仮面ライダーゼロワン&賢者の孫   作:仮面大佐

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第13話 ライダー達の休息

 こうして、魔人を迎撃出来たものの、勝負には負けると結果になった、アルティメット・マジシャンズ。

 アールスハイドに戻る事にした。

 

オーグ「魔人襲撃で予定より1日延びてしまったが、これよりアールスハイドに帰還する。………シン。」

シン「ん?」

オーグ「不遜な言い方だが、お前のお陰で私達は随分力を付けた。だが、まだお前と私達の間には大きな隔たりがある。」

シン(何でちょっと不機嫌そうなんだ?)

オーグ「………だが、何時か必ず………。」

マリア「?」

ユウト「オーグ?」

滅(………シンと比べて、力不足なのが悔しいのだろうな。)

 

 オーグは、そんな風に言う。

 マリアとユウトが首を傾げる中、オーグは口を開く。

 

オーグ「兎も角、お前達はもう少し力の振る舞いを知れ。」

シン「っ!む、麦畑の話か!?」

ユウト「確かに………アレはやりすぎだったな………。」

レックス「本当にやりすぎだ。」

シン「スマン!」

マリア「まあ、気持ちを分かるけどね、シシリーを目の前で狙われたら………私だって黙ってられないし。」

トール「ただ、シン殿とユウト殿の場合、レベルが違い過ぎるんですよね。」

迅「確かに。シンの場合、うっかり間違って、魔法1発で、街を滅ぼしそうだしね。」

オリビア「ウォルフォード君、イーウェル君、うっかり世界を滅ぼさないで下さいね?」

 

 オリビアがそんな風に言うと、シンは大きく突っ込む。

 

シン「俺は魔王か!?」

ユウト「心外だな。シンはともかく、俺は大丈夫だ。」

タクヤ「確かに。ユウトの方がまだマシだからな。」

シン「何で、俺、そんなに貶されてんの!?」

コハル「自分の胸に聞け。」

 

 すると、周囲の人たちが、ヒソヒソと話していた。

 嫌な予感がしたシンは、話しかける。

 

シン「お、お前ら何ひそひそしてんだ?」

マリア「魔王………。言い得て妙ね………。」

リン「魔法使いの王………。ウォルフォード君にぴったり。」

ユリウス「”魔王”シン殿で御座るか………。」

オーグ「フム、シンの二つ名は決まったな。」

シン「………止めろ!!」

 

 その二つ名に、シンが叫ぶ。

 

シン「魔王ってもっとあれだろ!?世界を支配したり、悪さの限りを尽くしたり……!イメージ悪過ぎだろ!!え!?まさか魔王の概念無いの!?」

オーグ「何を言ってるんだお前?」

雷「まあ、良いじゃねぇか!魔王さん?」

シン「マジでやめろ!!」

ユーリ「格好良いわよねぇ。魔法使いの王で魔王!寧ろ、これ以上のものは浮かばないよねぇ。」

シン「思い浮かぶってぇぇぇ!!何かあるってぇぇぇぇ!!」

オーグ「それよりそろそろゲートを開いてくれ。騒ぎは避けたいから、今度は詰所以外の場所でな。」

シン「だから俺を無視して話を進めんなって〜〜〜〜!!」

 

 しばらく、シンのツッコミが炸裂していた。

 ちなみに、魔王姿のシンの想像をしたユウト、タクヤ、コハルは、必死に笑いを堪えていた。

 そして、そんな三人の姿を見て、シンは恨みがましい視線を向ける。

 アールスハイドの王都全体で、アルティメット・マジシャンズと仮面ライダーの人気が高まっていた。

 それを予想していたレックスは、頭を抱えていた。

 何せ、タクヤとコハルも、レックスの家に下宿しているのだから。

 そんな中王城では。

 

ルーパー「お!」

 

 ゲートで帰還したアルティメット・マジシャンズとユウト達を見て驚いた。

 

