◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい? 作:電脳図書館
航海初日で早速テロられた豪華客船内部、銃で武装した信者と深きものことディープワン達にが次々と乗員乗客達を制圧していく。銃を携行した警備員達やVIPのボディーガードなども居たが拳銃とライフルでは勝負に成らずそもそも悪魔であるディープワン達がいる時点で非覚醒者がどうこう出来る訳も無く捕らえられるしかないのだから。そんでもって俺達だが・・・
「最善手とは言え俺達だけ貨物室で一旦隠れるのはやっぱ罪悪感があるな」
『あそこで暴れた所で乗員乗客達を人質に取られたら何も出来ないからこれでいいの』
ディープワンを引き攣れた奴が行った犯行声明は夕食のパーティーで行なわれたのだが幸い自分は遅めに部屋を出た為廊下の船内放送でそれを聞くことが出来た。もし時間通りに来ていたらパーティー会場は包囲されていただろうし、詰んでいただろうな。
「ところでお前の悪魔センサーがあいつらに通じてなかったのはなんでだ?」
『恐らくだけど距離の問題よ。乗員乗客の中に"まだ"人間のままのダゴン教団関係者が混じっていたのでしょうね。ディープワン達は悪魔センサーの範囲外の海底にいて船内の中にいる仲間の合図で海上まで上がって来てこの客船を乗り込んだという所かしら』
「なるほど、まぁ俺達の対策じゃなくて日本の霊能組織に気取られないようにするためだろうけどな・・・よし組み立て完了!」
イス人の技術で作られた俺達の武装だがこの現代だと一見武器に見えないモノでもこの豪華客船に乗船するときなどに行われる荷物検査では怪し過ぎるので、パーツごとに分解し怪しまれない部品に見せかけ簡単に組み立てられるようになっている。
今回持って来た武装は俺が最も使い慣れている武装から選んでいる。腰のホルスターにイス人お馴染みの「電撃銃」、左手にはガントレット型補助ユニット「AMG-78」、そして隠蔽を必要としない靴とコートは蹴りの威力を上昇させる「重圧発生機付きブーツ」と「対刃対弾対霊用コート」。これらは純粋な科学力で作り出されているようので悪魔達には通じない様に思えるが、イス人が"科学の理論で神秘に干渉する"という理論を知っているからだという。これを理解出来れば理論上では人間でも同じことが出来るらしいのだが・・・正直論理を聞いたどころか俺の身体を使って武装を作製する様子を見ても何をやってるのかすら理解出来なかったので精神交換の技術のようにイス人の他の技術である電撃銃とはまた別格の技術であることは明白だろう。実際響子も理論は理解できるが、それを一から見つけ出した者はイス人の中でも化け物クラスの頭脳の持ち主だったとのこと・・・イス人のダヴィンチとかをイメージすればそのヤバさも分かるというものだろう。
「さて、一番困るのは人質を取られることだが」
『心配はいらないわ。教団側としても乗員乗客は生贄の為に傷つけたくないでしょうし、生贄を捧げるにしてもしかるべき場所があるはずよ』
「・・・そういえば確かにまだ船が動いているな。教団はどこに向かわせているのやら」
『その場所に着くまでは危害は加えないはず。捕まった方が安全なんて皮肉だけど・・・気になるなら生贄の見張りに気付かれないうちに頭を叩きなさい』
「了解、拘禁されている場所は霊視で人の魂が多く集まってる場所が幾つかあるから分かりやすいな。この船自体対霊能の細工とかがないから良く見える」
頭は恐らく一番霊視で見た中で魂の反応が強い操舵室にいる奴だろう・・・全く俺達は探偵なんだけどな。
「だが、楽しい旅行に文字通り水差してくれた礼はしないとな?」
【操舵室】
「定時連絡が来ていないと?」
「はい、いくつかのグループから報告が途絶えています」
