初めてこんなに書きました。
こんなに書いたのは初めてなので誤字脱字などあればご報告お願いします。
活動報告にてアンケート実施してますのでよろしくお願いしますー!
「術式兵装……
目の前の男がそう叫ぶと黒い獄炎が濃度の高い魔力の塊と化し空中に留まり、その男の体内に吸収されいった。
その光景を間近で見るがその感想はあり得ないの一言だ。
濃度の高い魔力を体内に吸収させて暴発させずに扱う……一見簡単そうに見えるが実際にできるのは世界中でわずか数人しかいない。
それは肉体と魂を喰わせることで単に常人に倍する力を得て戦える魔法……ではない。
間違いではないが、闇の魔法とはそもそも闇の眷属となった者のみ扱えるもので使用するには膨大な魔力と恐れ、恨み、怒り、憎悪などの負の感情……アバウトに言えば『ヤなカンジ』が必要だ。
その特性上、適正がある人は限られる。
例えば、よく悩んだり、一人で落ち込んだり、ぼっちになるような人にオススメな魔法だ。
闇の魔法とは、善も悪も強さも弱さも全てをありのままに受け入れ飲み込む力。
雪姫……あの、『
俺を含めて扱える者は3人しかいない。
それなのに……奴、シャーロック・ホームズは当然のように使用している。
ただ使用するのならまだいい。
ジャック・ラカンでも術式兵装はできる。
装填できても制御できずに魔力を暴発させて
装填できても制御はできない。
ラカンでもできなかった事。
それが適正がない者が使えない理由だ。
だが目の前の人物シャーロック・ホームズ、奴は制御できている。
全くもってあり得ないことだ。
「……シャーロック、お前どうして……」
どうして闇の魔法を使うことができるんだ?
そう聞こうとしたが聞く間もなくシャーロックは俺を攻撃し、無詠唱の炎の矢が飛んできた。
とっさに『瞬動』を使い回避したが……。
「危な……うっ」
回避先に炎の槍が飛んできて当たってしまった。
「ぐっ……」
痛てぇ。
右肩に刺さった。
これは致命傷だ。
俺じゃなければ即死している。
油断した……。
俺の身体から夥しい量の血が流れ出た。
身体中が熱くなり、徐々に寒くなってきた。
「申し訳ないがあまり時間がないのだよ。
さて、準備が整ったから『予習』の続きといこう」
「……予習?」
肩を貫かれた痛さで意識を朦朧とさせたまま、目の前のシャーロックに問いかける。
「これから僕の曾孫や君達が戦うことになる強敵の技を特別に見せてあげるよ」
そう言うとシャーロックは魔力を高め、呪文の詠唱を始めた。
「
魔法を使う者は詠唱中無防備となる。
とくに詠唱が長ければ長いほど。
「……
攻撃するタイミングとして数少ないチャンスと思い、俺は痛みを堪え呪文を詠唱し魔法を発動させた。
「
呪文の詠唱が短く、尚且つ一度に多く放てる魔法の射手を唱え、光属性の矢を大量に放射した。
ただし、ただ放っただけでは防がれるので直線上ではなく放物線を描くように射った。
降り注ぐ矢の雨……101発の光の矢が雨のように放物線を描いてシャーロックに襲いかかる。
普通の人間では耐えきれないほどの威力と魔力を込めて射ったが……。
____________キィィィィィ
奴の周りを強靭な曼荼羅魔法障壁が展開された。
ここぞとばかりに魔法の射手を放ったが奴の身体には傷一つ付くことなく、全て魔法障壁により防がれてしまったようだ。
やっぱり威力が高い魔法でないとあの障壁は破れないか。
そんな事を考えながら次の魔法を放とうとしたその時______
奴は無傷の右手を動かしその掌を開くと此方に向けて火属性の最高呪文をその掌から放ってきた。
「
一定の空間内に超高温の炎を発生させることができる広範囲焚焼殲滅魔法が俺に向けて放たれた。
「くっ、
とっさに何重もの魔法障壁を張り、保険としてあり溢れる氣を全身に纏って防御した。
「……がほっ」
防御したもののあまりに高威力な呪文だった為、障壁や気合いでは防ぎきれずにその身に受けたダメージが通ってしまった。
気合い防御は『千の刃』が使う防御を真似てみたがやはり簡単にはあれだけの防御を再現することはできなかった。
貫かれた右肩の傷も開き、蓄積された疲労のせいか意識も朦朧としてきてその場に倒れてしまった。
本格的にヤバい状況の中……シャーロックは俺の方に向かってその歩を踏み出してきた。
______カツーン、カツーン。
その足音はまるで死神が迫るような、武偵高的にいうと笑顔の蘭豹が『
「どうしたんだい?」
まるで『え?何故あのくらいの攻撃で死にかけているんだ?』といったような予想していなかったかのようなそんな態度をしながら俺の側に近寄るシャーロック。
「……」
視界がボヤける中、シャーロックの声だけははっきり聞こえてきた。
「ふむ。君ならもう少しできると思ったけど……期待外れだったようだね」
「……」
俺は最後の悪足掻きをすることにした。
こっそりと遅延させた呪文を解放し、シャーロックが寄ってきた瞬間______発動した。
「解放‼︎奈落の業火‼︎!