ルーパー「おかえり………なさいませ。」

ドミニク「何故こんな場所に………。」

オーグ「む、休憩中だったか。スマンな。」

シン「騒ぎになるから、人の多い場所は避けようって事で、テキトーな所にゲート繋ぎました。」

ルーパー「そ、そうか。賢明だな。」

 

 シンの言葉に、そう頷くルーパー。

 オーグは、全員に話しかける。

 

オーグ「既にクルト防衛の街も広がって街中大騒ぎだ。全員しばらくは街に出ない方が良い。」

アリス「ええ!?私たちも!?」

亡「まあ、大体そうなると、思っていましたが。」

レックス「やめてくれよ………俺の家に人々が更に殺到しそうだ………。」

雷「これは、大変だな。」

タクヤ「おいおい、迂闊に歩けねぇじゃねぇかよ。」

コハル「そうだな。」

ユウト「………下手に歩いてたら、取り囲まれそうだな………。」

 

 ユウト達がそう話していると、ドミニクが話しかける。

 

ドミニク「そう言えば殿下。殿下が他国を回っている間に、エルスとイースとも連絡が付きました。」

オーグ「っ!」

 

 その報告に、オーグは目を見開く。

 ドミニクは、三国会談の予定を伝える。

 

ドミニク「今の所、調整を経て三国会談を行う予定ですが………。時期は学院が休暇明けになりそうです。」

ユウト「会談は夏休み明けか。」

オーグ「旧帝国に変化は無いか?」

ドミニク「今や帝国領は魔物の巣窟ですからな………。正直他国の力を借りねば諜報活動すらままならん状況です。」

オーグ「結局の所三国会談待ちか………。」

ドミニク「ん?何か気に掛かる事が?」

 

 オーグの言い方に、疑問を持ったドミニクが質問をする。

 そして、オーグの言葉に、ドミニクだけでなく、ルーパーも驚愕する。

 

オーグ「強力な魔人が複数居た。恐らくは個々で国を落とせるレベルの手練れだ。クルトではそいつらを1体足りとも討伐出来ていない。」

ドミニク「っ!何と………!」

ルーパー「くそ………!やっぱ油断ならねぇな、魔人共………。」

 

 ルーパーがそう言う中、ドミニクは、ある事を、オーグに報告する。

 

ドミニク「殿下、此方でも一つ気掛かりが。推測ですが、ウォルフォード君の調査に来たと思われる賊が1人王城に現れましたが………我々の失態で取り逃がしてしまいました………。申し訳御座いません。」

シン「俺を?」

オーグ「どんな奴だ?」

ドミニク「こう言っては何ですが………。かなりの美形で、少年の様な男です。見た所、魔人共とは関係無いようでしたが………。」

マリア「美形?」

アリス「どんな奴だろう?見てみたいね。」

オーグ「何にせよ、今暫く動くべき時ではなさそうだな。合宿の続きで腕を磨きたいのも山々だが………。人目を避けてとなるとそれも難しいか………。」

 

 合宿の続きを、どこでしようかと頭を悩ませるオーグ達。

 そこにユリウスが提案を言った。

 

ユリウス「それならば全員で、拙者の実家に来ると良いで御座る。今なら魔人討伐や殿下の王太子就任で世間も浮かれている故、リゾート地に言っても何も言われんで御座ろう。」

マリア「ええ!?リッテンハイムリゾートに!?」

アリス「良いの!?やったぁ!!」

シン「ああ、前に言ってた武士のリゾートか。」

ユウト「武士?」

 

 シンの呟きに、ユウトが首を傾げる。

 ユリウスは、言葉を紡ぐ。

 