船内を制圧して30分後、生贄(予定)の人間達を家族、友人などとは分散させて幾つかの部屋に隔離すると操舵室でアメリカの教団が押さえている港に進路を取っていた。一段落かと思った所での報告に苦虫を噛み潰したような顔をする男こそがダゴン教団の中でも司祭に当たる今回の事件のリーダーだ。
「一グループに最低でも二体のディープワンを配置しています。それを加味して複数のグループから連絡が途絶えたという事は・・・乗員乗客の中に覚醒者がいたことになります。今すぐ他のグループを」
カルト集団とはいえ一歩間違えれば日本の霊能組織の一斉攻撃を喰らいかねない作戦を任されているだけあって司祭の手腕は優秀である。即座に状況を整理し、次の手を打つところから見てもそれは明らかだが・・・流石に反乱者がイス人の全面バックアップ付きとか予想は出来なかった。
一撃、外部から加えられた拳の一撃で元々頑丈な作りであり簡易的ではあるが司祭が魔法で補強した操舵室の扉が吹き飛ばされる。命令を聞いていた教団員が扉ごと吹き飛ばされ下敷きになり気絶する。
「な」
予想外の事態に司祭の思考も一瞬停止してしまう。そしてその一瞬が襲撃者に取って値千金の時間となる。
『敵はディープワンが四体と人間三人!』
「(OK、先に人間を仕留める。響子"右手"は任せる)」
『了解』
襲撃者である智也が部屋に勢いよく乗り込むとまずは響子が右手を操り電気銃のノールックショットで三人に電撃銃の銃撃を浴びせる。
【銃プレロマ】【トリガーハッピー】【タスラムショット】
スキルの効果に加え電撃銃の性能によって威力の上昇と電撃属性が付加されている。
「「ぐああ!?」」
「もうここまで・・・!ディープワンやりなさい!」
三人共銃撃を喰らうがリーダーである司祭はギリギリ耐えることに成功し、ディープワン達に指示を出す。人間相手に意識を割いていた襲撃者が別々の咆哮からのディープワン達の同時攻撃に対応出来ないと考えたのだろう。
『チャージ完了』
「砕けろ」
【物理プレロマ】【チャージ】【鬼神楽】
しかしディープワンの一体目の顔面に電子音を響かせたガントレットの拳が突き刺さる。それは覚醒者から見ても人外の威力を誇る。そして四方向からディープワンの槍の攻撃を受ける。攻撃直後の隙を狙った一撃だが・・・
『両足借りるわよ』
「(頼む)」
いち早く攻撃を終えていた響子が両足を操りステップで二体目の攻撃を躱し、その間に智也は上半身を捻り後ろを向くと拳を握りしめる。
『チャージ開始』
『両足返すわ』
そのまま真後ろに迫っていた三体目の槍をガントレットで受け流し、上半身の捻りから左足の回し蹴りを放つ。
【物理プレロマ】【グラム・カット】
重圧発生機付きブーツにより蹴りの威力が更に増した一撃が三体目の首の骨を折り即死させる。
『チャージ完了』
【物理プレロマ】【チャージ】【鬼神楽】
そして回し蹴りをした遠心力も乗せた拳の左ストレートで四体目の槍ごと真正面から叩き潰す。
「(後ラスト一体!任せた!)」
『任せなさい!』
【銃プレロマ】【トリガーハッピー】【タスラムショット】
再び右手と両足を響子に預けると響子は両足を使い先ほど殴って死体になったディープワンの死体を踏み台にして飛び上がり上空から電撃銃を連射し最後の一体を仕留める。
「バカな。十秒も掛からず全滅、だと?」
「装備とスキルの差だ」
怒涛の連続行動を可能にしたのは智也と響子の連携と肉体其のものが鍛えられ柔軟な筋肉を有しているという肉体的性能とこの戦い方を続けているうちに習得していたスキル【身体精密制御】のお陰である。そこにスペックが低くなっているとはいえイス人の技術を用いた武装を身に纏えばこれくらい出来るのだ。あとレベルが俺とほぼ同等の敵だったことも大きい。
「さて、詰みだなリーダーさん」
