◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい?   作:電脳図書館

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第七話です。これにてこの章は終了です。勿論聖剣関係の話はまだまだ続きますよ!


聖剣の行方

「うんしょこらしょっと」

 

狩谷がマンセマットを倒したその頃、フリードはバルパーを背負って地下から地上に上がり逃走を図っていた。

 

「うんしょこら・・・うん、まぁ張り直した結界の外は警戒しているっすよね!」

 

「そういうことだ観念して貰おうか?」

 

「抵抗するのなら拘束させてもらいます!」

 

万が一結界をすり抜けて逃げ出すことも考えて警戒していた神父ニキとその造魔ナノハと共にフリードの前に立ちふさがる。

 

「まぁ確かに格上相手ですし?ここは投降するのが筋なんですけどね?」

 

「ダメだフリード、碌な事にならんぞ」

 

「ですよねー!」

 

バルパーが背中から起き上がり、その考えを嗜むと本人もないだろうと思っていたのですぐに意見を撤回する。

 

「とはいえこのままで殺されるのは確実、ここは情報提供で見逃して頂けないかな?」

 

「情報・・・だと?」

 

フリードの背中から降りた(漸くショックから立ち直った)バルパーは生き延びる為に交渉に入る。

 

「ああ、例えば・・・なぜフリードが私に手を貸している理由についてならどうだろう?」

 

「それはエクスカリバーの復元品が報酬だからではないのか?」

 

「お、情報は届いているみたいなら話ははやいでさぁ。勿論そうですがよく考えれば言いたいことは分かりますわよ?」

 

「・・・っ!?まさか分かったのか!」

 

神父ニキが何かに気づいたように驚愕の顔に染まって、ナノハも表情をこわばらせる。

 

「そうなんですよ!遂に見つけたんっす!過去の戦争で行方不明になっていた"支配の聖剣"を!!」

 

「支配の聖剣・・・分かたれたエクスカリバーの中で最も強い聖剣。その力は魔法や物理法則、強大な悪魔すら支配し操ると言いますが」

 

「お、口調が変わりましたな魔法少女ちゃん!・・・まぁあくまでこの日本にあるってことが分かってるだけ何ですけどね?」

 

「如何に我々の本国であるアメリカの国土よりは小さいとはいえ日本列島全域を草の根分けて探し出せとは言えぬからな」

 

「効率悪いしストライキもんだもんな・・・まぁ聖剣の探知用魔法がもうちょっと精度を上げられれば分かりませんけどね?」

 

「今後はメシア教側のエクスカリバー持ちが続々とやって来るだろう。警戒すると言い」

 

「聖剣の争いがこの国で起こるのか・・・」

 

苦虫を噛んだような顔になるナノハ、本霊は聖剣を巡る争いを見て来ただけに思う所がある様子を見せる。

 

「さて、情報提供はもう十分だろう。そろそろお暇させてもらおう」

 

「素直に応じるとでも?」

 

神父ニキは武器を構え攻撃の体勢を取る。明らかにやばい連中の言うことなど知ったこっちゃないというようにこのまま捕らえるつもりの様だが・・・。

 

「別に約束を守って貰う必要はない。こちらが勝手に履行する」

 

その言葉と共にバルパーとフリードの魔法陣が現れる。

 

「何!?転移系の魔法か!」

 

「警戒をしていましたがいつの間に・・・」

 

「それほど大したことではありませんよ大天使様。身振りや仕草、言葉の一つ一つが術式の一部として機能させる小手先の技術でございます」

 

ナノハの正体に気が付いていたのか丁寧語で応対するバルパーだがその言葉には一種の嘲りが含まれている。転移魔法を妨害しようと試みるが残念ながら二人ともそれを邪魔する専門的技術を持っていない、無理やり転移系の魔法や能力を妨害する場合専門的技術を持っていない場合多くの危険を伴ってしまう。転移後の場所が抉れるなど序の口で周囲一帯が異界化するリスクもある。ましてや今回の様に即席の術式ではそのリスクも通常より上がってしまう為見逃すしかないのが現状だ。

 

「それではまた会おう」

 

「あ、あのクソ人間ミサイル野郎にいずれぶっ殺すからって伝えといてねー!!」

 

「「人間ミサイル野郎??」」

 