ユリウス「海でも山でも何でもあるで御座る。皆、特訓やら魔人やらで疲れも溜まっているで御座ろう。」

マリア「夏休みの締めにも丁度良いわね!」

シン「割り切ってバカンスってのは良いと思うけど、俺山育ちだし、山は取り敢えずいいかな………。」

ユリウス「そう言えば、そうで御座ったな。」

シシリー「じゃあ海にしましょう。それならシン君も楽しめますよね?」

マリア「おっと、やるわねシシリー。」

シシリー「何が?」

 

 シシリーの提案に反応するマリア。

 シシリーは、何の事かと首を傾げていたが、マリアの言葉に顔を赤く染める。

 

マリア「海って事は水着よねぇ?シシリーったら、シンに水着を見せてどうするつもりなのかしらぁ?」

シシリー「あぅっ!そ、そんなつもりじゃ!た、ただシン君が楽しめた方が良いと思って!」

シン「分かってるよシシリー。」

シシリー「シン君………。」

シン「水着楽しみにしてる。」

 

 シシリーは、シンに笑顔でそう言われ、顔を赤く染める。

 

シシリー「もう!もう!」

 

 シシリーは、照れ隠しにシンを叩く。

 

シン(可愛いなぁ〜。)

ユリウス「そうで御座る。折角だし、都合が合えばご家族も連れてくると良いで御座る。幸か不幸か、魔人騒ぎでキャンセルが多く出たで御座るからな。」

アリス「本当!?ユリウス君太っ腹ぁ!」

 

 そんな風に盛り上がっている中。

 

ユウト「悪いけど………俺、パス。」

アリス「どうして?」

ユウト「いや………魔人やアークの脅威がまだあるのに、呑気にバカンスなんて………痛っ!?」

 

 ユウトがそう言いかけると、レックスが背中を思い切り叩く。

 

レックス「ユウト。お前もリッテンハイムリゾートに行ってこい。」

ユウト「え…………?」

レックス「お前だって、シャイニングホッパーの負荷で、そこまで戦闘が出来ないだろう。少しは休め。」

ユウト「でも………!」

迅「そうだよ!」

滅「お前は、少しは休め。」

亡「ええ。休むのもまた、仮面ライダーにとって必要です。」

雷「心配すんな。魔人やアークの動向は、俺たちが見張っとくからよ。」

ユウト「でも………滅達にだけ負担をかけるわけには………!」

 

 ユウトがそう言う中、タクヤとコハルとイズが、ユウトの肩に手を置く。

 

ユウト「三人とも………。」

タクヤ「お前はさ、ゼロワンとしての使命に縛られすぎだ。たまには羽を伸ばしても、誰も怒りはしねぇよ。」

コハル「ああ。休まずに戦闘をした結果、倒れられても、こちらが困る。英気を養え。」

イズ「ユウト様。シャイニングホッパーの負荷は、まだ残っているはずです。休みましょう。」

ユウト「…………分かった。滅達も、悪いな。」

滅「気にするな。」

レックス「しっかり、羽を伸ばせよ。」

 

 こうして、ユウト、タクヤ、コハル、イズの四人が、リッテンハイムリゾートに向かう事になった。

 滅達は、アールスハイド王都に残る事に。

 ユウトは、イズと共にライズホッパーに乗り、タクヤは、コハルと共に、ライズウルフというバイクに乗る。

 ちなみに、シン達は、家族を連れてきているが、ユウト、タクヤ、コハルに関しては、家族は連れてきていない。

 三人とも、アールスハイドの王都からは、離れた場所に実家があるからだ。

 馬車に合わせて、二日かけて、リッテンハイムリゾートへと到着した。

 

シン「おお!海だ!」

ユウト「結構、広いな。」

 

 ユウト達は、ユリウスの父親に挨拶しに行った。

 

マルコ「皆様、ようこそおいで下さった。拙者ユリウスの父、マルコ=フォン=リッテンハイムで御座る。」

シン(1ミリも武士関係ねぇじゃねーか!!ってツッコんだらマズイかな………。)

