◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい?   作:電脳図書館

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第八話になります。今回は少し地味かも知れませんがこういう回がアニメとかでも好きなんですよね自分。


第三章 霊地漫遊
信仰の定義


新武器作成の為に幹部二人の胃袋を無自覚に将来的に生贄にしたあと俺と折紙はとある病院を訪れている。ここの院長はネオベテル所属の転生者でよく構成員が悪魔関係で負った怪我や病を癒しているんだとか。そのお陰か実質幹部扱いで冥土帰し(ヘブンキャンセラー)の二つ名が付いている。

 

「病室はっと」

 

「280号室・・・あった」

 

見舞いに来た患者がいる個室の病室を見つけると、ドアにノックしてからドアを開ける。

 

「やぁ、いらっしゃい少年!」

 

「お、ちょっとは体調が良くなったか?あと俺達はほぼ全員精神年齢おっさん、おばさんばっかだろうが」

 

「うぐ、痛い所を・・・そ、それは置いておいて、折紙ちゃんも来てくれてありがとう~!」

 

「元気そうで良かった」

 

手を振って出迎えてくれる先の作戦で救出した女性、本条二亜。その後ここで治療されていた彼女とは何度か電話で話をしていて今回が初対面(彼女的には)となる。なぜ彼女がこんな親しいように接してくれているのかと言うと自分を助けてくれたということと彼女自身転生者とのことだ。

 

「まぁ私の場合は実験のショックで思い出したからちょっと素直に喜べないけどね」

 

「普通に赤子の頃から自覚していた人もいる訳だしな。俺は二亜と同じタイプで確か五年ほど前に思い出して・・・あれ、そういえば何が切っ掛けだったっけ?」

 

「記憶を取り戻す過程は様々。GPの上昇やちょっとした前世とのデジャブで思い出せた例もあるらしいから多分カリヤはそっち」

 

「なるほど?」

 

うーん少し引っかかるが、イリナや両親を覗けば折紙が一番俺と一緒にいたから間違いないか。

 

「あ、これ見舞いの果物と頼まれてた漫画だ」

 

果物籠とともに頼まれていた漫画を詰めた紙袋を手渡す。二亜が目を輝かせて飛びつく

 

「おお!ありがとう!!いやー軟禁されてから見れてなかったんだよね!でも学生なんでしょ?お金は大丈夫?」

 

「心配すんな、命張る分稼げてるから。見舞い品の金を求めるなんてしないさ」

 

そもそも前世でもそんなことしなかったし。それをやるのは人としてどうかとも思う

 

「大人だなー、そうだ!なら私のサインを書いてあげよう!前世同様漫画家となるであろう私のね!」

 

「あー前世は漫画家だっけ?」

 

「でも今のところは無価値のはず」

 

「こら折紙、本当のことは言わないの。気持ちが籠もっていれば無名の人が紙切れに書いたサインでも嬉しいもんだぞ?」

 

「・・・君達って悪気とか一切ないのに辛辣だよね、未来を見なさい未来を」

 

引きつった笑みを浮かべる二亜に兄妹揃って首を傾げる。うーん事実を言っただけなんだがな

 

「でも漫画家になるまでの食い扶持はどうするんだ?真面目な話」

 

「うん、今世の両親は悪魔関係の事件で殺されちゃったしね。・・・ねぇ少年」

 

突然先ほどのおちゃらけた雰囲気はなりを潜めどこか悩んでいる様な顔をしている。

 

「どうした?」

 

「私、今世もだけど前世も家族揃って一神教の信者だったんだよね。まぁ前世にはメシア教なんて無かったから別の宗派なんだけど・・・それでも今世ではメシア教を信じていて、悪魔関係の事件から助けてくれたのもまともなメシア教徒の人でますます信じこんじゃってさ。当時は前世の記憶が無かったから恩を返そうと頑張って、頑張って・・・裏切られていたことに気づいたのは大天使の融合実験の直前。天使と直接会って私達が信じていたものが砕かれて、終いには前世の記憶でメシア教がどういうものか思い出しちゃってさ!・・・こんな簡単に壊れて、利用されて、汚されて、信仰って何なのかな?」

 

「・・・」

 

「いや、分かってるよ?私と同じで前世から信仰しているそれを貫いてる神父ニキやその部下のエクソシストの皆さん、まともな天使だっているし、私を助けてくれた人の様にメシア教でもまともな人はいる。そこは分かってる・・・でもさ、私は・・・」

 

手に取った漫画の表紙にポタポタと涙が落ちている・・・なるほどずっと胸の奥に押し込んでいたのか。前世も絡んで来るから現地人には話せない、しかし同じ転生者の知り合いは俺と神父ニキ、周回ネキ、この病院の院長くらい。周回ネキはペルソナ関係で忙しく、院長もあくまで医師としての立場がある信仰云々聞くなら神父ニキが一番だろうけど…信仰を貫いている相手にそれは意味があるのかと聞きにくいだろうな。