装填……術式兵装・獄炎煉我‼︎!」
「なっ⁉︎」
虚をつきシャーロックの懐に入った。
術式装填により出力UPした拳がシャーロックの魔法障壁に当たり、膨大な魔力を込めて放った拳は障壁にヒビ割れを起こしてそのまま障壁をぶち抜いた。
シャーロックの鳩尾に拳は決まりシャーロックは吹き飛んでいった。
「何か言ったか?
シャーロック。お前の方こそ
シャーロック。お前は俺達、武偵を舐めすぎだ!
こっからは俺のターンだ!
……なーんて調子に乗って思ったりしてたが。
「魔法の射手・光の101矢‼︎」
すぐに現実に気づくことになった。
魔法の矢数100発をシャーロック目掛けて放ったが放った時にはすでにシャーロックはそこにはいなかった。
「紅き焔‼︎
&
魔法の射手・光の101矢……」
「魔法の射手・光の101矢‼︎」
魔法の矢を矢で撃ち落としてもより強力な魔力が襲いかかってきた。
「魔法の射手・ 火の501矢‼︎」
シャーロックの放つ呪文や魔術が次々と俺に当たり、俺の身体はボロボロになり悲鳴をあげていた。
圧倒的な力量差。
さっきシャーロックに言ったがよくよく考えてみれば㓛夫が足りないのは俺の方だ。
いかに魔力や気が多く、人より身体能力が高くても俺はまだ未熟だ。
シャーロックより勝るのは気力や魔力の残量しかない。
経験や知識では太刀打ちできない。
だが魔力や気力の残量だけではシャーロックには勝てない。
相手が強すぎる。
「どうやら戦うのにはまだ早かったようだね。
次はもっと楽しませてくれたまえ」
シャーロックが何かしらの呪文の詠唱を始めた。
その呪文の詠唱を聞きながら思ってしまう。
……俺、なんの為に力を貰ったんだっけ?
……なんの為に力をつけたんだっけ?
……なんの為に「愚痴愚痴と考えるな、馬鹿もんが‼︎」……⁉︎
呪文を詠唱していたシャーロックが詠唱を中止してその場から飛び跳ねた。
シャーロックが飛び跳ねるのとほとんど同時にそこに氷魔法の槍が突き刺さった。
「君達は……⁉︎」
驚きの声をあげ槍が飛来した方向を見上げるシャーロック。
その声の視線の先に首を動かし見てみるととそこは……。
古びれた旅館。
元旅館。『ひなた旅館』で現在は女子寮『ひなた荘』となっている建物の屋根の上。
そこに3つの人影があった。
「ケケケ、ヨウヤクキヅイタヨウダゼ。ババアノヨビカケデ」
「大変です。早く手当しないと……」
「ふん。あまりに弱いので助けに来てやったぞ。全く世話のかかる生徒だ」
「あ……」
そいつらの姿を捉えた時、俺は自分の視力が悪くなったのか本気で疑った。
視界が曇りまるで雨に打たれた時のように水で濡れて見えなくなったような見え方をしたからだ。
断じて涙が流れたとか、そんな理由じゃない!