マルコ「お久し振りで御座るアウグスト殿下。そして、お目に掛かれて光栄で御座る賢者様、導師様。それに………シン君。君は、ユリウスに出来た対等の友人だ。拙者、そう言った関係は何より大切に思う。皆と共にゆっくりと寛いでいってくれ。」

 

 そうして、ユウト達は水着に着替える事に。

 そして、男性陣は、水着に着替えて、先にビーチに来ていた。

 

シン「おお………白い砂浜!(前世でもこんなリゾート来た事ないなそう言えば………。)」

ユウト「青い空、白い雲。水平線にまで伸びる、海。リゾートだねぇ………。」

タクヤ「まあ、偶には、リゾートで羽を伸ばすのも、ありだな。」

メイ「シンおにーちゃーん!」

シン「ん?」

メイ「お待たせー!」

 

 男性陣がそう話していると、女性陣も到着する。

 

メイ「エヘヘ、どうですか?」

シン「可愛い可愛い。よく似合ってるよ。」

ユウト「二人は、自重してくれ。露出が激しすぎる。」

ユーリ「そぉ?」

エリザベート「だ………だってアリス達と買い物行ったらコレが良いって………あ………あまり見ないで下さいまし。」

タクヤ「で、お前らは、無難にそれを選んだのか?」

リン「心外。これが私達に1番似合う。」

アリス「そう、お子様水着がね!」

 

 そう言うと、リンとアリスは、泣き出す。

 

ユウト(盛大な自爆だなぁ………。)

アリス「なあっ!?」

 

 すると、アリスは、オリビアの水着姿を見て、驚愕する。

 

アリス「お………温泉の時は見落としてた……。こんな所に思わぬ伏兵が………!」

コハル「本当に、元気だな。」

タクヤ「お前は、無難に普通の水着って事か?」

コハル「そうだが?悪いか?」

タクヤ「いや、別に。」

アリス「何か………コハルの胸も普通に大きいよね………。」

リン「確かに………。」

コハル「胸の大きさくらいで僻むな。」

 

 アリスとリンの僻みを、コハルは一刀両断して、その二人は地面に崩折れる。

 

ユウト「そういや、親御さんは?」

マリア「気にせず友達と遊んで来いってさ。」

イズ「そうですか。」

アリス「ていうか、イズは水着、着ないんだね。」

イズ「私は、ヒューマギアです。水に入るのはダメなので。」

シシリー「あの………シン君、お待たせしました。」

 

 そんな風に話していると、漸く水着に着替えたシシリーが到着した。

 

シン「………!!」

シシリー「や………やっぱり少し恥ずかしいですね…………。」

シン「……………。」

 

 シンは、シシリーの水着姿に見惚れていた。

 そこに、ユウトが背中を叩く。

 

ユウト「ほら。何か言ってやれ。」

シン「あの…………えと………可愛い………す………凄く似合ってる………。」

シシリー「あ………ありがとうございます………。」

アリス「さあ泳ごう!!」

 

 そう言って、女性陣は、海で遊ぶ。

 

トニー「いやー眼福眼福。僕らは幸せ者だねぇ。」

マーク「刺激が強いっス………。」

 

 そんな中、リンが海に向かおうとすると、立ち止まる。

 

リン「今思い出した、泳げない!」

タクヤ「カナヅチか?」

シン「しょうがねーな、ちょっとバンザイしてみ?」

 

 シンが異空間収納から何かを出し、リンがバンザイすると、何かがすぽっとリンに入った。

 

リン「これ何?」

ユウト(浮き輪?)

