◯◯◯◯があって今にも死にそうなんだがどうすればいい?   作:電脳図書館

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第九話でございます。本家様でも丁度海外の転生者のことが話題になっていたので作成中に驚きました。


新装備と過去の残滓

今日は装備が出来たという訳でガチャで出た装備と共にを受け取る為に博麗神社に折紙、アズールと共に訪れている。

 

「まずはガチャで手に入れたアイテムを受け取るか」

 

「ライフリングだっけ?」

 

「おう、歩いたり走ったりしないといけないが自動回復が出来るのはありがたい。ついでにスピードリングⅡも買って行こう」

 

「速度を強化する聖剣と相性はいいからいい選択」

 

細々とした消耗品も買い足しつついよいよ本命の新武器を受け取る為魔女ネキの工房へ赴く。

 

「良くお越し下さいました」

 

「あ、来たわね。出来てるわよ」

 

「おお、これが・・・?」

 

魔女ネキと造魔であるライカの歓迎を受けるが、そこにあったのは一振りの聖剣・・・剣?あれ俺槍頼んだけど。見た目はめっちゃかっこいいんだけどな。確かに天閃の聖剣の面影はあるけども。

 

「あなた剣も使えるんでしょ?ちょっとしたギミックの仕込んだのよ」

 

「ん、ギミック?」

 

魔女ネキのレクチャーを受けながら操作をすると刃にもなっている柄の一部と刀身を取り外し、反転させ再度残った柄に取り付けると刀身とグリップが大きく伸びて槍の形状に変わり三叉の聖槍となった。

 

「おお!なんかこれ前世の仮面ライダーで見たことあるぞ!仮面ライダーデュランダルの聖剣だっけ?」

 

「狩谷も見てたんだ仮面ライダー。そっちにはデュランダル持ちがいるんでしょ?ふと思い付いちゃってね。それに狭いところでは聖剣状態の方が都合がいいはずよ」

 

「銘は聖槍ライトスピード。大切にしてね?」

 

「なるほど・・・ありがとう。流石ネオベテルの幹部だな」

 

「今度は私の武装もお願い」

 

「どういたしまして。オーダーお待ちしているわ折紙ちゃん。アズールはロボキチニキの方に装備を頼んでね」

 

生産に秀でているが幹部なだけあって戦闘での立ち回りも考えてくれている。ありがたいことだ。魔女ネキに礼を言って去ろうとするとまた来客が来たようだ。

 

「あ、狩谷先輩、折紙氏、アズール氏ここにいたんですね。いらっしゃっていると聞いて探しましたよ」

 

「え、俺の来客?ってエイナか」

 

ネオベテルの受付を行っているエイナ・チュール。俺が最初にこの神社を訪れた時に互助組織の窓口になってくれた人だ。正式に組織として発足したあとも自分とそのパーティーの担当をしてもらっている。

因みに前世、今世共にエリートで今世の故郷であるアメリカで世界的に有名な大学に通っていたらしいがここがメガテン世界であることを知って、メシア教の総本山があるアメリカから家族揃って前世の故郷である日本に移り住んだとのこと。~氏と呼ぶのは前世からの癖だ。因みに俺が彼女を呼び捨てにしているのは前世で彼女より先に生まれた先輩だからだ。え、じゃ何で向こうは~氏じゃなくて先輩呼ばわりしてくるのかって?

 

「エイナが先輩って言うのも新鮮ね。まぁ前世からの知り合いなら距離感も違って当然だけど」

 

「造魔の私達にも同様に扱ってくださっています」

 

「はは、先輩には色々お世話になりましたから」

 

そうあのメシア教施設爆破・・・ではなく襲撃作戦のことを報告して説教を受けていた時にその様子を懐かしく思っていたらぽろっと前世のエイナの名前を呟いてしまったことが切っ掛けである。

 

「まぁ俺が務めていた商社に入って来たばかりのころ教育係で1年、そのあとは後輩として1年の計2年間くらいしか面倒見てないけどな。優秀過ぎてヘッドハンティングされたし」

 

「うう、その話はちょっと…!」

 

「どうしたの?喜ばしいことでしょう?」

 

「カリヤの前世の葬式に不参加」

 

「へ?」

 

「ぐふ!?」

 

エイナが噴き出す。このことが発覚して以来俺に罪悪感を覚えているのだ。

 

「というより今世で再会するまで俺が先に死んでたことすら知らなかったからな。忙しいのか連絡一度も寄こさなかったし、だから男も出来ずに過労で死ぬんだよ」

 

「優秀なのも考え物ね・・・でも元職場の人から連絡はなかったの?」

 

「・・・(目を逸らす)」

 

「エイナ?」

 

「うん、なんだ・・・こいつ前世でも海外の有名大学を優秀な成績で卒業しててな。俺達が務めてた商社も一応上場はしてたんだが入った当初はエリート気質むき出しでな・・・そんでもって元々仕事人間ってこともあって性格が丸くなって愛嬌が出て来たときには俺以外の奴らと大分距離出来てて、しかも直ぐヘッドハンティングされたからな」

