用意出来る設備や素材程度ではスペックが下がってしまうので本編時点ではネオベテルの方が装備の質は上。因みに本編のハイジャックテロ後ネオベテルの存在を知り合流する予定で、本編の時間軸では【鬼ヶ島】発見直後辺り。悪魔関係の事件にも度々関わっているがイス人の機器で自分が関わった証拠を消している為当事者以外関わったことすら知られていないのだが、なぜか悪魔関係の依頼が度々舞い込む・・・実は依頼人を悟られずに彼らの探偵事務所に誘導する赤いスーツの車椅子の男性が居たりするが二人はその事を知らない。

【時の征服者 霧切響子 Lv65】
この時代に訪れたポンコツ不運エリートイス人。一心同体になったことで、メガテンやクトゥルフ神話のメタ知識を獲得している。推理やノリに乗っている時は姿の元にした霧切響子そのものだが、予想外の事やポンコツを発揮する時は某アイドル大統領的なキャラになる。ステータスの名前は霧切響子の姿を取った時に名前が変更されている。探偵稼業の頭脳担当。探偵としての名声は相方に渡っているが推理そのものを楽しんでいるので特に頓着していない。研究者でもあったのでイス人の科学力の武装や機器も製造可能。その腕や研究、知識は同じレベルの設備や素材を使うのであればネオベテルの制作班のトップ層とタメ張れるレベルでありイス人であるので、こと精神、時間の分野に置いてはトップ層と比べてもぶっちぎりでトップを取れるレベル。戦闘はイス人は一部例外を除いて魔術などに興味を示さないので製造した装備を用いた遠距離戦が主体となる。彼女と智也の戦い方は同じ身体を共有していることを利用しているので二人独特な戦法を取る。詳しくは後編にて。

Q.何でネオベテルのことを知らないの?
A.「霊能組織と繋がりがある訳でもないし、見た目だけとはいえ同年代の女性がずっと一緒にいてその視線を受けながらネットサーフィンが出来ると思っているのか?R18の画像すら一心同体となった後一回も見てもいないのに!」

精神交換
今作ではメガテン世界なので精神に関する状態異常の無効のスキルがあれば精神交換を防げ、耐性でも精神交換を行うイス人のレベルと交換対象のレベル次第で防ぐことは可能で原作同様精神の構造が違い過ぎる相手との交換も不可能。まぁ精神交換の装置自体でそう言ったスキル持ちや精神構造の者はそもそも精神交換の候補から外す機能があるので問題にはならない。その他多彩なサポート機能を搭載している装置ではあるが・・・機械であるが故に人的ミスはどうしようもないのだ。
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