シン「こんな事もあろうかと作っといた。それ着けて海入ってみな。」

 

 リンは、シンが出した浮き輪を持ちながら、海に入ると、感激した。

 

リン「お、お、おお!おおお〜〜〜〜!!!」

タクヤ「テンション高ぇな。」

マリア「ちょっとシン!あれ何!?」

シン「魔物化した大型のカエルの皮って、水を弾くし尚且つ軽いんだ。それでカナヅ………泳げない人用に浮き輪を作ってみたんだよ。」

アリス「凄い何それ画期的!!」

メイ「私も欲しいですシンお兄ちゃん!!」

 

 シンの説明に、アリスとメイが食いつく。

 そして、マジカルバレーを再びやる事に。

 それを見ていた、ユウト達は。

 

ユウト「おい、シン。」

シン「ん?」

ユウト「何だ、あれ?」

シン「ああ、マジカルバレーだよ。」

タクヤ「バレーなのか…………!?」

コハル「身体強化に魔法を使っているぞ………!?」

 

 ユウト達は、マジカルバレーにドン引きしていた。

 前世で知るバレーのレベルを超えた代物に。

 

シン「シシリー、暇だしちょっと俺、爺ちゃん達の様子見てくるよ。」

ユウト「俺も行くよ。」

タクヤ「じゃあ、俺たちは、待ってるわ。」

コハル「そうだな。」

 

 そうして、シンとユウトは、マーリン達の様子を見に行く事に。

 途中、一人で釣りをするマーリンを見る。

 

シン「ん?」

ユウト「マーリン様?」

シン(爺ちゃん………見なかった事にしよう…………。)

ユウト(何泣いてんだお前?)

 

 しばらくすると、シシリーの姉のセシリアにシルビア、メリダが居る場所に着く。

 

セシリア「あらシン君にユウト君。」

シルビア「2人でどうしたの?」

シン「いえ、俺の提案した遊びに皆、すっかりハマっちゃって………。」

ユウト「まあ、暇なんで。」

セシリア「へぇ、そうなんだ。」

シルビア「暇してるって訳ね。」

メリダ「丁度良かった。だったらコレ塗っておくれシン。」

 

 メリダは、そう言って、サンオイルをシンに渡す。

 

ユウト「サンオイル?」

シン「日焼け止めじゃなくて?若いなー。」

メリダ「海に来て焼かないとか、私の選択肢にはないさね。」

 

 メリダはそう言って、その場で水着を脱いだ。

 ちなみに、ユウトはサンオイルと聞いた時点で、目を背けていた。

 

セシリア「ど、導師様!!そんな大胆な!!」

 

 メリダは水着を脱いで、ビーチチェアの上で俯せになる。

 

シン(うーん、肩揉みレベルの面倒さ………何が悲しくて婆ちゃんにサンオイルを………。)

 

 シンは、少し泣きながらメリダにサンオイルを塗っていく。

 それを見ていたセシリアとシルビアは。

 

セシリア「………シルビア。」

シルビア「ええ、セシリアお姉様。」

セシリア「シン君、ちょっと良い?私達も日焼け止めまだなの。」

シルビア「塗っていただけない?」

 

 シンがそれを聞くと、顔を赤らめ、慌てる。

 

シン「え!?………いやでも………そ………それは色々とマズいんじゃ………!!」

セシリア「フフ、大丈夫よ。シシリーには内緒にしておいてあげる。」

シルビア「それにこれはただの医療行為よ。疚しい事なんて何もないわ。」

シン「(何か物凄〜〜〜くダメな気がするけど……。)そ………そう言う事なら………わ………分かりました………。」

 

 シンは、後ろめたさを感じながら、セシリアとシルビアに日焼け止めを塗る事に。

 一方、ユウトは、ずっと黙っていた。

 

ユウト(………シン、それがシシリーにバレたら、怒られるぞ。)

 

 ユウトは、そう思っていた。

 すると。

 

ユウト(あれ………?何か………寒く……!?)