その後やらかしたバカ兄妹の話を聞いて胃痛を覚える数十分前の出来事だったりする。

 

 

「まぁ・・・うん、如何にか片付いたな。とんでもなく綺麗に」

 

更地になった建物の影の形もない施設跡を見ながら神 木 狩 谷(人 間 ミ サ イ ル 野 郎)は溜息を付く。

 

「・・・そもそもカリヤが逸れたのが原因。それに人間ミサイルなんて実戦で思いついてすぐに実行した狩谷が一番変」

 

目の前の光景から目を逸らした神 木 折 紙(施 設 爆 破 犯)は別の話題を持ち出して誤魔化そうとしていて、周りは苦笑いで二人を見る。

 

「「・・・うん、コラテラルダメージということで。OK!」」

 

「「いやOKじゃないから!!!」」

 

バカ兄妹が揃って責任逃れをしようとするが合流した神父ニキとスパルトイに二人揃って怒られるのだった。

 

 

「「ごめんなさい」」

 

折紙と共に謝罪をしながら合流した皆と情報を共有するとマンセマットの登場には驚いていたが、俺の人間ミサイルと折紙の施設消滅がインパクトが強すぎて反応が薄かったな。

 

「しかし、まさか周回ネキの分身が俺の影にいたとはな」

 

「きひひ、許可を取らずに申し訳ありませんわ。狩谷さんが落ちる時に咄嗟に分身を仕込んだもので、しかも主にビーコン代わりに生成したので戦闘能力も無くなっていましたのにマンセマット程の高レベル悪魔が張っていた結界のお陰で肝心のビーコンの役割も果たせず仕舞いでしたし」

 

「いえ、それに零れた天閃の聖剣も確保して頂いたようで。教会側としても助かりました」

 

「そうですよ!狩谷君から話を聞いたときはてっきりまた紛失したかと思ってましたから」

 

「・・・本当にそれだけだったらだけど」

 

フリードが手放していた天閃の聖剣は俺の影に居た周回ネキの分身が確保してくれていたらしく、一旦イリナ達に預ける形で扱いは保留になっている。無断で分身を忍ばせた件については状況的には仕方なく、向こうの撤退の理由の一つにもなったので普通に感謝している。それにしても折紙は終始周回ネキをジト目で見ていたけど何だったんだろうか?あとは神父ニキから支配の聖剣のことが話されたが真偽不明ということで裏取りの為の調査が行われる様だが個人的にはこの話は本当な気がする。邂逅は短かったがあの二人はその場凌ぎの嘘を吐かないタイプだと思えるし、何より聖剣に強い執着を見せるバルパーも認めて居たのだから間違いないのだろう。もしかするとこの情報の調査や後の聖剣の捜索に人手を割かせて、追手を減らす狙いもあったのかもしれない。しかし取り敢えず今は被害の報告や情報整理、実験体生存者の治療などを行いながら撤収の準備を進めている。・・・それはそうと

 

「・・・」

 

折紙、周りの人間は知らないがいくらポーカーフェイスで誤魔化そうと兄である俺には動揺や考え込んでいる様子なのがモロバレだぞ全く。

 

 

結局あの作戦から数日がたったが時折考え込むことが多くなっているように見える。如何にか気晴らしでもさせてやろうかと思っていると神父ニキの呼び出しで地元の教会に兄妹二人で足を運ぶこととなった。要件は確保した天閃の聖剣の処遇に付いて決まったとのこと、まぁこちらも負担を掛け過ぎた槍がぶっ壊れ修理を頼んでいるので暇だからいいけど。

 

「ふーん、ネオベテル預かりになったんですね」

 

「ああ、カトリック、プロテスタントのどちらかに渡すと戦力バランスが崩れかねないからな」

 

「こちらとしては信頼の担保が代わりと言う事ね。それにメシア教のエクスカリバーに対抗するならエクスカリバーが一番手っ取り早いのよね」

 

神父ニキとワシリーサが説明してくれたが確かに一本持っておくのはいいかもしれない。手に入れたのが性能としてはシンプルな天閃の聖剣だったことも大きいのだろう。

 

「で、誰が使うんです?置いとくだけじゃ意味はないだろ?」

 

「その通り、そこでだ狩谷。お前が良ければ聖剣使いになって見ないか?」

 

「はい!?」

 

「!!」

 