 

「信仰か・・・俺の今世は無教徒だけど前世は仏教の家だったから少しは分かる」

 

「そうなの?」

 

「そうなの…でもさ俺は別に教義を信じることだけが信仰だとは思っていないんだ。確かに教えを曲解して間違いを犯す奴はいるし、宗教関係者だからと変な目で見られることも無いわけじゃなかった」

 

二亜にも覚えがあったのか顔を伏せる。祭り何かは宗教のごった煮状態の日本でも宗教そのものに拒否反応を示す人はそれなりの数が存在する。実際一部のカルトはマジでヤバイし、真っ当な所でも人が大勢集まる組織である以上例え悪意を持っていなくてもトラブルは起こってしまう。それでも…

 

「それでもさ、楽しかったこともあったろ?俺の場合は近所の同じ宗派の人達が一ヶ月に一回集まって経文を読んだり、集まった人たちの体験を聞いたりさ。俺は二世であんまり熱心じゃなかったし子供の頃は経文とかちんぷんかんぷんだったけどお菓子食べながらワイワイと話したり、褒められたり…俺はそういう人の和も信仰の一部だと思うんだよ」

 

前世でいた弟と子供の時に周りが話していた経文の内容に揃って?を浮べてジュースを飲んで眺めていたこと、それだけじゃ暇すぎるから会の進行の手伝いをしたら褒められたこと、誰かの人生の体験を聞いて様々な感情が湧いたこと、その会が終わった後に皆でお菓子を食べながら信仰のことやそれ以外の学校や子育て、新しく出来たお店のお菓子が美味しいだのとどうでもいいが楽しいお喋りをしたりしたこと。人生色々あって中には壮絶とも言える過去を持った人もいたが…自分には大半が気のいいおばちゃん、おじちゃんに見えたものだ。そして教義は兎も角そういう人たちのことは好きだったんだと今でも思っている。どれほど情があったのかは分からないが少なくとも概要だけを聞きかじって知った気になったり、一部の問題を起こした人を取り上げて宗教組織自体を非難するなら兎も角、その他の信者全体を巻き込む理由も無く非難しカルトの信者呼ばわりすることに不快に思い、実際そうなのかと友人に聞かれたときに反論してしまう程には情はあったのだろう。

 

「前世と今世でニ亜にだってそういった場面はあったはずだ。家族と一緒に聖書を読んだり、知り合いと一緒に聖歌とかを歌ったりな…その毎日をあんなクソッタレ共に踏み荒らされて、他の奴らに同一視されてムカつかないか?ニ亜や前世と今世の両親はあんな奴らを信仰していたのか?」

 

二亜が伏せていた顔を上げる。その目には明確な否定の意思と怒りの感情が見えた気がした。

 

「違う!…でも続けて良いのかな?」

 

「宗教なんて本人が信じたいかどうかさ。心が弱いから宗教に頼るとか言う奴らもいるがほっとけそんなの!例えその通りだったとしてもその弱さをどうにかしたいと行動してる時点で、それを笑ってる奴らよりよっぽど先にいるんだからな!…それに信仰を捨てる理由はあれど"絶対"に信仰を捨てなきゃいけない理由は無くて信仰を続けたい理由もあるんだろう?」

 

俺も今世では無教徒だが前世での仏教感を捨てた訳じゃない。今でも鐘の音と共に思い出す前世での死の瞬間最後に頭を過ったのは輪廻転生という単語だった。もし次があるのならもう"間違い"を繰り返さないと誓ったことは・・・まぁ結果的にメガテン世界に転生なのだからそう願うなら命賭けろよと世界から言われているようだよな。唯で叶う誓いも願いもないってことなんだとは思うが。

 

「うん、そうだね。ありがとう少年、何だか道が見えて来た気がしたよ」

 

「それは何よりだ」

 

笑顔になった二亜に釣られて俺も笑顔になる。その後二人分のサインを押し付けられるも苦笑して受け取るのだった。病室を出た後先ほどから黙っていたのが気になったので訪ねてみる。

 

「にしても折紙は何で黙っていたんだ?信仰に関しては一家言あるだろ」

 

「悪魔の中でも天使や神の力の源の大部分は信仰の力なのは確か。でもそれは人間達が決めて行くべきこと。私達天使はあくまで教えを与えるだけに留めるべき・・・昔はその考えが主流だった。あの四大天使もそう・・・していたはずだったのだけど」

 

「そうなのか」

 

窓から見える青空を遠くを見つめ、懐かしむように眺めている。遥かな過去を思い出しているのだろうか。どうやら俺達人間が昔から変わったように人間に認識されている天使達も昔とは変わっているらしい、これも信仰の力が関わっている様な気がする。

 

「まぁあいつの信仰はどうなるのか、見守ろうじゃないか。信仰、宗教はそれを支えに未来を歩く為にあるものだから」

 

願わくば彼女の選択が前に進み未来へ向かうものであれ

 

 

『あ、少年!私退院後はメシア教のままエクソシストとして頑張ることにしたよ。漫画のネタ探しと私が好きな漫画のめちゃんこイケメンな造魔を手に入れる為に!!!!!』

 

「ウッソだろお前!?」

 

数日後神父ニキが進路の一つとして提示したエクソシストの道に主に造魔関係の説明を受けて物凄い乗り気で進むことになったニ亜から電話を受けた。あれだけ語らせて置いて切っ掛けがそれかい!信仰の云々の悩みはどこ行ったの!?