 

 ユウトが寒気を感じると、そこには。

 

シシリー「何………してるんですか………?」

 

 目から光が消えて、氷を発生させながら歩いてくるシシリーの姿が。

 

シン「シ………シシ………リー………!?何………でここに…………!?」

シシリー「…………いえ、シン君とユウト君を除け者にしたみたいで………やっぱり申し訳ない気がして………追い掛けて来たんですが………。これは一体………どう言う事でしょうか?」

 

 すると、段々冷気が強まり、ビーチパラソルが凍結された。

 

ユウト「寒っ………。」

メリダ「…………。」

 

 ユウトが寒さに震え、メリダが無言でいると、セシリアとシルビアが大きく叫ぶ。

 

「「違うのよシシリー!!」」

シシリー「はっ!!」

シルビア「私達が彼にお願いしたのよ!!」

セシリア「そう!導師様に凄く上手にオイル塗ってたから!!」

((て言うか、シン君に塗って貰ったら何か運を分けて貰えそうな気がして………。))

 

 セシリアとシルビアは、運を分けて貰えそうという理由で、頼んだのだ。

 だが、セシリアとシルビアは、日焼け止めをシンに塗ってもらう為に、水着を脱いでいる。

 つまり。

 

シン「ちょ………おね………!」

シシリー「っ!!シン君!!見ちゃダメーーー!!」

シン「ぷわっ!?」

 

 それに気づいたシンが、何かを言おうとするが、シシリーが即座に胸にシンの頭を突っ込ませる。

 

ユウト「……………。」

 

 ユウトは、無言でいた。

 シシリーは、2人の姉に注意をする。

 

シシリー「もうお姉様!!ちゃんと水着着て下さい!!」

「「え?あ!」」

シシリー「はっ!きゃああああごめんなさい!!」

シン「ぷはっ………。」

 

 シシリーがそう注意するも、シシリー自身も、シンを胸に抱いていた事に気づき、即座に離す。

 メリダは、ため息を吐きながら、シシリーに話しかける。

 

メリダ「やれやれ、騒がしい子達だねぇ。」

シシリー「お婆様………。」

メリダ「心配いらないよシシリー。この娘達の言ってる事は本当さ。寧ろ、シンはアンタの事を気にして躊躇してたしね。」

シシリー「そう………だったんですか………。ごめんなさいシン君………私………早とちりして………。」

シン「いやいや!俺も………誤解されるような事をしてて………ごめん!」

ユウト「やれやれ。シシリー、いきなりそんな事をするんじゃなくて、少しはシンの話を聞いてやれよ。」

シシリー「は、はい………。」

 

 ユウトが、そんな風にアドバイスをする。

 その後、シンがシシリーに日焼け止めを塗る事になったのだが。

 

シルビア「そう言えば。」

セシリア「私達、まだ塗って貰ってないわね………。」

メリダ「安心おし。私が塗ったげるよ。」

セシリア「ひゃああああ!!ど、導師様冷た!」

シルビア「で………出来れば人肌ぐらいに温めてから………。」

メリダ「はあ!?知るかいそんなの。」

 

 セシリアとシルビアは、メリダに日焼け止めを塗って貰った。

 一方、ユウトは。

 

ユウト(ゼロワンとしての使命に縛られすぎか………。そんなに縛られてるのか?)

 

 そんな事を考えていた。

 その後、マジカルバレーの激しさを見て、ユウト達は、更にドン引きしていた。

 夕方。

 

シン「はぁ〜〜〜遊んだ遊んだ!くたくただ〜〜〜!」

ユウト「そりゃあ、あんな激しいバレーをしてたらな。」

タクヤ「腹減ったなぁ。」

コハル「丁度、夕食どきだしな。」

 

 そうして、ユウト達は着替える事にした。

 その後、バーベキューが始まった。

 

シン「ひゃ〜〜〜美味そう!!頂きま〜〜す!!」

ユウト「いやぁ〜〜美味いな。」

タクヤ「美味い!」

コハル「もう少し、落ち着いて食え。」

 

 そんな中、シンとユウトが、日焼けしたマーリンに話しかける。

 