そんな事を考えていると人影の一人、髪が長い女性の姿が忽然と消え……たかと思ったが俺のすぐ目の前に突如姿を現した。
驚いたがよくよく見れば影から飛び出していた。
どうやら影から影へ転移してきたようだ。
「どいてろ」
「あべしっ……」
突然、重症にも関わらずにその女性に思いっきり蹴っ飛ばされた。
何しやがる!と文句を言おうとしてその状況に気づく。
俺の側に現れた人物に、シャーロックはいきなり魔法をぶっ放したからだ。
「
爆炎が起こり呪文によって発生した爆風によって吹き飛ばされた。
「ゆ、雪姫______‼︎」
俺を守る為に代わりに爆炎が直撃した彼女の名を叫んでしまう。
「ふん。喧しいわ!
この程度の呪文で私が殺られるわけなかろう」
爆煙の中から
「
雪姫は空気中に大量の氷を瞬時に発生させて、凍気と爆風を発生させる魔法で相手を攻撃した。
シャーロックは正面から爆風を受けたのにも関わらずその身は全くの無傷だった。
……人間じゃねえ、コイツら。
◇ ラカン視点
エヴァの元から懐かしの龍樹に会いに来てみれば目の前の飲み友は
オイオイ、その巨体で暴れたら周りの迷惑じゃねえかー。
やたらとデケエし。それも一体じゃねえし。
なんだよ、三体って……まあ、面倒だがちょっくら一体と遊んでやるか。
なーんて……気まぐれ起こしたのは間違いだったか?
さっさと終わらせて様子でも見にいくか。
「オラーいくぜー!
ラカン・ストライク(ただのミサイル)」
目の前の巨大な召喚龍に向けてメカに装備されているミサイルを放つ。
誘導式のミサイルは龍樹に向かって飛んでいきその巨体、翼が生える部分と胴体の部分の境に被弾した。
「ギャャャアァァァ」
龍樹の翼はミサイルの爆炎により挽き裂かれた。
翼が捥げたことにより空中から地面に堕ちた龍は怒りの咆哮をあげる。
「グギャャャー」
「す、凄い……」
「え?まさかラカン殿がその機体を……何故動かせるのだ?
いや、それより魔力を大量に使うのに全く疲れる様子がない……だと⁉︎」
「にゃはは……いいデータ取れたな〜」
神鳴流剣士、刹那や素子の呟きが聞こえるが何故動かせるのか聞かれても理由なんざ知らん。
気合いで動かしたら動いたからな。
俺は再度ミサイルを乱射したが龍樹は長い尻尾を一振り振るう____________たった、それだけで数十発あったミサイルを全て叩き落としやがった。
「ほう。操られててもいい動きするじゃねえかー」
龍樹は鋭い爪で俺が纏う
「気合い防御!」を発動させたがどデカイ装備品まで防御する余裕はなかった。
爆炎をあげて粉々に砕け散る着ぐるみ。
「とう!ラカン
脱出しながら龍樹の上空に飛んでパンチを放つ。
「ギャャャー」
ただのストレートパンチの両手打ちだが龍樹の巨体は吹っ飛んでいった。
おー!よく飛んだな。
次は気弾でも放つか……いや、待てよ。
気弾を放つ……全身から気を放つ、光線を出す。
よし、龍樹相手に効くか試してみるか。
まずは気弾からだな……。
「ラカンさん我々も……」
「助太刀致す!」
刹那と素子がそう言ってきたが……ん?
龍樹の様子が……。
「ギャャャァァァ‼︎」
咆哮をあげて威嚇してきた龍樹。
「ん?何だ?
タイマンでやり合いたいのか?
武器はないけどいいか?いいのか?
いいぜ!ならやろうぜ!いや、本当にいいのか?
俺は……」
サシでやり合いたいとは男だな。
性別知らねえけど。
けどいいねー。何だか楽しくなってきたぜ!