 

「100歩譲って前者は職業病で納得するとしても後者の理由がひど過ぎる(白目)」

 

「まぁ・・・なんだ。前に進んでるようで良かったではないか」

 

電話を切った後ポンと狩谷の肩に手を置いて諫めるスパルトイの姿をアズールと折紙は見ることになるのだった。

 

 

「さて、そんなことより話さなければならないことはあるだろう?」

 

「そんなこと・・・」

 

「諫めて置きながら切り捨てるとは中々高度な攻め方」

 

ある程度諫めたら俺を切り捨て今日の本題に入ろうとするスパルトイ。あ、アズールは膝枕してくれるの?ありがとうアズール。まだしゃべれないけどいい子だな、報告書にも書いておくよ。お言葉に甘えて膝枕をされながら俺達の部屋にアズールとスパルトイも集まって神木家パーティーが集結している。因みにここに教会コンビが入ることで中野支部パーティーに名称が変わったりする。偶にワシリーサさんも入って来るけど。

 

「重要な案件だからな。それにあの女も所属希望先はイリナ達の教会なのだろう?この町に住むのなら感謝はしているのではないか」

 

「まぁそうかもだけども」

 

二亜が加われば教会トリオになるのかと考えながら机の上で起動しているPCの画面に映っている掲示板が映されている。つい最近ヤタガラスとの協力関係を締結することに成功し、それを祝ってガチャが開催された。試作品とはいえネオベテル製のCOMPも景品にあったのでデータを取ったら本格的に販売が始まるだろうと俺達の仲でも話題になっていた。で、問題は試しにとガチャを回して入手した景品だ。

 

「クソ高いガチャだったから槍の強化料金を考えると俺と折紙で一回ずつ引けただけだけど」

 

因みに俺が引いたのは七等:各種装備からランダムに一つだ。ランダムのそこそこ良い装備が引けたので今度槍と一緒に神社で受け取ることになっている。

 

「まさか二等が当たるとは」

 

折紙自身も驚いていて手に持っているのは二等:【ラスタキャンディ】スキルカードだ。予想外に強力なスキルを手に入れたので誰が覚えるかの相談をすることになった。

 

「とはいえスパルトイかアズールの二択なんだけどな」

 

「だが我は戦士。補助魔法もカジャ系を掛けるので手一杯だぞ?攻撃魔法スキルなら物理、呪殺に強い相手対策に属性が違う一つ二つくらい覚えるのはありかも知れんが」

 

「だとするとアズール?あれ何か微妙そうな顔をしている」

 

「恐らく後々のことも考えているのだろう。現状はほぼ常に一緒に行動しているがその内会話が可能になれば情報伝達がよりスムーズ且つ正確に行えよう。そしてアズールの本業は狙撃手。装備の中にも霊装型の無線がある以上単独行動で遠距離からの狙撃による援護をすることが多くなるはずだ。自バフとしてだけでも使えなくはないし、集団戦も全くし無くなる訳でもないが・・・」

 

「確かに勿体ないか」

 

主にスパルトイとあーでもないこーでもないと相談していると折紙が手を挙げて

 

「なら私が使ってもいい?」

 

「え、使えるの?」

 

「天使の力の一部を一時的に開放して天使の側面を強めれば問題なく取り込めると思う」

 

「ほう、それが可能なら確かに火力と全体補助&回復を兼ねる妹君の方が上手く使えるか。こちらとしては異存はない」

 

スパルトイも認めてアズールも頷く形で同意を示す。ということで折紙が【ラスタキャンディ】を覚えることになった。幸いこの家と土地には何年も掛けて折紙が掛け続け整えて来た結界や霊脈があるので一時的な天使の力の解放なら外に影響を及ぼすこともなかった。というか俺を神殺しにする時も一部解放していたらしい、あの時感じた神々しさはその影響だったんだな。今度取りに行く装備のことも含めればちゃくちゃくと戦力が向上して行ってると言える。しかしゲームとかでもそうだが大抵こういう時に限って厄介事が起きる気がするのだが気のせいだろうか?




読了ありがとうございます。自分は家が仏教徒なので自分が感じた二世の気持ちを書かせて頂きました。え、その割には落ちがギャグ?いやー公式設定には従いませんと(目逸らし)!
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