シン「グレたの爺ちゃん?」

ユウト「喧嘩でもしたんですか?」

マーリン「違うわい!1日中、釣りしとったら真っ黒になってしもうた。」

セシル「け、賢者様。何かお悩みでしたら私共が………。」

マーリン「だからグレとらんわい!」

 

 シンとユウト、セシルの言葉に、そう突っ込むマーリン。

 そんな事もあるが、盛り上がっている中。

 

???「皆、楽しんでおるようだな。」

セシル「へ………陛下!?」

ロイス「それに………王妃様まで何故ここに………!?」

 

 そう、オーグのご両親が来ていたのだ。

 

ディセウム「おや?今日の招待は親子同伴でと聞いたが、私達が来るのは可笑しいかな?」

セシル「いえそんな事は………し…………しかし………。」

 

 いきなり、陛下が現れて、混乱しているセシル達。

 マリアは、シンに理由を聞いた。

 

マリア「お…………お2人は何時からいらしてたの…………!?」

シン「ついさっきだよ。定期連絡にゲートで王城行ったら待ち伏せされてた。」

ユウト「待ち伏せて………。」

 

 そんな風に話している中、メイとオーグが話しかける。

 

メイ「お母様!!」

オーグ「母上、遅いお着きで。」

ジュリア「余計な事言わなくていいの、アウグスト。」

 

 彼女は、ジュリア=フォン=アールスハイド。

 オーグとメイの母親で王妃様。

 

ジュリア「折角シン君の『ゲート』と言う便利な魔法があるんだから………私達王族の人間まで危険な馬車の旅するする必要はないでしょう?」

 

 そう言うジュリア。

 それを聞いたオーグとメイは、尋ねる。

 

「「………本音は?」」

ジュリア「馬車の旅はシンドい!」

 

 ジュリアがそう言うと、周囲がしーーーんとした。

 

ジュリア「ぷっ………ほほほほほほ!冗談よ冗談!」

 

 自分の失言に気づいたジュリアは、笑って誤魔化す。

 

シン「随分砕けた人だよな………。」

タクヤ「確かにな。」

マリア「………まぁ、そこが国民に好かれる所なんだけどね。」

ユウト「オーグの家族って、個性的だよな。」

マリア「でも実際、ジュリア王妃様は福祉なんかにも凄く力を入れていて………。お金を出すだけじゃなくて、自ら養護施設や孤児院に足を運んだりして、国民とのふれあいも大事にする方よ。」

コハル「良き王妃と言うわけだな。」

イズ「そのようですね。」

 

 マリアの言葉に、そう頷くコハルとイズ。

 

ジュリア「堅苦しいのは抜きにして下さいね皆様。折角のリゾートなんだから、気にせず羽を伸ばしてちょうだい。」

ディセウム「ウム。我々も今だけは休ませて貰うぞ。」

メイ「お母様!お母様!」

ジュリア「あらどうしたのメイ?」

メイ「見て下さいです!マジカルバレーの合間にシンお兄ちゃんとお魚釣ったんです!」

 

 メイはそう言って、異空間収納から、魚を取り出す。

 それを見たディセウムとジュリアは呆然とする。

 

「「……………。」」

メイ「どうしたです?お魚にそんなにビックリしたです?」

ディセウム「い………いやメイ………その前に………い………何時の間に異空間収納の魔法なんて………。」

ジュリア「普通大人だってそうそう使えないのに………。」

メイ「シンお兄ちゃんに教えて貰ったんです!とっても便利です!」

 

 それを聞いたディセウムは、すぐにシンを呼び寄せる。

 

ディセウム「困るよシン君………。君の非常識を娘にまで植え付けられては………。」

シン「へ?俺5歳で普通に使ってたけど?」

ディセウム「だって君は異常だろ?」

シン「それ、本人に言うセリフか?」

ユウト「確かに、シンって、異常だからな。」

シン「納得するな!」

ディセウム「あまり出鱈目な魔法使いになられても、娘の貰い手がだね………。」

メイ「別にお嫁に行かなくても良いです。シンお兄ちゃん達と魔物狩るです!虎とか獅子の魔物とかいっぱいいっぱい狩るです!!」

ディセウム「シ〜〜〜〜ンく〜〜〜〜ん!!」

 