俺と声には出してはいないが折紙も驚いている。あれ、でも聖剣を使うには因子が必要なはずだ。そのせいでバルパーは狂ったわけだし、もしそれが解決していたのならバルパーがいくら何でも不憫すぎる。

 

「その件だが狩谷、覚えているか?デュランダルを共に握った時出力が上がっていただろう?あれは聖剣だけでは無く使い手の因子の共鳴で起こった現象だ」

 

「でもそれイリナのことじゃないのか?」

 

「うん、私達も最初はそう思ったんだけど後々訓練中に私だけの共鳴ではあの出力を出すには足りないことに気づいたの」

 

「んー?でも天閃の聖剣が返された時に触れたが何ともなかったぞ」

 

「それは君がイリナと同じ、因子は持っているが補填が必要な人工聖剣使い予備軍だったからさ」

 

イリナとゼノビアの話を聞いて納得する。スムーズにやれたのは普段から訓練してたからなんだな。

 

「まぁ断ってくれてもいい。そちらの戦力は増えるが面倒事も多くなるしな。ただ使えるならフリード・セルゼンを倒したお前に真っ先に所有権があると思っただけだ。無論普段から好きに使ってくれて構わない」

 

「なるほど、折紙はどう思う?」

 

折紙の意見を聞くとブツブツと小さく呟きながら考えてくれて

 

「・・・確かにリスクはあるけど強くなれるうちに強くなっておいた方がいい、今回の件で神殺しがネオベテルにいると相手が気づくのは時間の問題。幸い天閃の聖剣はシンプルで使いやすいし、スピードの底上げはカリヤの戦い方にも合っている」

 

ふむふむ、剣術の一般スキルもあるので実際に振るうことも出来るだろうし腰に差して置けば槍での戦闘でも効力を発揮してくれるだろう。

 

「・・・分かった。その聖剣があればって後々後悔したくないしな」

 

「ではこれを・・・この因子をくれた者達に恥じないようにな」

 

俺が頷くと神父ニキからまるで小瓶の様な物体を渡される。この中に因子があるのだろうか?

 

「それでは儀式を執り行う。「これどう使うの?」「胸に押し当てればいいの」ああ、そうだ。儀式はあくまで形式的なものだから気負わなくて「あ、本当だ光って身体に吸い込まれたわ」そうそう・・・おい!?これから聖言とか唱えて色々やる予定だったんだが!?」

 

「いやーだって形式的な物だって言うし、俺んち無教徒で一神教信仰してないからなー」

 

因みに前世は実家が仏教徒だったので靡くのならそっちである。経典とかも幾つか読んだっけなー懐かしい。

 

「むむ」

 

「はぁスザク」

 

神父ニキがまだ何か言いたそうにしていると折紙が見かねて一言

 

「信仰の押し付けはメシア教と同じ」

 

「・・・!?グハ!!」

 

あかんそれは致命傷だ!

 

「ちょっ!?神父ニキが余りにもショックな一言言われて口から血を流して気絶したんですけど!!!」

 

「ス、スザクくーん!?戻ってきてー!!!!」

 

ナノハの悲鳴が教会中に響き渡ったりしたが無事、聖剣の譲渡は完了したのだった。さて使いこなせるかどうか・・・まぁ俺次第か。

 

 

 

 

「あ、今修理中の槍の強化素材にすればより使いこなせるじゃないか。もしもし魔女ネキ?」

 

帰り道に思いついた画期的策で先の懸念はほぼ払拭されることとなる。尚その代わりこれをあとで知った神父ニキと強化素材が何だったのかを強化改修後知った魔女ネキの胃は死んだ。




読了ありがとうございます。章のエピローグの様なものなので短めです。次から新章に入ります・・・え、短い間に2名の幹部の胃が死んでるって?全部好きに使えとか言った神父ニキのせいです、はい(白目)。

霊槍と聖剣
ただでさえ消耗していたところに疑似的なロンギヌスの槍になるなどの負担に耐え切れず折れてしまった槍。元々武装の強化をしたかったので狩谷的には天閃の聖剣の入手はありがたかった。その為に幹部の胃が二つほど犠牲になるが原作から強化パーツみたいな扱いされてるし大丈夫だろう。因みにここで聖剣を扱う因子を取り込むか否かは何気に大きな運命の分岐点の一つになっている。
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