 

「あ(察し)」

 

まぁ俺も出来れば残って欲しいと思ってるとは言ったが最終的に本人の意志に任せたからあんま強く言えんが。あ、涙目になってる。

 

「よし、久々の後輩弄りは終わりにするか。で、何で探してたの?」

 

「は!?そうでした!!先輩のパーティーに是非ご依頼したいことがありまして!」

 

                   ・・・後輩説明中・・・

 

「ほうほう、ヤタガラスとの合同任務?」

 

「というより鍛錬?」

 

話を纏めるとヤタガラスと協力体制は取って交流・・・正確には互いの陣営の調査が裏の目的だろうが。ただ今回はヤタガラス内でも若い連中と組むことになるようだ。まだ未熟な面もあるだろうから鍛錬の為にというのも間違ってはいないだろうけど。

 

「それもあるだろうが、最悪裏切られて全滅させられても替えが効く連中か」

 

「はは、はっきり言うね。でもただでさえ人手不足なんだからそうなったら向こうもつらいだろうけどね」

 

「異界ですからそうしたとしてもイレギュラーが起きたことにしてしまえば意味がないのでは?」

 

「ああ、だから最低一人はヤタガラス側と連絡、或いは撤退出来る手段を持っているだろうな。まぁそんなことするつもりは無いから問題ないけどな」

 

「ということは受けて頂けるんですね?」

 

「こっちもヤタガラスがどんな奴らか知れるチャンスだからな」

 

「それはそれで追加報酬を求む」

 

ビシッと片手を伸ばして追加の報酬を求める折紙。元天使だが人間になって十数年こういうことも覚えて来た様だ。

 

「えーと報酬に不満が?」

 

引きつった笑みを浮かべるエレナ。よしやっぱ黒だな。お前感情が直ぐ顔に出るんだよ!

 

「おうおう、エイナも分かってんだろ?こう言ってはアレだが幹部程じゃなくても俺達高レベルなパーティーに頼むってことは力の差を見せつけてマウント取ってこい!とか情報探ってこいとかあるだろう?」

 

「いやーそんなことは・・・」

 

「先輩が後輩の隠し事くらい察せない訳ないだろ。武士の情けで詳しく問い詰めるのはやめて置くから追加報酬をだな」

 

「ま、待って下さい!!私にそんな権限「COMP」は、はい?」

 

「COMPが正式発売されたら第一次生産分を俺が買えるように書類をねじ込んでくれ。これなら出来るだろ?無論ちゃんとお金は規定額通り払うから」

 

「ええ!?た、確かに物理的には出来るとは思いますけど・・・そ、それなら別の方に依頼を持って行きます!!」

 

なるほどそう来たか、だがな可愛い後輩よ。俺にはお前特攻の伝家の宝刀があることを忘れたか?

 

「そっかー・・・それじゃ仕方ないな」

 

「ほ、分かってくれたようで「でもなぁ俺また早死にするかもな」・・・へ?」

 

「いやーほら俺神殺しじゃん?ぶっちゃけこれから数多くの修羅場を潜り抜けなきゃいけないだろ?だとするとCOMPのあるなしでかなり生存率変わるんだよなー」

 

「掲示板を見ただけでも霊装として破格なのは明らか。でも恐らく狩谷のことだから第二次まで待つと多分死に掛ける事件に一度は巻き込まれる可能性は高い」

 

「で、ですが」

 

「俺がもし死んだら・・・そのときは今度こそ葬式に来てくれよ?流石に"二度"も可愛がっていた後輩が来てくれないとなると死にきれないな・・・」

 

「うぐ・・・!」

 

「流石に今世で死んだことが伝わないことはないと思う。でも受付の仕事が急がしくて数日気づかれないはあるかも」

 

「そうだよな、折角前世とは違ってもっと積極的にエイナと交流を深めようとしてたのになー」

 

「え、エグイわね結構・・・」

 

兄妹でエイナの弱みをつついて行き半泣きにさせていると見守っていた魔女ネキとアズールにそろって引かれたが今はそれどころではないのだ。

 

「わ、分かりました!!COMPの件は請け負いますから!その代わりにちゃんと依頼を終わらせて帰って来てください!」

 

「おう、任せとけ!」

 

「最近リカームも使えるようになったから問題ない」

 

もう!とぷんすか怒りながらエイナは工房を出て行ってしまった。うーんやっぱあいつ弄るの楽しいな

 

「やったぜ」

 

「なしとげた」

 

「手加減して上げなさいよ?可愛い後輩なんでしょう」

 

折紙とハイタッチを行うと魔女ニキから苦笑いをされた。まぁ身内限定の行いだしなこれ

 

「はは、これぞ先輩特権ってもんだよ」

 