久しぶりに思いっきり暴れるとしようか。
「素手の方が強いぜ‼︎」
◇
「まさか、
雪姫相手に近接格闘を繰り広げながら余裕の表情で話しを続けるシャーロック・ホームズ。
雪姫は氷の矢や槍、氷槌を繰り出しシャーロックを牽制していた。
シャーロックは雪姫の攻撃魔法をいなしたり、魔法で防いだり、相殺させたりしている。
魔法だけでなく両者、体術の攻防でもお互い攻めぎあっている。
俺には手が出せないまさに頂上決戦といってもいいと思う戦いだ。
シャーロックと雪姫は互いに魔法を放ちながら戦いの場所を移動し始めた。
「……君?」
おおっ⁉︎
シャーロックが燃える天空と氷の魔術を同時に放った。
今シャーロックが放った氷の魔術、アレはジャンヌ・
ダルクの『オルレアンの氷花』⁉︎
異なる魔術と魔法を二つ同時に使えるのか?
シャーロック……お前バグキャラになってるな。
雪姫は影から影へと転移することで躱しているし。
「……ル君?」
あ、雪姫が呪文の詠唱に入った……。
「…ツルく…?」
目の前で繰り広げられるあまりに次元が違う戦闘に魅入ってしまい、自身を呼ぶ声がかけられていたのにも気づくのが遅くなってしまった。
「ミツル君?」
うわぁ。
「びっくりした……どうしたんです?
近衛先輩」
「よかった……間に合った」
気がつけば近衛先輩が俺のすぐ側で治癒の魔法を唱えていた。
あれ程痛みがあった右肩や全身の傷は跡形も無く無くなっていた。
「治癒間に合って本気によかった……」
近衛先輩の
治癒の効果があるものだ。
1日1回だけだがどんなに大怪我を負っていても完治できる希少な
個人的には俺が欲しいと思う魔法具トップ3に入る魔法具だ。
まあ、この魔法具は極東一の魔力を持つ彼女だからこそ扱えるのかもしれないけどな……。
近衛木乃香先輩には治癒の才能があり武偵高の救護科に所属している。
付いた二つ名は『癒しの姫君』
腕利きの
「近衛先輩、護衛は?」
「コタ君がいたけど……今あそこで戦ってるのが、それや〜」
近衛先輩が右手の指先を指した。その方向に視線を向けるとバカでかい召喚龍とその龍の前に一匹の犬が対峙していた。
あの犬物凄くモッサモサだな。触ったらモフモフしてて気持ち良さそうだな。
その犬は「行くでぇー」、「爆ぜろ!」とか人語を話しながら気弾を放っていた。
「あれ、コタ君や〜」
俺が触りたいと思ったのを読み取ったのか木乃香は人差し指を犬……もとい、犬上小太郎に向けながら言った。
うん。知ってるよ。
犬化しているけどコタローだってことは一目でわかる。
何故かって?
だって喋ってるやん。関西弁話せる犬なんてコタロー以外知らないし。
木乃香先輩の護衛、小太郎に任せたの失敗だったかもしれない。
「護衛対象放置で化け物の相手すんなよ」
非常事態なら仕方ないか?
いやいや。近衛先輩の従者である刹那さんに知られたら後が面倒なことになるって。
「治療ありがとうございます。
もう俺は平気なんで先輩は建物の中に避難しててください」
「う、うん。わかったでー。
本当はウチも戦いたいけど足手纏いになりたくないから避難しとくわ。
ミツル君。気いつけてな……」
「ええ。それじゃあちょっくら行ってきます!
近衛先輩から離れた俺は闇の魔法を術式装填し雪姫とシャーロックの戦いに割り込む為に駆け出した。
◇ 雪姫視点
チマチマ戦うのにも飽きてきた私は少し本気を出すことにした。
「……契約に従い 我に従え 氷の女王
疾く来れ 静謐なる 千年氷原王国
咲き誇れ 終焉の白薔薇
長い詠唱を終わらせ、放出される筈の魔力を魔力の塊のまま空気中に留まらせた。
「……
……
……
留まらせた魔力を握り潰し体内へ吸収させ己の肉体へと取り込んだ。
私の背後、背中の部分に氷で出来た翼が複数枚出現し、周囲の気温を氷点下まで下げた。
この術式兵装の特徴は……周囲数キロに自らの氷圏を展開し、支配域とする。
氷結呪圏内なら上級以下の氷属性魔法を無詠唱無制限に放ち続けられる。
といった効果がある。
「久しぶりにコレを使うことになるとはな。
ホームズ郷と言ったな。貴様もこれで終わりだ!」
術式兵装した私の力を見よ!