「殺すつもりですか?ですが「ああ、分かってるアンタが死ねばこの船に居る仲間全員に連絡がいくんだろ?相方の【ハイ・アナライズ】で知ってるよ」何!?」
「だから殺さない殺さないが・・・"殺すより惨めなことになるかもね?"」
智也の身体の制御権を全て響子に渡す。こうすることでイス人としての能力を全て発揮できる。一部の制御権譲渡でも響子のスキルを一部使用出来たが、イス人由来の能力は使えず、使えるスキルも智也のレベルに合わせて弱体化してしまう。しかし全権を譲渡することでLv65のイス人としての力を振るえるのだ。
「お、お前は誰だ!?」
「勘はいいわね。大したことじゃないわ、少し私の言う通りにしてくれればいいだけよ」
「・・・!?あ・・・あ・・・」
無慈悲にも【精神操作】のスキルを発動させる。耐性も無いうえレベル差もあって司祭も抵抗することは出来ない。このスキルは文字通り他者の精神すら操れる便利なものだがある程度の衝撃を受けると切れてしまうのに加え完全に掛かるまで少し時間が掛かるのもあって智也達が戦闘後の情報収集に良く用いている・・・正直これがあれば探偵業でもオカルトの依頼は兎も角一般の依頼なら大体即解決出来ると思うのだが二人とも基本的に善人な為普通の一般人や犯罪の容疑者に使うのは抵抗があるのだ。※ただし現行犯は除く。
「その後司教から情報を吐かせて、仕上げに操って一か所に教徒とディープワンを集めて電撃銃の最大威力で屠りました。俗に言うレールガンですね、初めて使ったんですけど威力設定が頭おかしかったので船の甲板を貫通して天まで風穴開けた時はガチでビビりました。乗員乗客が分散していたとはいえ離れた場所に軟禁されてたからダゴン教団以外犠牲者はいませんでしたけど。まぁ下のフロアから放つんじゃなくて真上のフロアから撃ってたら船底が貫通して豪華客船沈んでたかもしれませんが」
『ダゴン教団の奴ら?手元に置いてた司祭とそれまでに倒した死体以外は塵も残らなかったわ』
「手持ち武器からレールガン、しかも明らかに人間の技術で予想されている威力よりも遥かに高い威力をぶっ放せるとかイス人ってやっぱ頭おかしいと思います」
『忘れてるかも知れないけど「もうめんどいから教団の他メンバーを一か所に集めて電撃銃の最大出力で吹き飛ばさないか?」って言って提案したのは智也君でしょう?』
「・・・なるほどね。で、こうなったと」
目の前の少女が今朝発売された新聞の一面を見せる。そこには「海上から雷の柱が!?これは科学現象か、オカルトか。同時刻に起こっていた豪華客船ハイジャックとの関係は如何に!」という非常に身に覚えもある文言のタイトルがデカデカと書かれていた。
「『・・・』」
「で、何か言うことは?」
「『いや、その・・・ご迷惑掛けてすみませんでした!』」
イス人の技術を用いた隠蔽にも限度があるのである。あとレベル差によるごり押しとか。
読了ありがとうございます!駆け足気味でしたが後編も出せてよかったです。
脇巫女ネキ視点
周回ネキからダゴン教団のハイジャックがあるらしいから見張っておかなきゃ!託宣などもして間違いないみたいだし、ヤタガラスにも連絡して連携しないと。
↓
よし、乗り込む準備は出来たわ。ずっと監視してたけどこちらに気付いている様子はないから皆乗り込んで・・・はえ?(雷の柱が出現)・・・ああああああ!?(隠蔽作業でまた仕事が増えた)
↓
何あれ・・・周回ネキも知らないって言うし託宣で見て見るわ。・・・この人が原因って彼転生者じゃない!?(レベル差による隠蔽能力へのゴリ押し突破)・・・え、何か中に別の精神、魂が見えるんだけど、彼の魂と身体に普通に順応してるのこっわ!?取り敢えず本部に拉致って来なさい!
↓
えぇ・・・取り敢えずうちの組織で借り分は返してね?(本編ラスト)
と言った経緯で智也達がネオンベテル入りしました(白目)。