「・・・エイナもだけど貴方も素直じゃないわね。自分の死を弄るネタに使う事でエイナが持っている罪悪感を減らすのが目的でしょう?」

 

「さてな。COMPをいち早く欲しいのは本当だが・・・取り敢えず帰って準備するか。折紙、アズール帰るぞ」

 

2人も頷いて折紙がトラポートを唱えようとしていると、ライカが声を掛けて来た。

 

「狩谷様、失礼を承知でお伺いします。若くして亡くなられたとのことですが・・・前世の死因はなんだったのでしょうか?」

 

「ああ、そういえばエイナにも死因を言ってなかったっけ」

 

苦笑をしながら何で教えてくれなかったのかと文句を言うエイナを想像する。単に忘れていただけなんだけどな過程はやや複雑だが死因自体は単純なもので一言で済む。

 

「刺殺だよ、つまり他殺だな」

 

 

依頼を受けてから数日後の依頼当日。ここ数日イリナ達のアドバイスや稽古もありある程度聖槍モード、聖剣モードの両方の形態になれることが出来た。素早い形態の切り替えは組み立て式の槍を愛用していたからか最初から言うこと無しと言われたけど。

 

「にしてもトラポートの習熟度が増して霊地の管理者から許可を取っていれば行った事がない所でも飛べるようになったのは大きいよな」

 

「お陰で効率よく鍛錬と依頼の遂行が出来るというものだ」

 

スパルトイとトラポートの使い勝手の良さを語り合う。因みに今回は人があまりいないエリアでの泊まり掛けの異界攻略なのでスパルトイにも最初からついて貰っている・・・にしても荷物の一部を持ってもらっているが大きなリュックを背負ったスケルトンとか未だ嘗て見たことのない光景である。

 

「こっちも準備OK」

 

折紙とアズールの準備も終わり、集合場所に指定されたヤタガラス所有の霊地にトラポートで飛ぶ。其処には事前の話通り今回の合同任務のヤタガラス側のパーティーメンバーの一人が迎えに来てくれている。

 

「おお、これがトラポートですか・・・は!?失礼しました!事前に聞いてはいましたが何分初めて見たものでした」

 

「そっちはトラポートは貴重だったか。気にすんなこれから行動を共にするんだ。俺は神木狩谷、そしてパーティーメンバーだが義妹の神木折紙、造魔のアズルニールことアズール、闘鬼のスパルトイだ」

 

「これはご丁寧に、私は大和命と申します。皆さま今回はよろしくお願いいたします」

 

「こちらこそ」

 

「よろしく」

 

「うむ」

 

自己紹介を終えるとリーダーである俺と握手を交わす。見た所和服姿だが所々防具で補強しているが軽装、小刀を装備していることから俺と同じ機動力タイプか。というかくノ一って奴か?

 

「もしかしてくノ一なのか?」

 

「お判りになりますか。普段は諜報活動などもしております。とはいえ戦闘でも遅れは取りませぬ」

 

「なるほど、索敵も任せて良さそうだな。頼りにしているぞ」

 

「お任せ下さい!では残りのメンバーの場所までご案内いたします。皆歓迎してくれるはずです」

 

それは良かったと頷きながら命の後をついて行く。多少の疑念程度なら兎も角最初から不信感マシマシだと中々面倒だからな。と思っていたんだけど

 

「俺は鹿島桜花という。いきなりで悪いが【万神連合ネオベテル・ウルトラスープレックスホールド】所属の者よその力を見せて欲しい。一騎打ちを願い出よう」

 

「あ、歓迎ってこういうこと?」

 

「違いますよ!?」

 

探索の前に色々面倒があるみたいだ。にしても何で前世から割と厄介な人間と巡り合うんだろうか?




読了ありがとうございました。本家様もいい具合にごちゃまぜになっているので今作も好きな作品を投下していきますよー。今回はダンまち勢の参入です。

エイナ・チュール
20代前半のネオベテル所属の優秀な受付嬢。そのルックスと人間性から看板娘的な扱いを受けているが前世のこととはいえ元々はエリート気質むき出しだったためその人気に素直に喜べないでいる。前世は上場企業の商社で狩谷が教育係、その後部下となったがヘッドハンティングされ海外に渡ったのだがハードな仕事で40代前半あたりで過労に倒れ亡くなってしまう。今世では海外に行ったことは今の所後悔とまでは行かないがそのまま慕っていた狩谷の部下でいたらどうなっていたのだろうと考えることもある。因みに覚醒者で可愛い白兎の造魔を連れている・・・因みに彼女のポジションはゲームで言う所の『前作ヒロイン』。この場合のヒロインは主人公と言われる人間の恋人というより運命の分岐点に成り得る存在の事を指す。今世のヒロインが折紙達ならエイナは前世のヒロイン、しかし今現在に置いてもその自覚は無く彼女の選択が狩谷の前世に置いて大きな分岐を齎した。それが幸福かはたまたそれ以外か、今のエイナには知るよしもない。

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