私が繰り出す氷魔法が無詠唱、無制限でホームズ郷に襲いかかった。
「
闇属性の黒い弾丸を飛ばしたり……
「集え氷の精霊 槍もて迅雨となりて 敵を貫け ……
複数の氷の槍を飛ばし……
「来れ氷精 爆ぜよ風精 弾けよ凍れる息吹!!
空気中に大量の氷を瞬時に発生させて、凍気と爆風で相手を攻撃することができる魔法を放ったり……
「
氷柱に対象を封じ込めることができる魔法を放ったり……
「
巨大な氷塊を作ってぶつけたり……
「
固体・液体の物質を無理矢理気体に相転移させた断罪の剣を出し、ホームズ郷に繰り出したりした。
物量差で攻めたこともありホームズ郷の魔法障壁は破れ、今やその身体には魔法の攻撃により槍や矢が刺さっている。
もっとも全体を見れば大した負傷ではない。
急所には一撃も入らずに急所を狙った攻撃は全て躱されていた。
「いい攻撃だよ。
流石に今の君の攻撃は僕でも完全には推理しきれなかったよ」
最早、目の前の男からは先ほどのような圧倒的な力は感じなかった。
「オルレアンの氷花」
ホームズ郷が呟くのと同時に______氷の魔法が私に向かい放たれた。
ふん、この程度の術式で私を狙おうなんて甘いわ。
断罪の剣で氷を斬り裂きいてホームズ郷に迫る。
奴は宣言通り3分間術式兵装を使い、私の魔法に対抗していたが、宣言通り3分きっちりに術式兵装は切れた。
好機とばかりに攻めたが奴は______精霊魔法とは異なる魔術と呼ばれる力を使い砂人形を作り、私が振るった断罪の剣はホームズ郷ではなく郷をガードした人形を斬り裂いた。
郷の姿が突然消え、私から離れた場所に再び姿を現わすと______新たに奴の周りに三体の砂人形が生まれ動き始めた。
ええい、面倒な奴だ。
何故本気を出さない?
「ふん。見慣れない魔法を使いおって……本気を出さないと殺すぞ」
威嚇して脅しを試みるがのらりくらりと躱された。
「君のような可愛い娘さんになら刺されるのもアリかな?
もっとも私より先に彼が君に刺される方が先だろうけどね」
「一体貴様の目的はなんだ?」
ふん。貴様などに口説れても嬉しくないわ。
私が口説れたいのは……って何思ってるのだ!
妄想を振り払い、ホームズ郷に聞くと彼はこう言いよった……。
「今ある秩序と平和を守る為に、力を僕が認めた後継者に継承することだよ」
意味がわからん。
言葉などアテにならんな。
問いただそうとした正にその時、ホームズ郷に変化が起きた。
突如、目の前の奴の身体が光輝き始めた。
何だ、この光は?
これは、この光は……緋色に光るこの輝きは何だ?
「残念だけどそろそろ時間だよ。
遊びはお終いだ……」
ホームズ郷の、その透き通った声が聞こえ______奴が右手の人差し指。
その指先を私に向けた、正にその瞬間。
私とホームズ郷との間に、何者かが入り込み……いや、誰かはわかっていた。こんな私を庇う馬鹿など限られている。
私を庇おうと目の前に立つミツルをどかす間もなく______
________一筋の紅い光線が私とミツルに向けて放たれた。
◇ ラカン視点。
「ラカンインパクト‼︎!」
氣を凝縮させて放った気弾は龍樹に直撃するや否や、大爆発を放ち龍樹の巨体を軽々と吹き飛ばした。
爆発によって龍樹の身体は大小様々な傷がつき、翼は千切れ、手脚は裂けた。
地に叩きつけられた龍樹はピクリともしないまま、弱々しく鳴いて頭の顎先を地面に垂れた。
ふぅー。
終わったな。
酒でも飲みてえなー。
そんなことを思い、気を抜いた時だった。
ゾクリ。
背筋に強烈な寒気が走った。
「な、なんだ?」
飲み友との遊びが終わり、地にひれ伏せた後で地面に座り小休憩代わりの伸びをしていた時、それの気配と嫌な感じを受け取った。
「……こりゃあ、ヤバイな」
今、感じた感覚。
それは……。
かつて魔法世界。墓守り人の祭壇で感じたあの感覚と似ていやがった。
「チッ、メンドーなことになったな」
ババアならそう簡単に死にはしない……と思うが、奴も抜けてるところがあるからな。
万が一ということもある。
仕方ねえ。いっちょ様子見てくるか。
瞬間移動を気合いでして、ババアがいるはずの場所に一瞬で移動した。
ババアはまだ無事か?
