五等分の花嫁 -青き騎士と風吹く丘の花嫁たち-   作:ごと嫁よかったBOT

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実は、ごとなつも買ってある話もする?


数年越しのrestarting

 

「皆さん。転入生の中野二乃さんと鏡彰人さんです」

 

 教室にたどり着いた彰人と二乃は、教師の指示でクラスメイトへ挨拶をしていたところだった。二乃を見て可愛いと反応する男子生徒に対し、女子生徒は彰人に対して関心を抱いていた。彰人の実父はアメリカ人とのハーフであり、その血を濃く継いだためか、彰人もまた金髪であった。日本人とアメリカ人のクォーターであり、鏡飛彩を見てわかるように鏡家の血もまた容姿が整っているため、目鼻立ちがくっきりとした美形になるのは当然のことだった。結果として、女子生徒たちが騒いでいるのは、彰人の顔立ちに対してなのである。

 

「では、2人とも最後列に空いてる席がありますね。廊下寄りが中野さん、窓寄りが鏡さんの席です。困ったら、先生でも周りの人でもいいので頼ってください。皆さんもいいですね」

 

 元気のいい返事がクラスから返ってきたのを見て、彰人と二乃はそれぞれの席へ着いた。彰人の隣-教室の後方、窓際の席には彰人と同じ金髪の男子生徒が座っていた。

 

「さっきも自己紹介したが、鏡彰人だ。よろしく頼む」

「君が父の言っていた鏡君か。僕は武田祐輔。よろしくね」

 

 キランッと効果音が付きそうなウィンクを返してきた武田に対し、鏡は”父”と”武田”という名字のことが頭に引っかかっていた。

 

「理事長の息子ということは…」

「お察しの通り、理事長は僕の父だよ」

「そうか。同じ医者志望だと聞いている。仲良くしてくれ」

 

 その言葉に武田は了承の言葉を返したが、彰人は一瞬武田が少し何か顔をしかめたのを見逃してはいなかった。しかし、他人が口出しすることでもないと考え、授業を始めようとする教師の方へ向き直った。

 

(親の期待で本音が言い出せないといった所か)

 

 どこの家庭にもあるものかと考える彰人をよそに、授業は開始された。

 

 

 

 

 

 

 滞りなく授業が終わると、彰人は誰が話すか牽制し合っている女子生徒を他所に、早々に教室の外へ出た。向かう先は、もう1人の家庭教師がいる教室だった。

 もう1人の家庭教師が決まったとマルオから前日に詳細を聞いており、その際、顔写真を確認していた。明日は家庭教師初日の予定だが、当日に顔合わせするのもおかしな話だと編入直後であるが声をかけようと考えていたのだ。

 

(ちょうど終わった所か)

 

 ホームルームの長さの差か、彰人が教室の前に来たタイミングでドア越しに解散の声が聞こえ、足を止めた。出てくる生徒から、目的の人物を見つけ、声をかけた。

 

「上杉」

 

 声をかけられた人物は自分のこととは気付いていないのか、通り過ぎようとした。彰人はその肩を掴んだ。そして、もう一度名前を呼ぶとようやく自分と気づいたのか、振り向いた。

 

「上杉風太郎であってるな」

「ああ、お前は……制服が違うし転入生?ということは、もう1人の家庭教師か」

「鏡彰人だ。まぁ、立ち話もなんだ。帰るんだろ?歩きながら話そう」

 

 彰人がそのまま昇降口に向かい始めると、風太郎もそれに続いた。

 

「上杉。いきなりで悪かったな。前日に簡単に顔合わせはした方がいいと思ってな」

「いや、俺は構わないが......」

「どうした?」

 

 いい淀む風太郎に対し、彰人は問いかけるが続いての言葉は返ってこない。しかし、彰人の視線に圧を感じたのか、少しの間をおいて風太郎は口を開いた。

 

「1人の生徒に家庭教師を2人つけるのはなぜか、疑問に思っていてな」

「ん?」

「いや、普通そうだろ。2人の家庭教師をつけても体は1つしかないし...」

 

(5つ子だってことを聞いていないのか?)

 

 元々は彰人が1人で家庭教師をする予定だったところを、5つ子全員が落第寸前レベルの学力ということ、自身の仕事との兼ね合いもあるが、1人では教えきれないという考えがあり、もう1人家庭教師を用意してもらったと認識していた彰人。それに対して風太郎の認識はかなりズレたものだった。

 

「家庭教師の依頼について、どこまで聞いてる?」

「転入してきた金持ちの子供、まぁ同級生だが。そいつの家庭教師だろ」

(5つ子なことも、学力のことも聞いてないみたいだな。なら、依頼の内容から訂正を......いや)

 

 彰人の中で、自分のことをからかいにからかいまくってきた1人の男の存在が頭をよぎっていた。小中の間、幾度となくからかわれてきた記憶は、根強く彰人の中に残っていた。

 

(ずっと乗せられてばっかだったし、そっち側に回るのもありか)

「もしかして何か抜けてたか?俺も妹から聞いて詳細は聞いてないんだ」

「いや、知り合いのツテで先に引き受けていたバイトがあってな。俺だけじゃ不安だから頼んだんだ」

 

 彰人は少しばかりの罪悪感と高揚感を感じながら、風太郎に会って感じていた疑問を投げかけた。

「上杉。お前、小学生の頃、髪を染めてたりしなかったか?」

「......何で知ってるんだ?」

「小学校の途中まではこっちにいたからな。名前を聞いてもしかしてと思っていたんだ」

 

 事情があり、小4の夏ごろに東京へ移り住んだが彰人は元々この土地の出身である。彰人の記憶では、上杉風太郎と言えば学校の問題児。髪を染めて成績も悪い生徒のイメージだった。地毛であることを学校に伝えていたものの、事情を知らない保護者から彰人も成績が悪いのではと疑われた記憶もあった。

 

「金髪で、鏡......。そうか、あの医者の息子の」

「思い出したようだな。まぁ、それよりあの問題児が家庭教師都か、大丈夫なのか?」

「あまり昔の話はしないでくれ。小6から勉強するようになって、今は首席だ」

「凄い変わりようだな」

 

 同世代一番の問題児が、学年首席まで登り詰めていた。その事実に彰人は驚きを通り越して、呆れていた。小学校レベルの内容とは言え、小6くらいまでの内容はそれなりに量が多い。生半可な努力じゃすまないことは想像に難くなく、その背景に何か大きな変化があったことも、彰人は察していた。

 

「おっと、ここまでだな」

「そうか。明日から、宜しく頼む」

「こちらこそだ。じゃあな」

「ああ」

 

 彰人は風太郎と別れ、その足を進めようとしたが足を止めて振り返る。

 

「上杉。明日は、一度別のバイト先に寄ってから家庭教師に向かわないといけないんだ。先に顔合わせしておいてくれ。それじゃあ」

 

 彰人の言葉に少し固まっていた風太郎は、自身の抱える問題を彰人に伝えなければいけないと気づいた時には、すでに彰人の姿は見えなくなっていた。

 




三人称で続けたいけど、結構書きづらいからので、一度一人称でも試してみようかと考えてます。
調子よければ、投稿分も修正予定です。

話の進め方、1人称or3人称で迷ってます。とりあえず、1~3話と4~6話でそれぞれのやり方を試しますので、どっちがよかったか投票お願いします。

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