 ディセウムは、メイがそんな事を言う理由になった元凶に怒鳴る。

 それを見ていたユウト達は。

 

タクヤ「アイツ、何やってんだ………。」

コハル「普通、そんな歳のメイ様に教えるか?」

イズ「やはり、シンさんは、異常ですね。」

ユウト「確かに。」

 

 そんな風に話していた。

 そんな中、メリダがジュリアに話しかけていた。

 

メリダ「久し振りだねぇジュリア。元気にしてたかい?」

ジュリア「あらメリダ様、お久し振りですわ!」

メリダ「お互いこれから大変だねぇ。まさかこの歳になって嫁にあれこれ指南する立場になるとは、思ってもみなかったけどね。」

ジュリア「まだまだお若いのに何仰いますか。私達ですらまだまだ御教授頂きたい位ですのに。」

メリダ「シシリー!エリー!こっち来て話に入りな!」

「「は………はは………はい!!」」

 

 メリダは、シシリーとエリーを呼び、話に入らせる。

 しばらくして、ディセウムが、ある事を発表する。

 

ディセウム「おおそうだそうだ!ここに来た一番の目的を忘れる所だったよ。アルティメット・マジシャンズはこれまでに2度も他国を魔人から救った。その際にかなりの数の魔物を倒しただろう。そこでだ!功績があまりにも大きい為、新しい勲章を作り、全員にそれを授与する事になった。」

オリビアの父「ウチの子が勲章!?そ………そりゃ凄い!!」

トニーの母「トニーが魔法学院行くって言い出した時は絶望を感じたものだけど………。」

トニーの父「ウム。これなら認める他ないな。」

トニー「大袈裟だなぁ。」

ディセウム「近い内に叙勲式を執り行うから、皆そのつもりでいてくれ。」

コハル「分かりました。」

アリス「うわぁ………メッチャキンチョーしそう…………。」

 

 コハルが、ディセウムの問いに答え、アリスが緊張する。

 そんな中、シンがメリダに話しかける。

 

シン「今回は………良いの?」

メリダ「まぁ良いさね。チームとしての功績だから、私らが口出す事でもないし(それに、恐らくこれによって、シンやユウトや殿下以外のメンバーにも、より自覚が生まれるはず。自分達が世界を救う立場にあると言う自覚が………。)」

 

 メリダは、そんな風に考えていた。

 そうして、リッテンハイムリゾートでの休暇は終わった。




今回はここまでです。
リッテンハイムリゾートでの休暇を、ユウト達は過ごしました。
冒頭でもあったように、ゼロワンとしての使命に縛られたユウトは、休息をとるという選択肢を失っていました。
現在、アンケートを取っていますが、サウザーは、最初から味方が多いですね。
メタルクラスタホッパーとプログライズホッパーブレードは、どんな風に出したら良いんですかね。
あと、一つ考えているのが、1型の強化です。
使うドライバーが、サイクロンライザーからゼロワンドライバーに変わって、使用するゼツメライズキーも、シャイニングアサルトホッパーベースのゼツメライズキーに変更しようかなと考えています。
ダイアウルフみたいに、アサルトグリップはそのままで、キーがシャイニングホッパーのリデコという感じで。
そして、ユウトにヒロインは必要なのかというのも、最近考え始めています。
一応、これまで投稿した小説の差別化として、ヒロイン無しを考えていたんですが。
まあ、仮にヒロインありに変更するとなると、ユウトは、アルティメット・マジシャンズの女性との仲は、普通なので、厳しいとは思いますが。
感想、リクエスト等、絶賛受け付けています。

サウザーの立ち位置に関して

  • 最初から味方
  • 最初は第三勢力として

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