確認しようと、その姿を見た俺はギョッとした。
ババアの腕の中、そこに血塗れで横倒れている奴がいたからだ。
近づいて姿を確認したがソイツの下半身がヘソの下、膝のつけ根辺りからごっそりとない。
奇跡的に呼吸と意識はあるが状態がヤバイ。
怪我のヤバさだけじゃねえ!
その身が、その異形の姿がヤバイ!
ソイツの身体は黒く染まり、手の指先が魔族や魔獣のように爪が長く伸びていて頭からは角が生えていたからだ。もはや人間だった形式はあたかたもない。
ソイツの周りには溢れんばかりの瘴気と魔素が広がり禍々しい空間となっていた。
ババアが抱きしめているソイツに向けて喚いていた。
「馬鹿モン!何故……何故飛び出して来た!
未熟者のお前が私を助けようとするなんて、100年早いわ!」
ババアの戸惑いと怒りが籠った怒声が辺りに響き渡った。
「推理通りだよ……安心していいよ。
彼はここでは死なないからね」
その声は、俺の脳内に響いてきやがった。
辺りを探ると、さっきまで俺やババアがいた古びた旅館の屋根の上に一人の男が立っていた。
俺の第六感が再び警告してきた。
奴はヤベエ、と。
「彼なら大丈夫だよ」
「テメェ、一体何をしやがった?」
奴がいる建物に近づきながら問うと______奴は口に咥えた
「たいしたことではないさ。彼の一部を未来に送っただけだからね」
未来に送った?
どういう意味だ。
わからねえ……こういう考えることはアルや詠春担当だしな。
俺にはさっぱりわからねえ。
考えるだけ無駄だな。
「彼なら大丈夫さ。
見てごらん」
奴が指差した方向、そこに血塗れの少年の姿が見える。
ババアに抱き抱えられていたはずだが、今はババアから離れ一人で
「……どういうことだ?」
なんで奴は起き上がれる?
下半身が再生した?
「ババアの眷属なのか?
いや、違う。
そうじゃねえ……」
ババアのような吸血鬼じゃねえ。
禍々しさはあるがそれだけじゃねえ……。
「彼は闇と光、両方の眷属のようだね。
いや、眷属というより加護に近いかな。
ふむ。再生能力……再生速度A
なかなか、厄介だね。最悪ではないけど……だが」
ババアから離れたソイツは魔力を暴発させて暴れだした。
ソイツの周りには禍々しい魔素痕が発生していた。
「オイオイ……何だ、アレ?」
「力の暴走……今の彼は闇の魔法の力の源泉、負の感情が原因でその身を闇に飲み込まれかかっているのだよ」
最早、その姿は人間ではなく魔獣や魔族と変わらなくなっていた。
オイ、ヤベエゾ。
仕方ねえ、面倒くせぇが手出すか……。
「ああ、心配ならいらないよ。
ここは、彼女が収めるからね!」
俺の考えを読んでいたようなタイミングで会話を続けている男は視線をババアの方に向けた。
男の視線の先を見ると______力の限り暴れだしたソイツをババアが魔法で押さえ込んでいる場面だった。
氷漬けにしようとババアが魔法を発動させようとした______正にその時。
ババアとソイツの周りに、上空から大量の羽が降ってきた。
降ってきたのは羽だけじゃねえ。
白い翼を持つ少女がどデカイ飛行機から落ちて来やがった。
あの飛行機は確か戦略爆撃機だったか?
あんなどデカイ飛行機がこっちの世界にもあるとは驚きだな。
空から舞い散る羽に触れたソイツは突然スイッチが切れたかのように大人しくなった。
続いて落ちてきた天使のような羽を持つ少女が歌を歌うとソイツを纏っていた禍々しい瘴気が霧散し身を纏っていた魔力の衣がひび割れし、まるで割れ物が割れたような甲高い音が聞こえると中から人間の姿をした少年が姿を現した。
ババアがすぐ様駆け寄り状態を確かめていたが……ここからじゃ、容態はわからねえ。
「……ひとまず安心だね。
これで彼は不死者に一歩近づくことができる。
僕の推理通りだよ」
「ほう。ならこれも推理通りか?」
俺は目の前の男めがけて蹴りを放つ。
難なく避けられたが躱さるのは想定内だ。次の技を放つ為に気力を溜め腕を交錯させてとっておきの技を放った。
______ビシッ。
「(キランッ!)エターナルッ……」
キメ顔をしながらポーズを続けていく。
______ズバッ。
「ネギ…フィーバー‼︎!」
万歳をした瞬間、身体の中、全身から強烈な光の光線が発生して目の前の男は光線の波動の中に包まれた。
「……チッ」
俺の超必殺技を放ったが放ってすぐに気づいた。
躱されたことにな。
奴は逃げやがった。
チッ、また面倒なことが起こりそうだな。
「……ネギフィーバーも改良がいるな」
今度は口や指先からでも放てるようにしてみるか。
◇ ミツル視点(木乃香と離脱直後)
俺が雪姫がいる場所に近寄るとシャーロックの奴が雪姫に向けて緋色の光線を放とうとしているところだった。
この技を俺は知っている。
「この技の名前は……」
「あれは……」
今、シャーロックが放とうとしている技の名前は……。
「「『緋天・緋陽門』という(だ!)」」
シャーロックと声が重なったがアレはマズイ。
アレは緋緋色金が持つ力の一つで時空を超える技だ。
放たれたら……時空を超えてどこかに飛ばされる。
飛ばされた先に何があるかは
「避けろー雪姫‼︎」
「おや、ミツル君。君はやはりこの現象を知っているのかい?」
「黙れ、シャーロック!」
俺はシャーロックと雪姫の間、直線上に割り込み自身の身体を盾にしてやってくる攻撃に備えた。
あれがどういう現象が起こるかは知っている。
しかし、有効な防御手段は現在ない。
放たれるその瞬間まで雪姫の前に出ていた。
やがてシャーロックの指先から赤い光線が放たれ……下半身に激しい痛みを感じそこで俺の意識は途切れた。
意識が覚醒し、目を覚ますとまず最初に雪姫の顔が見えた。
よかった。
無事か……雪姫が無事で本当によかった。
視界には入ってないが他の人、小太郎やアスナ、皆の声も聞こえる。
全員無事のようだ。
ホッとした俺はゆっくりと身体を起こした。
身体を起こすと辺りを見渡した。
全員の無事を確認して雪姫を見た。
雪姫はいつもの大人姿ではなく、何故か幼女姿の本来の姿になっていた。
その身に目立った傷はなく元気そうで安心した。
彼女の顔をしばらく見つめていると咳払いが聞こえた。
そちらを見ると______雪姫の隣に見知らぬ少女がいることに気づいた。
その少女は二重瞼の大きな瞳をしていて髪は黒髪で腰まで伸ばしている。
目が合うと微笑んで嬉しそうに抱きついてきた。
「よかった。よかった……無事だったのね」
初対面にも関わらず抱きつかれた俺は困惑した。
「えっと、君は……?」
抱きついてきた少女には身に覚えがない。
ない、筈なんだがなんだか懐かしい感じがする。
匂いもそうだが、少女はどことなく自分に近い感じがしていた。
「知り合いではないのか?」
雪姫がいかにも不機嫌だ、といった感じで聞いてきたが俺はこんな可愛い子の知り合いはいない。
首を横に振ったが雪姫の機嫌は何故か悪化した。
「わからないのも無理ないわね。
貴方が知らなくても私は昔から知ってるわよ」
「ちょっと待ってくれ、君の名前は?」
「ヒカリ」
名前を聞いた瞬間、俺の脚は震えた。
足だけではない。
全身が震えていた。
少女が名乗った名前……その名前には心覚えがある。
その名前の知り合いはいた。
いや、知り合いなのではない。
「ま、まさか……ヒカリ……なのか?」
ヒカリ、それは前世での俺達の娘の名前と同じ名だ。
「うん。久しぶりだね……パパ」